狂夢店

椿さとみ

第1夜 翼を焼いた科学者


人は夢を見る。


時に人は、それが夢か現実かわからなくなる時がある。


絶対にありえない事なのに、こんな事あるわけないのに。


そんなでたらめな夢でも、

見ているその時はそれが現実だと、

自分が存在する世界だと感じてしまう。

それが普通 夢 なんじゃないかな。


でも私の見る夢は「生と死の都」と呼ばれる不思議な世界に繋がっている...。



硝子しょうこー!早く寝なさい!明日は学校なんだから昨日みたいに夜更かししないのよー?」

お母さんが一階から二階の私の部屋に向かって私に話しかけてくる。

「わかってるー!それに昨日はアクセサリー同好会の宿題してたの!遊んでたんじゃないもん!」

私はそれに部屋の中から下に聞こえるように声を張り上げた。

「はいはい。」


こんな感じな母と私の会話。

それは眠る前の会話。

これからおこるのは、寝た後の会話。




「こーんばんは!またアクセサリー作ってきたよ!髑髏の指輪!」

「硝子。夢の中でも夜は静かにした方がいいと思うよ。」

「だって、さっきまで勉強してたし...疲れたんだもん。狂魔きょうまと戯れたいの!」

長い常盤色ときわいろの髪を揺らしながら私が言うと狂魔は、はーっとため息を吐いた。

「今日は客が何人もきて疲れてるんだから夜くらい静かにしてよね。」

そう言ってレジカウンターに顔を埋める狂魔。

そもそもなんでこんな夜中にこんな店にいるかというと、それはこの店そのものが夢の中にあるから。

じゃあなんで夢の中でこんな風に人と会話してるかって?

それはこの店、狂夢店の店主である狂魔が私、鏡硝子をいわゆるパートナーという存在に選んだから。


はじまりは1ヶ月前の夜だった。

私はいつものように自分のベッドに入った。

枕の上に小さな手帳を乗せ、今日の出来事を綴る。

しばらくして瞼が重くなり、私はゆっくりと瞳を閉じる。

気がつくと私は夢の中でいつもの商店街にいた。

私は何をするわけでもなく、その道を歩いていた。

すると、ある一角に現実には存在しない細い道があった。

私はそこに吸い込まれるよいに足を踏み入れた。

しばらくすると、全体が青色にまとめられたファンタジックな店を見つけた。


キラキラした星屑が飾られた屋根。

三日月や飴玉のシールが貼られたドア。

とても可愛らしいお店だ。


もっとお人形さんの家くらいに小さかったら、絶対お店の外見通りに可愛い人形が住んでるのに...。


じゃあ、お人形じゃなかったらこの中には誰が住んでいるの?


私はどうしても確かめたくて店のドアノブを掴み、ゆっくりとドアを開けた。


中は誰もいないし電気もついていない。

でも確かに人の気配がする。

休憩中?入っちゃたらまずかったかな。

そんな事を考えている時だった。

店の奥にひとつだけ小さな明かりを見つけた。

「なに、これ...。」

私は隅にあるガラスケースの中に飾られた綺麗な一本の薔薇を見つめた。

「きれー...。」

数秒その薔薇に視線を釘付けにされ、ハッと我に返った。

「だっ、だめだよね。勝手にうろついてちゃ...。」

私はすみませーん!と大きく声を張り上げた。

「誰かいませんかー!?すみませーん!」

でも、どこからも返事はこない。

やっぱり留守なのかな?

でも人の気配はする。

そこで私は自分の考えに恐怖した。


人の気配がする?人はいないんだよ?


ぞくりと体が震えた。

そういえば入った瞬間から誰かに見られている気がした。


やだ!怖い!助けて!


私はドアを開けようと出口まで走ると、勢いよく思いっきりドアをひっぱた。

でも。

「開かない!どうして!?」

私が何度ドアをバタバタしても扉は外の景色を見せてはくれない。

「どういう事?入ってきた時は軽かったし、入った後も鍵が閉まるような音もしなかったのに...。」

その時だった。

「騒がしいな。人の店で何してるの?」

「え?」

私の後ろに現れたのは、黒のスーツ姿をした私と同じくらいの少年だった。

部屋に明かりがないため顔はよく見えない。

「あ、あの、ここの店員さんですか?」

「そうだけど、君、誰。客?」

「あ...はい。」

「とりあえず扉から手を話してくれない?壊れちゃうから。」

「あ...すみません。」

私はそっと扉から手を離す。

「あの、ここってどんなお店なんですか?ちょっと見回したけど、アクセサリーとか売ってますけど、そういう小物系のお店なんですか?」

「まぁ、そうだね。」

「じゃあ何か買ってもいいですか?」

「いいけど...買えるかな?」

店員さんの男にしては少し高めの声が静かな店の中に響いた。

「え?どういう事ですか?」

「さぁね。」

....,それから沈黙数秒。

「あ、あの!さっき気になるの見つけたの!」

「へー」

私はさっきのガラスケースの中の薔薇の前にたった。

「これは何?」

私が明るくいうと「毒薔薇。」と彼は静かに言った。

「毒薔薇?」

私か聞きかえす。

「それに触れると失明するよ?ここには危険な物しかない。今店の電気をつけてあげるから、そこから動かない方がいいよ。」

数秒後、店全体が明るくなり、私は眩しくて目を瞑った。

そして、ゆっくりと再度目を開けると、そこには右の瞳を常盤色である長い前髪で覆いかくした、金の瞳をした彼がたっていた。今見ていた薔薇より全然綺麗だ。

ていうか髪色が私と似てる...

「凄い。神様みたい。」

私がそう呟くと彼はふっと笑って

「ふっ。ぼくが神様?どっちかって言うとぼくは悪魔なんだけど。ま、いっか。」

え?悪魔?この人なんなの...?

「君、毒薔薇が欲しくてここに来たの?」

「違うの。でも、知らないお店だったからなんとなく入っちゃっただけで。」

「なんだって...!?」

「きゃあ!」

「今なんていった!?何も求めるものがないのにこの店に入ってきただって!?」

私の台詞のどこにびっくりしたのかわからないけど、彼は私の肩を掴んで顔を寄せてきた。

「貴方はなんなの?なんでこのお店はこんな物を売ってるの?」

気づくと体が震えている。

なによ!なんなの!早く覚めてよこんな夢!

目から涙が溢れる。それが私の頬をつたい、口の中に入りこみ、しょっぱい味がした。そんな時だった。

「君泣いてるの!?」

「ひゃあ!」

ずいっと彼は更に私に自分の息がかかるくらいに近づいてきた。

「ひっ...!」

しばらく見つめあったあと、彼の方から口を開いた。

「へー。怖いと泣いちゃうんだ。君、可愛いんだね。」

物凄く悪趣味な笑顔で私を見る彼。

「君、名前なんて言うの?」

「え..?」

「聞こえなかった?なーまーえー。」

「あ、鏡硝子です。」

「ふーん。硝子か。可愛い名前だね。」

言いながらまたニコニコ。

なんなんだろう彼は。

「ねぇ!」

「はっはい!」

「ぼくの名前も教えて欲しい?」

ん?と小首をかしげる悪魔くん。

教えて欲しくない。そういえば彼が不機嫌になるような気がして。

「まぁ...。」

と、私がぼそっと呟くと

「本当に⁉︎」

と今度は彼は無邪気に笑った。

「ほんとって?」

私が聞くと耳元で

「後悔しない?」

とただ、一言だけいったきた。

私はその言葉の意味がわからなかった。

だから簡単に答えてしまった。


「教えて。」


彼は私から離れてそこから手を差し出した。

「ぼくは、狂魔きょうま。人間の願いやぼくが本来いる世界、霊界の生き物の願いを手助けをするこの店、狂夢店きょうむてんで働く悪魔だ。よろしく。パートナー、硝子。」

「え?パートナー?」

「うん。だって後悔しないって硝子が...。」

「うそ...」

「嘘じゃない。」

「パートナーってなに?私もこの変な店で働けって言うの⁉︎」

「そうだよ。悪魔の名前を問うのは、人間からの契約の証なんだ。さっきぼくに言っただろ?名前を教えてって。君は今日からぼくのパートナー、悪魔に憑かれる者、魔憑かいまつかいだ。」

「なっなにそれ!いきなりそんなの!」

やばい。また泣きそう。

「なんでまた泣きそうになってるの?さっき店楽しそうに店を見てたじゃないか。」

「楽しく見てたのは外だけ!中はいや!よく見たらなんなのこれ!骸骨売ってるじゃない!」

私はレジの隣りに置かれている骸骨を指した。

「ああ。これか。」

狂魔はその骸骨を手にとり、頭の左側に被った。

「これ、帽子。ぼくの魂を移してそこから景色も覗ける。凄いでしょ?」

「え?それじゃあさっき私が感じたのって貴方だったって事?」

「うん。そうだよ。」

「なっ...!だったら助けてよ!怖かったんだからね!」

「だって可愛かったからさ。」

「は!?」

私の顔が少しだけ赤くなった。

「硝子、とっても怯えてて可愛かったよ。また見せてくれる?」

そう言ってまた顔を近づけてくる。

「何言ってんの!?やだ!」

「でも契約したし、鍵も渡すからまた来てよ。」

「鍵?」

狂魔君はスーツの胸ポケットから、鍵を取り出し、私の掌に乗せた。

「きれー...」

ガラスで、できた小さな鍵。

三日月の形のストラップが付いている。

「可愛い。」

「あ、笑った。硝子、笑った顔も可愛いんだね。でも泣き顔の方がいいかな。」

いい人?みたいだけどだいぶ性格歪んでるなー。

「また来てね硝子。待ってるよ。」

「え?」

「それ、夢合鍵ドリームペアキーっていうんだ。それを持ってると、いつでも狂夢店に来れるから。」

「ありがとう。でも、もう2度とこないわ。夢だもん。じゃあ私帰るね、狂魔くん。」

「ふふ、違うね。ここは生と死の都と呼ばれる人間の夢と繋がっている不思議な世界なんだ。それと、ぼくのことは呼び捨てで狂魔って呼んでよ硝子。」

「あなた、何言ってるの?大丈夫?私の夢が別の世界に繋がってるなんてありえないでしょ。さよなら狂魔。」

「うん。またね硝子。」

「またねじゃなくてさよならよ。」

「まって。」

「なぁに?」

「帰りはあっちだよ。」

狂魔は2つある倉庫の右側の倉庫を指差した。

私は疑いながらも彼の言う通り倉庫の中に入った。

目の前には謎の水が溢れたよくテーマパークなどに設置してあるような可愛らしい井戸があった。

「これがなんなの?」

「そこからじゃないと人間は帰れないんだ。」

「え?」

「ぼくを信じて背中からゆっくり落ちてごらん。」


次の瞬間、私は体を彼に倒されてその謎の井戸に落ちた。


「あー!変な夢見た!なにが悪魔の店主よ!笑っちゃうわ!」

私はベッドから跳ね起きた。

が、その時パジャマのポケットから出てきたのは、夢のなかで狂魔から貰った鍵だった。

「あの鍵!...まさか、じゃないの?」


こうして私と狂魔の不思議な出会いは終わり、そして次の日から当たり前のように寝ると狂魔に出会うようになった。

そして今も...


「硝子!ねぇ硝子ってば!」

狂魔に呼ばれ、私は我に返った。

「あ、なっなに?」

「何ボーッとしてんの?」

「あ、ちょっと考えごと... 。」

「あっそ...」

「ねぇ、今日まだお客さんくるかな?」

「もう今日は来なくていい。」

そう言ってずっとカウンターにうつ伏せている狂魔。

ちなみになんでレシなんかがあるのかというと、そのドロアの中に客から貰った魂を保管するためなんだとか。

そんな事を私が考えている間もふぁーっと大きな欠伸をする狂魔。

お店の店主がこれでいいのかな...。

私は部屋の奥にある鏡を見ながら髪を梳かした。

「リボンが曲がってる。」

私の学校は校則が緩い。制服はリボンとスカートとハイソックスと、制服らしい格好をしていれば何も言われない。

私は自分の常盤色の髪に似合うように、青色の大きなリボンを頭につけている。

鏡の前でくるりと一回転をして満足すると、店の扉が開く音がした。

私が振り向くとそこには頭の左右から小さな羽、背中に大きな羽を生やした男の子が立っていた。

「ここか?狂魔がやっている悩みを解決してくれる不思議な店ってのは...。」

黒い皮のコートに薄い青色の瞳。

どことなく神秘的な雰囲気を持つ彼はおそらく蝙蝠の霊界動物だろう。

「あの、いらっしゃいませ。」

「ん?女?この店の店主は悪魔の男のはずだが。」

「あ、私はここでお手伝いをさせていただいている助手みたいなもので硝子っていいます。」

「助手?人間の女を雇うほど忙しいのかこの店は。」

「あ、そうみたいですね、ははは...」

私が苦笑いすると、蝙蝠さんはため息を吐いた。

「まぁいい。それより狂魔はどうした。」

「あの、これ。」

私はまだ顔を伏せて寝ている狂魔を指した。

「おい、おきろ。」

寝ている狂魔を少し乱暴にゆすって起こす蝙蝠さん。

「ん?なんだ、宵月よいづきか。」

「狂魔、頼みがある。この店の魔具を俺に売ってくれないか。」

「魔具を?霊界の生き物がこの店の魔具を買うときは魂の一部を貰う約束なんだけど、わかってる?」

「わかってる。半分やる。」

「半分も?何が欲しいの?」

「蝙蝠のシンボルである背中の翼が実験で焼けてしまったんだ。お前の魔具で時間を戻してくれ。」

寂しさと強さ。そんな



ぼく、狂魔は起きた。

霊界動物の蝙蝠であり科学者でもある宵月が店にきたからだ。

どうやら実験中に自分の翼を焼いてしまったらしい。

その翼を取り戻しに来たのか。

「硝子、A倉庫から巻き戻しの花束を持ってきてくれる?」

「わかった。あの黄色い大きな花束の事だよね?」

「うん。そう。」

僕はA倉庫に硝子が入っていくのを確認して宵月に向きなおる。

「痛むの?それ。」

ぼくはドロリと焼けた宵月の小さな翼を見つめて言った。

「痛みはない。痛みはないが、科学者としてのプライドを失ってしまった。翼を戻したい!」

彼の思いはとても真剣だった。

けれど教えてあげなくてはいけない事がある。

「宵月。」

「なんだ。」

「時間なんか戻してどうするの?何か意味あるのかな?」

「なんだと!?」

宵月かぼくを睨みつけた。

「翼を取り戻す...ね。本当にそんなことできると思ってるの?」

「できる。俺は魂を半分もやると言っているんだ!取り戻せなくては困る!」

「必死だね。」

ぼくは呆れた声で言った。

「当たり前だ。なんども言ってるだろ!背中の翼は蝙蝠の証。ましてや俺は科学者だ。実験失敗で翼が焼けたなど...」

「自分の失敗を時を戻して消すなんて愚かだね。」

「黙れ!」

胸ぐらをつかまれた。

「痛いなぁ、離してよ。」

「...っ!貴様に何がわかる!俺は!俺は!」

だんだんと俯いて、ぼくの体を離す宵月。

ぼくは乱れた服を整えて倉庫の方をみた。

「なにしてんの?早く来なよ。」

「だっ、だって...なんかでるに出れないと言うか怖かったと言うか...。」

ぼくが呼ぶと硝子は倉庫の中からそっとこちら側にでてきた。

「で、あったの?巻き戻しの花は。」

「うん。1番奥にあったけどわかりやすかったから。」

倉庫からでてきた巻き戻しの花を両手で抱き抱える硝子。

ぼくは硝子を手招きして、宵月の前に立たせた。

「渡してあげて。」

「はい、どうぞ。」

硝子が宵月に大きな、巻き戻しの花を渡した。

「あ、ああ。」

「まず、その花に強く意識を集中して。で、」

カウンターからでて、宵月の肩に手を置く。

「まず、巻き戻したい日付けを願う。その次にそこから何時間そこにいたいかを念じてそれぞれ花びらを千切って。その時間が終わればここに戻ってくるから。」

「わかった。」

宵月は今日の朝、翼が焼ける前の時間を願いそこから4時間だけ戻れる花びらを千切った。

「4時間か。その時間はお前のタイムリミット。それ以上は過去にはいられないからね?」

「了解した。」

宵月は不思議な光に包まれてふっと、そこから消えた。



「ん?ここは?」

気がつくと彼は自分の我が家であるバッドハウスにいた。

目の前には数々の実験道具。

「帰ってきたのか...。実験する前に。」

そうだ!1番に確認しなければならないこと。

「翼!右の翼は!」

首を少し後ろに向けるとそこには、実験前の綺麗に整えられた右翼がそこにあった。

「おお!元に戻ったぞ!素晴らしい!」

だが、そんな浮かれた自分は何をするだろうか。


今日も実験を始めよう。


いや、違う!やめろ!夢中になるな!

自分に言い聞かせる。

「俺は天才科学者だ!この実験で新しい薬品を...!」

ふざけるな!馬鹿野郎!

ゴポゴポと音のする大きな鍋。

紫色のドロドロとした液がその中で怪しく煮込まれる。

「早くできないだろうか。」

自分は鍋を傾けて持ち、中を覗く。

その時だ。鍋の周りが油でベトベトだったのだろう。鍋は自分の手をすり抜けて床に落ちた。そして。

「うわっ!」

中の液体が飛び散って自分はその液体を浴びてしまった。

「くっ!熱い!」

手と顔を確かめ溶けていない事を確認し、ほっと胸をなでおろした。

だが、次の瞬間。ドロッという朝に聴いた嫌な音がした。

まさか...まさか!

「うわぁあああ!」

右翼は焼けていた。

「なぜだ!羽にはかかっていなかったはずだ!なのに何故⁉︎」

そこで意識は途切れ。



「狂夢店の中?」

巻き戻しの花の効果が切れ、宵月さんは私と狂魔がいる狂夢店に帰ってきてしまった。翼をまた焼いて....

「なぜだ!なぜまた俺は翼を焼いてしまったんだ!」

激昂する宵月さんをたた無表情で見つめる狂魔。

「それは宵月が過去でまた実験をしたからでしょ?ぼくは約束通り時を戻したんだから魂は貰うよ?」

狂魔は冷たい瞳で宵月を見た。

「くっ...!!」

「君の契約は半分だったね。くすくす。美味しそう。」

狂魔の手が宵月くんの胸元に触れると、宵月くんはピタリと動かなくなり、

「あ...魂が...!待て、きょ...」

と呟いたあと動かなくなった。

今、彼の体から魂の半分を抜いているのだ。

暫くして狂魔が手を離すと宵月くんは再び動きだした。

はぁはぁと苦しそうに息を吐いている。

そんな彼に狂魔はにっこりと笑顔を向けた。

「我が狂夢店のご利用ありがとうございました。またのご利用をお待ちしております。」

「誰がくるか!」

「そうだよね。また君が来たら」


「今度は死ぬんだから。」


こうして。

狂魔の笑みに震え、宵月さんはこの店をあとにしたのだった。


狂夢店にある不思議な力を持つアクセサリーや骨董品を模した道具、魔具まぐを求めてやってくる不思議な生き物達。

私はこの人達と出会う事で大切な何かを学んでいく。



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