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しかし、今となっては。
――――バーキン氏が、どこかの信号待ちで。ワゴン車から、物音を立てずに降りてきて。斜め後ろの死角から、こっそりシェヴラに近づいて。
そんなの、気付かないほうがどうかしてるのかもしれないが。「牽引先がドロンするかも!」とか、思わないよね普通?
(それにしても。いったい、どこで……だろう?)
あのワゴンが、実はいつでも自走を開始できたとなると。いま、このシェヴラテインが嵌っている
(まあ、それは無いな。)
というのも、ちょっと前に。まさに当のロージーが、凄い勢いで走っていくなぁ……と。気付いたことを、思い出したからだ。あのハニーブラウンの頭髪が、凍り付いた車たちの間で見え隠れしながら。反対車線側の歩道を、
僕はそれで……ほうら、ロージーが「追跡行」に参加していたなんて、バーキン氏のフカシだったじゃん!ずっと
見事な夕日のもとで、赤く染まっていた街並みは。迫る宵闇を前に、こんどは青く染まっていき。その中で、前方に伸びる赤いテールランプの列も、反対車線側のヘッドライトの列も。ほとんどが静止しており、再び流れ出す気配もなく。僕の
それでも
だが、それでも。
見慣れた場所の「異変」には、例えそれが僅かなものであっても。どうにも……どうにも
「うッ……!?」
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