百十一話 運命占師カザネ
ピーリは俺のことは無視。
ゼンジバルという種族名らしいが、あいつこそ狂獣かもしれない。
ピーリが持つ牛刀が怪しく煌くのが見えた。
狂だけに狂同士、あの〝毛むくじゃらマン〟に任せよう。
その場で魔槍杖を消す。
このまま賭博街の中へ消えさせてもらう。
「
「にゃ」
「はいッ」
遠巻きは野次馬だらけとなっているのも都合がいい。
俺たちはその野次馬の中へ突入し、人の間を縫うように走り抜ける。
路地の陰に入り足を止めた。
壁に背を預けながらヘルメに左目に戻ってもらう。
念のため<
再び通りに戻り、人混みの影を利用しながら夜の闇に紛れていった。
そんな状態で賭博街を歩き回る。
綺麗な酒場、娼婦館、宿屋前で、手にランタンを持つ金持ちそうなビロード服を着る女衒の婆さんが娼婦を引き連れているかと、思ったら、反対側では汚ならしい薄着を着た浮浪者が屯する廃墟も点在した。
ここは富者と貧者が居合わせる街なんだな。と認識。
それから賭博街の名前通り……。
路上の至るところで、賭け事が行われている。
平幕の六張りぐらいはあるテント会場では大規模な拳闘大会があったり、腕相撲、カードゲーム、じゃんけん、将棋のような駒ゲームも行われていた。
だが、一角に、見たことのない薬も売られている。
飴玉のような色合いでカラフルな大粒たち。
一見、菓子に思えるが……ドラッグか。
駄菓子を売るように四角い箱に薬飴が無造作に置かれていた。
四角い箱が置かれた側には麻薬商人らしき男と、用心棒らしき面構えの悪い者たちが見回りを兼ねて周囲を窺っている。
そんな薬が売られている現場には顔色が悪く目付きも悪い、
下町からくる感覚とは正反対。
魔界との繋がりを感じさせるぐらいに雰囲気が悪い……何年も締め切った牢獄のような陰湿な空気が流れていると感じさせる通りだった。
あくまでも想像だが、ここにある負の感情を餌場にしている魔界の神に連なる眷属がいるかもしれない……。
俺は我慢しながらも【アシュラーの導き、カザネの占館】を探し歩く。
看板を探すこと数時間、賭博街の中を放浪していた。
探すのに飽きた
もう夜だ、しかし、看板がない。
だが、比較的明るい。
ドラム缶のような土瓶が多数置かれていて、沢山の火が炊かれている。
土瓶の火を囲い何か食い物でも焼いているのか、浮浪者たちで賑わっていた。
その路地の一角で土瓶炊きよりも明るい魔法の光源が沢山浮いている場所が視界に入る。
浮浪者だけでなく一般の人々も集まっていた。
興味が出る。見てみよ。その人だまりへ足を運んだ。
あぁ、鼠レースか。
真っ直ぐ伸びた長方形のレーン板に六つ枠板が設けられ枠の中に入った鼠たちが奥に置かれた餌に向かって真っ直ぐ走る。
という、単純な作りのレースだった。
そんな賭けレース場の周りには、小綺麗な施設が整っている。
複数のテーブル席が用意されて酒を飲み食事を楽しみ、賭け事に使われる鼠の売買が行われていた。
聞き耳を立てていると、ここだけの話ではなく……。
各都市に鼠レース場があり、地域ごとに鼠の血統が管理された専門の飼育業者も存在し、調教者や金持ちオーナーも存在していた。
競馬のように奥が深い……。
鼠たちの絶対に負けられない戦いがそこにはあった。
話に感心しながら、聞き込みを開始する。
布帽子をかぶり燕尾服を着こなしている渋めのおっさんに話しかけてみた。
“アシュラーの導き、カザネの占館の場所を知らないですか? ”
と、聞いたら、帽子をかぶった渋い男は笑顔で教えてくれた。
「ああ、それなら、すぐそこだよ。昔はよく木簡占いを出してくれていたんだがな、ほら、あの魔法の明かりがある両替屋と換金所の隣にある、白くて“小さな建物”だ」
隣かよ。あ、本当だ。
鼠レースの換金所の隣に白い建物がある。
「本当だ。ありがとう」
帽子を被るおっさんに軽く礼を言ってから、その店に向かう。
土壁に挟まれる形で白壁の家があり、一つの扉があった。
扉の中心には目のマークが施された飾りがある。
これが、標識か?
店の規模は本当に小さい。
看板もない白壁だけのロマネスク建物。
横幅も狭くシンプル過ぎる。
予め、この店だと言われないと分からなかったかも……。
換金所に並ぶ人々はこのシンプル過ぎる白い外観の店には見向きもしてないし。
占いでレースの予想とかやってないのかね?
ま、さっきの人も話していたが、最近はやってないようだ。
肝心の扉の上部にある目のマークは、一ドル札にもある有名な“プロビデンスの目”。
ともだちのマークにそっくりだ。
扉には蝶番がなく、取っ手もない。
仕方ないので、扉にある、目のマークを人差し指の表面でなぞってみた。
表面はざらりとした金属の感触。
まさか、これが呼び鈴じゃないよな?
と、目のマークをさりげなく軽く押してみる。
その瞬間、目のマークが光り、木製扉の表面に規則正しく亀裂が入り分裂。
扉は煉瓦ブロックのような部位となり、木組みパズルが解体されるように扉の枠へ収納されていく。
すご、摩訶不思議な扉だ。
扉だった部分がくり貫かれたように無くなっていた。
先は狭い濃緑色で暗い通路が続く。
中へ一歩、足を踏み入れた途端、緑光が発生。
――うひょ、少し驚くが、蝋燭の灯りだ。
両サイドの壁上には真鍮製の蝋燭台が設置されてあった。
ゆらゆらとした緑炎が廊下にいる俺の姿を照らしている。
入ってきた俺に反応して自然と緑火が灯ったようだ。
廊下の先から、生暖かい風が頬を撫でてきた。
ぶるりと背筋が凍る夏のホラー物の予感を感じながら、廊下を進むごとに、壁に備えられた蝋燭が点灯していく。
センサーでもあるのかよ……凝った作りだ。
廊下の突き当たりには二つの大きな黒と赤の扉があった。
その扉には、文字、え!?
嘘だろ……日本語が彫られてある。
黒扉の表面には “これを読める貴方、地球出身の日本人ですね。この扉の取手を右に三回、左に五回、回して、最後に押し込んでください” と日本語が書かれてあった。
慎重な奴ならここで引き返す。
だが、そんなつまらないことはしない。
書かれてある通り、黒扉の取手を動かしていく。
取手を指示通りに動かした瞬間。
黒扉は最初の木扉のように長方形や四角形の小さい煉瓦ブロックに変化し、上下左右にある外枠の中へブロックは自動収納されていく。
開かれた先には、緑光と緑色のカーテンに包まれた、こじんまりとした部屋があった。
部屋中央に一段高くなっている壇があり、黒光りする重厚机と椅子がセットで置かれてある。
魔素が濃いな。
机向こうには“老婆”が座って待っていた。
緑光が老婆と机を照らしている。
あの婆が日本人か!
机の上には大きな琴のような楽器、タロットカード、メトロノームのような物が置かれてあった。
占いの部屋だと思われるが、定番な水晶球とかは無いらしい。
『閣下、ここは魔素が濃く、何らかの結界、または、
俺の左目に宿る、常闇の水精霊ヘルメがそう忠告してくれた。
『忠告ありがと、だが、俺は何があろうと平気だ』
『分かりました。あの婆に、ご威光を知らしめ、教育を施すのですね。わたしもお尻の教育を――』
『――いや、そんなことはどうでもいい、単純に興味があるだけだ』
また変なこと言おうとしたので、強引に話を重ねた。
『はい』
ヘルメと念話をしながら、部屋に入らず待機していると、
「さぁ、入らしてくださいな」
部屋で待つ怪しい老婆が話しかけてきた。
声質は優しそうな印象。
風変りな帽子をかぶった老婆の顔には年輪を重ねてきた皺があるが、穏やかな笑顔を見せている。
アレンジされた巫女服を着ていて手には小さい玉串の棒を持っていた。
あの棒、魔力を帯びているのでマジックアイテムな類いだろう。
この老婆、占い師より巫女さん系なのか?
……菩薩のような顔だ。
「では、失礼します」
躊躇いがちに足を踏み入れる。
机近くまで進み、向こう側に座る老婆と机を挟んで立った状態で対面した。
「緊張なさらずに、そこの席に座ってください」
「はい……」
老婆にそう促され、椅子に座った。
「わたしの名はムーサ・アロマン。転生者よ。前世の名前は風音丸子。この都市に来てからはカザネとだけ名乗り暫くの時が経つわ。……しかし、驚きね」
日本語だ久しぶり。
……俺も驚きだよ。とは言わず、疑問で返す。
「……驚きですか?」
俺の素朴な疑問を聞いたカザネは手に持つ玉串を机に置いて、口を開く。
「あの黒扉を開けられる貴方という転生者が現れたことよ……百年の間、転生者を待ってはいたけれど、今この時に現れるなんて……」
随分と長く待っていたんだな。
それにしては、この老婆、百年待ったと言うわりには若い。
とても百歳を過ぎてるようには見えないぞ? 六十歳を過ぎたぐらいな感じだ。
黒瞳には生き生きとした活力が感じられるし、魔力が宿っていた。
全身からも虹色の魔力が立ち上ぼり波のようにうねっている。
基本的な魔闘術系はマスターしているようだ。
まぁ、俺が勝手に魔闘術系と思っているだけで、実は全く違う魔法体系かも知れない。
その魔力のことは話さずに、とりあえず、見た目を褒めておく。
「……百年ですか。それにしては若く見えますね」
「ふふ、お世辞は結構よ。カガリ・シュウヤさん」
ぬお? 俺の名前だ。まだ名乗っていないのに当ててきた。
この婆、笑顔を浮かべながら、しれっと俺を鑑定していたらしい。
「本当に人を鑑定できるんですね」
「あら、わたしのスキルを誰かに聞いたのかしら?」
「えぇ、はい」
「そう……でも、カガリさんはどういうわけか、殆ど見えない〔槍武術レベルXVIII〕〔魔技レベルⅨ〕これぐらいしか分からない。どういうことかしら……まさか、実と……」
実? 老婆は首を傾げている。
見えないとこがあるようだ。
鑑定も完全ではないのか。
しかし、〔槍武術レベルXVIII〕〔魔技レベルⅨ〕とやらは俺のステータスの一部らしい。
面白い。俺が知る能力値とはだいぶ違うようだ。
「……さぁ。俺に聞かれても分からないです」
しかし、単純に能力が見たくて会いにきたが、まさか転生者だったとはなぁ。
非常に興味がある。
「……先ほど、カザネさんは百年と言われていましたが、その間に転生者とは会っていないのですか?」
これは大事なことだ。
他にも存在している転生者のことが分かるかも知れない。
「そうよ。会っていない。正確に言えば、会えていないと、言った方が良いかしら、西の【ラドフォード帝国】、【フロルセイル七王国】、北西の【ゼルビア皇国】、東の【フジク連邦】、【グルトン帝国】では、召喚が行われているとか、噂で聞いたことがあるぐらいかしらね。この世界は無限のように広く、星と連なる神々があり、果てがない……百年を超えて生きていても知らないこと聞いてないことが沢山あるのよ……とにかく、この都市では、百年を超えて永らく目立つ活動をしているけれど、転生者には会わなかった。そして“黒扉を開けて堂々と”現れたのは貴方だけね」
転生者は少ないのか?
召喚や前世の記憶を持った者たちはそんなに召喚されず、ポンポン生まれてくる分けではない?
が、必ずしも転生者が冒険者を目指すってのも、考えにくい。
前世の職を生かした職業についてるかもしれない。仮に冒険者になっていたとしても迷宮や塔といった冒険者が集まりそうな代物は他の土地にごまんとあるんだ。
そして、俺が開いた扉も日本語を警戒して、黒扉に触れず、入らないと決めた慎重な転生者もいたかも知れない。
と言うか、普通はそうする。
その辺を踏まえて、
「……では、カザネさん以外には転生者はいないと?」
黙りと間を空けた、俺の言葉にカザネ婆さんは頭を左右に振ってから、
「いえ、百二十年前にはいたわ。わたしを含めて、たった三人だけ、だけどね」
いたのか。過去形だけど……。
その三人は共通点とかあるのかね?
「その転生者たちは前世からの共通点はあったりするんですか?」
「少なからずあるわ。全員が微妙に歴史が違う現代日本から転生した点ね。それと、幼い時に病気や頭を打った衝撃で日本人としての記憶を突然に思い出している。共通しているのは、それぐらいかしら、この
へぇ、生まれはバラバラ……。
前世繋がりとかは関係ないのか。
三人の共通点は、共に歴史の違う日本出身であり、幼い時に何らかの事故で、日本人だった頃の記憶を思い出した、だけ……。
パラレル世界、エヴェレットの多世界講釈、シュレーディンガーの猫とかの考えが脳裏に過る。
俺みたいなキャラクターメイキングをした転生者ではないようだ。
「……シュウヤさんも、その喋り方からすると、前世は大関東圏、東日本の方かしら?」
「そうですね」
「それじゃ、わたしたちと同じように、この
ここは話を合わせておいた方が良さそうだ。
「そうなります」
「なるほど……」
カザネ婆は昔を思い出しているのか、視線を外し遠くを見ていた。
「でも、百二十年前ですか? そのバラバラに育った転生者たちと良く出会えましたね?」
「えぇ、そうね。だけど、出会った理由を聞けば、貴方も日本人だったのなら、わかるはず。理由を聞きますか?」
そりゃ、興味あるさ。
聞いとこう。
「はい。差し支えなければ」
「では、お話をしましょう。わたしはその当時、この南マハハイム地方で活動する冒険者の一人だったのです。そして、ある噂を耳にしました。南の大海の先にある未知なるアーゼン朝異文明、サーマリア王国の東にある群島諸国には珍しい物があると……東の島国、珍しい物、それを聞いて、すぐに日本のことをイメージしたの。日本が恋しかったのもある。だから、その群島諸国に向かうことにしたのです。因みに南の大海には行きませんでした。装備も海洋を渡る知識もないので、貿易で繋がりのある群島群しかいけなかった」
なるほど。納得。
東にある群島、如何にも島国の日本を連想させる。
「魚人海賊やら色々と問題はありましたが、その群島諸国の中で一番大きな島に上陸することに成功しました。宿に泊まり、島の調査を開始したのです。その調査のために泊まっていた宿で……たまたま知り合ったのが、転生者の二人でした。その二人も、わたしと同じ冒険者。二人共に珍しい物、ようするに日本のことを調べていたのです」
珍しい物か、やっぱり食材かね? 米とか欲しい。
「米とか欲しいですからね。理由はわかりました。それ以来、ずっと一緒に?」
カザネ婆はその米という言葉に反応したのか、口調が柔らかくなってきた。
「えぇ、そうよ。その調査した島でスメという名前、日本で言う梅に似た食材を発見したの。本当は貴方の言う通り米が欲しかったのだけど、その島には無かった。因みに、この大陸にスメを最初に伝えたのが、わたしたちだったりするのよ?」
あぁ、メリッサがそんなことを話していた。
スープの高級料理に入っていた食材。
歴史に刻むような凄い冒険者だったのか、カザネ婆。
「……それから十年ほど、三人で様々な冒険をしたわ。東の群島国家は魚人や人族の戦乱が起きて危険だから調査は断念したけど、北マハハイムでは、ゴルディクス大砂漠を越えて、宗教国家を過ぎ、ロロリッザ王国での巨人狩り、東マハハイムでは、東のレリック地方の聖獣狩りや、
カザネ婆は思い出を嬉しそうに楽しそうに語っている。
「ここからは
カザネ婆が、そこで何故か懐かしい日本語で話さなくなった。
俺的には<翻訳即是>があるので、ずっと理解できているけど。
「すると、百年の間、ここに?」
「そう。百年。この都市でも様々なことがあったわ。英雄ムブラン・クレノールが率いる冒険者クランと共に迷宮に挑んだのは懐かしい思い出。わたしたちはその時の迷宮探索で稼ぎに成功して一財産を得ることができた。ムブランは転生者のわたしたちよりも強かった……でも、五年ぐらい時が過ぎた時かしら、仲間、恋人だった転生者たちと別れることになってしまったの」
ムブラン・クレノール? その名前どっかで……。
まぁいいや、それより、迷宮での“稼ぎ”とはどれくらいの物なんだろうか。
「稼ぎ。何か凄いアイテムでも発見したのですか?」
「ええ、巨大金塊は序の口として、四層のレベル五、高価格帯の魔宝地図を数十枚、魔水晶大時計のマジックアイテムだけでなく……十天邪像の遺跡ではなく、十階層の部屋が連なる場所で隠し部屋を守っていた未知なる守護者級を倒したら、今までみたことのない虹色宝箱が出現したの、その宝箱の中には実と秘薬が入っていた」
虹色宝箱とな、初耳。それと、大時計、この世界じゃ貴重だろう。
アナログ時計ならもう誰かが発明していても、おかしくはないと思うけど。
実はよく分からない、秘薬なら想像できる。
カザネ婆の見た目からして、もしかして、若返りの薬とか?
「……秘薬ですか?」
「そう、
やはりそうか。
「なるほど、実とは?」
「気になる?」
なんだ? もったいぶって。
「気になりますね」
「ふふ、実は、わたしたちには馴染みが深いアイテム名……名前は、次元裂きの転生実」
ぬお。それは確かに……。
「そのアイテム、実はフルーツ的な?」
「ええ、大きさ的にはパイナップルぐらい。丸型で表面には雷文模様が入っていたわ」
「その転生実とやらを、使ったのですか?」
「いや、名前が怖くて、わたしは何もしなかった。それに、貴方と同じように、アシュラー神に関わるわたしの
そこで、転生者たちと喧嘩でもしたのかね?
野暮だけど聞いちゃお。
「失礼ですが、仲間だった転生者とは長年一緒に行動し迷宮に挑んでいたのですよね? どうして別れたのです?」
カザネ婆は顔に翳りを見せながら話す。
「……あまり話したくなかったのだけど。日本の方だから話すわね。……何処にでもあるような、男女の縺れ。結局は、わたしが振られ、スギサキと別れた。すぐにスギサキはリンコと仲良く抱き合っていたのを見て、わたしは嫉妬したの。悔しかったのもある。だから大喧嘩になったわ。……あの二人、前々からわたしに隠れてやっていた、ということよ。まぁ、今更ね、それはまぁ、許せないけど、男だから諦めもつく……けど」
二人の女と一人の男か。ハーレムにはならず。
世界が違う日本人同士といえど気が合わなかったのか。
「けど?」
俺は話を促した。
「……次元裂きの転生実を、勝手に売ってしまったことが許せなかった。わたしの力が及ばない未知なる物を、ましてや、次元裂きなんて名前がある物を……あのアイテムを使い、この次元が裂けて、宇宙が崩壊してしまったら? わたしたちは消えてしまうかもしれない。それなのに、スギサキとリンコは金のために、自らの欲望のために、西のラドフォード帝国の象神都市に巣食う有名闇ギルドへ売ってしまった」
マジか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます