第13話 特技開発でございます


 お、いたいた! 念話で挑発したら寄ってきたぞ! ゴブリンが。


 ところで私はロモンちゃんと魔法の練習をしていて、それで魔法の仕組み…いやMPの仕組みについて少し考えてみたんだけど……。


 自分が持ってるMPを自分がまとっていてなおかつ自由に操れる液体だと仮定してみたんだよね。


 念話の場合、それを頭に集めて放出する感じで、ペアの場合それを手のひらに集めて、『ペア』を出したいと意識しながら出せばペアになる。

 オフェもデフェも理論的には一緒だった。


 つまり、MPは用途さえきちんと頭に入れてれば、何にでもなれるということ。

 私は、それならばそのMPを直接攻撃に使えないか考えてみたんだ。


 拳を握って、そこにMPをパスタをフォークで絡めるような回転的にハンドプロテクターをつけているような感覚で囲ませるようにし、その囲んでいるMPをまるで容器が割れて飛び出した液体のように、暴発的に流れ出すイメージをする。

 どうなの……どうなの……どうなるの!



 ___ドゥォ!



 そう、音がしたと思ったら私の拳は水色のオーラのようなものに包まれていた。

 

 やった! 成功した!

 何かしら起こるんじゃないかって思ってたけど、予想以上の成果だね!



【『魔流の気』を習得しました】

【行動超大ボーナス! 全ステータスが飛躍的に上がりやすくなった】



 よし! 技に認定されたことだし寄ってきているゴブリンをこの拳で殴ってみよう!

 あれ? ゴブリン少しビビってない?

 まあ、目の前にいた雑魚って共通認識されている奴がいきなり水色のオーラ出し始めたら誰だってビビるよね。


 まそんなことは置いといて、私はゴブリンのみぞおちを右ストレートで、魔流の気を纏った状態の拳で殴ってみた。


 

「こべぁぁぁぁっ!?」



 ゴブリンはものすごい勢いで吹っ飛んで、思いっきり木にぶつかった。

 それでどうやら倒したみたいで経験値が入った。


 私はランプでそのゴブリンを確認してみたところ、酷い惨状となっていた。

 内臓が破裂したのか、口から血が滝のように流れてたり……。


 私は割とヤバいものを習得しちゃったんじゃないかな?

 今後うまく使えるようになれば、消費MPも減るかもね。今回は初めてだったからMP30も消費しちゃったけどね。


 トゥーンゴーレムでこれなら、進化したらどうなるんだろ……漫画みたいに地面に大きなクレーターができるくらいの威力になったりして。



 大きな成果を経た私だが、だがしかし、まだ実験がしたりない。

 新たな獲物を探し求め、挑発的に念を送り続ける。


 次の被験体を見つけた、まぁやっぱりゴブリンなんだけど。


 今度は武器に魔流の気を付与できないかやってみる、試しにナイフで。


 拳と同じようなイメージをすることで、案の定魔流の気をつけることができ、ナイフも水色のオーラに包まれた。

 今度はMP25しか消費しなかったよ。

 慣れてきた証拠だね。


 私は素早くゴブリンの喉に向かってナイフ斬りつけてみたところ、どうやら切れ味と威力が上がったっぽかった。


 よし、武器にも効果がある…と。



 まだまだ魔力による実験をしよう。

 次はこの魔流の気を、アニメや漫画みたいに飛ばせるかだね。


 またゴブリンに被験体になってもらう。

 MP5消費分の魔流波を拳に纏い、それをこちらに向かってくるゴブリンに向かって打ち出すようなイメージで発射する。


 なにやら拳状のものが発射され、ゴブリンに被弾した。

 顎に被弾したため、ゴブリンは気絶したようだ。


 じゃあそのままそのゴブリンにナイフでも魔流波を発射できるかしてみよう。


 私はナイフに魔流の気を纏わせ、横に振ってみた。

 すると、ナイフについてた魔流が鎌…そう、刃物のようになって飛んでいき、見事ゴブリンに被弾。

 ゴブリンを倒せたようだ。



【『魔流波』を習得しました】

【『魔流斬』を習得しました】

【行動大ボーナス! 全ステータスがかなり上がりやすくなった】


 

 技だと認識されたみたい。

 それにしてもステータスがバンバン上がりやすくなるなぁ…。

 自分で開発したからかな?


 

 しつこいようだけど、まだまだやりたいことはたくさんあるんだよね。

 瞑想すればいくらでもMPは回復できるし。


 またゴブリンを見つけ出し、今度は拳に魔力を一点にためて、ためて、ためて、凝縮してそれが一気に弾けるような、爆発をイメージをした。


 その魔力が凝縮された拳でゴブリンを殴ると、拳が一瞬、ピカッと光り……予想通り爆発した。



【『魔集爆』を習得した】

【行動ボーナス! 全ステータスが上がりやすくなった】



 ゴブリンを倒したうえ、技だと認れたのはいいんだけど、自分の腕まで吹き飛んでしまうとは…使いどきを選ぶかも。


 しかたない。土でも吸収してまた生やそう。

 さて、これで論理的には、体全体の魔力を身体の中心に集めて爆発させれば、相手を捉えたまま自爆もできる。

 まあ、でも自爆は最終手段だよね。


 それに、MPを消費すれば消費するほど、この爆発の威力と範囲は広がるみたいだね。



 数分経って、腕が再生した私は今のゴブリンの棍棒を拾った。次はこれを使うんだ。


 今度遭遇したのはムカデ。

 私はゴブリンの棍棒の先っちょに、先ほどと同じように一点にMPを集める。

 

 そしてその棍棒をムカデに振り下ろしたら…棍棒の先が光って爆発し、ムカデは弾けた。

 ふむふむ道具を使えば、道具は壊れるけど自分へのダメージは薄れる……と。


 これでかなり魔集爆が有用かさせられたかもしれない。

 例えば、ただの石に魔集爆を施して、投げつければ手榴弾できなものもできるわけだ。

 思ったより便利なわざかもしれない。



 さて、そろそろ最後の実験にしようかな。


 それは[魔流の気]と[魔集爆]の混合技の開発!


 私はまた、ムカデを見つけた。

 今度は魔流の気を纏ったまま、魔集爆をしてみたんだ。

 結果、自分に返ってくる爆発のダメージを軽減することができた。



 次に『魔流波』に『魔集爆』をのせてみる。

 

 やってみたところこれが大大大成功!


 飛ばす前に、道具と同じように、私を覆っているオーラに魔集爆をつけるようなかんじにしたんだけど、魔流波が、当たったらその場所が爆発するという、予想通りの嬉しい結果になった。

 しかも、『魔爆砲』という技として認められ、技を開発したからか、さらにはステータスまでだいぶ上がりやすくなった。


 最後にナイフでも同じことをしてみた結果、魔流斬が刺さった敵が爆発する、『魔爆斬』という技として認められた。


 

 ……まぁ、こんなものかなー。

 今回の実験はここまでにしよう。


 だいぶ技が増えた。

 魔流の気なんかはリンネちゃんに教えてもいいかもしれない。

 それに魔集爆のおかげで正直、格上が来ても引き分けにはできる自信がある。

 

 レベルも9になった。

 ステータスの上昇量が、8レベと比べてとんでもないことになってる。

 最低ランクのステータスではないことは確かだ……。


 そんなことよりあと1レベで進化できるんだよね?

 じゃあさっさと魔物見つけてレベル上げしなきゃね。



 私は念で喧嘩売りまくって片っ端から殴って倒していった。

 途中、[探知]という、自分の一定の範囲にいる生き物を探れる特技と、[挑発]という魔物をおびき寄せられる特技を習得し、より魔物狩りのペースも進んでいった。


 そして、ついにレベルが10!


 ………を通り越して11になったわけだが……進化しなかった……。


 え? まって…なんで進化しなかったの?

 亜種に進化はどうなったの?

 なんで……なんで……?


 ま…まぁ、今はとやかく独り言を言っても仕方がないね。

 帰ったらおじいさんに問い詰めよう。


 私は多少ご立腹になり、隠れている魔物を片っ端から殴っていった…故にさらに12レベルになった。


 すこしステータスを確認してみる。



==============

アイリス (トゥーンゴーレム)

Lv.12


HP: 135/135

MP: 114/114

攻撃:170

魔力:111

防御:161

器用:137

素早:140


特技: [念話][挑発][探索] [魔流の気]

   [魔集爆][魔流波] [魔爆砲]

   [魔流斬][魔爆斬]

魔法: [ペア][オフェ][デフェ]

==============

 


◆◆◆



 ふと、おじいさんから借りた、古めかしい懐中時計を見ると、いつの間にやら朝の6時になっていた、

 進化しなかったことに対してすこしイライラしながら家に帰宅。


 家の中に入ると、おじいさんが既に起きていて、紅茶を飲んでいた。

 老人ってやっぱり起きるの早い。

 


「おお戻ったか、どうじゃ? 進化し……てないじゃと?」


 

 おじいさんは非常に驚いた様子でいた。



【はい、レベルが12まで上がりましたが進化しませんでした】

「な……なんとまぁ……」



 そう言うなり、彼は物凄く満面の笑みを浮かべていた。

 なんで笑ってよろこんでるんだろう?

 こちとらそれどころじゃないってのに。



「おめでとう!」



 なにがじゃー!



「君は"超越種"になれる!」

【は? 今なんと……】



 なにかまた新しい単語が出てきましたけど?



「だから、亜種より上の存在、超越種になれるんじゃよー! こりゃあ驚きじゃ! まさか孫の初めての仲魔が超越種になれるなんて! わしとて3匹しか超越種は育てたことがない、見たことも少ない。今日はお祝いじゃのぉう!」



 亜種より…上の存在…だと!?

 つまり私は才能の塊だということか、これは驚いた…。

 何度も考えてるように、美少女やイケメンに本当は転生したかったけど、なんと、天才に転生できたか…。

 こりゃあもう死ぬわけにはいかないね。

 

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