第4章 *4*
「うーん、アイツが遅刻なんて、めずらしいこともあるもんだな?」
(ホント、セオってば、どうしちゃったのかな……?)
始業時間になっても一向に現れないセオに、グランディは首を
「でも、今朝は私より先に起きて、優雅に朝食をとってましたよ。急に具合でも悪くなったとか……?」
その何げないサミルの説明に、グランディの目がキラリと輝いた。
「ふむ。ところで、一つ聞いていいか?」
「はい?」
「先に起きて朝食をって……お前ら一緒に住んでんのか?」
「……あっ! えっと、それはその、ですね、色々と深〜い事情がありましてー」
「ほぉぉ。まぁ、その話は今度じっくり聞くとして、とにかく何かあったら連絡くらい寄越すだろ。それより、お前は二日も休んでたんだからな、今日はしっかり頑張れや」
「はーい!」
などと素直に返事したものの、なんとなく
(体調を崩して休んだわけじゃない……っと)
しかし、家にも想伝局にもいないなら、どこへ行ったのだろう。
もしやと思ってリルカの店に寄ってみたがそこにもおらず、顔を出してもいないという。他にセオが行きそうなのは実家だったが、場所を知らないのでどうしようもなかった。
そして、落ち着かないまま午後の仕事を終え、想伝局を出たサミルは、不意に路地から伸びてきた手に腕を
(な、何っ!?)
とっさに上げそうになった悲鳴は、しかし直前で口を
「サミルさん、わたくしです。
振り返ってみれば、そこには
「……奴ら?」
眉をひそめてつぶやくサミルに、シェルスは大通りの方を視線で示す。
見れば、
「もしかして……セオに何かあったの?」
ただならぬ様子にサミルが青ざめると、シェルスは一瞬、
「セオ様は……第一王子暗殺未遂犯として、拘束されてしまいました……」
「ええっ!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます