春へ
@nonn
第1話2016年2月 眠りの端
眠りの底の少し手前で、
天井の一番大きな木目のほうに
焦点をあわせてじっとしていると、
見えているのかいないのか、
わたしはいま眼をあけているのだろうか
わからなくなってしまって
自分の全部が一瞬だけ
世界の目になるのを感じる。
こんなときにおもうのは、
だいたいがあなたのことでそちらでどうか
元気にやっていますようにとかそんな
月並みなことばばかりが気持ちのなかにならぶ。
あなたがそちらに向かったのは、
あなたがそうしたいと願ったからで、
不本意とか無念とか
やりきれない感情とは全く無縁のものであったとわたしはいま本当に信じてる。
あなたの笑ったときの目尻にできるくしゃっとした皮膚のおうとつの肌触りを思い出そうとしてみるけれど、
そろそろおもいだせないところにまできてしまったみたい。
声はもう、ずっとまえにわすれた。
頭がおもい。ああ、沈んでしまう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます