九百二十一話 ウサタカたちとの決戦

 吹き飛んだウサタカと大太刀使い――。


「――ウルキとパンガッテが!」

「――これは魔力の衝撃波か?」


 左に吹き飛んだ大太刀使いがそう叫び、後方に吹き飛んだウサタカは冷静に分析していたが、石灯籠と衝突。

 体から血を発して転がるが、半透明なクラゲの一部から出た触手が二人のクッション代わりとなると、受け身を取った二人は素早く立ち上がる。

 ウサタカは槍を構えるが、突進はしてこない。

 そのまま俺は黄金遊郭の屋上をもう一度把握。小さい鉄塔がある。

 内部には階段があるようだ。そこから仙武人の武芸者の増援が上がってきた。

 

 黄金遊郭に何人待機させてたんだ。

 屋上だけでも、百人は軽く超えている。

 

 ま、このまま百人斬りの実戦と行きますか。


 すると、半透明なクラゲの群れが飛来。

 

 それぞれ形の違う触手を伸ばし攻撃してくる。

 

 毒々しい触手は触れたくない――。


 左足の爪先で床を蹴り、右側に跳躍。

 一度に複数の触手攻撃を避けた。

 俺がいた床と衝突した触手から火花が散る。


 そこの床は鋼鉄だった。

 触手の飛来は続く――。


 右斜め前へと駆けながら触手を避けた。

 走りながら半身の姿勢を維持しつつ、触手を繰り出してくる半透明なクラゲを視認していく。


 それらの半透明なクラゲを操作しているだろう巨大な百足に乗るお爺さんは強そうだ。

 鬼魔人二人とウサタカも見るが動きに変化はない。

 大太刀使いと巨大な百足も動かない。


 湾曲した魔剣を扱うウルキと斧使いの強者は倒したが、まだまだ強敵だらけだ。


 警戒しながら右足で床を蹴る。

 左斜め後方に跳躍してウルキと斧使いを倒した近くに戻った。そして、血溜まりを吸い寄せる。


 すると――。

 巨大な百足が走り寄ってくるなり、横長の口を広げた。


「ギュォォォォ――」


 口から盛大な炎を吐いてきた。

 その盛大な火炎ブレスとは距離があるが、熱波を肌に感じながら――。


 <白炎仙手>と<火焔光背>を発動。


 白炎のような魔力と光り輝く魔力が、既に発動中の<仙魔・暈繝飛動うんげんひどう>の霧魔力を押し上げるように出現。


 <仙魔・暈繝飛動うんげんひどう>と<白炎仙手>と<火焔光背>が合わさった白炎の魔力は無数の白炎に輝く貫手を前方に伸ばしながら前進し、巨大な百足が吐いた炎と衝突。


 ――ドッと音が響く。


 巨大な百足が吐いた炎を打ち消す。

 そのまま<白炎仙手>は巨大な百足に向かう。


 巨大な百足は体の後部を瞬時に縮めた。

 後部を大きな曲剣刃に変化させると、その体を乱雑に回転させる。


 宙に幾重もの剣線を描く巨大な百足。


 乗っているお爺さんは平気なようだ。

 

 <白炎仙手>の白炎の霧ごと貫手のすべてを巨大な百足は曲剣刃で斬った。

 

 巨大な百足は姿を元に戻しつつ着地。


 操作しているお爺さんは落ちていないが、かなり魔力や体力を消耗するのか、お爺さんと巨大な百足はそのまま動かない。


 代わりに仙武人が前進してきた。

 馬頭琴と似た楽器を肩に担ぐ男だ。


 仙武人は進む速度が速まる。

 <血液加速ブラッディアクセル>を超えた速度か。


 その男は迅速に俺との間合いを詰めてくる。

 速やかに馬頭琴と似た楽器を振るった。


「<反魔・斧刃速>――」


 スキルを繰り出してきた。

 馬頭琴と似た武器から擦弦楽器のような音が響く。


 ――爪先半回転を行う。


 打ちおろしの斧刃を避けた。

 馬頭琴の斧刃は黄金遊郭の床と衝突。

 

 火花が散った。


 仙武人は振り下ろしたばかりの馬頭琴の内側から取り出したであろう弓を左手で振るう。


 俄に無名無礼の魔槍を掲げた。

 

 柄で弓の毛による斬撃を防ぐ。

 弓の毛と衝突した柄から火花が散った。

 

 弓の毛は剣刃にもなるか――。

 無名無礼の魔槍の角度を変えた。

 

 弓の毛を右下へと促すように、斜め下に押し出してから――。


 無名無礼の魔槍を下ろす。

 蜻蛉切と似た穂先で仙武人の左手首を狙う。


 仙武人は、


「カッ、速いな!」


 そう言いながら――。

 長剣のような弓を逆手に持ち直す。

 

 弓の毛を左手首と左前腕に沿わせた。

 仙武人は弓の毛で小手狙いの攻撃を防ぐ――無名無礼の魔槍の重さと衝撃に耐えている腕は太い。


 が、その防御機動は想定済み。


 右手の馬頭琴と左手の弓を引いて守りに入っている仙武人に対し――。


 無名無礼の魔槍の<刺突>を仙武人の胸に送った。


「――鳩尾狙いか」


 仙武人は余裕で対応。

 重そうな馬頭琴を軽々と下から振るう。

 

 <刺突>の穂先を下から弾き、その勢いをもって前転を行う仙武人は両腕を振るう。


 馬頭琴と弓の毛の振り下ろし攻撃――。

 

 急ぎ無名無礼の魔槍を掲げた。


 振り下ろしてきた馬頭琴の斧刃と弓の毛の斬撃を無名無礼の魔槍の柄で受けた。


 ――馬頭琴の一撃は重い斬撃。

 ――斬馬刀のような武器に見えた。


 ――弓の毛は魔力が通ると刃に変化するようだな。


 ま、力なら力だ。

 

 <戦神グンダルンの昂揚>は発動中。

 無名無礼の魔槍を持ち上げる。

 

 鍔迫り合いに移行。


「槍使いらしい力強さだ……」


 そう語る仙武人も並ではない。

 赤黒い魔力と銀色の魔力を和風の戦装束の上に纏っていた。

 

 その仙武人は、


「ゼゲの魔烈斧琴と魔弓の刃が、こうも押されるとは!」


 魔弓を持つ左腕を引く。

 半身の姿勢となった。

 素早く無名無礼の魔槍を押し込む。

 ゼゲの魔烈斧琴の斧刃を外へ弾いた。


 仙武人は代わりに魔弓を横に振るう。

 急ぎ、無名無礼の魔槍の柄を斜め下に傾ける。


 斜めに傾けた柄で魔弓の斬撃を防いだ。

 反撃の石突で顎を砕こうと狙うが、仙武人はゼゲの魔烈斧琴の角度を下げた。弦で無名無礼の魔槍の石突を防ぐ。


 擦弦楽器のような音がまた響いた。


 仙武人は横に移動しながら魔弓を引き、突き出してくる。

 

 レイピア的な挙動も可能なのか。

 

 その仙武人に無名無礼の魔槍を下から上へと振るう<豪閃>で対抗。


「――ぬお」


 仙武人は突き出していた魔弓を引く。


 同時にゼゲの魔烈斧琴を下に構える。

 二つの武器で下腹を押さえるように構えて<豪閃>を受け止めた。


 直ぐにバックステップ。

 ゼゲの烈斧琴は手放さず後退。


 すると、巨大な百足が前に出た。


 その巨大な百足に乗るお爺さんが、


「ダンパン! 皆を連れてトモンとジェンナと共にウサタカの近くに戻れ」


 ゼゲの魔烈斧琴を器用に扱う仙武人は例のダンパンか。

 

 お爺さんは両腕を左右に広げる。

 体から魔力を発すると、お爺さんの背後に黒い環のようなモノが現れた。


 周囲の半透明なクラゲの一部と黒い環が魔線で繋がった。 


 更に、一部の半透明なクラゲがお爺さんの左腕と重なり始める。


 他の半透明なクラゲは体から触手を放出しながらウサタカたちの方へ向かう。


 目の前のお爺さんの左腕に重なる半透明なクラゲたちは、お爺さんの左腕をすっぽりと覆うクラゲの盾に変化。


 そのクラゲ盾を構えたお爺さんは、巨大な百足に乗りながら、


「ダンパンを寄せ付けない力といい、お前がアオモギを倒した槍使いだな!」


 そう聞いてくる。

 ――お爺さんの右腕に魔力が集中。


 まだまだ大量に浮いている半透明なクラゲを操作するつもりか?


 夜だけに、半透明なクラゲは凄く綺麗だが……。

 背後の黒い環の縁も輝きを放つと、環の周囲の空間に干渉しているように、その環の縁際と環の外側が蜃気楼のようになって、空間が重力レンズの如く歪んで見えた。

 

 綺麗な光景だが、黒い環は異界に通じている簡易ゲート魔法?

 黒い環から怪物たちを召還?


 黒い環と言えば、黒き環ザララープ

 勿論、お爺さんの背後に浮かぶ黒い環は、その俺が知る黒き環ザララープとは大きさが異なる。圧倒的に小さい黒い環だ。


 そのお爺さんに対して頷いて、


「はい」


 と言いながら<魔闘術>で両足の魔力を強めた。

 <水月血闘法・鴉読>も用いて、飛び道具が飛来したら避けよう。


 そう思考しながら……。

 お爺さんとウサタカたちの動きを見る。

 

 お爺さんに向けて、


「アオモギと魔界王子ライランの眷属アドオミは俺が倒しました。そして、お爺さん、貴方は本当に白王院のゲンショウ師叔ではないのですね?」


 丁寧に聞いた刹那――。


 お爺さんは怒ったように眉を動かした。

 歳相応の皺の分だけ表情が多彩に見える。


 その怒ったようなお爺さんは、


「あ? ゲンショウは俺が取り込んだ。美味かったぞ」


 声質が急激に若くなり、皺と表情筋が怪しく踊る。

 お爺さんの醜さと邪悪さが顔に出たような印象だ。


 その極みといったように、お爺さんの額に卑猥な縦線が走った。


 卑猥な陰部が額に発生か? いや、皺ではない。

 傷か、額の縦線を境に皮膚が左右へ捲れた。


 その捲れて裂け、露出した部分は頭蓋骨ではなく、緑色の血に濡れた百足の群れがウジャウジャと犇めいていた。


 裂けた額から百足かよ。

 お爺さんの正体は百足魔人か。


 その百足魔人の右腕が蠢くと、小さい百足の群れが顔中に出現。

 大量の百足は顔と首を這いながら服の中へと消える。


 気持ち悪い百足魔人は上向く。

 周囲の半透明なクラゲたちに向け、


「――空霊クラゲ。あの槍使いを倒せ」

「「「ジュゥゥゥ」」」

 

 数百はいる半透明なクラゲが不気味な音を発してきた。


「サイメルが本気だ!」

「いけぇ、空霊クラゲたち!」

「敵は一人! 数で潰せ!」

「倒せぇぇぇ」


 鬼魔人たちやウサタカの周囲に集結している仙武人たちが吼えてきた。

 

 半透明なクラゲの名は空霊クラゲか。


 その空霊クラゲは体から複数の触手をうようよと放出すると、触手の先端を刃に変化させた。

 それらの触手は宙に乙の字を描くと、鋭い刃の切っ先を俺に見せつつ直進してきた。


 ――素直に後退。


 飛来した触手は黄金遊郭の床に突き刺さる。 

 一部の触手は、床スレスレの位置でぐわりと宙に弧を描きながら曲がり、俺に向けて飛来――。


 触手には相棒の触手のような速度はないが――。

 嫌な遠距離攻撃だ。<仙魔・桂馬歩法>を用いた――。

 バックステップ――右斜め後方に跳び、連続して触手攻撃を避ける。


 続けて、真横に側転。

 また触手攻撃を避けた。


 そうして追尾してくる触手の攻撃を避けまくった。

 踊るような機動の爪先半回転を左右の足で交互に実行。


 同時に周囲を窺う――。

 巨大な百足に乗ったままの百足魔人は動かず。


 空霊クラゲの使用には精神力と魔力が必須か。

 馬頭琴を持つ仙武人ダンパンも休んでいる。

 

 さて、避けるだけが能ではないことを示そうか――。


 <経脈自在>を意識。


 ――<闘気玄装>。

 ――<四神相応>。

 ――<玄武ノ纏>。

 三つのスキルを同時に意識し発動。


 <龍神・魔力纏>はまだ使わない。

 

「ングゥゥィィ」

『グォォォ』


 竜頭金属甲ハルホンクと玄武が呼応。


 竜頭金属甲ハルホンクの防護服は――。

 一瞬で玄武の亀の甲羅と蛇のデザインを施した防護服に変化を遂げた。


 籠手の先端は蛇矛。

 甲が小型の甲羅となる。


 <仙魔・桂馬歩法>を止めた。

 歩行速度を落としながら飛来する触手に向けて迅速に左腕を振るう。


 ――甲羅の盾で触手を弾く。

 半透明なクラゲの感触はゼラチン質で柔らかいが、当てられる。


 ――見た目は半透明だが物理属性だ。

 ――左手を前に伸ばし蛇矛で貫いた。

 

 右手で握る無名無礼の魔槍も左上へと振るい上げた。

 俺の体を狙ってくる複数の触手を一度に切断。

 そのまま体を退いて、無名無礼の魔槍を振るう。

 一つ一つの触手を斬り払い、叩き付けて、確実に迎撃。

 触手の飛来速度が遅くなった瞬間、前進――左足の踏み込みからの<刺突>で触手の刃ごと触手を真っ二つ。

 

 無名無礼の魔槍を引き右足を退く――。

 半身の姿勢で、少し溜めを作る。

 そして、無名無礼の魔槍ごと腕を放るような――。

 反転機動の<豪閃>を繰り出した。


 ――左から迫った触手を<豪閃>で斬る。


 風槍流『支え串』の構えを取った。

 その直後、床を左足で強く蹴り、右斜め前方に突進。

 空霊クラゲに近付いた俺は、無名無礼の魔槍を下から右斜め上へと振るった。


 蜻蛉切と似た穂先が空霊クラゲの体を捕らえる。

 下から空霊クラゲを両断。

 

 腰を捻りつつ無名無礼の魔槍を横に振るった。

 無名無礼の魔槍の柄で、右後方から飛来した触手を弾く。


 続けて、無名無礼の魔槍を下げた。

 石突で床を突き体を支えながら――。


 左の正拳突きを前方に繰り出し、拳で触手を殴り飛ばす。

 

 触手の群れの攻撃はまだ続く。

 左の視界が埋まるほどの触手を見て、タイミングを測る。

 

 下半身を少し下げた次の瞬間――。

 無名無礼の魔槍の<豪閃>を繰り出した。 

 左側から飛来した触手の群れを一気に切断。


 続けて、右斜めと左斜めから飛来してきた触手に向けて――。

 左腕を上下に振るう。

 籠手の蛇矛で二つの触手を切り裂いた。

 動きを止めず。

 低空飛行中の空霊クラゲの群れに向けて前傾姿勢で前進――。


 風を纏うような速度で空霊クラゲとの間合いを零とした刹那。

 左足の踏み込みから、腰を捻り右腕を前に突き出す――。

 無名無礼の魔槍の<刺突>を繰り出した。


 空霊クラゲの出っ腹を、蜻蛉切と似た穂先が派手にぶち抜いた。


 しかし、右腕一本が無名無礼の魔槍と化した突きポーズは、隙だらけ。


 その槍使いの弱点でもある<刺突>終わりの隙を無くすように――。

 四肢に魔力を集めつつ、右手を引きながら無名無礼の魔槍を消去。


 俺の魔力を得た白蛇竜小神ゲン様の指貫グローブが光る。

 白銀に輝く右手に装着している指貫グローブを視界の端に確認しながら前進――。

 

 輝く右手の掌に無名無礼の魔槍を再召喚。

 腰を捻り再び右腕ごと槍と化す機動モーションで――。


 <塔魂魔突>を繰り出した。

 セイオクス師匠から習った基礎秘伝突きが空霊クラゲ三体を同時に貫く。


 穂先と螻蛄首を越えて柄の握り手にまで空霊クラゲの死体が到達――その空霊クラゲの死体の感触は――。


 ぬるぬるで冷たい。

 無名無礼の魔槍を消す。


 <四神相応>と<玄武ノ纏>を解除。


 右腕を前に出したまま前方の空霊クラゲに向け――。

 いきなり<闇の千手掌>を実行――。

 無数の<夕闇の杭ダスク・オブ・ランサー>が密集した巨大な<闇の千手掌>が大量の空霊クラゲを上から潰すように倒しまくる。

 

 大量に魔力を消費したが、空霊クラゲを多数倒せた。

 が、まだまだ空霊クラゲの数は多い。


「――うはぁ、闇の杭が密集して巨大な掌となった?」

「凄まじい。闇神と名が付く神々から恩恵を得ていそうなスキル攻撃……<血魔力>を扱う槍使いは魔術と魔法が多彩か」

「そのようね。<血魔力>の質も異常なほどに高い。闇神と関わる吸血神ルグナド様の眷属なのかしら……」

「たぶん、そうだろう」


 敵集団の後方から男女の声が響く。

 ――男女は鬼魔人で、様子見か。

 ウサタカと大太刀使いはダンパンと会話している。

 傍では太鼓で演奏を行う仙武人たちもいた。


 が、今は目の前――。


 残りの空霊クラゲがわらわらと寄ってくる。

 この空霊クラゲを使役している百足魔人を先に倒したいが――。


 巨大な百足を先に倒すべきか。

 大技で一気に仕留めるとして、タイミングは……。


 そして、黄金遊郭の外にいる皆も戦闘中だろう――。


 エンビヤたちの傍にはイゾルデがいるから無双していると思うが――。

 そう考えつつ、飛来してきた触手の刃に向け――。


 無名無礼の魔槍を振り下ろし、触手を真っ二つ。

 その触手の残骸を纏うように前傾姿勢で前進――。


 触手を寄越してきた空霊クラゲに近付き流れるような動作で<龍豪閃>――。


 一気に三体の空霊クラゲを真横に両断。

 続けて半身の姿勢を取りつつ数歩後退した。


 ――一歩、二歩、三歩と下がりつつ四肢に魔力を集中させた。

 ――<怪蟲槍武術の心得>を意識。

 ――<魔人武術の心得>も意識した。


 続けて<血液加速ブラッディアクセル>を強める。

 そんな強化をし続ける俺を囲う空霊クラゲ――。

 

 すると、囲んできた空霊クラゲは――。

 触手を放つ。四方八方から迫る触手は見ない――。

 

 飛来してくる速度を感覚で察知。

 一弾指――無名無礼の魔槍の穂先で床を刺す。


 ――体を浮かせて、無数の触手攻撃を一度に避けた。


 俺がいた真下の位置では、触手の刃同士が衝突しまくる。

 本当なら、ここで床を刺すのは近接戦闘能力を上げることが可能な王牌十字槍ヴェクサードなんだが、今はない――。


 ゼロコンマ数秒も経たず宙空の俺に対して前方から触手が迫った。

 <導想魔手>を生成。

 右手の白蛇竜小神ゲン様の指貫グローブを短槍に変化させつつ――。

 

 飛来してきた触手攻撃を<導想魔手>で防ぐ――。

 同時に自然落下の勢いを白蛇竜小神ゲン様の短槍に乗せるイメージで斜め下に<龍豪閃>を繰り出した――。


 触手の群れを一度に切断。

 着地際に床を刺していた無名無礼の魔槍を左手で掴む。

 その間に空霊クラゲたちが俺に近付く。

 複数の触手を繰り出してきた。

 それらの触手を頬と体に浴びながらも、前傾姿勢で突進――。


 手前の半透明なクラゲとの間合いを零とした刹那――。

 

 右足の踏み込みから<死の心臓>を実行――。

 左手の貫手の<死の心臓>が空霊クラゲの胴体へと侵入。

 体をぶち抜いた。

 

 その左腕を手前に動かし死にかけの空霊クラゲを顔に寄せて噛み付く。

 同時に<吸魂>を実行。

 その空霊クラゲは干からびて消えた。


 ――よっしゃ。

 魔素をかなり吸収できた。


 普通に倒して得られる魔力よりも<吸魂>は効果が高い――。

 <火焔光背>の魔力の吸い寄せも良いが――。


 ――そう考えつつ前後左右に踊るようなステップワークを実行。

 

 空霊クラゲの触手攻撃には慣れた。

 縄跳びを行うが如く、触手の攻撃を避けまくりながら――。

 

 黄金遊郭の屋上を再度見て回る。

 百足魔人と巨大百足に鬼魔人コンビとウサタカと大太刀使いにダンパンは俺の動きを把握しようと探っている。


 すると、俺の迅速な機動と回避行動に空霊クラゲが無秩序に繰り出し続けていた触手の群れが絡まり始める。


 動きが鈍った空霊クラゲの群れ。


 ――チャンス。

 無名無礼の魔槍を<投擲>。

 宙を直進する無名無礼の魔槍は空霊クラゲの群れの一部を貫きまくる。

 屋上の石塔と衝突して無名無礼の魔槍は止まった。

 同時に<超能力精神サイキックマインド>を実行して、手元に無名無礼の魔槍を戻しながら体を巡る魔力を右腕に集約させつつ前進――。


 空霊クラゲの一体との間合いを零とした次の瞬間。

 ――<蓬茨・一式>を繰り出した。

 

 半透明な空霊クラゲの体を貫く右拳――。

 空霊クラゲの胴体は内側から紫の稲妻を受けたような閃光を発して爆発。


 ホワインさんとの戦いで獲得した拳のスキルは強力だ。


 続けて、俺の右斜め上に<導想魔手>を生成――。

 その<導想魔手>の魔力の拳をトンカチに見立て、そのトンカチを振るい落とすように空霊クラゲを<導想魔手>の拳で叩いた。


 ドゴッと音を立てて空霊クラゲが凹むと潰れた。


 ――前傾姿勢で前進。

 次の空霊クラゲに向けて<悪式・霊禹盤打>を繰り出した。

 <悪式・霊禹盤打>の掌底と黄金遊郭の床に挟まれた空霊クラゲは潰れて爆発。


 ――刹那、棒手裏剣が斜め左前方から飛来。

 俄に<導想魔手>を盾に利用し――。


 棒手裏剣の遠距離攻撃を防ぐ。


 棒手裏剣を寄越した相手は鬼魔人か?

 巨大な百足もいるから判断しかねる――。


 視界の右にいる空霊クラゲに向け魔脚で床を蹴った。

 横斜め前方に移動しつつ<蓬莱無陀蹴>を繰り出す。

 空霊クラゲの一体を右足の甲が捕らえて吹き飛ばす。

 吹き飛んだ空霊クラゲは胴体が潰れながら爆発。


 ゼラチン質の内臓類を周囲に散らす。

 魔力の花火に見える散り方だ。

 

「くそぉぉ、ボクの空霊クラゲたちが!! 戻れ――」


 百足魔人は奇怪な若者口調で指示を飛ばす。

 すると、その百足魔人の右腕が蠢き、衣装を破って大量の百足が溢れ出るや瞬く間に右腕は膨れ上がり、右腕は百足の大剣と化した。


 気色悪い異質な大剣だ。

 もうお爺さんの姿ではない。

 ホウシン師匠が見たらあまりの変化具合にショックを受けてしまうかもしれない。

 

 百足魔人の右腕は大剣。

 左腕は空霊クラゲの盾。


 接近戦が得意と予想。

 しかし、背後の黒い環は魔法のはず。


 黒い環が半透明な空霊クラゲと巨大な百足を操っている源だろうか。


 百足魔人は魔物使いと戦士と魔法使いの戦闘職業を有しているんだろう。

 

 その百足魔人は己の頭部を溶かす。

 百足の肉と外骨格が形成する薬罐のような頭部に変化させてきた。


「それが本当の頭部か」

「そうだ」


 大きい双眸は黄緑色。

 鼻の位置には、無数の触手が生えている穴が密集している。

 口ひげの位置には、百足の触角のような一対の器官が生えていた。


 口の大きさは普通の人族に近い。

 

 その黄緑色の双眸を光らせる。

 残りの空霊クラゲが俺の周囲を囲う。


 が、空霊クラゲは少数だ。


 問題は百足魔人が操る巨大な百足。

 相棒の神獣ロロディーヌが居てくれたら、頼りにしたんだが。


 すると、ダンパンが魔烈斧琴を肩に抱えながら突進。

 攻撃か? と思ったが足を止めた。


「見事だ。空霊クラゲの大半を倒すとは!」


 褒めてきた。


「どうも、残りのクラゲも平らげるさ」

「ふ、まさに血を扱う豪傑だ。なぁ、俺たち側に付かねぇか? 今なら鬼魔ノ伝送札を数十枚、玄智宝珠札を四千枚と絶魔の魔極石の報酬で雇おう! どうだ?」


 ダンパンは俺を誘ってきた。


「断る」

「即答かよ」

「当たり前だ」


 そのダンパンが、


「お前は魔界王子ライランの眷属を狙った吸血神ルグナド様の眷属か?」

「さあな」


 毎回だが、勘違いしている。

 ダンパンは、


「鬼魔人傷場を巡る魔界セブドラ側の争いに変化が起きたってことか」


 するとウサタカを含む多数の仙武人が寄ってきた。

 巨大な百足は横に移動。

 

 ウサタカと大太刀使いは攻撃してこない。

 仙武人たちは、


「ダンパン様――」

「ダンパン様、この魔族を仲間に引き入れるつもりですか?」


 ダンパンはウサタカに視線を送る。


「……」


 ウサタカは応えず。代わりに――。


「おい、ダンパンのクソ野郎、ウルキとパンガッテはこいつに殺されてるんだ。仲間に入れるわけがねぇだろうが!」


 そう発言したのは大太刀使い。

 大太刀使いは鋭い踏み込みから俺に袈裟懸けを仕掛けてきた。


 背後に微かに跳躍するバックステップを実行し、袈裟斬りを紙一重で避けた瞬間、床を蹴って前進――。


 大太刀使いとの間合いを零とした。


 無名無礼の魔槍で<水穿>を放つ。

 穂先を縁取る墨色の炎に水の輝きが加わり、水飛沫が墨色の炎と一緒に周囲に儚く散っていく。

 

 防御に移行していた大太刀使いの剣刃と無名無礼の魔槍の穂先が衝突。


 金属音を響かせる<水穿>は剣刃を滑り直進――。

 大太刀使いの腹に吸い込まれるかと思われたが、


 大太刀使いは、


「<幻火・風腿>――」


 スキルを発動させる。

 素早く半身を退いて<水穿>を避けた。

 大太刀使いは大太刀の角度を変えつつ、


「<幻火・猛襲斬>――」


 を繰り出した。無名無礼の魔槍を掲げて、その火を帯びた大太刀の刃を――柄の上部で受けた。


 大太刀の火を帯びた刃は重く熱い。

 

 が、心の熱さで対抗――。


 その気概で左足を前に出しながら、無名無礼の魔槍を捻り上げた――。


 石突が大太刀使いの顎に向かう。


 大太刀使いは得物の大太刀を回転させて下げた。


 無名無礼の魔槍の石突を峰で防ぐと後退――。


 追撃に向かうか。

 と思ったが――。


 邪魔な空霊クラゲが飛来。


「キュシュァァァァ」


 前方の巨大な百足の奇声だ。

 一瞬、火炎を吐いてくるかと思ったが、来ない。

 

 百足の多数の輪のような節に生える多脚が奇妙に蠢く。


「<魔百足臭撃>を喰らえ――」


 蠢いた多脚の一部が怪しい動きで伸びてきた。


 無名無礼の魔槍を正眼に構えた。


 その無名無礼の魔槍で風車でも作るようにぐるぐると回して回しまくる。


 そうして、俺に迫る臭い多脚と空霊クラゲの触手による凄まじい猛攻撃を――弾き、斬り、叩く。


 俺を攻撃してきた空霊クラゲの群れは斜め上の空に旋回していく。


 一呼吸、間が空いた。

 その直後――。


 横からダンパンとダンパンの手下たちが寄ってくる。

 

 魔素を察知。


「凄まじい強さだが、金に靡かない男は俺には不要だ! 死んでもらおう!」


 ダンパンがゼゲの魔烈斧琴を振るう。


「一気に押せ!」

「ここだ!」

「そのままお前たちに返すぜ――」

 

 ゼゲの魔烈斧琴を無名無礼の魔槍の柄で受けながら――。

 <血道第一・開門>を意識。


 全身から血を噴出させる。


「ぬお――血!?」


 ダンパンの視界を血で染める。

 同時に左足を前に出し腰を捻る。

 右回し蹴りの<湖月魔蹴>を繰り出した。


 ダンパンの腹に<湖月魔蹴>を喰らわせる。



「ぐえぇ」


 と吹き飛ぶダンパンはゼゲの魔烈斧琴を落とす。


 そのゼゲの魔烈斧琴を片手で拾い回収――前進――。


 無名無礼の魔槍を消す――。


 即座に竜頭金属甲ハルホンクが取り込んだ武器類を想起――。


 竜頭金属甲ハルホンクに水神アクレシス様と戦神イシュルル様と戦神グンダルン様に合掌し、感謝を捧げる――。


「ングゥゥィィ――」


 そして、素早く両手を広げながら<血想剣>を発動――。


 血を纏うゼゲの魔烈斧琴――。


 血を纏うシャムシールの黒剣シャドウストライク――。


 血を纏う様々な魔剣――。


 それらの血を纏う複数の武器が竜頭金属甲ハルホンクから飛び出てくるのを<血想剣>で操作。


 ダンパンに近付いた。

 

 その頭部をシャムシールの黒剣シャドウストライクでド派手に一刀両断――。


 そのまま<血想剣>でダンパンの手下を一気に斬り伏せた。


 続けて前傾姿勢で前進――。


 飛来してきた巨大百足の多脚を<血想剣>で切断しまくる。


「槍使いが血の剣舞だと!? <魔槍剣師>なのか!! クソがぁぁぁ」

 

 そう叫ぶのは巨大な百足に乗る百足魔人。素早い空霊クラゲも飛来。


 近付いてくるのは好都合――。

 仙武人の敵はまだいる。


 <血想剣>を解除して武器を消す。ゼゲの魔烈斧琴は一旦竜頭金属甲ハルホンクに格納。

 無名無礼の魔槍を再召喚。

 柄の握りを強めた。


 鬼神キサラメ骨装具・雷古鬼を活かすとしよう。


 <滔天仙正理大綱>を強く意識。

 <闘気玄装>を強めた。


 続けて<仙魔・暈繝飛動うんげんひどう>も強める。


 体と周囲に展開中の<血魔力>と霧の魔力の内部を行き交う白銀の鱗が強く煌めいた。


 ――<白炎仙手>を実行。


 <白炎仙手>の白炎の魔力が加わった血と霧の魔力は前方に拡がった。


 白炎の猛吹雪を思わせる<白炎仙手>の魔力から無数の白炎の貫手が前方に飛び出た。


 近くの半透明なクラゲを<白炎仙手>の貫手が貫きまくる。

 巨大な百足の多脚をも貫いた。

 

 俺に向けて飛び道具が飛来。

 その軌道を掌握察で察知し機動を読む。

 

 <超脳・朧水月>を実行――。

 

 周囲に展開中の<白炎仙手>の貫手が、棒手裏剣の一部を相殺。


 しかし、<投擲>してくる相手は<白炎仙手>で俺の姿は見えないはず。


 それなのに、俺の頭部を正確に狙ってくる棒手裏剣の精度が凄まじい。


 <投擲>してくる相手の技術に舌を巻きつつ――スウェイとダッキングと爪先半回転を繰り返す。


 連続的に棒手裏剣の遠距離攻撃を避け続けた――。


 しかし、幾つか体に棒手裏剣を喰らってしまった。


 まぁいいさ、痛みはない――。


 竜頭金属甲ハルホンクは頑丈だ。

 棒手裏剣を<投擲>しまくる相手は鬼魔人の片方か、今は無視しよう。


 ――前傾姿勢で大太刀使いを追い掛けた。


 すると、少数の空霊クラゲが飛来。


 巨大な百足と仙武人たちも俺に突進。

 ウサタカと二人の鬼魔人は近付いてこない。


 俺に近付く巨大な百足に騎乗する百足魔人が、


「<魔百足の誉れ>を活かす! 皆、白炎の霧を扱う槍使いを潰すぞ――<脚槍襲刃アヌ>を使う――」

「「「おう!」」」


 百足魔人が皆に声を発して指示を出す。

 巨大な百足の多脚が動く。

 多脚の一部が槍の穂先状に変化し、その槍の穂先状の多脚が伸びながら飛来してきた。


 <白炎仙手>の白炎の貫手が、それらの槍と化した多脚を迎撃。


 蒸発するように消えながらも打ち落とした。


 が、一部の多脚の槍は<白炎仙手>の貫手を破壊し、白銀の鱗を有した白炎の霧をも突破してくる。


 ――白銀の霧の魔力に幾つもの穴が空いた。


 その穴から少数の空霊クラゲが侵入してきて急降下。


 穴を通り抜けて近付いてきた。


 仙武人の武芸者の一部も<白炎仙手>を斬って散らし、越えてくる。 


 俺との間合いを詰めてきた。


 そんな敵集団に向けてジグザグ機動で逆に近付いた――爪先半回転を実行。


 触手の遠距離攻撃と仙武人の武芸者が持つ刀の斬撃と槍の突きを避ける。


 間合いと敵の動きを一人一人把握。


 そこから――。 

 無名無礼の魔槍を左手に持ち替えた。

 凄腕の槍使いがいる。

 胸元に白蛇が刻まれた魔宝石のような宝石を嵌めている。


 その凄腕槍使いに標的を絞る。

 

 横移動から直進。

 白蛇竜小神ゲン様の指貫グローブを着けた掌で、槍使いが繰り出した素槍の<刺突>の穂先を払い前進――。

 足下に向け無名無礼の魔槍の<牙衝>を繰り出した。


「げぇぁ――」

 

 槍使いの右足を貫く。

 素早く素槍の螻蛄首を右足で踏みつけつつ右手の白蛇竜小神ゲン様の指貫グローブを短槍へと変化させた――。


 その白蛇竜小神ゲン様の短槍で――<刺突>を繰り出す。


 白蛇竜小神ゲン様の短槍の杭刃と柄から小さい白蛇の魔力が無数に迸るのを見ながら――。

 

 槍使いの魔宝石が嵌まっている胸を魔宝石ごと貫く。


 槍使いの胸に短槍を基点とする亀裂が入り、亀裂が四方に広がると、亀裂の間から目映い閃光が迸った。


 それらの閃光の中に無数の白蛇の幻影が見え隠れする中、槍使いの上半身が爆発炎上。


 すると、白蛇竜小神ゲン様の短槍が破壊した魔宝石の残骸を吸着するように引き寄せ吸収していった。


 ピコーン※<白蛇穿>※スキル獲得※

 ピコーン※<白蛇竜異穿>※スキル獲得※


 無名無礼の魔槍を振るう<龍豪閃>を実行――。


 武芸者の数人を蜻蛉切と似た穂先が斜めに分断するや否や、前方に跳躍。


 ――巨大な百足に近付いた。


「皆、槍使いを止めろ!!」


 中空から――。

 <悪愚槍・鬼神肺把衝>を発動――。


 全身から髑髏模様の<血魔力>が周囲に迸りながら床を蹴って前進。


 <血魔力>の髑髏模様には細かな、


『鬼骨・魔霊氣』――。

『戒骨』――。

『霊迅煌魔魂』――。

『悪愚槍王門把』――。


 などの文字が刻まれ、髑髏が形成されている。


 それらの髑髏模様は右手ごと前方に突き出ている無名無礼の魔槍と融合。


 無名無礼の魔槍は鬼神だと思われる魔力との融合が嬉しいのか、恐怖なのか、震動してきた。


 前方の空間が揺らぐと一気に加速。


「なんだぁ!? 骨の魔神のような造形は!!」


 百足魔人が俺を見て叫ぶ。

 魔界セブドラの神様ではないが、鬼神キサラメ様の造形か?


 髑髏模様と鬼の造形の魔力と<血魔力>を得た無名無礼の魔槍と俺は、不思議な加速感を得ながら――。


 前方に展開していた<白炎仙手>ごと、武芸者を一人、二人、三人、四人、五人と瞬時に貫いた。

 

 白炎の魔力をも消し飛ばす電光石火の直進――。

 その直進している<悪愚槍・鬼神肺把衝>の突進機動に合わせてきた猛者がいた。


 が、左右から加速技を用いてジャンプ攻撃を繰り出してきた二人の武芸者は髑髏模様の<血魔力>を浴びると宙空で爆発。


 そのまま直進。

 空霊クラゲの魔素が次々に消えていく。


 ――髑髏模様の<血魔力>を発しながら直進する無名無礼の魔槍に喰われたんだろう。


 巨大な多脚から発せられた槍刃も溶かす。

 さらに直進する加速は続く。


 巨大な百足の頭部が目の前だ――。

 騎乗している百足魔人も驚愕。


「――な!?」


 驚く百足魔人は加速スキルを用いた。

 空霊クラゲの盾を掲げ、百足の大剣を振るう。

 巨大な百足も頭部を動かしたが遅い――。

 無名無礼の魔槍の膨らんだ蜻蛉切と似た穂先が、巨大な百足の頭部ごと百足魔人の体を穿つ。


 背後の黒い環をも穿った膨れては収縮する蜻蛉切と似た穂先。

 

 <悪愚槍・鬼神肺把衝>の直進機動は止まらず。

 無名無礼の魔槍と俺自身からバチバチとした雷撃のような音を響かせながら、やや遅れて風を感じたところで――。


「ぐぇぇ――」


 大太刀使いの半身を抉る<悪愚槍・鬼神肺把衝>――。

 大太刀の武器は外に放物線を描いて飛んでいく。

 

 更に俺を基点に拡がっていた髑髏模様の魔力が触れた石灯籠が瞬時に溶けた。

 黄金遊郭の床の一部も溶かしていた直進機動の<悪愚槍・鬼神肺把衝>が止まった。


 右腕が痺れてジンジンとした痛みを味わう。

 無名無礼の魔槍の蜻蛉切と似た穂先は心臓の律動のように膨張と収縮を繰り返していた。


 その無名無礼の魔槍を引きながら振り向いた。


「……皆が消し飛んだ? サブロウタとサイメルは……」

「消えたな。鬼の魔力と<血魔力>を武器と己に宿す奥義クラスの<魔槍技>だ」

「とんでもない大技……<魔槍技>で、秘奥技。……<武槍技>でもあるかな」

「……ホウシンどころではない……」


 鬼魔人たちとウサタカがそう語る。

 そのウサタカにゆっくりと穂先を向けて近付き、


「ウサタカ、質問がある」

「……なんだ? 吸血鬼ヴァンパイアの槍使い……」

「白炎鏡の欠片を持っているか?」


 ウサタカは肯定しつつ、左手の付近に小さい白炎の龍を泳がせる。


「……あぁ……ある」


 と発言しつつ、右手が握る槍の穂先を俺に見せてきた。


「白王院から奪ったか。先の百足魔人と皆でゲンショウ師叔を殺したんだな?」

「……そうだ。白炎鏡の欠片など、多くの白王院の秘宝を手中に収めた俺はより強くなった」

「黄金遊郭での行動も、その強さ故の行動か」


 俺がそう聞くと、ウサタカはジロりと眼光を鋭くさせる。

 黒仮面越しだが、双眸の黒い瞳はよく分かる。


「……お前、吸血鬼ヴァンパイアでありながら、ホウシンと関わりを持つ存在なのか?」


 ゲンショウ師叔の名を出したことで、俺の行動原理を理解したか。

 が、敢えて知らぬ存ぜぬ。


「あぁ? この街で色々と聞いている。武王院と白王院の噂は色々と飯の種になるとな。いいから白炎鏡の欠片を見せろ」

「……どうして見せなければならない」


 そう聞いてきた刹那――。

 <始まりの夕闇ビギニング・ダスク>を発動。

 更に<|分泌吸の匂手(フェロモンズタッチ)>も実行。


 周囲に光魔ルシヴァルの血の匂いが充満した。

 そして、


「……お前たちも吸血神ルグナド様の敵となる運命か……」


 そう演技を噛ます。


「……ぐ……」

「なに? この闇と濃厚な<血魔力>は……」

「漆黒の神威世界構築能力? 確実に魔界セブドラ側のスキルだ」


 鬼魔人たちの言葉に頷いた。


「俺の<聖魔眼・咒連破>が効かないのも頷ける。高祖級吸血鬼ヴァンパイア……魔界なら魔公爵級以上は確実か……」

「……百足醜悪サイメルを倒した<魔槍技>といい……ウサタカ、相手が悪すぎるよ……」

「……」


 鬼魔人の二人とウサタカは急な<始まりの夕闇ビギニング・ダスク>に対応できず、影響を受けている。

 更に<血道第一・開門>を強めて全身から出血させた。


 <血魔力>を強めながら<血道第四・開門>――。

 <霊血の泉>を発動――。

 

「ぐ……これほどの<血魔力>……」

「うん……吸血神ルグナド様の魔界騎士に違いないわ……もしかして、<筆頭従者長選ばれし眷属>という名の眷属なのかしら……」


 鬼魔人の二人は完全に俺を吸血神ルグナドの眷属だと思い込んでいる。


 吸血神ルグナドの<筆頭従者長選ばれし眷属>とは、惑星セラにいる十二人の<筆頭従者長選ばれし眷属>だろう。

 それとも魔界セブドラ側にも<筆頭従者長選ばれし眷属>が別にいるんだろうか。


 一緒くたの話なのか、分からない。

 ウサタカは体を震わせながら、


「……見せるから、この闇世界を止めろ」

「……本当か?」


 俺がそう疑問を返すとウサタカは徐に頷く。


 黒仮面の端に指を当てて黒仮面を少し上げる。口元を露出させ、


「……白炎鏡の欠片を出すから、攻撃はするな」

「了解」


 ウサタカは震えた左手を動かす。

 槍よりも左手に持つ白炎を纏う塊は要注意か。


 最初に俺に向けて<投擲>してきたあの塊は、三つに分裂しては、白炎の龍に変化しながら襲い掛かってきた。

 警戒、が、杞憂だった。

 ウサタカは白炎を纏う塊を放らず懐に仕舞うと懐を弄る。

 その左手をそっと出し胸元に掲げた。

 その左手には白炎が囂々と燃えている鏡の欠片が握られていた。


 ウサタカの手は火傷しそうだが、触れても平気なようだ。


 ――刹那。

 <始まりの夕闇ビギニング・ダスク>の影響範囲外の離れた宙空に水飛沫が発生。そこから腰に注連縄を巻く子精霊デボンチッチが出現。

 その腰に注連縄を巻く子精霊デボンチッチから魔線が迸った。

 その魔線がウサタカが持つ白炎鏡の欠片と繋がると、玄智の森に旭日がさし込む。


 ――旭日を浴びた白炎鏡の欠片は神々しく輝いた。

 

 腰に注連縄を巻く子精霊デボンチッチも、<水神の呼び声>は発動していないが、水神アクレシス様の幻影を真上に生み出すと――。


「『――デッボンッチィ、デッボンチッチィチッチィ』」


 澄んだ音色を響かせる。

 腰に注連縄を巻く子精霊デボンチッチは赤ちゃんのような指で、ウサタカが持つ白炎鏡の欠片を指した――。


 確実にあの白炎鏡の欠片は本物だ!


 即座に<無影歩>を発動――。

 続けて<脳脊魔速>を発動――。

 切り札の加速を活かす――前傾姿勢で駆けた。

 反応が鈍いウサタカと鬼魔人たち――。

 ウサタカの左手が微かに揺らぐが、遅い――白炎鏡の欠片を右手で掴む――。

 即座にその白炎鏡の欠片を竜頭金属甲ハルホンクに格納。


 よっしゃ――。


 そのまま爪先半回転からウサタカの背中に向けて<槍組手>の『左背攻』を繰り出す。

 背中と肩の打撃をウサタカの背中に喰らわせた。


 吹き飛ぶウサタカは加速スキルを用いたのか、


「ぐあぁ――」


 と悲鳴を発して石灯籠と体が衝突したが、なんとか体勢を持ち直す。


 <脳脊魔速>の時間はまだ続く――。

 即座に鬼魔人の片方に向けて直進――。


「え――」


 <脳脊魔速>の加速に合わせられる能力を持つ鬼魔人だったが、遅い。

 逆手の無名無礼の魔槍で<龍豪閃>――。

 石突を鬼魔人の男の腹に喰らわせた。

 鬼魔人の男は体がくの字となる。

 その鬼魔人の足を<邪王の樹>で固めつつ――。

 

 <仙羅・幻網>を用いた。

 鬼魔人の男は幻覚をもろに浴びた。

 

 突っ伏すように倒れる。


 直ぐに鬼魔人の女にも近付いた。


 ウサタカが「おのれがぁぁ――」と近付いてくる。

 槍使いとしてのプライドを見せるように槍の穂先に神々しい稲妻のような魔力を集めて突貫――。


 そのウサタカが槍圏内に入る前に――。


 <超能力精神サイキックマインド>でウサタカを吹き飛ばす。


 <仙羅・絲刀>で追撃。


 魔力の糸の刃が、吹き飛ぶウサタカの右足に突き刺さるが、床を蹴ったウサタカは回避行動を取る。


 <仙羅・絲刀>の傷は消えている。

 

 上下左右に移動を繰り返すウサタカは俺の背後を取ろうとしてきた。


 回復スキル持ちか。


 一方、鬼魔人の女は丸薬を飲む。


「トモンを離しなさい!」


 と、喉元を腫らしながら切り札の速度に合わせてきた。


 跳躍しながら魔槍を振るい下げてくる。


 その魔槍の穂先を受けず爪先半回転の技術で避けながら――。


 前に出た。

 至近距離で<邪王の樹>の樹の礫を飛ばす。


「目潰し!?」


 鬼魔人の女はそう言いながら魔槍を突き出してきた。


 直ぐに<滔天内丹術>を強めながら頭部を左に傾けた。


 頬に鋭い穂先の刃を喰らうが、構わない。


 ――<四神相応>。

 ――<青龍ノ纏>。


 を発動。

 続けて迫る<刺突>系の連続突きをスエーバックで避けつつ――。

 体内の青龍の一部の『ギュォォォ』という思念と滾る想いを右腕に集結させる。


「――ングゥゥィィ!!」


 竜頭金属甲ハルホンクも呼応。


 <青龍蒼雷腕>を発動。


 鬼魔人の女との距離を詰めた。

 

 鬼魔人の女は、


「ここで決める、<怒愚穿破>!」


 とスキルを放ってきた。

 構わず左足で踏み込む。

 鬼魔人の女の魔槍の突き技の穂先が肩を貫こうとするが竜頭金属甲ハルホンクが弾く。


 そして、バチバチとした蒼雷が迸る右腕の<青龍蒼雷腕>の拳が鬼魔人の女の腹に突き刺さった。


 クロスカウンターのボディブローを喰らった鬼魔人の女は腹から血を噴き出して吹き飛ぶ。


 ピコーン※<青龍蒼雷拳・破>※スキル獲得※


 スキルを獲得!

 

 その鬼魔人の女の体を<邪王の樹>で固めて動けなくした。


 が、その樹の表面に罅が早くも入る。


 ピキピキと音を立てて樹の欠片が落ちているから、直ぐに鬼魔人の女は動いてきそう。


 鬼魔人の男のほうは、樹で固まったままだ。


 <脳脊魔速>が終わると、背後からウサタカが前進してくる。


「取った! <仙王・武神一刃>――」


 スキルを発動。

 俺の背中を取ったつもりか。


 <水月血闘法・鴉読>を実行。

 <水月血闘法・水仙>も実行。


 鴉と月の血に連なるモノと俺の分身が、俺の体と周囲から次々と湧き上がり、血が連なりあって、周囲に拡がり、飛び散り、現れ、消えながら、横移動を繰り返す。それに合わせて俺も避けていく。


 ウサタカの<仙王・武神一刃>から発せられたオーロラのような神々しい魔力攻撃を浴びた血の鴉と水鴉の群れが次々に消えていくが――。


 俺は無傷。


 ウサタカの<仙王・武神一刃>を避けきった。


 そこに皆の魔素を察知。

 外の戦いが終わったか。


「シュウヤ様――」

「シュウヤ! 血の分身!」

「シュウヤ、黄金遊郭の周囲の兵士は倒した!」

「あ、ウサタカ!」


 エンビヤの言葉に頷いた。


「シュウヤ、その者は……ウサタカか!」


 そう聞いてきたのはホウシン師匠。

 傍には、


「よう、シュウヤは凄く強い!」


 と挨拶してくれたソウカン師兄もいる。隣にはモコ師姐もいた。

 

「うん、一人で大活躍ね!」

「シュウヤ様、その黒仮面が白炎鏡の欠片を?」


 武王龍槍をウサタカに向けるイゾルデ。


「そうだ。白炎鏡の欠片は無事に頂いた。任務は完了だ」

「くそが!! ホウシンか!」


 ウサタカは叫ぶと逃げようとした。が、逃がすかよ――。

 前傾姿勢で前進しながら<仙魔・桂馬歩法>を実行――。


 続けて<龍神・魔力纏>を実行――。

 迅速な機動から<仙羅・幻網>を繰り出しつつスライディングのような足蹴りをウサタカの膝に喰らわせた。

 

 ウサタカは「げえぇぇ――」と悲鳴を発して黄金遊郭の床と額から衝突。


 ウサタカの黒仮面は弾けて飛ぶ。


 無名無礼の魔槍を消す。

 右手の指貫グローブを白蛇竜小神ゲン様の短槍に変化させた。


 ウサタカは片手で地面を突いて素早く反転――。

 ウサタカの片目から魔力が消えていく最中――俺に向けて前傾姿勢を取る。


 煌びやかな槍、おそらく仙王槍スーウィン、の穂先に魔力が集中。


「――<武王・異穿烈破>」


 先ほどの技よりも速度が遅いが、穂先に集中している魔力は多い。


 仙王槍スーウィンと一体化したようなスキル機動で近付いたウサタカの攻撃をギリギリまで待つ。

 そして、<水月血闘法・鴉読>と<水月血闘法・水仙>を活かした。


 ぶれる速度での爪先半回転。

 <武王・異穿烈破>を避けた直後、ウサタカの腹に向け、獲得したばかりの――<白蛇穿>を繰り出した。


 ウサタカの腹に<白蛇穿>の白蛇竜小神ゲン様の杭刃が突き刺さる。


 ウサタカは背後に吹き飛んだ。

 迅速に<邪王の樹>を実行。

 吹き飛ぶウサタカを<邪王の樹>で捕まえる。そして、鬼魔人たちと同じく邪界ヘルローネの樹木で固めていった。

 黄金遊郭にウサタカの木像ができあがり。人身御供として玄智の森に捧げよう。


 ま、それは冗談だが。


 周囲の<血魔力>を収斂。

 <水月血闘法・鴉読>と<水月血闘法・水仙>を解除。


 そして、ホウシン師匠を見て拱手。


 一礼。


「ホウシン師匠、任務は達成しました。そして、黄金遊郭の会合を潰す形となってしまいました。ホウシン師匠の策を潰してしまったのならすみません」


 と恐縮。


「……ふはは。律儀で気持ち良い男じゃ。まさに『大巧は拙なるが如し』。まさにあっぱれに尽きる。シュウヤは真の英雄じゃ! 誠惶の誉れである!」


 そう語るホウシン師匠は涙ぐむ。


 ホウシン師匠が凄く嬉しがっていると分かる。

 ふと、アキレス師匠の笑顔と重なって涙を覚える。が、素早く一礼。


「――ありがとうございます」

「――良きかな。玄智の森の英雄シュウヤに誉れあれ! 万歳、万歳、万歳じゃ!!!」


 ホウシン師匠の気合いが黄金遊郭の屋上に響き渡る。


 皆も、

「「「万歳、万歳、万歳!!」」」

「「「――玄智の森の英雄! ばんざい!」」」


 魔族のアラも含めて皆が褒めてくれた。


 続いて、柏手。

 感慨深い。


 腰に注連縄を巻く子精霊デボンチッチも中空を踊る。


 そして一呼吸の後、エンビヤが、


「ウサタカ……」


 と発言しつつ――。

 宝魔槍・異風と宝魔槍・異戦の穂先を構えて<邪王の樹>で固めたウサタカに近付いた。


 穂先を向けて、


「パイラとタタンの……」

「エンビヤ、離れろ。俺が……」

 

 ソウカン師兄が怒りの形相のままウサタカに近付いた。

 そのまま<邪王の樹>で固めたウサタカを殴りつける。


 怒り、悲しみ、一緒に過ごした期間の思いを拳に込めているソウカン師兄――なんどもなんども豪快にウサタカを殴った。


 <邪王の樹>は崩れる。

 ウサタカは顔面が膨れ上がった。

 ウサタカの体中が肉団子と化す勢いだ。


 まさにボコボコ。


 すると、


「「ソウカン師兄――」」


 ソウカン師兄を止めたのはモコ師姐とエンビヤだった。

 ホウシン師匠は、


「うむ……」


 と頷くと、ソウカン師兄に近付いて、


「あとはわしに任せるのじゃ」


 と発言。

 ソウカン師兄は体を弛緩させながら泣いている。


 皆も泣き始めた。


 ソウカン師兄に寄り添うモコ師姐。

 そのソウカン師兄は、静かに、


「はい……」


 と頷いた。

 ソウカン師兄と入れ替わるようにホウシン師匠は顔面が膨れているウサタカに近付いて、


「久しいの、ウサタカ」

「……」

「まだ生きているのじゃろ」

「……ぁ……」


 ウサタカは答えたっぽいが、聞こえない。

 <仙羅・幻網>がまだ効いている?


 否、凄まじい打撃の嵐を喰らった。

 <仙羅・幻網>の効果は切れただろう。


 暫し沈黙が流れた。

 

 エンビヤと視線が合う。


 皆もだが、エンビヤもホウシン師匠にウサタカの処遇を任せるつもりなんだろう。


 そのエンビヤが優し気に微笑むと、


「わたしは大丈夫です。それよりもウサタカと、敵対した者たちをすべて倒してくれてありがとう……そして、白炎鏡の欠片の獲得おめでとうございます。シュウヤはわたしの誇りです」

「どういたしまして。しかし、大丈夫か?」

「……大丈夫です」


 強がっているようにも見えるが、そうではないと分かる。

 項垂れているウサタカを見てはエンビヤに視線を戻した。


「ボコボコにされたウサタカを見て、なにか吹っ切れました」


 はは、と笑うエンビヤ。

 恨みを乗り越えた、優しさと強さを併せ持つ素晴らしい女性だな。


「はは、さすがはエンビヤだ」

「ふふ、はい」


 一方、イゾルデはウサタカを放置し、<邪王の樹>の樹で固めた鬼魔人の片方を持ち上げて樹で固まっている鬼魔人の横に置く。


 鬼魔人を揃えると、シュッと武王龍槍を動かした。


 穂先を鬼魔人の片方の頭部辺りに付ける。


 いつでも鬼魔人を斬ることが可能なポジションだ。


 そこで待機しつつ俺の判断を持つイゾルデは、


「シュウヤ様、この鬼魔人を殺さず捕らえたということは……」

「あぁ、そうだ、交渉する。無理なら俺が斬ろう」

「……それは我に任せてくれ」

「了解」 

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