九百三十一話 久しぶりの皆と談笑

 

『起きたのか!』

『おう、沙・羅・貂も、ただいま』

『おかえりだ! 器の魔力が倍増していると感じるぞ……夢魔世界とは……』

『おう、おまえたちにも関係する話だ――』

『ぬぬ?』

『主、お帰りだ』

『――シュレゴス・ロードもひさしぶりだ』

『はい』

『まずは、皆に説明する』

『うむ!』


 寝台から床に足を下ろす。

 肩の竜頭装甲ハルホンクを肩に引っ込めた。


 廊下の気配はユイ、キサラ、レベッカ、エヴァ、ヘルメかな。


「閣下!」


 ビンゴ。ヘルメは体から水飛沫を発している。

 興奮状態か。


 少し遅れて現れた皆は、


「――シュウヤが起きた!」

「シュウヤ!!」


 <血魔力>を体から発していた。


 そのユイたちの衣装は戦闘用【天凛の月】装備。

 ムントミーの衣服の一部である、釦と羽根飾りも備わっている。


 各自の特徴を活かす最高幹部用の衣装で、新しい。


 正装のような印象だから、【天凛の月】で会議でもしていたのか?

 【白鯨の血長耳】と会合とか?

 そういえば、盟主、総長のレザライサは帰還したんだろうか。


 ヴィーネだけ外套にフォド・ワン・カリーム・ユニフォームを着ている。 

 総じて、皆が着ている装備類は渋くて素敵な戦闘装束だ。


 戦闘用の衣装が冴えるユイが一番乗り。


 魔刀は握っていないが、最上段から俺に飛び掛かって斬るような機動だ。


 獅子斬りってか、振り下ろしの兜割りっぽい。

 両手を拡げて受け止めた。ユイの吐息と体重の軽さが愛おしい――。


 匂いも昔のままだ。

 昔と同じく――ユイの小振りなお尻を両手でがっちりと支えながら――。


 そのお尻さんをぎゅっと握ったった。


「ぁぅ」


 尻をモミモミされて、感じたユイの表情がエロい。


 そのまま駅弁、もとい、立位スタイルで抱っこしてあげた。


 頬を朱色に染めているユイは俺の胸に顔を預けるように寄せた。

 そのまま俺の匂いを嗅ぐ素振りから、頭部を左右に振るって、上目使いを寄越すと、


「ふふ、おはよう?」

「おう、おはようだな」

「うん。っていうか寝過ぎ」

「すまん」


 と笑いながらユイを床に下ろす。

 キサラとエヴァとレベッカが文句を言うように傍にくるが、ユイに譲っている、珍しい。


 双眸を白銀色に染めたユイが俺を見て、


「……強くなったと分かる。フィナプルスの夜会のような夢魔世界だったの?」

「そうだ」

「そっか。帰ってきてくれてありがとう――」


 ユイはそう語ると少しだけジャンプ――。

 俺の右肩に手を当てながら頬にキスしてくれた。


 少しだけ温かい唇の感触を寄越してくれたユイは素早く反転して離れた。

 直ぐにエヴァ、キサラ、レベッカが抱きついてくる。


「ん――」


 エヴァの匂いとおっぱいの感触を得て幸せだ。

 ぎゅっとしたが、その手は強引にレベッカの手に奪われた。


「早速ユイのお尻をもみもみしちゃって! イケメン顔で何が『おはようだな』よ! ほんっと、エッチング大魔王なんだから……」


 あはは、レベッカが怒って嬉しがって泣きそうになっている。

 レベッカの喜怒哀楽とその喋りが面白い。


 そして、シトラスの香りもタマラン!


「シュウヤ様!」


 キサラのチャンダナの香水も良い!


「ん!」


 エヴァは二人に負けじと抱きついてくる。

 そんな皆の体を抱き返す――。

 ハルホンクの防護服の布生地は薄くしているから……。


 女性陣の体の柔らかさをダイレクトに得た。


 同時に、一人一人<筆頭従者長選ばれし眷属>たちの背中を――丁寧に撫でていく。

 戦闘用【天凛の月】装備を着ているから、あまり地肌の感触は分からないが――。


 女性特有の柔らかさは変わらない――。

 優しい彼女たちの気持ちがダイレクトに伝わってくる。


 なんか、自然と涙が込み上げてきた。


 あぁ、やっぱ皆と会いたかったんだな……。


「ん、シュウヤ……」

「シュウヤの感触! 寝ている時とはやっぱり違う!」

「――はい、必ず起きて下さると信じていました」


 感謝の想いで頷いた。


「皆、待たせた」

「良い笑顔を見せて! 帰ってきてくれてありがとう――」


 レベッカらしく発言すると、また顔を俺の脇に埋めてくる。

 暫く皆の好きなようにさせた。


 すると、頭上で、下半身を液体状態にしたまま浮いて待機していたヘルメが、


「閣下、皆から愛が溢れていますね。そして、お帰りなさいです」

「おう、ヘルメも待たせたな。お前も愛を受けとるか?」


 と左目でウィンク。


「はい!」


 全身が一瞬で液体状態となったヘルメは、先端がレイピアの如く細まりつつ、その細まった先端を活かすように左目に突入――。


 左目からちゅぱんっと音が鳴る勢いで左目に入った。

 毎回だが、間近に迫る液体ヘルメは少し怖い。


 視界の端に小さい可愛いヘルメが現れる。

 久しぶりの感じが強い。同時にいつも傍で見守ってくれていた腰に注連縄を巻く子精霊デボンチッチは……。


 ま、いつか会えるだろう。


 そして、小さい可愛いヘルメは内股でモジモジしている。

 愛を期待しているんだろう。


 その左目にいるヘルメに――。


『閣下ァァァァ』


 魔力を盛大にプレゼント。

 常闇の水精霊ヘルメちゃん、大興奮の巻だ。


 魅力的な喘ぎ声が響く。

 そのまま好きに騒がせてあげた。


 と、レベッカが俺の右腕を独占するように引っ張り出す。

 レベッカの突起した乳首の感触を右腕に得る。

 レベッカは少し興奮しているようだが、指摘はしない。


 身を引いたキサラは俺の衣服を見て、


「<魔闘術>系統の進化はよく分かります。が、防護服も進化を」

「俺よりもハルホンクの進化のほうが凄いかも?」

「見た目はナ・パーム統合軍惑星同盟の鎧にも見えますね」


 すると、レベッカも身を引いて脇腹に指先を向ける。


「うん、脇の位置は布だけど孔の部分は柔らかい金属製? そこから綺麗な魔力粒子が出ている」


 そう指摘する。皆も脇腹を見てきた。


「はい」


 ヴィーネは自らの外套を見て頷く。

 【天凜の月】の新たな衣装と合う銀河戦士カリームの外套だ。

 レベッカは、


「たしか……なのめたる、グラフェン、せるろーすなのふぁいばーという素材とか?」


 セルロースナノファイバーか。

 電池にもなる木材素材。


 キサラも、


「ナノメタル! 人工知能のアクセルマギナや宇宙海賊【八皇】の一人の艦長ハートミットとの会話にも登場していました」

「あったなぁ」

「ハルちゃんもパワーアップ!」


 レベッカの蒼い瞳がキラキラと輝く。

 暫くは、綺麗なレベッカのツッコミが来ても喜んでおこう。


 すると、ヴィーネが、


「色合いは違いますが、わたしがもらった銀河戦士カリームのユニフォームやアクセルマギナの黒繊維スカートにも似ています」

「ヴィーネはいつもそれを羽織ってくれているからな」

「あ、はい……」


 ヴィーネの照れる素振りが可愛い。


 そして、宇宙と言えば、宇宙戦艦にいるだろうハートミット。

 俺がそう思考すると、ハルホンクの防護服の胸元に心臓と髑髏のマークのバッジが浮かぶ。


 この辺りはさすがのハルホンク。


 その宇宙にいるだろうハートミットとバルスカルの争いはどんな状況なんだろうか。


 すると、


「アイテムボックスと言えば、銀河騎士マスターの一人だったアオロ・トルーマーさんが提唱したとかの話もあったわね」

「そうだな」

「ん、アウトバウンドプロジェクト」

「はい、遺産高神経レガシーナーブや初期型戦闘型デバイスのアイテムボックスが作られた経緯ですね」

「研究機関の主任はフーク・カレウド・アイランド・アクセルマギナ博士だったわね。アクセルマギナちゃんと同じ名前」


 それは、たぶん……。


「鋼の柄巻のムラサメブレード・改を使う訓練の時にもそんな会話がありました」


 というヴィーネの言葉を聞いて、ムラサメブレード・改を意識。

 右手の掌に鋼の柄巻が出現。


 ――なんか、凄く嬉しい感触だ。


 今まで、ずっと無名無礼の魔槍と白蛇竜小神ゲン様の短槍のみだったからなぁ。


 皆から少し離れて鋼の柄巻に魔力を込めた。


 鋼の柄巻の放射口が煌めく。

 その鋼の柄巻からブゥゥゥンッ――と音が響いた。


 放射口から迸る青緑色のブレードは美しい。

 血魔剣も左手に召喚――。

 よっしゃ――何事も修業――。


 玄智の森では魔剣を握ることもあったが――。

 ムラサメブレード・改と血魔剣を宙に浮かすように放る。


 更に、その放った二つの剣に向け――。

 弱めの出力を意識した<超能力精神サイキックマインド>を発動――。


 ムラサメブレード・改と血魔剣が宙空で静止。


 ムラサメブレードの放射口から出ている青緑色のブレードは徐々に放射口へと吸い込まれるように消える。


 <超能力精神サイキックマインド>を更に意識――。

 衝撃波ではなく優しく掴む超能力のマインドだ……。

 丁寧に二つの剣を掌に引き寄せた。

 成功、<超能力精神サイキックマインド>も変わらず使える。

 いつもの<超能力精神サイキックマインド>とは異なる感覚、物体のすべてを空間ごと掴むような……。

 <導想魔手>とも違う……。

 四次元、五次元からの点と点の面を合わせて掴むような……。


 刹那、小型のソサリーの種族に近いアオロ・トルーマーさんの幻影が――あ、消えた。

 精神力が上がったお陰かな。


 一応、心で祈るように――。


『――ナ・パーム・ド・フォド・ガトランス!』


 と銀河騎士の挨拶の思念を送った。

 押忍の挨拶から、そのムラサメブレード・改と血魔剣を両手から消す。


 そして、魔槍杖バルドークを右手に召喚。


 ――良し!

 武器の相棒と呼べる魔槍杖バルドーク……。


 これも久しぶりの感じが強い、と、右腕に少し痺れが走った。

 同時に漏斗雲の細い竜巻にも似た嵐雲のような穂先から魔力が噴き出す。


 魔槍杖バルドークが怒っているのか?

 それとも『ひさしぶりだな、えぇ、おい……』という厳つい挨拶だろうか。


 愛用武器的にハルホンクに格納させたほうが今後のために良いかもなぁ。

 アイテムボックスが使えない状況下はいつ何時やってくるか。


「ん、早速修業?」


 エヴァに振り向きつつ、


「おうよ」


 と魔槍杖バルドークを消す。


「ふふ、やっぱりシュウヤよね」

「うん、修業が大好き」

「ほんっとワクワク顔も変わらないし、格好良いんだから!」


 レベッカの笑顔を見ながら笑う。

 すると、ユイが、


「ヴィーネ、もうシュウヤから夢魔世界の内容を聞いたの?」

「あ、まだです」


 皆から注目が集まった。

 皆に説明するか、すると、


「マスター、起きたのね~」


 ミスティも来た。


「艦長!! 起きたのかァァ――」


 キスマリとゼクスと銀灰猫のメトに白犬のシルバーフィタンアスと茶鹿のハウレッツも現れた。


「ン、にゃ」

「にゃァ」

「ワン!」

「グモゥ、プボゥ!」


 そのミスティたちに片手を上げ、


「よ、おはよう~」

「ふふ、おはよ――」

「艦長、戦船は守っているぞ! だれも攻めてこないが……」

「にゃァ」

「ワンッ!」


 シルバーフィタンアスの尻尾の振り方が可愛い。

 六眼キスマリに頷いて、


「おう、分かった」

「――にゃァ」

「にゃおおお~」

「グモォォ、プボォン!」

「ワォォン!」

「ン、にゃぁ」


 銀灰猫のメトと黒猫のロロと子鹿のハウレッツに銀白狼のシルバーフィタンアスが連合したように鳴き合うと走り寄ってきた。


 膝と脹ら脛に頭部をぶつけてくる。

 すると、ゼクスが寄ってくる。ミスティは分かるが、ゼクスは受けたくない。


 横にいたヴィーネを抱きながら横移動――。


「きゃ」


 ヴィーネを抱えながら横に避けた。

 そのヴィーネの唇を奪う。

 キスしながら――横回転。


 そのヴィーネの背中を支えつつ横に立たせる。

 呆けているヴィーネはふらっと倒れそうになったから、片手でヴィーネの二の腕を持ち続けた。


「急にごめん。大丈夫か?」

「アァ……あ、はい。もっとしてほしいぐらいです」


 自らの唇を細い指で悩ましく触るヴィーネ。

 エロい表情のまま、嬉しそうに微笑む。


 もう一度キスしたくなったが、


「ちょっ、なんばしよっと!」


 レベッカに小突かれた。

 可愛いレベッカのツッコミが嬉しい。


「はは」

「ん――」

「しまった、ヴィーネにキスされる要因を!」

「シュウヤ様、キスならわたしが!」


 エヴァとキサラと、ミスティも近寄ってきた。

 三人に好きなようにさせつつ、反撃のキス返しを三人に行う。


 エヴァとキサラとミスティは一気に体が弛緩。

 寝台に腰掛けながらも、俺を見続けている。


 大人しくなった三人は、俺の股間を凝視。

 期待しているのは分かるが、まだしない。


 その行為を鼻息を荒くしつつ見ていたレベッカは、不満そうに俺を睨む。

 と、下にいた黒猫ロロを抱き上げた。


 レベッカは、相棒の後頭部にキスしながら、


「ね? ロロちゃん、あそこにいるエロな大魔王ちょっとムカつかない?」

「にゃ、にゃお~~」


 と会話をしている。

 その黒猫ロロの片方の前足を握るレベッカ。

 黒猫ロロは、なすがままで、可愛い腹を晒すように後ろ脚をだらーんと下げている。


 レベッカは黒猫ロロの前足を上げて肉球を見せながら、舌を出して『べーっ』という表情を作る。


 相棒は髭が下に垂れていた。


 はは、どっちも可愛い。

 すると、騒がしくなったせいか、ナミが起きた。


 すまんと片手を上げて謝る。


「……盟主! 目覚める気配がないので少し焦りましたよ」

「――おう、ナミ。普通の夢魔世界ではなかったんだ。皆に説明しよう」


 そう喋りながら、椅子に座る。

 皆が近くに寄ってきた。


「はい、メトちゃん~」


 キサラは銀灰猫メトを抱き上げる。

 銀灰猫メトは、隣にいるキスマリに前足を当てていた。


「む? 鼻にチュッとしてほしいのか?」


 キスマリが可愛いことを。

 思わず笑う。


「ん、ロロちゃん、ここ~」


 ミスティはメモの用意をしていたが、傍にきた子鹿ハウレッツに羊皮紙をあげている。かなり懐いたようだな。


 相棒はレベッカから離れてトコトコとエヴァの下に向かう。

 エヴァは魔導車椅子状態に移行し、自らの太股を手でぽんぽんと叩いていた。黒猫ロロはその太股の上に跳躍。


 レベッカは楽しそうにエヴァの背後に移動して、手押しハンドルを持つ。


 さて、


「……夢魔世界を経由した異世界転移事象、神界セウロスから分離した異世界に俺は転移していた。その世界の名は、玄智の森だった」

「体がここにいるのに? 転移? 夢魔世界でしょう?」

「あぁ、精神の移行が主力だと思う。本体の俺とは少し異なる体を得た俺が玄智の森に転移したんだ。夢魔の曙鏡に見えた不思議な屋敷があっただろう? そこにいったんだ。その世界の中で、水神アクレシス様に会った。で、水神アクレシス様とホウシン師匠は水鏡の槍使いと俺を呼んでいた……」

「え? 水神アクレシス様と……」

「ひょっとして、凄まじい展開の夢魔世界だったの? 玄智の森か」

「あぁ、玄智の森は、魔界セブドラと隣接した異世界でもあった。その玄智の森からアイテムを持ち帰れた。魔界セブドラにも鬼魔人傷場から入った」

「「「え……」」」

「魔界セブドラに関しては後回しとして、そこに並ぶ人形類が、持ち帰った品だ」

「ん、凄い!」

「シュウヤ様と精神が融合しているからこそ可能なことですね。ハルホンクは凄い……」

「ングゥゥィィ!」

「夢魔世界のアイテムを……」


 そこで、一呼吸。


「最初の転移先である玄智山ではホウシン師匠と出会い、エンビヤを悪者から救う出会いから……そこの玄智山の武王院に入学した。武王院とは玄智の森に存在する勢力の一つだったんだ。仙境という名のな」

「仙境……貂から聞いたことがあります」


 さすがヴィーネ。覚えていたか。


「そうだ。玄智の森は<神剣・三叉法具サラテン>と関係する」

『やっとか! 妾たちも外に出るぞ!』

『おう』

「皆、そのテンを外に出す」

「はい!」

「ん、分かった。けど、先生たちにも」

「あ、クレインは?」

「【天凛の月】の仕事でカットマギーと外に出ている」

「そっか、んじゃ、まずは……仙境と修業……」


 武王院や白王院の仙境のことを説明。

 続いて、


「〝玄智山の四神闘技場〟で行われる〝玄智の森闘技杯〟で優勝して、水神アクレシス様を奉る大豊御酒を飲んで四神の一部を獲得、<四神相応>というスキルを獲得した影響もある。王氷墓葎キングフリーズ・グレイブヤードを使い白蛇竜小神ゲン様の短槍も獲得した。その白蛇竜小神ゲン様の短槍は指貫グローブにも変化する。更にハルホンクも玄智の森で色々と喰ったからな」

「色々ありすぎ!」

「はい」

「一週間以上寝ていたからね……濃密な体験を……」

「だから、自然と傷が発生しては<血魔力>を放出していたりしたのねぇ」

「しかし……玄智の森? 神界セウロスから分離した異世界が、シュウヤ様の選んだスキルを獲得できる夢魔世界でしょうか」


 キサラの問いに皆が注目。

 頷いたが、まぁ、体感しないと理解するのは難しいかもな。

 チラッと夢魔の曙鏡などのスペシャルなタンモールの魔道具を見た。


 皆が見た夢魔世界は、今回俺が体感した事象とは異なるだろう。

 結果は神界セウロスから分離した玄智の森、神話の一部。

 その玄智の森は、魔界セブドラと繋がる異世界でもあった。


 単にゲートを潜っただけではない、精神、意識などの領域……。

 観測した、観測しないで結果が異なる二重スリット実験などへの理解があれば多少は分かるかもしれないが……。


 少し、間が空いたところで、


「ん――」


 エヴァは俺の手を握ると目を瞑る。

 エヴァの体から漏れた紫色の魔力が俺の体に侵入してきた。


 エヴァのエクストラスキルの一つ……。

 <紫心魔功パープルマインド・フェイズ>だ。


 レベッカとキサラはヴィーネの横に移動。

 エヴァに心を読ませながら……。


「ん、良かった……あ、夢魔世界は本物……玄智の森にエンビヤ……ホウシン師匠……魔界王子ライラン……あ、大眷属イゾルデ……え、龍! あ、ウサタカ、ヒタゾウ……友達のクレハとダンに独鈷コユリ……いっぱいのお金とアイテムに……水神アクレシス様、デボンチッチ……大冒険……」


 エヴァは俺の心を読めたか。

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