二百七十一話 魔法と依頼とバルの修行

 

 片方の魔法書は薄く軽い。

 もう一つの魔法書は……分厚く重いし豪華だ。

 アンティークな革装丁。

 中央に光を帯びた十字型のマークと丸い翡翠石が宝石で装飾されている。

 四隅が白鉄。

 止め金具も宝石が埋め込まれていて煌びやか。


 魔法書というより光神関係の聖なる魔道具かな? 

 重さに比例しているわけではないだろうと思うが、内包している魔力量も多い。


「……この分厚い魔法書の種類は分かる?」

「レーレバ婆がどっかの国から奪った物だろう」

「奪った……どこの国から……」

「昔だ。東から南にかけて広大な領土を誇ったエルフの大帝国があったのは知っているか?」

「べファリッツ大帝国か?」


 古いな。千年前に滅びたというエルフの帝国。


「そうだ。そのエルフの大帝国が内戦で混乱中……独立を果たしたばかりの国、今だと宗教国家の位置だと思うが。そこにあった完成間近の光る建物の一つを破壊して、中に保管されていた光り物を数個奪ったと、レーレバ婆から自慢気に聞かされた覚えがある」


 宗教国家ヘスリファートか。

 光る建物は聖堂のことだろうか?

 あの国が魔に対して異常なのはレーレバ婆も関係があったりして……。

 

 聖書に、魔界の傷場から来訪した悪魔の竜とか記述があるかもしれない。


「……とりあえずこの薄い魔法書だけを読んでみるよ」


 薄い魔法書を読む。

 あっさりと読み終わった。

 

 読んだ魔法書は瞬時に朽ち果てる。

 覚えたのは水属性の『水流操作ウォーター・コントロール』。


 よし、次は、この分厚い魔法書だ。


 分厚い魔法書の金具を外した瞬間――。

 魔力が分厚い魔法書に吸い取られた。

 更に表紙の十字の飾りが外れると、その飾りの十字架が宙に浮かぶ。


 魔法書の分厚い表面は十字の形に窪んでいる。

 十字架が魔法書の中にめり込む形だったのか。


 思わず、隣にいるサジハリを見る。

 サジハリは『知らないねぇ』と意味を込めて僅かに頭部を振っていた。


 サジハリを見た瞬間――。

 浮いた十字型の飾りから天道虫の形をした光が照射された。

 十字架はミラーボールの如く回転も始めた。


 光を周囲に飛ばす。

 回転を続けた十字架は自然と動きを止めた。

 何だろう、魔法書ではなく十字架のオプション武器?


 十字架は依然として、天道虫の形をした強い光を放っている。


 その光は一つに集約しつつ真っ直ぐ向かって、書棚に飾ってあった縦縞模様の翡翠の石へ注がれた。

 まさか、表面の装飾と関係が?


 そのまさかだった……。


 光が注がれていた翡翠の石はパワーを得たのか。

 縦縞模様から模様と同じ形の閃光を発し出す。


 閃光は十字架から発せられている光とリンク。

 光と光が空中で合わさり眩い光を生み出す。

 と、その周囲に光る天道虫たちとデボンチッチたちが現れて散らばり消えた。


「……吃驚だねぇ、こんな魔法とは……」


 魔法なのか?

 疑問に思うが、俺も驚いた。

 

 と、同意の言葉を口に出そうとした瞬間――。


 書棚の翡翠の石がぷるぷると振動を始めた。

 その翡翠の石が蠢めくと、書棚から離れて、宙に浮かぶ十字架に引き寄せられていく。


 翡翠の石と十字架が衝突。

 そして、魔法書自体も、その十字架に引き寄せられ衝突。


 十字架、翡翠の石、魔法書が三位一体と化して合体融合していく。


 やがて、一つの大きな十字架が誕生した。

 十文字の槍にも見える。

 先が杭のように尖っているし、縦棒より先端の横棒のほうが短い。


 光を帯びたその十字架の槍から、俺に対して光が照射。


 その瞬間、目の前に耳長のエルフが現れる。

 光の幻影のエルフだ。


 透けているエルフは「ここは何処だ?」と、周囲を見渡す。

 隣にいるサジハリを強く睨んでから、俺を見ていた。


 彼は優しい目に戻しながら彫刻のような固い微笑を浮かべると、口を動かしていく。


「……光の戦士よ。我を元の場所、金アロステの丘にある聖なる場所に戻せ」


 何だ?


「貴方はいったい……」

「我はイギル・フォルトナー」

「イギル・フォルトナーとは何ですか?」

「嘆かわしい……イギルの歌を知らぬのか……光神ルロディスと光精霊フォルトナから祝福された聖戦士の名を受け継ぐ名だ」


 そういえば、どっかで聞いたような気がする。


「我をとは、その十字架のことですか?」

「そうだ。光神様、精霊様に祝福を受けた『聖槍アロステ』アロステの十字槍。これをアロステの丘に刺し戻すのだ」


 すると、浮いていたその聖槍アロステが俺に近付いてくる。

 右手に握ると魔力を聖槍アロステから感じられた。


「受け取ったな……この我の願いを成就した際に、お前に祝福が宿るであろう」


 その途端、幻影は姿を消して聖槍アロステだけが残った。 


「……シュウヤカガリ。不思議な依頼を受けたようだな」

「元はお婆さんが盗んだことが、原因では?」


 俺の言葉を受けて、サジハリは片眉を動かして反応。


「……そうかもしれないが。アロステの丘に返すまで、その聖槍を得たと同じであろう?」

「そうともいえる。ずっと返さず、俺の武器にもできる。けど、あいにく、槍はかなりあるんだよね」


 魔槍グドルルと取り替えるかもしれないが、


「返せば祝福が得られるとイギル・フォルトナーも話していたではないか」

「ま、それはおいおいかな。今は仕舞っておく」


 と、アイテムボックスに聖槍アロステを仕舞う。


 そして、覚えたばかりのウォーター・コントロールの魔法を考えていった。


 自ら触れている水の水流を操作可能となる魔法。


 主に、海、川で速く泳げて、船の操作も楽になるか?

 水の上を歩けるようになるだろうし、水上戦闘で大いに役立つと予想できる。

 鏡の先にあった水底に潜る時も使える。

 こりゃ一見地味だが……俺にとって一番の収穫か。

 しかも無詠唱だからな。


 今覚えている言語魔法は……。 


 初級:水属性の氷弾フリーズブレッド

 初級:水属性の氷刃フリーズソード

 中級:水属性の氷矢フリーズアロー

 中級:水属性の水浄化ピュリファイウォーター

 上級:水属性の水癒ウォーター・キュア

 上級:水属性の連氷蛇矢フリーズ・スネークアロー

 烈級:水属性の氷竜列フリーズ・ドラゴネス


 闇属性の闇壁ダークウォール


 ここに何級か不明の『水流操作ウォーター・コントロール』が加わると。


 紋章魔法は全部で四種。


 水属性の水壁陣ウォーター・ウォールハーツ

 水属性の水耐性レジスト・ウォーター

 水属性の凍刃乱網フリーズ・スプラッシュ

 闇属性の闇枷グラバインド


 紋章は主に戦闘用の凍刃乱網フリーズ・スプラッシュしか使っていない。  


 あとは<古代魔法>と合わせた自由度の高い紋章魔法か。

 《闇弾ダーク・バレット》と名を付けたが、古代魔法だから色々と弄れる。


 水壁陣ウォーター・ウォールハーツ

 水耐性レジスト・ウォーター


 これら二つは、暑い場所で使えばよかった。

 デビルズマウンテンで使えたはず……。

 しかし、俺の場合は無理に使う必要もないし、しょうがない。

 特に顕著なのが、闇の闇壁ダークウォール


 槍使いに壁魔法。性格的にも合わない。

 潜入工作で、わたしは魔術師です。と、身分を偽る場合なら十分に役に立ちそうではある……。

 そんな任務がどこにあるのか、さっぱり分からないが。


 水神アクレシスの加護を得ているから、水属性の魔法なら<水の即仗>効果で無詠唱が可能なんだが、


「……その槍をすんなりと仕舞ったアイテムボックスの形、腕輪型か。表面の水晶といいあまり見ない形だねぇ」

「あ、うん。迷宮産ではあると思う」

「ほぅ……まぁ神獣使いであり、神話に登場するような槍使いのシュウヤカガリだからな。とんでもない代物なのだろう」

「はは、神話か。俺としてはサジハリの方が神話に出てくる偉大で尊敬する古代竜だよ」

「……照れることを間近で言うな……それでは、外へ行こうか。バルミントに見せたい場所がある」

「了解、他の通路があるようだけど……」


 視線をリビングから伸びている廊下の先に向けながら話していた。


「……そこの下に続く階段の先に、モンスターが沸く迷宮へ続いている地下通路もある」


 迷宮か。不思議な家だな。

 少し興味があるが、魔術師のことが気になる。


「どんなモンスターが出現するのか興味はあるけど、案内は不要だ。それよりも、さっき話していた黒髪の魔術師を見たい」

「良いぞ。バルミントと修行をしてから魔術師のところへ向かおう。まだ生きていればいいがな?」


 魔術師は死ぬような環境なのか?

 笑うサジハリさんと共にリビングを後にした。


 バルミントとバルの場所へ先ほどの廊下を通り向かう。

 外は夜だが、壁は明るいのでバルとロロが遊んでいる場所がすぐに見えた。


「ガォー」

「にゃあ」


 バルとロロは……何が楽しいのかよくわからないが、一心不乱に壁を爪で削っている。

 地面に黒い削りカスが大量に落ちていた。


 ……外壁にある黒曜石は綺麗な内壁で家の一部だが……。

 おそるおそる、家主であるサジハリさんを見たが怒っていないようだ。

 

 ……よかった。そのサジハリは水溜まりにあったスライムを掌に乗せて、そのスライム相手に何回か頷いていた。

 魔術師のメッセージを受け取ったらしい。


「スラ吉……そう切羽詰まったように何回も言うな、後で向かう。それと、わたしの大事な槍を使う客が、お前の主人を見たいそうだ」

「古竜様のお客様ですね。しかし……軍勢が」

「しらん、ハザーン、ゲロナスだろうが、こっちを優先する」


 サジハリはそう言うと、スライムを解放。

 というかスライムの名はスラ吉か。かわいい。


「わかりました、向こうで古竜様を待ってます」


 スラ吉はピョンと跳ねる。

 スライムらしい柔らかそうな下腹部を、窪ませて一気に膨らませて地面にぶつけていた。

 その衝撃を利用する形で凄まじい速度を出すと、スラ吉は、山の方へ向かっていく。


 すげぇ……スライム。

 というか、普通に会話しているスライムとか初めて見たんだが……。

 俺が知る迷宮のスライムはもっと無機質で、食材になるスライムしかしらない。今のスラ吉は、可愛い目玉のあるスライムだった。


 スラ吉に感動していると、サジハリは笑顔を俺に見せてからこちらに歩いてくる。


「……お前たち元気だねぇ。だが、そこは遊び場所じゃない。今後は壁を削るな。神獣も理解しているな?」

「ガォォ」

「にゃぉ」


 サジハリに注意を受けた二匹。

 ピタッと動きをやめてサジハリの足元に移動していた。


「ひゃひゃひゃ。可愛い子たちだ。良し、もう夜だが、わたしらに昼夜は関係ない。修行場所を見せるからついてこい」

「ガォ?」


 バルミントはサジハリの後を付いていく。


「ンン」


 黒猫ロロは喉声を鳴らしながら肩に戻ってきた。

 洞窟の外を出て、迂回するように崖の反対側へ歩いていく。


 月明かりで<夜目>なしでも平気だ。

 すぐに反対側に到着した。

 所々にスキーのジャンプ台を連想させる平らな岩が大量にある。


「ここはわたしが幼い頃、飛ぶ練習をした場所でもある。バルミント、今日からここで訓練を行う。さぁ、背中を見せなさい」

「――ガォォォ」


 くるくるその場で回ってから背中を見せるバル。

 サジハリさんは屈んで姿勢で、バルの背中に生えている四枚翼を手に掴むと、強引に横へ広げていた。


「今日から、この状態を維持するんだ。この翼を、こうやって広げる感覚を覚えるんだ。いいね?」


 バルの可愛い翼を広げたり狭めたり、面白いことをサジハリはしている。


「ガォォォ!」


 気合い声をあげるバル。


「ひゃひゃひゃ、元気な声だ」

「ガオッ!」

「良し。この広げた状態の翼は動かさないでいいから、一番小さい岩先から足を使って跳ぶことを意識しなさい。背中の翼は無視してね、理解したかい?」

「ガッ、ガオォ――」


 バルミントは、『分かったガオ』といったように吼える。

 岩の台へ走りジャンプしていた。


 小さく跳んで、着地をちゃんとしていた。

 少し空を飛んだかも。


「にゃおぉ」


 肩にいた黒猫ロロが片足をあげて『よくやったニャ』といったように猫パンチを行う。


「だめだだめだ。まずは飛ぶより跳ぶことを意識だと言ったろう」


 サジハリは厳しい顔でバルを叱る。

 バルが、背中の四枚翼を少し動かしていたのが気に食わなかったらしい。


 そこから鬼コーチ、サジハリの言葉が崖上に響いていく。

 サジハリは両腕で胸を持ち上がるように両腕を組んでいた状態だったから、圧迫されているおっぱいさんが腕に乗っているように見えている。


 うむ、おっぱい神よ……。

 いかん、と、視線をバルに戻す。

 が、サジハリが渋い声を発するたびに、おっぱいさんが揺れるから。

 つい、バルを応援しながらも、そのバルが飛ぶ訓練より、サジハリの乳房さんに注目がいってしまう。



 ◇◇◇◇



 結局、朝日が昇るまで訓練は続く。


「今日はこんなもんでいいだろう。シュウヤカガリが見たいといった魔術師に会いに行く」

「ガォォ」


 バルミントはどことなく疲れたような声で鳴いていた。


「バル、休んでいいんだぞ」

「必要ない! 預けたからには、口出しは無用だぞ。シュウヤカガリ」


 ひぃあ、怒られた。完全に厳しい母親だ。


「分かった。すまん」

「あたしらは高・古代竜だ。人の範疇で考えてもらっては困る。将来、空を飛べないぶよぶよ竜にしたいなら別だが」


 それはダメだ。飛ばねぇ豚はただの豚は困る。


「それもそうだな、バルを頼む」

「ひゃひゃひゃ、わかればいい、さぁ、向かうぞ――」


 サジハリは赤き竜に変身してバルミントの首上を優しく咥えると自身の首後ろに乗せていた。

 俺の方を一瞬赤く縁取る竜眼でアイコンタクトをよこしてから、夜空を見上げて、一対の両翼を羽ばたかせた瞬間、空に高く舞い上がる。


「俺たちも続こうか」


 そう話し掛けたロロは、斜面に四肢を乗せた状態で変身していたロロディーヌ。

 触手が俺の腰にもう絡んでいた。


「ンンン」


 野太い喉声で、『さっさといくニャ』と言われた気がした。

 そんな神獣ロロディーヌの背中に乗った俺は、温かい黒毛背中に身を寄せながらカレウドスコープを起動。


「GO!」


 と、掛け声をあげる。

 瞬間的に身体が持ち上がる感覚を得た。

 斜面の地面がロロの爪跡でめり込んだかもしれないが、もう空の上だ。


 先を飛ぶサジハリの太い尻尾を追いかける。


 女魔術師が住むという迷宮の場所は……。

 赤き竜と化しているサジハリが語っていたように、そう遠くないところを根城としているらしい。


 二つ程大きい山を越えた先だった。

 その谷間へ旋回するように降りていく。

 俺はカレウドスコープにくっきりと浮かぶ赤い両翼の姿を追った。


 同時に、魔素の気配がそこらじゅうに……。


 先に降りていたサジハリの姿が見えた。

 巨人の口のような巨大洞窟の入り口で、長い尻尾を振り回している。

 多数のモンスターを尻尾で潰しながら吹き飛ばしていた。

 続いてサジハリは地面から投槍の攻撃を行っていた豚の頭部を持ったモンスター目掛けて長太い首をぐるりと向かせて、その投槍ごと上半身を食べるように噛みつく。

 豚ゴリラの半身は竜の歯型の傷痕から血を勢いよく噴出させていた。

 サジハリは咀嚼しながら、胸元の鱗を杭状へ変化させると、その杭鱗を大型ゴブリンへ向けてガトリングガンの如く連射していった。

 大型ゴブリン以外にも剣士、魔法使いたちにも喰らわせ穴だらけにしていく。

 いきなりの乱戦か……。

 そこに、戦うサジハリの反対側の森の奥から不可思議な閃光が生まれ出た。

 閃光と共に柔らかい波紋を感じさせる音を轟かせると、その閃光は曲線を描き一つの環を作る。


 ゲート魔法らしき虚ろな魔力の環だ。

 しかも、魔力の環が多数だと?

 そこから、魑魅魍魎のモンスター軍が次々と現れては、洞窟へ殺到。

 モンスター以外にも人らしき姿も……増援か、これは戦争かよ。


 洞窟の入り口で奮闘する赤き猛る竜サジハリ。

 炎の息吹を繰り出したサジハリにより、そのモンスター軍の半分ぐらいは焼け焦げていたが、半分は洞窟の中へ雪崩れ込んでいた。


 赤き猛る竜サジハリでも、モンスターの軍を完全に止められず。

 そんなサジハリの頭に乗っているバルミント。

 ちゃんと、サジハリの動きを観察している。

 毛の先ほどの危惧心も持っていないと分かる純粋無垢のつぶらな瞳だ。


 少し安心した。

 そこで、洞窟の内部に侵入しているモンスターたちへ視線を移す。


 バッタの下半身に包丁の切れ目の線が幾つも入った気色悪い上半身の人型。

 武器、防具を備えた大型ゴブリン。

 飛び抜けて背が高い縦に割れた二つの人の頭を持つ、腕が四つある歪な怪物。

 破城槌型の兵器と繋がった鎖を胴体に巻き付けて、その兵器を運ぶ豚の頭部を持ったゴリラ。

 軍隊を思わせる徽章が付いた革鎧とマントを羽織った長剣を持つ人型たち。

 同じマントを羽織る、杖を持った人型の魔法使い集団。

 光る糸を腕から放出させてサジハリに攻撃している人型。


 迷宮の主、女魔術師の危機かもしれない。


 ゲートは消えているので、敵の数は増えないようだけど。


 でも、あの消えたゲート……。

 俺が扱う二十四面体トラペゾヘドロンとは違う系統?

 クナが設置していた魔法陣型とも違う。召喚系か。


 その光景を見ながら、イモリザに指示。

 指から新しい第三の腕化。右脇下に新しい腕を作る。

 新しい右下腕で腰からムラサメブレードの鋼の柄巻きを握らせた。

 次に右肩の肩の竜頭装甲ハルホンクを意識。

 念の為、防具は魔竜王鎧でいくか……。

 そのイメージを具現化。竜の形を象るハルホンクの口から紫色の鱗を吐き出させて、ゼロコンマ何秒と掛からずに、俺は全身に真新しい魔竜王鎧を装着した。


 二の腕からは斑模様の環が連なる篭手を展開させる。

 ブゥン、と、ムラサメブレードの音が鳴ったように、三つ腕の状態だが、最初は二槍流&ムラサメブレードでいく。


「ロロ、俺たちも乱入だ」

「ンン、にゃあぁぁ」

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