第225話 デート二回目でございます!
「ほーら、今日も可愛いよ!」
「この間は黒だったけど、今日はアイリスちゃんはあまり着ようとしない赤色メイン! アイリスちゃん自身が白いから、赤い色もよく似合ってるぅ!」
「ありがとうございます……!」
今回も二人にデートの服を一緒にチョイスしてもらった。リンネちゃんのいう通り、赤色の服は普段着ない。
だから色々気になるところはあるけど、似合ってるって言ってるし、大丈夫よね。
「じゃあ、行ってきます!」
「いってらっしゃい。約束の時間より50分早いけどね」
地味に前回、私より前にガーベラさんが待ち合わせ場所に居たことが気になっていたりする。
今日は私の方が早いはず。
すぐに前と同じである待ち合わせ場所に私はついた。
「もうきたの!?」
「もう居るんですか!?」
なんと、ガーベラさんはもう居るではないか。
さらに早く出たのに、ガーベラさん居るなんて……。
「あの、念のためにお聞きしますが、いつからここに?」
「1時間前かな」
「そ、そんなに早く来なくてもいいじゃないですか!」
「だってアイリスのことだからやっぱり今回も早く来ると思ってたし……あと、楽しみだからってのもあるかな。居ても立っても居られなくなって」
照れくさそうにハニカミながら彼はそう言う。私もなんだか頬が熱くなってきた気がする。うん、私ももちろん楽しみだった。
「ま…まあ、デートの時間が伸びるのは良いことです。さっそく行きましょうか」
「うん」
2回目だからか、とくに引っかかることもなくデートは開始した。前と同様にガーベラさんの隣に添うように私は歩く。
「今日は何をしますか?」
「前は武器屋だなんて、思いっきり男の趣味の場所に連れてっちゃったから、今日は服でも……と思ったんだけど、どうかな?」
「私、武器見るの好きですから大丈夫ですよ。……服を見に行くのですね、わかりました」
実は服より武器の方が好きなんだけど、付き合い始めたばっかりでそんな本音言わない方がいいでしょう。
店が多くた立ち並ぶ通り。いつも私と双子の三人でよく服を買う場所。
「なにかプレゼントでもしようか?」
ガーベラさんが店を流し見るようにキョロキョロしながらそう言った。そういえば前も高級店で、昼食の代金払ってもらったりしたわよね。
あの時は男の人の顔ってものを立てるために受け入れたけど、私はお金がかかる彼女でいたくない。
じゃあどんな彼女を目指してるのかと問われても、答えられないけど、とりあえずいい恋人でありたい。
「私はお金をかけなくても大丈夫な彼女でいたいので、お気持ちだけで十分です」
「そうか。なんだかアイリスらしいね。もしかして前回の昼食の時も別の意味で無理させちゃったかな?」
「いえ、そんなことは。なんだか新鮮でしたし、嬉しかったですよ」
「良かった。……あー、でもどうするかな。お金をかける以外に、彼氏っぽいことって一体なにをすれば……」
あれ、もしかしてガーベラさんも私と同じような、恋人っぽい行動で悩んでたりするのかしら。
としら二人して無理をしていることになる。そう考えるとなんだかおかしくなってきちゃった。
「ふふっ……」
「ん? どうしたの、アイリス」
「失礼、ふふ。実は私も日頃、彼女らしい行動とは何かとよく考え、それをデートで実行しようと考えたりするのですが……まさかガーベラさんも同じこと考えているとは思いませんでしたので」
「アイリスも俺と同じように俺にどう対応しようか悩んでるってこと?」
「そうです」
「ははは! なんだそりゃ……お互いに無理してたってことか。俺が今のなら……大方、昨日のアイリスはいきなり甘えてきたりするアレかな?」
「ええ、実は」
お互いに笑みがこぼれる。なんだかおかしくなってきちゃった。二人ともで気を遣い合って、二人して慣れないことをしていたのね。
「もうそんな気を遣わないでいいよ。どちらかというと、俺はありのままのアイリスの方が好きだ」
「私もです。普段通りのガーベラさんが…す……すす…好きですっ……」
「もしかして今のが一番恋人同士っぽかったりするかな?」
「かもしれません」
かなり早い段階で二人でそういうことに気がつけて良かった。無理を続けてたら破局を迎えることだってあるかもしれないし。どっちかが精神的に参ったりとかもするかもしれなかったわね。
「じゃあ、改めて。でも周りには恋人っぽくみられるようにはしたいんだけどな」
「それはそうですね」
「まずは手でも繋いでみようか? そこから段々と段階を踏んで行く形で……」
「もう頭まで撫でられちゃいましたけど」
「そ、そこも一旦忘れて……いや、忘れなくていい。撫でたいときにまた撫でるよ。許してくれるなら」
「付き合ってるんですから、いくらでもどうぞ」
そう言ってあげると、ガーベラさんはたどたどしく私の頭に手を置き、少しだけゆすぶった。やっぱり大きくて少しゴツゴツしてて、ちょっと気持ちいい。
でも周りの目も気になるかな。やっぱり外でイチャつくものじゃないか。
「街中で撫でられるのって少し照れますね」
「そ、そうだね。撫でるのも少し照れるよ。……て、手も繋ぐ? どうしようか」
「繋いでみましょう。こ、恋人同士ですから堂々としないと」
「だよな」
ガーベラさんは私の頭から手を離し、今度は私の手を取った。まだ指を絡めるだなんてことはできない。せいぜい、握るのが精一杯だけど。
「ま、街中で手、繋いじゃいましたね」
「そうだね」
「ちゃんと恋人同士に見えるでしょうか?」
「きっとね」
誰かみてやいないかしら。誰か私と彼の仲を笑っていたりしないかな? そういうことも気になるけど、とりあえずこの人の手は暖かい。
「こうしてるのはいいけど、デートプラン練り直さなきゃ」
「このまま散歩してるだけでよろしいのではないでしょうか。無理にプランなんて考える必要はありませんよ。そうだ、途中でポテラン焼きの屋台でも見つけたら食べましょう、そんな感じで散策していくんです」
「いいね、それ」
私とガーベラさんは手を繋いだまま歩いて行く。歩くことより手の方に意識が集中し、時々人とぶつかりそうになるけどね。
やがてポテラン焼きではなかったけれど、その場で作るお菓子を売ってる屋台があったため、立ち寄り、お菓子を買った。
「いいですね! 出来立てはやっぱり」
「そうだね。アイリスは普段、お菓子とかって作るんだよね?」
「ええ、わかっちゃいます?」
「うん、お菓子とかよく作ってそうな感じするよ。きっと美味しいんだろうね」
「ロモンちゃんとリンネちゃんは美味しいって言ってくれますね。ガーベラさんのお口に合うかは別……あ、そうだ」
今、ちょっととんでもないことを考えついてしまった。でも、この考えは実行してみたい気がする。
でも私とガーベラさんの間柄じゃ早いかな。どうなんだろう……言ってみるだけ言ってみよう。
「どうしたの?」
「あの……お菓子ではありませんが、昼食、もしよかったら……私が作りましょうか? あの、ガーベラさんの今住んでいるところに訪れても良くて、台所があるのなら……ですが」
「ほんと!? 実は俺自身、良く料理をするから今住んでいる借家は台所付きでね……うち、来るの?」
「いいですか?」
でもちょっと待って。もしかしたらガーベラさんが家に入った瞬間に……って、あの蟹じゃないんだし、ガーベラさんがそんなことするはずがない。
ガーベラさん自身の返事はどうなのかしら。
「わかった、いいよ。……でも今、あんまり食材が揃ってないんだが……」
「買いに行きましょう!」
「うん、そうしよう」
なんだか、私たちらしいデートができる気がする。
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