ナキスチア革命記

kurn

第1話 始まりの音が鳴る

人類は二つの種族に分かれた。<アルチア>と<ナキスチア>。

力だけで差別される。

ある時、ナキスチアの青年達が世界を変えようとした。

こんな世界に生まれてしまったこと、なぜ二つの種族が生まれたのか。

様々なことに疑問を持ち、立ち向かう。

ここから彼らの革命は始まったのだ。

そう、この日から…。


都市・アルスのはずれのはずれ、そこにあるナキスチアの町・クルト。ここにはたくさんのナキスチアが暮らしている。


浮凪うきな!今日は何する?」

浮凪と呼ばれた青年は、だるそうに瞼を開いた。

青年は、左右で丈の違うズボンに膝まであるプルオーバーのパーカーを着ている。そのパーカーもところどころ穴が開いている。そして一番の特徴は白銀の髪の頭に真っ黒の狐の面をつけていることだ。

ウキウキとした目で俺に問いかけるのは、幼なじみ(腐れ縁と言うべきか)の刻杜こくとだ。

刻杜は浮凪と同じくらいの身長で、タンクトップの上にだらしなくパーカーを羽織っている。黒髪の頭に真っ白な狐の面をつけていることだ。

「今日もテンション高いな。ウザい。そうだ刻杜、昨日頼んだのは終わったか?」

「うん!終わってるよ。あとウザいは傷つくなー。」

刻杜に頼んだこととは、アルダのことについてだ。

アルダは今の人類に必ずある力の一つであらゆる事をするのに必要なのだ。

「でもさ、なんでアルダについてなのさ?これはもう僕たちには関係ないのに…」

俺らにはアルダはない。アルダがない人間はなんて呼ばれると思う?

〘ナキスチア〙

こう呼ばれるんだ。

ナキスチアは迫害されている。

そもそも、あいつらはナキスチアを人間として見ていない。一つ同じ力が無いだけでこの扱い。あいつらはナキスチアを家畜、奴隷としか見ていない。

「それは、最近おかしなことがあってな。」

刻杜がさらに問いかけようとしたが、それは浮凪に遮られた。

「刻杜。お前はこの世界を変えようと思ったことはあるか?」

「あるよ…、何百年も前はアルダがないのが普通の世界だったって聞いた時に、ね。そう言う浮凪はどうなの?」

俺は…

「あるさ。当然だろ?こんな腐った世界だぞ。俺たちだって人間なんだ。」

そんな話をしていると、誰かが走ってきた。

「浮凪さん、刻杜さん!大変です!B35地区に襲撃がありました!」

「え…⁉B35って孤児院がある所だよね?浮凪!行こう!」

「ああ」


~B35地区~

「いやだ‼死にたくない、助けて‼」

小さな子供たちが逃げ回っている。

それを追いかけるように複数の影が動く。

影が通り過ぎた後には血だまりができ、たくさんの子供の亡骸が転がっていた。

「姉さん、ここで合ってるんすか?情報だと、黒狐こくき白狐はくきがいるってことだけど…子供ばっかですよ?」

黒狐と白狐と言うのは、浮凪たちの通り名である。二人は必ず狐の面をつけている。その色は黒と白。そこからこの通り名がついたのである。

「メルキア、何人か捕まえる?」

「そうだな愛逢めあ、頼んでもいいか?愬眞さくま、こいつらにはアルダがない、家畜だ。子供だろうが関係ない。そうだろ?」


攻めてきた奴らは司令官らしき三人を除いて顔を隠していた。

愬眞さくま様、メルキア様、愛逢めあさま。黒狐こくき白狐はくきがこちらに向かってるとの情報がありました。」

「それでは、全員この場で黒狐と白狐を迎え討つ!準備をしろ!」

「「はっ!」」


~B30地区~

「おい!そこのお前!」

浮凪が近くにいた少年に声をかける。

「何ですか?浮凪さん?」

「今、B35に襲撃があった。今から俺らは迎撃に向かう。お前にはB地区全域にA2地区に行くように避難指示を出してほしい、特にB27地区には早く出せ。わかったな?」

少年の顔は青ざめていたが、ハイと返事をして素早く行動に移した。

「浮凪、今の指示意味あるのか?」

「意味はある。B27地区にも孤児院がある。あっちの狙いが俺たちだとしても孤児院が襲われたんだ、用心に越したことはないだろ。」

刻杜は、この浮凪の言い方に少し違和感を覚えたが、今はB35地区のことが優先だ。

B35地区まであと少し。

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