八百八十五話 武双仙院の師範シガラとの戦い
御辞儀をするシガラさんに合わせて俺も一礼。
周囲は静まる。が、奏でられ続けている低音の三味線と太鼓のリズムが気分を高揚させてくれた。
シガラさんは鷹揚な態度。
大豊御酒の隣に浮遊しているノラキ師兄に向け、
「ノラキ、少し待て。シュウヤ殿と話がしたい」
ノラキ師兄は俺たちを凝視。
口と足下と繋がった魔霧を操作しつつ――。
宙空で逆さま状態に移行。
タロットカードの吊された男を想起。
「武王院でシュウヤと話をしなかったのか?」
とシガラさんに聞いてくる。
その魔霧にぶら下がるノラキ師兄の姿にタロットカードの吊された男の姿が暈けてナロミヴァスの姿が重なってしまう。
が、意識するとナロミヴァスの幻影はノラキ師兄に戻る。
そのノラキ師兄の額に刻まれている六文銭は渋くてカッコいい。
シガラさんは俺を見てから、
「武魂棍の儀の時に少し会話をした程度だ」
「玄智の森の命運がかかる八部衆シュウヤの実力を武双仙院の師範として直に調べたい気持ちが強まったか?」
「それもある。が、武王院の名代となる人材がシュウヤ殿だ。武双仙院の師範として見定める意味もある」
「院長ハルサメも?」
ノラキ師兄は四神闘技場の外を見やる。
滝壺の周囲には大きな蓮があちこちにあるが、その一つに立つ男性を凝視。肩越しに大太刀の柄頭を覗かせている。
腰には二本の刀を差していた。
そのハルサメさんの立ち姿はザ・侍って印象だ。
目の前のシガラさんは頷いていた。
「院長! 八部衆ノラキがなんか言ってます!」
「聞こえている!」
ハルサメさんの野太い声が響いた。
周囲の観客席にいる院生たちやエンビヤたちも、そのハルサメさんを注視。その蓮に立つ大太刀を背負うハルサメさんが、
「勿論、わしも興味はある。が、貴重なシュウヤ殿と戦う機会は、これからのシガラとクレハに譲った。そして、八部衆が武双仙院に入ることに異論はない。だからこそシュウヤ殿、武双仙院でお待ちしていますぞ?」
と笑顔を浮かべているハルサメさんの風貌は、やはり侍。
そんな院長から直に誘われたが、
「誘いは嬉しいです。武双仙院の武術、秘奥技が学べるのは非常に興味深いですが、冥々ノ享禄と白炎鏡の欠片の探索を優先します」
「澄み切った良い答えだ。さすがは水神アクレシス様が認める存在である。シュウヤ殿と戦うことができるシガラが羨ましい。そして、冥々ノ享禄と白炎鏡の欠片の探索には我らも協力しますぞ!!」
拱手してくれた。
俺も拱手とラ・ケラーダの挨拶を返してから、
「はい!」
と元気な声を返した。
ハルサメさんは笑顔で、
「ハハハ! 良い武人顔だ。この予選の戦いを楽しみにしている、がんばってくれ」
「はい、がんばります」
シガラさんも頷いている。
俺たちの上で浮いているノラキ師兄は、
「シュウヤに玄智の森の命運が掛かっているから、武双仙院の者たちも〝玄智の森闘技杯〟の出場は二の次か。伝統ある予選なんだがな? ま、これは仕方ない」
そう発言。
ハルサメさんとシガラさんは頷いていた。
シガラさんは、
「形骸化するのは当然だ。我らの玄智の森が神界セウロスの
〝玄智の森闘技杯〟で優勝したら武仙砦に赴任できると聞いている。
ノラキ師兄は頷いて、
「たしかに。武仙砦も良い面ばかりではない」
へぇ、エンビヤは誇らしげに武仙砦のことを語っていたが……シガラさんが頷いて、
「……そうだ。仙武人の名誉で英雄となれる場所が武仙砦ではあるが、死が隣り合わせの砦でもある。英雄の陰で、魔界セブドラ側の魔族に殺された仙武人の家族から、英雄の武仙砦ではなく……〝死の絶壁〟や〝死に神砦〟と畏怖されているんだからな」
顔色を厳しくしながらそう語った。
話を聞いているノラキ師兄は、途中で悲しそうな表情を浮かべていた。
ノラキ師兄はシガラさんの過去を知る?
「シガラの家族は……」
「言うなノラキ」
「すまん」
ノラキ師兄の顔色を見てシガラは微笑む。
「はは、気にするな。話を戻すと、俺と院長ハルサメ殿も武王院防衛部隊【武双仙・鉄羅】としての警邏仕事に、玄智の森の手合いの者対策で忙しい。修業に励むシュウヤ殿とタイミングが合わなかった。武王院会議では、皆の意見を聞くだけで時間を要したからな」
「そういうことか、理解した」
ノラキ師兄はそう発言。
頷くシガラさんは俺と周囲の客席と出場者を見てから、俺を見て、
「ということで、改めてシュウヤ殿、わたしが武双仙院の師範シガラだ。よろしく頼む」
「こちらこそよろしくお願いします。八部衆シュウヤです」
「うむ。武魂棍の儀の頃よりも更に強くなったか……短い間でこれほどの成長を遂げるとは……」
頷いた。
<闘気玄装>は発動していないが、雰囲気から分かるか。
背後のエンビヤたちをチラッと見て、
「ホウシン師匠やエンビヤにイゾルデのお陰。そして――」
上に浮かぶ腰に注連縄を巻く
「水神アクレシス様のお導きでしょう」と発言。
腰に注連縄を巻く
「――デッボンッチィ、デッボンチッチィチッチィ」
と水音が混じる不思議な音色を響かせる。
シガラさんも微笑んでから、
「そうだな。私も感謝しよう。水神アクレシス様の化身のデボンチッチに感謝を送る」
頷いた。
腰に注連縄を巻く
その三味線を弾いている男性の方は……。
四神闘技場の外の蓮の上だ。
笛と太鼓を弾く院生が左右に増えていた。
三味線を奏でていた方は、舞台の上で籤箱を持つノラキ師兄たちと会話して籤を引いていたような……。
「シガラさん、あの三味線を弾く方は出場者ではないのですか?」
「白炎のメグと同様に出場する予定だったが、両方とも幼なじみのエイコに譲ったようだ」
「あ、先ほどあっさりと」
「そうだ。霊迅仙院のエイコもサビキに劣らず強い。が、わたしが一撃で倒したように、ひ弱な面がある」
と、一瞬三味線の音が途切れた。
その三味線ロックを奏でていた男性はシガラさんを睨む。
「タダツグ、そう怒るな」
タダツグさんはシガラさんの言葉を無視するように三味線を弾く。
少し弾き方が荒々しい。
笛と太鼓の音も響き出す。
そして、そんな三味線ロックに合わせて踊る
そんな注連縄を腰に巻く
「シュウヤ殿、玄智の森を
「ありがとうございます。ですが、武王院の守りがあってこその皆があると思いますから」
「私たちは私たちの仕事をこなせ、か。そんな気概を示すシュウヤ殿に贈り物がある。受け取ってくれるか?」
「なんでしょう?」
シガラさんは懐から柄に鈴がぶら下がる短剣を取り出し、その短剣の柄に魔力を通す。
と、柄頭と紐で結ばれた鈴が鳴る。
更に短剣の剣身から黄金色の魔刃が伸びた。
ブゥゥゥンッと音は鳴らないが、鋼の柄巻ムラサメブレード的な武器なのか。
「この仙剣の名は仙迅剣サオトミ。私の家に代々伝わる神界セウロスの逸品。そして、風王院の【風仙衆】に所属しているだろう私の妹のイレアにこの短剣を見せれば、協力してくれるはず――」
と、大事だと分かる仙剣を放り投げてきた。
その仙迅剣サオトミを受け取った。
「いいんですか? 家紋といい魔力も凄い」
「いい。シュウヤ殿はカソビの街に少人数で潜入するようだからな」
「イレアさんの所属する風仙衆とは、仙影衆と同じような忍者、いや、陰で活躍する方々なのですね」
「そういうことだ。妹が武王院の仙影衆・暗部のように選抜されているのかは不明だが、カソビの街は大きい。潜伏している敵も多く予測不可能な面が多々ある。仙影衆以外にも頼れる集団がいれば、シュウヤ殿たちにとって好都合な場面があるかと思ってな」
「ありがとうございます。この仙迅剣サオトミ、大事にします」
「うむ」
何も言わず腰ベルトの白銀の枝模様を撓らせると、僅かな隙間を作ってくれた。
その僅かな隙間に仙迅剣サオトミの鞘をさした。
腰ベルトは自然と締まる。
シガラさんに向けて、
「仙迅剣サオトミは大事な武器だと思いますが」
そう聞くとシガラさんは笑顔を見せて、
「案ずるな。愛用している風牙キジと鉄火ハジがある」
と腰の二剣の柄に手を当てていた。
「それが本命ですか」
シガラさんは頷く。
「さて……風牙キジと鉄火ハジを活かすとしようか」
「了解です」
そのシガラさんは視線を上げてノラキ師兄を見て、
「ノラキ、待たせた」
「おう。シュウヤも良いか?」
頷く。
「大丈夫です」
無名無礼の魔槍を右手に召喚。
穂先を下げつつ柄を胸元に運ぶ。
左手をその柄に当てつつシガラさんに挨拶。
シガラさんも礼をすると、武器を構えた。
ノラキ師兄は頷いて、
「ならば、試合を開始する!」
「「――おう!」」
互いに<闘気玄装>を纏う。
――先手はシガラさん。
「――<戦境・蛙斬り>」
右手で握る風の魔力を内包した剣を振るってくる。
その剣刃を半身の姿勢で避ける。
と、シガラさんの扱う剣の軌道が急激に変化しながら剣刃がブレた。
乙の字を描くようにも見える剣刃を無名無礼の魔槍で受けられず――。
右腕と胸に切り傷を負う。
勿論、<闘気玄装>に
「更に、<仙武・風惑斬り>」
シガラさんの剣は左と右へ平たい器を描くような軌道だ。
受けずに後退――。
直ぐさま返す燃えた切っ先が横から迫る。
その刃を凝視。
<血道第三・開門>――。
<
半身の姿勢のまま避けた。
シガラさんも<闘気玄装>を強めて加速。
「――それが噂に聞く<血魔力>の加速技か!」
「はい――」
「ならば受けきってみろ――<武王・双剣連突>――」
腕を交互に出すような二剣の突き技を放ってきた。
連続的な突き技スキルを避けまくる。
これはヤヴァいか。
光魔の血の面頬を意識、<霊血装・ルシヴァル>を発動――。
が、<鎖>系は発動しない。
無名無礼の魔槍の墨の魔力と<血魔力>と<闘気玄装>が融合しつつ顔の下半分を覆う。
「うぉ!? 墨の鬼魔人!? 顔だけの<闘気霊装>か!」
驚くシガラさんだが、段々と加速を強めてきた。
跳び、跳ね、前進。
迅速な突き技の連続攻撃を緩めない。
無名無礼の魔槍の柄で弾きつつ避けているが――。
一段二段とギアが上がる。
が「え?」急に速度が落ちた。
更に<魔闘術>の配分を弱めた?
同時に<闘気玄装>の魔力も弱まった。
二振りの剣の突き技のリズムが変わると――。
避け難く、対処が難しくなる――。
シガラさんは俺に剣のタイミングを読ませない。
妙な剣術だ。
ユイ、カルード、レーヴェ、トグマ、シュヘリア、ルリゼゼ、ドルガルなどの、剣を使う猛者たちを想起。
シガラさんは炎の剣の柄頭を上げて炎の剣を手放すと掌を見せる?
否、風の剣の突き技か!
その風を纏い刃を散らす剣と風の刃を避けたところで――。
炎の剣の切っ先に――。
墨色と血色の炎の魔力が構成する<霊血装・ルシヴァル>を模倣したような無名無礼の魔槍に宿るナナシの仮面と似た面頬の防御層が吹き飛ばされる。
続けて風の魔力を纏う切っ先に頬と耳が抉られた。
「――うがっ」
――痛すぎる。
が、<龍神・魔力纏>を実行――。
速やかに横へと移動。
横軌道の風の魔力を纏う剣を避けると同時に右足を前に出す――。
前蹴りのフェイクを兼ねた踏み込みから――。
左手が握る無名無礼の魔槍を突き出した。
――<刺突>。
フェイクに掛かったシガラさん。
「――チッ」
シガラさんは風の魔力が宿る剣身で<刺突>の穂先を弾く。
風の魔力が宿る剣の角度を腹に向けて半身後退した剣法を実行しつつ、左手が握る炎の剣を振るった。
剣の軌道は半月を描く。
その炎の半月ごと打ち消すように無名無礼の魔槍の柄で強く剣を叩いた。
炎の剣を落とす。
キィィンッと金属音が響いた刹那――。
――<水神の呼び声>。
――<白炎仙手>。
二つのスキルを発動。
「――な!?」
驚くシガラさん。
一瞬<闘気玄装>が鈍る。魔力の層のようなモノが崩れる様は<魔闘術>とは異なることがよく分かる。
観察したい。
が、続けざまに<仙羅・幻網>を発動――。
魔力の網と呼べる幻惑の<仙羅・幻網>がシガラさんの体に降りかかった。
体が硬直したであろうシガラさんに<白炎仙手>の白炎の貫手が向かう。
が、シガラさんは体から強い魔力を爆発させる。
<仙羅・幻網>の魔力の網がぼろぼろと床に落ちると、二剣の柄頭を合わせて、
「――<風牙・鉄牙>!」
を発動。
風牙キジと鉄火ハジの柄頭から出た牙を擁した幻獣のようなモノが<白炎仙手>の貫手をすべて消し飛ばす。
その刹那――。
無名無礼の魔槍の柄を掌底で叩いた。
風槍流『薙膝・黒掌鋼』を繰り出す――。
シガラさんは、
「柄を!?」
と驚きながらも、俄に二剣の柄をクロスさせて無名無礼の魔槍の柄を受け止める。
顔色が変わるシガラさんは「重い――」と片膝で地面を突く。
無名無礼の魔槍は床に落ちず、柄から出ている白銀の龍がシガラさんの肩や脇腹を噛んでいた。
シガラさんの反応は早い。
体に纏っている<闘気玄装>を強めると、無名無礼の魔槍を払うように立ち上がる。
迅速に後退。
俺は前傾姿勢で前進。
そのシガラさんを追う。
左手で無名無礼の魔槍を掴み直す。
同時、左足の踏み込みから右手で<白炎仙拳>を繰り出した。
――ところが、
「かかった! <武王・源刹>――」
白炎ごと右腕が斬り刻まれた。
前腕がこうも見事に散るのは久しぶりか?
凄まじい激痛が右手を襲う。
が、構わず――。
左手一本が握る無名無礼の魔槍で<血龍天牙衝>を繰り出した。
俺の<血魔力>などの複数のスキルによって魔力を得ている蜻蛉切と似た穂先から血が放出。その血は墨色の炎と白銀の炎を纏いつつ一瞬で血の龍と化すやいなや、周囲に散る俺の血肉を引き寄せると龍として急成長を遂げつつ無名無礼の魔槍に蜷局を巻くように絡む。
その血の龍を得た無名無礼の魔槍はシガラさんの扱う防御型の<闘気玄装>をぶち抜いた。ドッと音を響かせる。
血の龍を纏う穂先はシガラさんの二剣をも弾き飛ばす。
更に、シガラさんの腹と背中をも穂先と血の龍は貫いた。
「ぐはぁぁぁ――」
シガラさんは吹き飛ぶ。
そのシガラさんを貫いた<血龍天牙衝>の血の龍は後方の観客席に向かい、観客席を守っていた広大な防御の膜と激しく衝突。
衝突した点を中心に広大な防御の膜が血色に神々しく煌めいた。
その煌めく防御の膜も<血龍天牙衝>の血の龍が喰らうように破壊した瞬間、周囲から激しい攻撃が<血龍天牙衝>の血の龍を襲う。
<血龍天牙衝>の血の龍はそれらの攻撃を受けて打ち消されていた。霊魔仙院長のハマアムさんやダンにイゾルデの攻撃もあった。
「勝負あり! シュウヤの勝利だ!」
ノラキ師兄の声が響いた。
観客から歓声が一気に湧き上がる。
滝壺(たきつぼ)に落ちていたシガラさんを、
「――シガラぁぁぁ」
「シガラ師範!」
「腹の傷を速く――」
素早く武双仙院の方々がシガラさんを引き上げる。
今は回復魔法は使えないし、ポーションもない……。
と、武双仙院の方々は速やかに回復を促すスキルを発動。シガラさんの体が浮く。同時に薬を振りまく係りに、丸薬を飲ませる係りと、テキパキと治療陣を展開する武双仙院の方々。動きに無駄がない。
数十秒後、腹の傷は徐々に回復。
一分も経たないうちに内臓なども回復したようだ。
サデュラの葉が自動的にシガラさんの腹に巻かれていく。
巻かれ方が異常に速い。
あのサデュラの葉を扱う技術は回復スキルかな。
その回復スキルを扱ったのは、武双仙院の名の知らぬ方。
女性だ。そして、その女性は俺を睨む。
「酷い! シガラを殺す気ですか!」
殺す気かと言われても……。
が、言い訳したところで、
「そうなる」
「……」
その女性は絶句。
シガラさんは腹を手で押さえつつ、
「メアル、お前は馬鹿か! シュウヤ殿の右腕が潰れたのは見ただろう。傷は戦い故。俺は負けた。勝負とはこういうモノだ。同時にその問いは私たちを愚弄しているのと同じこと。で、この通りもう回復している」
動転していたメアルさんは冷静になると、
「あ、す、すみません……シュウヤ殿も……ごめんなさい」
「とんでもない、メアルさんの反応はごく自然の反応です」
「しかし、戦いですから。あ、シガラと皆さん、場を汚しましたので――」
メアルさんは御辞儀。
恥ずかしそうに足下の衣服を叩くと治療箱を仕舞う。
四神闘技場から下りて蓮に着地。
武双仙院の仲間たちと合流。
仲間たちに『気にするな』と肩を叩かれていた。
すると、闘技場の上に落ちていた二剣を仲間から渡されていたシガラさんが近付いてくる。
「シュウヤ殿、私の完敗だ。凄まじい強さです」
「なんとか勝ちました。腹は……大丈夫ですか?」
「お優しい方だ。はい、この通り、大丈夫」
「そうですか、良かった」
「はは、私は安心した」
「安心?」
「いや、シュウヤ殿になら玄智の森を託せるな、と」
「あぁ」
「シュウヤ殿なら冥々ノ享禄も白炎鏡の欠片も入手できるでしょう。魔界王子ライランの眷属や勢力の者も倒せる。期待していますぞ」
「はい、がんばります」
笑顔で頷くシガラさんは武士の面だ。
渋い。その渋いシガラさんは、
「……さて、次の相手ですが、たぶんクレハと戦うことになるはず。クレハは若いですが、わたし以上の武術の才能の持ち主です。きっと良い相手となることでしょう」
「そうですか、期待しておきます」
そのクレハさんは武双仙院の院長の傍だ。
俺とシガラさんだけでなく、エンビヤとイゾルデの方をチラチラと観察していた。
そのエンビヤとイゾルデが闘技場に乗ってきて、
「――凄いです! 武双仙院の師範に勝ちました!」
「シュウヤ様の奥義の威力がまた増したな!」
「おう」
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