二百三十七話 初心忘るべからず※
「ロロ、ゆっくりペースで」
「にゃ」
宗教街の通りをゆっくりペースで進む。
そのまま能力確認を行った。
ステータス。
名前:シュウヤ・カガリ
年齢:22
称号:光邪ノ使者new
種族:光魔ルシヴァル
戦闘職業:霊槍血鎖師new
筋力23.3→24.1敏捷23.8→24.6体力22.4→22.9魔力24.5→28.9器用21.1→22.4精神27.2→31.2運11.4→11.5
状態:高揚
凄まじい成長……。
美味しい邪牛グニグニのステーキを食べた結果……いや、違うか。
勿論、多少はグニグニステーキもプラスされているとは思うが……。
戦場の一騎掛けと草原で多数のモンスターと戦ったからな。
デイダンの秘宝を奪い取ったゴドリン族。
それを奪おうとした蜘蛛族と大蠅たちのバトルロイヤルな戦闘。
イグニ湖から這い出てきたデイダンの怪物との戦闘。
未知の大怪獣同士の強烈な決闘の見学。
邪界導師キレの腰の回転を生かす連続の蹴り技と分身、四眼ルリゼゼの四腕シクルゼ流剣術……。
彼女との戦いは濃密な戦闘体験だった。
続いて、魔宝地図戦の変身するタフな守護者級&様々なモンスターとの激戦。
最後に【
こういった経験は、確実に俺を成長させてくれた。
スキルステータス。
取得スキル:<投擲>:<脳脊魔速>:<隠身>:<夜目>:<分泌吸の匂手>:<血鎖の饗宴>:<刺突>:<瞑想>:<生活魔法>:<導魔術>:<魔闘術>:<導想魔手>:<仙魔術>:<召喚術>:<古代魔法>:<紋章魔法>:<闇穿>:<闇穿・魔壊槍>:<言語魔法>:<光条の鎖槍>:<豪閃>:<血液加速>:<始まりの夕闇>:<夕闇の杭>:<血鎖探訪>:<闇の次元血鎖>:<霊呪網鎖>:<水車剣>new:<闇の千手掌>new
恒久スキル:<天賦の魔才>:<光闇の奔流>:<吸魂>:<不死能力>:<暗者適応>:<血魔力>:<超脳魔軽・感覚>:<魔闘術の心得>:<導魔術の心得>:<槍組手>:<鎖の念導>:<紋章魔造>:<水の即仗>:<精霊使役>:<神獣止水・翔>:<血道第一・開門>:<血道第二・開門>:<血道第三・開門>:<因子彫増>:<大真祖の宗系譜者>:<破邪霊樹ノ尾>:<夢闇祝>new:<光邪ノ使徒>new
エクストラスキル:<翻訳即是>:<光の授印>:<鎖の因子>:<脳魔脊髄革命>:<ルシヴァルの紋章樹>:<邪王の樹>
最初は光邪ノ使者をチェックか。
※光邪ノ使者※
※混沌王の資格を持ちながら邪神の使徒の魂を獲得し偶然にも新たなる因果律を生み出した者※
ほぅ、新たな因果律を生んだのか。
偶然のタイミングだが、スキルで使徒を奪いイモリザを獲得したからな。
次はこれだ。
※霊槍血鎖師※
※是空霊光の槍法を歩む槍武人※
※超複雑怪奇な条件を達成後に覚える希少戦闘職業の一つ※
※嘗て、空谷無音の槍魔術師と言われたアーソロス・フォルトナーが獲得した霊槍使い系に連なる上位の戦闘職業※
※愛の女神アリアに恋をした<光ノ使徒>が一人の霊王チリムの霊槍が装備可能※
※融通無碍の精神は周りに畏怖の念を抱かせるだろう※
<光ノ使徒>の霊王チリム。
神界セウロスに住まう愛の女神アリアに恋した男ということかな。
綺麗な女性同士ってこともあるか。
忘れてたが、忘れずに<水車剣>をタッチ。
※水車剣※
※両手剣、片手剣に共通する基本的な剣スキル※
基本は偉大だ。
続いて、<闇の千手掌>をタッチ。
※闇の千手掌※
※エクストラスキル<脳魔脊髄革命>の無限臨界期が作用。魔力、精神、器用が一定の基準を満たした状態だからこそ、覚えられた希少な完全固有技※
へぇ、無限臨界期。
雨が降る中での、デイダンの怪物との激闘中にイメージが即、技へ発展した経緯には理由があったのか。
デイダンも強敵だったからな……。
あの墨のようなものに身体を覆われた時、ヘルメが居なかったら、皮膚にダメージを喰らって痛い目にあっていただろう……ヘルメに感謝。
次は<夢闇祝>を指でタッチ。
※夢闇祝※
※本来は悪夢を植え付け悪夢の女神ヴァーミナに連なるモノ共を呼び寄せる道具と化させる<悪夢印>。だが<光闇の奔流>効果により悪夢の女神ヴァーミナの力の一部を吸収※
※<夢闇祝>としてスキル化※
※悪夢の女神ヴァーミナに連なるモノが近くにいると、僅かに痛みと血を流して感知する。そして、神意なる巨大な魔素を持つモノの真なる姿を映し出す可能性が向上し、眠った際、悪夢の女神ヴァーミナの波長が届くこともある※
うへ、本来は呪いみたいな感じだったのか。
ヴァーミナに連なるモノたちが俺に近付けば、自然と首にある<夢闇祝>から血が流れて反応を起こす……と。
だから、巨漢黒兎シャイサードが登場した際に
眠った際、波長が届くというのは悪夢の女神ヴァーミナと連絡が取れるということか?
電波みたいなものか。
悪夢は嫌だが、あの女神は美人だから少し嬉しい。
ラストは<光邪ノ使徒>。
※光邪ノ使徒※
※光邪の使者として刻印を刻み込んだ結果、新たに生まれ出た使徒※
いたるところのスクリーンの文字にタッチを連打。
名人には負けるが、十六連打級にがんばった。
すると、
※光魔ルシヴァルだからこその<光邪ノ使徒>である※
※セラにおいて特異な生命体の存在※
珍しく続きが出た。
ま、特異な生命体だが、ようするに部下が増えたと。
今も<光邪ノ使徒>の三人の魂を内包したイモちゃんは新しい指となっている。
よし、ステータスの確認はここまで。
屋敷に戻ろう。
馬の姿に近いロロディーヌのふさふさな黒毛を撫でながら、
「ロロ、好きなように走っていいぞ」
「ンン、にゃあ~」
◇◇◇◇
屋敷の大門の屋根に到着――。
「――マイロード、お帰りなさいませ」
警戒していたのか、峻厳な動作でカルードが登場。
そのまま片膝で地面を突く。
「……カルード。血文字でユイとヴィーネから話は聞いていると思うが、すべての障害は排除してきたから、もう警戒を解いていい。それと、戦闘奴隷たちの指揮をありがとう」
馬のような姿のロロディーヌに乗りながらだが、カルードに礼を述べた。
「――はっ」
「それで、何か報告はあるか?」
その瞬間――。
悪戯娘のロロディーヌは数本の触手をカルードへと伸ばした。
彼のしぶい髪型をわしゃわしゃと崩しては、太い眉を弄り、胴体を撫でるように触っていく。
しかし、カルードは相棒に悪戯を受けても微動だにしていない。
反応せず。
カルードは細目で、俺をちゃんと見据えてきた。
えらいぞ、カルード。
と、なんとなく心の中で褒める。
「……はい。【月の残骸】の筆頭顧問として、ここに戻ってきた連絡員を通じ、副長メル、幹部ベネットと連絡を取りました。副長メル曰く、今回の誘拐事件で大して仕事ができず、申し訳ないとのこと……」
それは仕方ないだろう。
あんな地下だし、何かしらの追跡スキルがなきゃ辿り着くのは不可能だ。
だが、他にも色々と理由がありそうだ。
「……他にも
「はい。聞くところによると、最初に、魔人ザープと紅のアサシンの争いが再度あったらしいです」
魔人ザープ……。
メルは父だと思っているようだが……。
魔人というフレーズから推測するとナロミヴァスが語っていた【
ま、こればっかりは神出鬼没な魔人ゆえにかもしれないし他所の争いだから分からない。
「そして、ヴェロニカの周辺に舞う蝙蝠の数が
偵察している蝙蝠の数が増えたか。
俺がいないことを理由に偵察人員を増やしたのかな?
女帝のファーミリア・ラヴァレ・ヴァルマスク・ルグナドが指示を出したのかもしれない。
それとも女帝の下に三人いる<筆頭従者>たちか?
ヴェロニカが恨みを持つ<筆頭従者>の一人、ルンス・ラヴァレ・ヴァルマスク。
そいつが禁忌のヴェロニカを殺そうと本格的に動き出した?
しかし、まだ、偵察のみ。
永遠の命を持つ彼らの思考は普通とは違う。
長いスパン、長期間の間に幾らでもヴェロニカの抹殺のタイミングはあると踏んでいるのかもしれない。内実はそんな計画性はなく、ヴェロニカを殺そうと必死なだけかも知れないが……。
後者の刹那的なほうが説得力はあるか?
ちょくちょく、ヴァルマスク家の刺客と戦っているようなことをヴェロニカは語っていた。
「……そのあと、八頭輝が一つ、闇ギルド【ベイカラの手】の支援を受けたと見られる【黒の手袋】の幹部キツ、幹部イト、幹部ゼテケニー、幹部ドミニクの四人が兵士を連れて歓楽街に侵入。守るロバート&ルル&ララの戦いに参加しフォローへ回ったり忙しかった。とのことでした」
最後のは闇ギルドの縄張り争いか。
八頭輝の一つの【ベイカラの手】が支援とか……。
直接的じゃないところが厭らしい手だ。
知らぬ存ぜぬで誤魔化しが利く。
しかし……そんな出来事が重なっている状況での邪教対策は絶対に無理だ。
「……それで、その【黒の手袋】との争いはどうなった?」
「【月の残骸】の勝利。剛拳のカズン、惨殺のポルセン、氷鈴のアンジェの三人が【黒の手袋】側の背後から奇襲、幹部二名を仕留めたところで、敵兵士を一気に瓦解させたようです」
カルードは感心を示す口調で話す。
「なるほど、メルだな?」
「はい、この作戦を実行したのは副長のメル。個人能力、指揮能力、作戦立案能力が秀でていますな。彼女ならば、サーマリアの暗黒街でも、活躍出来たと推測できます」
確かに。メルの能力は高い。
副長だが、実質【月の残骸】の総長はメル。
彼女は俺のことを総長へ担ぎ上げたが、当初、交渉していた『影から俺が指示を出す』という俺の望みに沿う行動を取ってくれているのかもしれない。
「……そんなメルに惚れたか?」
「……マイロード。御冗談を……」
カルードは武人らしい太い眉を動かす。
細い目を更に窄めた。
否定しないところは……満更でもないようだ。
彼も眷属だが、男でもある……。
そして、女の他にも色々とやりたいこともあるだろう。
「……メルのことは冗談だが、カルード。今後は、お前を手元に置かず独立させようと思う」
『閣下、カルードを自由に、そして、将来のルシヴァル大帝国親衛隊長への布石なのですね!』
参謀ヘルメがまた勘違いしている。
そんなものは作らない。
「マイロード……。わたしは放免ですか?」
カルードはショックを受けたように顔色を悪くしてしまった。
「……違う、勘違いするな。放免なぞしないし、できないだろう。血文字でのやり取りは何時でも可能。家族みたいなもんだからな?」
「はい……」
機嫌は持ち直したが、まだ怪訝な顔色だ。
少し話すか。
「カルードを召し抱えるといった手前、まともな君主とは? と、柄にもなく時々考えてはいた……君子に二言なし、君子はその罪を憎んでその人を憎まず、君子の交わりは淡きこと水の如し、とか、色々……だが、俺はひねくれているようだ……」
そこに、右端の視界に看護師姿の小型ヘルメちゃんが登場。
『閣下……その心持ちが、もう既に君主たる器、君主そのものであります』
可愛らしく腕を組んで偉そうな恰好だが、褒めてくれた。
『ヘルメ、ありがとう』
『はい』
カルードはかぶりを振る。
「いえ、マイロードは誠実です。ひねくれていたら、こんな話をわざわざ告げたりしません……」
「ありがたいが、俺にもやりたいことが複数あるから話をしている」
「やりたいこと?」
たとえば、
「それは、まだ見知らぬ
この想いは最初から変わらない。
あのゴルディーバの里から見える雄大な神々しい景色を見た頃と……。
むしろ見知らぬところばかりで思いは増えている……。
地上どころか、邪界、鏡の先、宇宙、地下、違う次元、行き先は無限大だ。
「……セラを見る。では、このペルネーテを離れると?」
「直ぐには離れない。年末には楽しみな地下オークションがある。それまでだな」
八頭輝とやらに推薦されたらしいからな。
直接、祭りの地下オークションに関われる。
そして、約束もある。
反故に出来る立場だがそんなことはしない。
盗賊ギルド【ベルガット】のディノさんへ、ちゃんと金は払う。
と、想像していると、
「……そうですか。そうなりますと……【月の残骸】の盟主、総長の座を、お譲りになられるので?」
目を細めているカルードが聞いてきた。
「そうだな。それもいいかもしれない。元々、仲間を守るのに利用しようとしたが、慧眼なメルにより、手玉に取られた感じで【月の残骸】の総長にさせられてしまった感じだからな」
「副長は、そこまでの人物でしたか……」
「あぁ、切れ者の女性だよ。俺なんかより上に立つ器量はあると思う」
「マイロード、それは聊か卑屈になりすぎですぞ。武力は言わずもがな、マイロードの当意即妙な思考、判断力は群を抜いているのですから」
『素晴らしい、カルードはよく閣下を見ていますね』
視界の右隅で、平泳ぎしているヘルメちゃんだ。
なんで泳いでいるんだよ、とはツッコまない。
ヘルメの念話は無視して、
「ありがとう、カルード。が、俺の基本は冒険者で、剣も格闘も学ぶ槍使い。そして、今、報告にあった戦争の対処と闇ギルドの仕事の殆どを副長のメルがこなしているだろう?」
「確かに、メルさんは素晴らしい」
「まぁ年末のオークションまでは、神輿に乗ったままでいる予定だ」
「冒険者と旅と槍使い。それが、マイロードのやりたいことなのですね」
「……そうだ。特に師匠から受け継いだ風槍流を軸とした槍の技術を伸ばしたい……自惚れではないが、槍の技術はまだ伸びると思っている。正直、その先は見えないが……もっと強くなりたい。上手く純粋に槍を学びたいんだ。そして、槍だけじゃなく、カルードたちに習ったように剣術も伸ばしたい」
新しい腕を生かした武術の体得もいいだろう。
体術も、仙魔術も、導魔術も、魔法も……。
「……はい。わたしも<暗剣血狂師>として、<血相>スキルを用いる剣術の実力をもっと上げたいです」
<血相>、カルードのスキルか。
そういえば……邪界導師に斬られた時、血を顔に塗っていた……。
「その剣術を伸ばしたい、の他にも、俺に対する忠誠以外に、心の中で、何かをやりたいとか、人族だった頃の〝目的〟や〝夢〟があっただろう?」
カルードは瞬きを繰り返し、
「そ、それは……」
「カルード。俺は光魔ルシヴァル、一族の力で、そういった永遠の命と引き換えにお前たちを縛るつもりはないんだよ。何処ぞの一族のようにな。だから、いいんだ。自由に語れ」
「分かりました。お優しきマイロード……<従者長>としての力を伸ばしてこい、という意味ですね?」
「そうともいえるが、単純に、カルードのやりたいことを、やれということだ」
「……わたしのやりたい、こと……実はあります」
その瞬間、カルードの目の奥に炎が灯ったような気がした。
ギラついている。
「やはりあったか……何をやりたいんだ?」
「
あぁ、だからか……邪界導師キレに胸を薙がれていた。
あの時か。娘のユイに影響を受け、やけに速い行動だな? とは思っていた。
斬られて……奥の手の<血相>を使っていた。
しかし、カルードの本音、夢の話を聞けて少し嬉しいかも。
一武人としての活躍、一から【闇ギルド】の立ち上げ、娘の剣術への嫉妬。
「……カルードならできるさ。戦場で活躍する武闘派貴族に返り咲くことも、【月の残骸】を超える【闇ギルド】を作り上げることもできるだろう。ただ、優秀な信頼できる人員を集めるのは……相当な時間を要すると思うが」
「……はい。ですからいいのでしょうか。マイロードのお屋敷を守らず与えられた仕事の筆頭顧問を……」
筆頭顧問という役職はベテランのカルードがこのペルネーテという新しい都市で、闇の仕事を行いやすいように、と適当に作っただけだからな。
「……いいんだ。人族では不可能だったことも、ルシヴァルの眷属となった今だからこそできることがあるはずだ」
「……深いですな」
そうかな。極自然なことだと思うが。
「……まだ、永遠という時間を噛みしめていない俺が語るのもオカシイかもしれないが……カルードを含め、他の選ばれし眷属たちも同様に、個々の可能性は無限に広がっていると考えている。だから、自らの夢は追いかけるべきだろう」
自分の想いを乗せて本心で語った。
「……了解しました。夢を追いかける……素晴らしい言葉です。心が熱く滾りますぞ」
厳しい顔だが、その瞳は少し潤んでいるようにも見える。
「……たとえ、苦難が待ち受けようとも、その言葉を胸に頑張りたいです。同時に、マイロードへの深い感謝の気持ちを……永遠の忠誠を超えた愛を感じます……」
愛は嬉しいが、その、ごめん……。
「お、おう、カルードなら成功できるさ。志ある者は事ついに成る、という言葉もある」
血を分けた眷属であり部下だが、尊敬できるカルードさんだ。
愛については、諺でスルーした。
「……はい! 最強無比なる闇ギルドを作り上げてから、そのすべてをマイロードへ捧げるつもりです」
捧げるか……。
また殊勝なことを。
俺は笑みを意識しながらも、
「……カルード。その心意気は買うが、お前が自由になっての再出発だ。別に俺に捧げないでいい」
カルードは少し戸惑いを示す。
「自由……」
「……強者は制約のある中で行動するというが、自由はいいもんだからな、来る者は拒まず去る者は追わず」
「……徐々にですが、マイロードの
わたしなりに理解か。ま、受け取り方はそれぞれだろう。
「……そっか。資金が必要になると思うから、渡しておこう」
「いえ、必要ではありますが、マイロードならお分かりの筈……」
拒否られた。そうだな……一からという言葉に集約されていた。
彼は武人。艱難汝を玉にす、ともいうし……努力も楽しむつもりなのだろう。
ルリゼゼに近い。彼女も魔界騎士であり剣士。
言葉も分からないこの地上世界へと冒険を楽しむように自ら挑んでいた。
俺も初心忘るべからず。
師匠から謙虚に学んでいたことを思い出す。
何事も楽しむと……。
そこで、頭を上げて、立ち上がるカルード。
「では、下で待機している戦闘奴隷たちへ、マイロードが帰られたことを知らせて参ります」
「うん、宜しく」
カルードはその場で、身体の残像を残すように素早く移動していく。
大門の下に待機させていたママニたちと合流していた。
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