とある脇役の悲恋
@Rintyu
第1話
俺には好きな女がいる
彼女とは幼いことからの付き合いで大体のことは知っている
彼女が死ぬまで守ると約束をしたこともある
だが、同時に結ばれることがないことも知っている
何故なら、彼女は子爵家の三女で、俺はただの騎士団員だからだ
付き合いがあったのは俺の親父が騎士団の副団長で、彼女の父と仲が良かったからだ
いくら、父親達の仲が良かったとしても、所詮平民と貴族の結婚は世の中が許してくれない
さらに、絶望的なことに彼女には好きな男がいる
そいつは同じ子爵家の次男で、将来も有望である男である
何故それを知っているかというと、彼女から厚い信頼を寄せられていた俺は彼女の恋愛相談を受けたのだ
ならば、俺はせめて陰ながら彼女を守ろうと必死に訓練し、彼女の家の騎士団に入り、又そこでも訓練し、今では小隊長に任命されふこととなった
これは、幼い時の約束をまもるいみもあり、精力的に取り組めた結果だった
そして、彼女の普段の護衛や子爵家の次男と会う時のの護衛を務めているうちにある事実を知った
男には好きな女がいたのだ
つまり、三角関係という奴だな
これを知った俺は、彼女には幸せになってもらいたい一心で彼女と男の関係を深くするため色々なことをした
例えば、彼女名義でパーティに招待し、パーティ中2人を引き合わせ、二人きりにしたり、その逆もした
彼女に恋愛相談を受けると、プレゼントや男の立場に立ってのアドバイスをした
その結果、彼女はある程度男の気を引くことに成功した
今では好きな女を優先していた男が好きな女と彼女との間に迷うようになったのだ
そして今日、彼女はその男に最後の告白をしに向かっている
護衛は俺だった
小隊で護衛するとき、俺の小隊とは違う隊が選ばれることも多々あったから今回だけは違う隊にしてほしいと願っていたが真逆の結果になってしまった
だってそうだろ?誰が惚れた女が他の男に告白するのを護衛したがるんだ?
兎に角、今日の俺の気分は最悪だった
今日の俺の見張りの役はあと少しで終わり、交代に入る
明日は今日より最悪の気分になると思うからせめて睡眠だけはしっかり摂る必要がある……
見張りを交代し、眠っていた俺は見張りのでかい声で目が覚めた
どうやら賊が襲ってきたようだ
賊程度なんともないとタカをくくっていた俺だったが予想外に苦戦した
結局、賊は壊滅させ、頭の首もとったが、俺自身頭と戦ったとき、相打ちのような形になり、重傷を負ってしまった
治療が必要だが、彼女の安全の方が重要のため、急いで男の家に向かい、そこで治療を受けることになった
正直、間に合うか怪しいが、彼女を守れた俺に悔いはなかった
これから先は恐らく男が俺の代わりに彼女を守ってくれる
幼い時の約束は守れないかもしれないが、彼女が幸せなら俺は満足だ
もし、生きれたとしても、彼女と男を見るのが辛いだろうし、男に嫉妬して彼女に迷惑をかけるのも嫌だから、生きれたとしても騎士団を辞め、彼女の知らない場所まで行こうと思う
それが彼女の幸せのためだと信じて
俺の人生は全て惚れた女のために使うと決めているからな
だからそんな泣かないでくれよ
綺麗な顔が台無しだぜ?
とある脇役の悲恋 @Rintyu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。とある脇役の悲恋の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます