八百六十七話 戒めの掛け軸と<羅仙瞑道百妙技の心得>と王氷墓葎

「この掛け軸の血はわしの血と、嘗ての直弟子だった者の血じゃ」


 互いの血飛沫が飛び交うほど、師匠と弟子たちの間で本気の殺し合いが?


「ホウシン師匠と戦った直弟子たちがいたのですね」


 ホウシン師匠は少し頭部を左右に振って、


「わしと戦ったのは一人の直弟子」

「……恩を仇で返す直弟子がいたのですね」

「そうじゃ。その直弟子の名はウサタカ。武術の才能に恵まれた男。パイラよりも早く筆頭院生になり八部衆にまで瞬く間に上り詰めた。しかし、ウサタカには裏があったのじゃ。わしも甘かった」

「……お師匠様、仕方がありません。パイラもわたしもウサタカを信じ切っていた」

「そうです。皆ウサタカの本性に気付けなかった。それだけウサタカが優秀だったってことですが……いや、でも許せない」


 モコ師姐は怒髪天を衝く。

 可愛さがあったモコ師姐から寒気を感じた。


 それほどまでにウサタカとは憎い相手なのか。

 ソウカン師兄も、


「騙されていた。ウサタカは、俺やモコ、各院長と師範に筆頭院生たちには媚びた姿勢が多かった。だが、位の低い者たちには辛辣に接していたんだ。しかし、純粋で明るいパイラが、そんなウサタカを信頼して傍にいたから、ウサタカを信じていた……」

「……それもウサタカの戦略で強かさじゃ。わしは……いや、武王院の院生たちに自身の底知れぬ野望を悟られず、<闘気玄装>系統や<仙魔術>系統を学んでいたのじゃからな……」


 ホウシン師匠の言葉に皆が頷いた。

 師匠たちに向けて、


「では、掛け軸を残している理由は、皆への戒めなのですね」

「そうじゃ」


 皆、頷いた。

 エンビヤはホウシン師匠に、


「お師匠様、わたしからシュウヤにパイラ師姐とウサタカについて教えたいです!」


 ホウシン師匠はエンビヤを凝視。

 目を細めて微笑む。


「ふむ」


 と、ゆっくりとした動作で、俺に視線を向けてきた。

 そして、再びエンビヤに視線を戻して微かに頷いていた。


 エンビヤは瞳に涙を溜めている。


 涙を溜めている理由はパイラ師姐か?

 モコ師姐と同じくエンビヤのお姉さんのような存在だったのかな。


 ホウシン師匠は優し気に頷いて、


「エンビヤに頼むとしよう」

「はい」


 ソウカン師兄とモコ師姐はジッとエンビヤを見る。目元を潤ませているエンビヤは俺を見て、


「……ウサタカは同期のパイラとわたしたち同門を罠に嵌めて、武双仙院と鳳書仙院の奥義書を盗みました。更に、ウサタカの恋人だったパイラ師姐と友のマヤを人質に利用しつつ追っ手を払いながら【武仙ノ奥座院】に潜入したのです」


 モコ師姐が、


「緊急時に発動される幻術陣は事前に細工されていて発動しなかったの」

「そう、他にも鬼魔人の血脈が濃い連中が玄智の森で大暴れ。警邏中の俺とモコが、その動きに釣られてしまった」

「うん。残りの八部衆のトトジなどは武仙砦だった」


 一呼吸置いたエンビヤ。

 泣きながらも、


「はい。欲深いウサタカは混乱に乗じて、仙剣・仙槍の秘奥譜『闘気玄装』と『玄智・明鬯組手』を狙ったのです! 卑怯な手段を使いつつお師匠様にも戦いを挑みました。その戦いは修業蝟集部屋に移行しました」


 エンビヤは畳を囲う木枠と道場の壁と柱を見る。

 そこには傷痕がある。


「お師匠様はパイラとマヤを守るため体を張って卑怯なウサタカから傷を受けつつ戦い続けた。その時、パイラ師姐が機転を利かしてウサタカに隙を生み出したのです。その隙を逃さないお師匠様は迅速な<玄智・明鬯組手>で人質にされていたマヤの奪還に成功。しかし、その際にパイラ師姐がマヤを庇う形で……背中を穿(うが)たれてしまったのです……うぅ……パイラ師姐の胸元に仙王槍スーウィンの血濡れた穂先が見えた。その時わたしは……あぁぁ……」


 エンビヤは泣き崩れる。


 悲憤慷慨ひふんこうがい

 肩で息をしながらの声涙には気持ちが込められていた。


 自然とエンビヤの肩に手を当て、


「エンビヤ……」

「すみません……話を続けます」

「あぁ」


 エンビヤは泣きながらも『大丈夫』と微笑む。


 まだ泣いているが、口を震わせながら、


「お師匠様はウサタカに目元を斬られていて重傷でしたが素早く突進……そのウサタカの顔と胸元を武暁ノ玄智で突いて、ウサタカを吹き飛ばした。ウサタカは壁と激突。血飛沫を発して畳の上を転がりました。倒したかと思いましたが……ウサタカはしぶとく生きていた。<黒呪強瞑>を使ったのでしょう……追い打ちをかけたお師匠様の<仙武・戦境風突>を難なく避けた。<仙武・戦境風突>の衝撃波を浴びたウサタカでしたが、その衝撃波を逆に利用し、難なく道場の外に出ることに成功。片膝で砂利を突いて血を吐いたウサタカは……」


『チッ、学院長ホウシン!』と叫ぶ。


 お師匠様は、


『ウサタカ! なぜだ、なぜ!』


 と泣いていた。ウサタカは侮蔑の表情を浮かべて、


『ハッ、もう秘奥義書は必要ない!』


 と発言。お師匠様は、


『秘奥義書のことではない! お前を愛したパイラを、なぜ殺したのだ!!』


 そう聞きました。

 ウサタカは体を震わせつつ目から血を流して、


『……う、うるさい! 俺には強さがあればいいんだ! 生ぬるい環境は毒となる!』


 と発言。

 パイラ師姐はウサタカに尽くしていたのに、とわたしは激怒。


『人で無し!!!』


 と強く叫んでいた。ウサタカは嗤いながら、


『ハッ、今更だ。どの仙境の仙剣者や仙槍者もカソビの街と変わらない! 武仙砦を重要視したところで、玄智の森を鬼魔人や仙妖魔共から守れていないんだからな!』

『『だまれ、裏切り者!』』

『八部衆の面汚し!』

『裏切りだ? どっちがだよ! 俺が、八部衆の俺が、必死に玄智の森のトマルアルの再興を願い出ても……皆は無視しただろうが! いくら会議で発言しても、お師匠さ、いや、ホウシンは動かなかった。仙境最強と言われる武王院は動かなかった!! ま、その武王院の名声もこれで地に落ちたわけだがな? アハハハ――』


 と周囲を見ながら嗤いました。

 庭にいた仙剣者や仙槍者の院生たちが大激怒。


 一斉に攻撃を受けて傷を体に作るウサタカでしたが、魔力を纏うと体が回復しつつ速度も上がり、足先を震わせたのです。院生たちはチャンスだと思い、そのウサタカに密集。


 しかし、それはウサタカの罠でした。


 震えていた足先から無数の手裏剣が周囲へと放たれた……一度に複数の院生を蜂の巣にして倒したウサタカ。わたしにも手裏剣は飛来した。急ぎ、宝魔槍・異風と宝魔槍・異戦を上下に振るい手裏剣を防ぎきったところで、『皆の仇!』の思いのままウサタカに前進。


 <玄智・連刺突>の連続突きを放ちました。


 ウサタカは、


『お前の<闘気玄装>はまだまだ甘い!』


 と言い放ちつつ、仙王槍スーウィンの柄を上下に動かし<玄智・連刺突>の突きを巧みに防ぎきると蹴りの反撃を寄越してきた。更に湖面から水蛇を召喚するや、その水蛇を攻撃に利用してきました。わたしは危ないと感覚で理解、即座に退いた。


『エンビヤ、退いて――』


 そのわたしの代わりに前に出た院生のタタンが、その水蛇の攻撃を受けてしまい、タタンの体は蒸発するように溶けてしまった……タタン……。


 ウサタカは、


『チッ、昔から勘がいい女だった。気に食わなかったんだ!』


 とわたしを侮辱。


 わたしは睨み返しましたが……未知の毒を放つ水蛇に恐怖しては、友の溶けた体を見て、胃の中のモノを吐き出して、身が震えていました……情けない。


 ウサタカは魔界セブドラと通じているような水蛇を飼っていたようですね……。


 そのウサタカは水蛇を体に格納するように消去。そのまま庭の孟宗竹や樹に岩などの地形を利用しつつ、皆の攻撃を避けながら仙王槍スーウィンを振るい突いて近付く院生たちを各個撃破。


 そんなウサタカの体に紙が大量に付着すると、急激に動きが鈍った。


 当時の鳳書仙院の筆頭院生リュウガンが繰り出した<仙魔・紙吹雪>が決まった瞬間でした。


 その動きが鈍ったウサタカの胸に矢が突き刺さる。


 マヤの<玄智・穢矢>だと思います。


 武双仙院のケブローとイスラの連携速剣<玄智・残剣>も決まるかと思いましたが、ウサタカは仙王槍スーウィンの柄で<玄智・残剣>を防ぐと退き、守勢に回る。


 そんなウサタカでしたが、<黒呪強瞑>を強めたのか。

 <仙魔・紙吹雪>のすべてを打ち払うと、その<仙魔・紙吹雪>を繰り出した筆頭院生リュウガンを睨みつつ、


『お前かぁぁぁ』


 と吶喊。


 筆頭院生リュウガンとの間合いを迅速に詰めた。


 刹那、筆頭院生リュウガンは黒仙鋼岩にまで吹き飛んだ。

 黒仙鋼岩に背中から衝突したリュウガンは血を吐いていた。

 ウサタカの未知のスキルでしょう。


 ウサタカは嗤いながら突進。


 仙王槍スーウィンで、また未知の強力なスキルを繰り出した。黒仙鋼岩ごと筆頭院生リュウガンを仙王槍スーウィンで貫いたのです。


 ウサタカは連続的な戦闘に疲労したのか動きを止めた。そこに武双仙院の師範シガラの刃を背中に浴びて悲鳴を発してふらつきました。


 が、身を捻って跳躍。


「……ウサタカは宙空で嗤いながら周囲に無数の手裏剣を放つと、修業蝟集部屋の敷地から離脱した。そうして玄智山の武王院を一気に駆け下りていった。ウサタカを倒せなかったのです」


 エンビヤの喋りが終わった。


 ソウカン師兄とモコ師姐は泣いていた。

 ホウシン師匠も片目から涙が……。


 ……なんて物語だよ。


「現在、そのウサタカは?」

「ウサタカは玄智の森に消えた」

「玄智山の幻術陣地を知り尽くしていたことも大きい」


 モコ師姐とソウカン師兄がそう発言。


「……」


 ホウシン師匠は、


「……エンビヤ、よく話してくれた。そこから先はお主も知らぬことが多い。わしが続きを話そう」

「はい」


 エンビヤはもう泣いていない。

 ホウシン師匠は、


「生きていたウサタカはヒタゾウに名前を変えていた。通称、鬼のヒタゾウ。カソビの街にも長く潜んでは玄智の森で活動していたと聞く。鬼魔人と化したという噂もある。更に、黒仮面を装着しては白王院に入学を果たしたようじゃ」

「それは……」

「この情報は仙影衆と仙影衆・暗部の一隊を率いるヒリュウが得た情報じゃから正しいじゃろう」


 白王院に入学か。

 エンビヤはショックを受けたように頭部を左右に振っていた。


 そのエンビヤの背中をさする。


 エンビヤは、


「ありがとう、シュウヤ……」


 と発言しつつ頷いていた。


 ホウシン師匠に、


「白王院の学院長は、ホウシン師匠の親族であり、師叔であると聞いています」


 ホウシン師匠は頷き、


「そうじゃ。その学院長と白王院にヒタゾウは裏切り者のウサタカの可能性が高いと知らせたのじゃが……白王院には、わしの言葉は通じない。ゲンショウとは仲が悪いからの……今思えば、ウサタカこと、ヒタゾウとゲンショウは密かに通じていたのかも知れぬ……」


 皆、沈黙。


 ゲンショウ師叔も学院長としての立場があり、他にも白王院と繋がる武王院の院生はいると聞いている。


 しがらみは深いか。


 その思いで、


「壮絶な話です。その鬼のヒタゾウ、ウサタカのことは憎々しい……」

「わしもじゃ……」


 目尻を指で掻くホウシン師匠。


 前に盲目に見えたのは……ウサタカこと鬼のヒタゾウの攻撃を目元に受けたからか?

 そして、皆も、


「俺もだ……」

「わたしも!」

「はい!!」


 同じ釜の飯で育った直弟子たちは当事者だ。

 恋人と同門たちを殺したウサタカは許せるわけがない。


 今は鬼のヒタゾウか。しかも盗みまで。


「ウサタカが、秘奥義書を盗もうとして、わしの命を狙うのはまだ分かる。が、恋人のパイラを殺すとは思わなんだ……まさに、強欲と傲慢と狡猾さの化身。最低な男がウサタカでヒタゾウじゃ……」

「はい……」


 ホウシン師匠は血が掛かる掛け軸を凝視する。


 ……ホウシン師匠の気持ちは痛いほど理解できた。


 つうか泣くだろ……。


「シュウヤ……」


 とエンビヤが俺の背中をさすってくれた。


 自然と涙が流れて顔に出ていたか。


 ソウカン師兄が、


「お師匠様、いずれは俺がウサタカ、いや、ヒタゾウを殺しますから」


 怒るソウカン師兄の顔色は怖い。


 が、ホウシン師匠は頭部を振る。


「ソウカンとモコ、気持ちは同じ。が、何度も言っておるように……」

「はい……」

「……」

「いずれかの機会を狙うべきじゃ」


 ホウシン師匠がそう語る。


「それはそうですが」

「悔しいことは悔しい。ヒタゾウを受け入れた白王院も許せない!」


 モコ師姐も怒った。


 俺とエンビヤも頷くが、ホウシン師匠は、


「ソウカンとモコ、気持ちは分かるが、血気に逸るのはよくない。お前たちは八部衆の大師兄と師姐、わしの代わりとなる武王院を代表する立場なのじゃぞ? 皆の手本となるべき存在がお前たち。素直に、武王院と玄智山の守りを最優先にするのじゃ」

「八部衆の一人として、武王院の大切さは分かっているつもりです」

「お師匠様……分かってる。分かってるけど……白王院は色々と許せないことが多すぎる」


 その二人の直弟子の態度を見たホウシン師匠は、数回頷いていた。


 そう簡単に恨みは消えないだろう。


 それを見越したようにホウシン師匠は、


「あえて言うが、パイラの仇を優先して白王院と本格的に戦うことになったら、どこの誰が得をすることになる?」


 と語る。

 罪を憎んで人を憎まずの精神に近いかな。

 性善説と性悪説にも通じる話だ。


 ソウカン師兄、モコ師姐、エンビヤは互いを見合う。ソウカン師兄が皆の意見を代表するように、


「北の鬼魔人傷場から襲来し続ける魔界王子ライランの勢力です」


 と発言。

 モコ師姐とエンビヤは頷く。


「その通り、絶壁の武仙砦と北の戦場は過酷。毎日昼夜問わず襲来する魔界セブドラ側の戦力は日増しに強まっておる。そんな武仙砦を支える仙境同士がいがみ合っていては、勝てる戦も勝てなくなるというもの……」

「武王院の八部衆が動けば、白王院の【白蓮衆】が動きますね」


 エンビヤがそう発言。皆、頷いた。


「……両院がぶつかりあえば、武王院も白王院も弱体化。同時に武仙砦の補給線の維持はできなくなるじゃろう」

「はい。【玄智仙境会】が終われば玄智の森も滅びに向かう」

「武仙砦を繋ぐ補給線はあらゆることに通じる命綱よね」


 モコ師姐の言葉だ。カソビの街に鬼魔人の血脈が濃い連中がいるらしいからな……。


「兵站線の維持を考えれば仙境が一つに纏まるべきだとは分かっています。しかし、ウサタカ、ヒタゾウは許さない」


 皆、頷く。


「【玄智仙境会】の会長として白王院に圧力はかける。が、玄智の森の絆は大事じゃ……」


 ホウシン師匠の言葉を皆噛みしめるように聞いていた。


 ホウシン師匠の考えには賛同できる。


 武王院や白王院の院生とその家族の玄智の森で暮らす人々のことを考えて、個人の恨みより全体の幸せを優先しているホウシン師匠。


 その偉大な行為は自ずと皆の精神を鍛えることに繋がると信じているからだろう。


 同時に敵対者のことも考えているように思えた。


 どんな欲に染まろうが同じ仙武人。


 人としての善の精神を信じているのかも知れない。


 偉大な方だ。


 そして、エンビヤの言葉が脳裏を駆け抜けた。


 ……『嫉妬、やっかみ、欲望は仙武人を鬼魔人へと変える』という言葉を……。


 ヒタゾウもゲンショウもダンパンも鬼魔人?


 ま、これはさすがに飛躍しすぎかな。


「シュウヤ、過去は過去、今は今じゃ」

「あ、はい」


 ホウシン師匠の笑顔とアキレス師匠の笑顔が重なる。


 皆が慕うわけだ。


「で、シュウヤ、早速だが、何を最初に学びたい」


 まずは……。


「<闘気玄装>の根本、基礎を学びたいです」

「カカカッ、根本と基礎か。その言葉だけでシュウヤが極めて優れた槍武人だと分かる」


 ホウシン師匠は嬉しそうだ。


「ありがとうございます。<仙魔術>系統の基礎、槍スキルなども学びたい」

「ふむ。良い気概じゃ」

「ふふ、さすがは武魂棍の儀で仙極神槍の位を叩き出した男よね!」


 モコ師姐が俺の腕を握ってきた。


 エンビヤが驚愕。


「モ、モコ師姐……しゅ、シュウヤと離れてください。これから修業に向かうのです」

「ふふ、はいはい~」


 エンビヤとモコ師姐は視線で何かやりとりを……。


 が、気にしない。

 ホウシン師匠は、


「それでは、【仙王の隠韻洞】で玄智聖水の修業を行おう。しかし、まずは廊下で、修業と行こうかの?」

「廊下で修業? 修業蝟集道場の廊下を雑巾で拭く修業ですか?」

「ふぉふぉ。それも良い気概じゃが、雑巾駆けではない。秘密の壁じゃよ。〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟を見てもらおうと思う」

「「おぉ」」


 ソウカン師兄とモコ師姐が驚く。

 羅仙瞑道譜か……。

 エンビヤは二人の反応に驚きつつ


「〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟? それは知りませんが、【仙王の隠韻洞】は知っています! 玄智聖水の水垢離! そして、滝行・玄智組み手の修業も行うつもりなのですね!」


 エンビヤは自分のことのように胸に両手を当てて喜んでくれた。

 そのエンビヤは途中で、不思議そうな表情を浮かべて、


「でも、〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟とはなんでしょう……」


 そう発言。


 ソウカン師兄とモコ師姐は〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟を知っているようだ。


 モコ師姐が、


「エンビヤ、廊下の横壁と天井にある飾りは、ただの飾りではないの」

「え、この修業蝟集道場の廊下ですよね?」

「そうよ。蝟集の意味もある。で、廊下の〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟は神界セウロスと関係がある」

「それは凄い。蝟集、針部屋だけだと思っていました」

「針部屋の針修業と針鼠神ドレッドンの彫像の秘密ね。修業蝟集道場の名前に通じるし。ま、ここは色々集まってるってこと」


 モコ師姐が説明してくれた。

 エンビヤは驚きの表情のままコクコクと頷いて、


「秘宝の神仙の譜が……今まで気付かなかった……」


 ソウカン師兄が、


「エンビヤが気付かないのも仕方ない。〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟は芸術品にしか見えないからな」


 そう発言。


「うん。〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟のことを知る者はお師匠様以外だと、ソウカン師兄とわたしだけだから。今は、エンビヤとシュウヤもだけど」


 エンビヤはホウシン師匠を見る。ホウシン師匠は頷いた。


 すると、ソウカン師兄が、


「お師匠様、シュウヤが〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟を読み解けるとお考えなのですね」

「そうじゃ」

「シュウヤはそこまでの仙剣者や仙槍者」

「諾尊風槍も位の名に出たようだし、先も言ったけど、〝玄智の森闘技杯〟と〝幻瞑森の強練〟が楽しみすぎる……」


 ウキウキのモコ師姐は可愛い。


 ホウシン師匠は、


「ソウカンとモコ」

「「はい」」

「二人もシュウヤの〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟の修業方法は気になると思うのじゃが……今は八部衆の仕事を優先じゃ」


 ソウカン師兄は拱手。


「お任せを。『武は心であり、心もまた一つの武である。仙と神も武と心の仙境なり』……を地でゆくお師匠様も理解が及ばない〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟なのですから、不器用な俺がシュウヤの修業方法を見たところで……ことが知れます。理解は到底できんでしょう。ですから相応の仕事を優先しますよ」

「――カカカッ、さすがはソウカンじゃ。モコも理解しておるな?」


 モコ師姐も、


「はい!」

「良し、二人はノラキ、トトジ、ハナ、ギンキと合流後、武王院会議の日取りを決めてこい」

「承知致しました。武王院会議でハルハル村の委細の報告ですね」

「わしの直弟子となったシュウヤのこともじゃ」


 ホウシンさんは掌を広げる。


 そこには光る数珠と手裏剣があった。


「分かりました。八部衆の腕環と反応する武王院の八数珠が光り輝いたと正式に皆に伝えます」

「うん。八部衆のシュウヤ誕生のことを聞いたら、各院の院長や師範は少し残念がるかも知れません」


 モコ師姐がそう話をすると、


「はい、シュウヤが得た仙値魔力の位には、仙筆、白炎仙、武王院がありましたから」


 そうエンビヤが補足した。

 ソウカン師兄は頷いて、


「霊魔仙院の院長ハマアムと師範ラーメリック辺りは……霊陣の研究のためにシュウヤの取り込みを考えていたかも知れませんね」


 と発言した。


「ふぉふぉ、ありえるのじゃ」


 霊陣の研究か。

 紋章魔法などの技術なのかな。


「まずは基礎からですから、霊陣は難しそうです」

「白炎仙の位もあるシュウヤなら霊陣もかなり習得できると思いますよ」

「そっか。が、今はホウシン師匠たちと修業をしたい」

「ふぉふぉ」

「たちかぁ……」

「俺も入っているのか」

「はい、全員ですよ」


 エンビヤとイチャイチャ修業も楽しいが……。


 俺の視線を見たのか、ホウシン師匠は、


「……ふぉふぉ、エンビヤはシュウヤと来なさい」


 と発言。


 エンビヤは瞬きを繰り返して嬉し顔。


 そのままウキウキとしたエンビヤは、俺とホウシン師匠を交互に見る。


「ふふ、嬉しい! ですが、シュウヤと一緒に修業をしても良いのでしょうか」


 俺は頷いたが、


「ふ、良いから言うておる。エンビヤが断るのなら、マヤに頼むかの?」


 エンビヤは背筋を急にピンと伸ばす。

 俺を凝視しながら、


「あ、行きます!」


 と発言。


「ふぉふぉ」


 ホウシン師匠は笑う。

 長細い顎髭を親指と人差し指で摘まみつつ、その長細い顎髭を伸ばしていた。


 ホウシンさんは白髪。

 髪の毛全部を頭頂で束ねて結った総髪。

 髪の毛の量も多そうだ。


「ぬぬ、シュウヤ、わしの髪と髭が気になるのか?」

「ご立派な白髪と顎髭だと考えていました」

「秘密があるのじゃが」

「え? 秘密?」


 白髪葱とボケたくなったが自重した。


「気にするな。後々分かる」

「はい」

「ふむ。わしの髭は立派か、嬉しいのじゃ。わしも男前であろう?」

「は、はい」


 ホウシン師匠はニカッと笑う。

 歯茎も若々しいし歯も白くて立派だ。

 顔の皺は歳相応に多い。

 が、その皺を活かすような素敵な笑顔。

 好々爺だ。


 そんな優しい仙人にしか見えないホウシン師匠は俺とエンビヤを交互に見てから、


「ふぉふぉ」


 と笑うと、庭を眺めたホウシン師匠。


 鳥が囀り響動とよむ

 神秘的な声を発した鳥たちは燕。


 燕も神秘的。

 それぞれ個性を持った魔力の鎧を身に着けていた。


 黒猫ロロも体に、戦神ラマドシュラー様の加護として橙色の炎のような魔力の鎧を身に着けることがあるが、それに近いのか。


 そんな燕の背中に乗っている子精霊デボンチッチもいた。


 御伽草子23編の一つの一寸法師の話を思い出す。


 ホウシン師匠は、


「今日も燕たちが元気じゃ」


 と呟いてから振り返る。


 〝武暁ノ玄智〟はもう消えている。


 両手を背中に回す。

 然り気無い歩法で畳の上をスゥッと滑るように歩きつつ廊下に出た。


 歩き方一つとっても勉強になる。


 思わずエンビヤたちを見た。

 エンビヤも数回頷きつつ俺の耳元に頭部を寄せると、小声で「もう修業は始まっています……」と教えてくれた。


 声が可愛い。

 耳に感じる息遣いがたまらん。

 耳朶が震えているかも知れない。


 ソウカン師兄とモコ師姐は、


「シュウヤ、エンビヤを頼むぞ。そして、修業結果はあとで聞かせろ」

「模擬戦、予約したからね」


 ソウカン師兄とモコ師姐の言葉に頷いた。


「はい!」


 と返事をしつつ拱手を捧げる。

 二人はニコッと笑顔を見せて踵を返した。


 三人が出た道場と廊下の境目の上部には横長の看板のような木枠に納まっている飾り太刀と飾り槍が飾られてあった。


 気付かなかった。

 かなり立派な飾りだ。


 魔力を内包しているから、竜頭金属甲ハルホンクに喰わせたらどうなるか……。


 だが、喰わせたりはしない。

 廊下に出た三人は見えなくなる。


「シュウヤ、わたしたちも」

「了解」


 エンビヤと一緒に道場の畳を歩く。

 廊下に向かった。


 猫脚が支える襖絵の絵柄を改めて凝視。


 植物に絡む白蛇の絵柄は天井にもあった。


 剣と槍を持った幽冥ゆうめいな人物画は有名な仙武人なんだろう。


 実は生きた伝説の仙剣者や仙槍者?

 武仙砦で活躍中の仙武人なのかも知れない。

 エンビヤは、庭の大きな岩の前で、


『武仙のカンバ、宵隠鳴剣のアズサ、氷仙棒のモーガンなど、無数の仙剣者や仙槍者も、この黒仙鋼岩砕きの訓練場所で訓練を行ったと聞きました』


 と説明していたからな。

 他にも偉大な方はいるだろう。


 廊下の板の間に出た。

 外とはまた違う冷たい風が気持ちいい。

 香木の匂いも馨しい。


 その襖絵を眺めながら迂回。


 ホウシン師匠は玄関口に近い廊下で足を止めた。細長い顎髭を挟んだ指で伸ばしつつ壁と天井を見上げている。


 エンビヤの横顔を見ながら廊下を歩いた。 


「ではお師匠様、後ほど!」

「行ってきます」


 玄関口から響いたソウカン師兄とモコ師姐の挨拶する声だ。

 ホウシン師匠は二人に背中を見せながら、


「ふむ」


 と微かな声を発しつつ左腕を上げて応えていた。


 そのホウシン師匠の近くに移動。


 ソウカン師兄とモコ師姐の魔素が離れていくことを察知しつつ、


「お師匠様、その壁の造形が〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟なのですね」

「そうじゃ」

「これが……知らなかった」


 エンビヤは見上げている。

 その土壁と木壁の表面には……。


 朧気な炎を喰らって、樹を吐き出す巨大氷竜。


 水飛沫を浴びている大きな龍と大きな白蛇。


 それらの水浴びを受けて喜んでいるタツノオトシゴのような小さい蛇竜。


 幅広い浅い川で大きな鮭を捕まえ、その大きな鮭を喰う巨大な白熊。


 巨大な白熊の頭部には白夜を意味するような飾りが目立つ氷の冠が載っていた。


 その巨大な白熊が食い散らかした鮭のおこぼれを狙う鳥の群れ。


 その鳥は大きい。

 燕と似た姿だが、鷲にも見える。


 海のような岸辺を駆ける大和鞍を身に着けた大きな馬。


 神楽笛を吹き琴を弾き太鼓を叩く仙剣者や仙槍者。


 滝を浴びている仙剣者や仙槍者。

 剣舞や槍舞で踊る仙剣者や仙槍者。


 立体的に盛った加工で造形されていた。

 芸術の極み。

 場面場面で異なるが、〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟にはそれぞれ意味があるんだろう。神界セウロスなどの歴史が刻まれている?


 魔察眼と称号の覇槍神魔ノ奇想を意識。


 そうして、数秒後……。


 横壁と天井の空間ごと、〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟の芸術作品が歪み始めた。

 〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟の芸術作品の造形も変化。


 目に魔力を込めて瞬きすると、視界は元通り。

 壁と天井の山形に盛られて加工が施された芸術作品は歪んでいない。


 が再び〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟の芸術作品がぼやけた。

 〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟の芸術作品の真上に仙剣者や仙槍者たち同士が戦う幻影が出現。


 戦う幻影は墨汁で描いたような山水画的な幻影だ。

 とりあえず、


「お師匠様とエンビヤ、〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟の上に墨汁の絵が見えていますか?」

「いえ、まったく」

「墨汁の絵じゃと? わしも見えん。シュウヤには見えているのじゃな?」

「はい、見えています」

「え!?」


 驚くエンビヤに頷く。


「シュウヤはやはり水神アクレシス様の……」


 そう呟いたホウシン師匠は頷く。

 ホウシン師匠は双眸に魔力を込めて壁と天井を凝視。


 しかし『?』と頭部の上に疑問符を浮かべていた。


 この〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟の変化と仙剣者や仙槍者たち同士が戦う淡い幻影は……傍にいるエンビヤとホウシン師匠には見えていない。


 そのまま〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟と幻影を凝視。

 戦う仙剣者や仙槍者たちがズームアップされるごとに、墨汁世界から線の描写が太くなり、漫画やアニメのような描写から、生命が吹き込まれたように現実の世界に移り変わっていく。


 凄まじい戦いの場面となった。

 仙剣者や仙槍者は同じ仙武人か?

 琴の楽器から羅のように弦を飛ばして戦う存在もいる。

 あ、貂と似た仙女がいる。

 尻尾を無数に持つ仙王鼬族か。


 <神剣・三叉法具サラテン>の貂との会話を思い出す。


『納得はできる。その仙女とか仙人のことを聞こう』

『誉れある神界に棲まう者たちです』

『貂の故郷、仙鼬籬せんゆりとかに棲む?』

『はい。白炎王山と仙鼬籬せんゆりの森に、とくに力を持つ仙人と仙女が多い。仙人の眷属たちも無数に存在し、種族は多種多様』


 そんなことを思い出した。

 リアルな幻影世界は、神界セウロスの仙鼬籬せんゆりに近い場所か。


 〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟なだけに納得だ。


 景色は近くに滝と浅い川と砂利がある。

 玄智山と似た環境。

 瑞々しいが、辺りに散らばる仙剣者や仙槍者の死体と血飛沫により瑞々しさは消える。


 刹那、壁と天井に造形されていた〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟の真上で繰り広げられている『テルモピュライの戦い』的な実写の戦いが、いきなり散った。


 魔力粒子となって俺に飛来。

 その魔力粒子を吸収――。


 すると魔力が増えた感覚を得た。


 ピコーン※<仙羅・幻網>スキル獲得※

 ピコーン※<仙羅・絲刀>スキル獲得※

 ピコーン※<羅仙瞑道百妙技の心得>恒久スキル獲得※


 おお、羅が使っていたスキルを獲得!

 スキルを獲得した直後、視界は元通り。


 だが、夢は覚めていない。

 エンビヤとホウシン師匠は俺を凝視。


「シュウヤ、今魔力を?」

「わしも一瞬だが見えたぞ。同胞たちと見知らぬ方々の凄まじい戦いを、が、それらは散ってしまい、その散った魔力の粒がシュウヤに……」

「はい、吸収して、スキルを獲得しました」

「「おぉ」」


 驚いている二人に頷く。


「二人とも、更に驚くと思いますが――」


 竜頭金属甲ハルホンクを意識。


「あ、ハルホンクで……」


 エンビヤはもう慣れたか。

 ちらちらと股間を見るエンビヤは裸を期待しているようだった。

 が、裸になるほど防護服は変化させない。

 そして、右肩には竜頭の金属甲がある。

 軽装のハルホンク衣装のままだが、竜頭金属甲ハルホンクは右肩に出現していた。


 そんな軽装の胸にポケットも出現させる。


「ングゥゥィィ!」

「な、なな、なんじゃぁ――」


 ホウシン師匠の悲鳴と武術家としての動きが妙にマッチングしていて面白い。


「お師匠様! 落ち着いてください。あれはシュウヤの能力。素敵な裸、いえ、素敵な衣装を作ることが可能なハルホンクなのです」

「……そ、そうなのか……」


 頷く。

 ポケットに腕を突っ込んで――。

 ポケットの内部をまさぐった。


「ングゥゥィィ……クスグッタイ、ゾォイ!」

「すまん、王氷墓葎キングフリーズ・グレイブヤードはどこだ……ん? 硬い、こりこりしたのがあるが……これか?」

「ングゥゥィィ、チガウ。ソレ、タマタマ」

「……ハルホンク、ふざけているだろう?」

「ムハハ、アルジ、ソレヨリ、ウエノ、イッパイノカザリ、ドレモマリョクアリソウ!」

「そりゃあるに決まってる――」


 王氷墓葎キングフリーズ・グレイブヤードの魔法書を取り出した。


 その王氷墓葎キングフリーズ・グレイブヤードを握り掲げ、魔力を送る。


 正確には神遺物レリクスか。


 案の定、王氷墓葎キングフリーズ・グレイブヤードは自動的に浮いて、開いた。


 開いたページは白紙。

 が、魔線が迸る。

 魔線は、目の前の壁と天井に掛けて造形されてある〝神仙鼬籬壁羅仙瞑道譜〟に衝突。


 巨大な白熊が光る。

 王氷墓葎キングフリーズ・グレイブヤードに文字が浮かんだ。


『善美なる氷王ヴェリンガー、融通無碍ゆうずうむげの水帝フィルラーム、流れを汲みて源を知る氷皇アモダルガ、魂と方樹をたしなむ氷竜レバへイム、白蛇竜小神ゲン、八大龍王トンヘルガババン――――霄壌の水の大眷属たち、知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ。水垢離みずごりの清浄と栄光は水の理を知る。が、大眷属の霊位たちは、白砂はくしゃと白銀の極まる幽邃ゆうすいの地に、魔界のガ……封印された。その一端を知ることになれば、火影が震えし水の万丈としての墳墓の一端が現世うつしよに現れようぞ。が、雀躍じゃくやくとなりても、その心は浮雲と常住坐臥じょうじゅうざがだ。魔界セブドラも神界セウロスもある意味で表裏一体と知れ……何事も白刃踏むべし』


 開かれたページに記された魔法の文字は前と同じだが、色々と点滅している。

 特に氷皇アモダルガの文字が大きい。

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