旅人作家 ヴァルデマル・ファルチ
蔭山 小桔
第1話 戒律
今は無邪気に嬌声を上げ、街を駆け巡る子供らの曽祖父母の時代、国は戦火に蹂躙されんとしていた。
広大な領地と豊かな資源は他国の羨望を集め、我先にと略奪を謀り、牽制し合う国々は、一先ず同盟を結ぶこととなる。
戦上手の猛々しい国王は同盟国相手に怯むことなく奮戦し、その勇猛果敢さたるや時の吟遊詩人が幾度も歌にした程。
だが、王は死した。
そして国は、同盟国との和平協定を締結させるに精切り、兎も角戦は終結した。
押し殺した悲鳴が再び嬌声へと戻った祖父母の時代、とある戒律を背負い、各地を旅する者が現れた。
『一つ、その者は 声を発してはならない
一つ、その者は 姿を曝してはならない
一つ、その者は 作品を途絶えさせてはならない
一つ、その者は 歩みを止めてはならない
吟行の果て 彼の地を身顕すまで』
戒律を守りし者、その名を、ヴァルデマル・ファルチ。
旅歩き、物語を紡ぐを生業とする旅人作家である。
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