第97話 姿を決めるのでございます!

 一通りロモンちゃんとリンネちゃんを堪能した私は、2人から離れた。



「さ、アイリスちゃん! これからお買い物行こっ!」



 そう言いながら、ロモンちゃんは私に手を差し伸べてくる。やっぱり可愛いなぁ…。

 今すぐ買い物行きたいのは山々なんだけれど、まだ、試してみるべきことが残ってる。



「まだ少し、試したいことがあるので…私から距離をちょっと」

「あ、うん。わかった」



 ロモンちゃんとリンネちゃんとお母さんは私から離れる。そして一旦、エンジェルゴーレムへと戻る私。



「どうするの?」

【退化して、その退化した時の半魔半人状態はどうなるかを少し】

「ああ、なるほどねー」



 そう、もしかしたらリトルリペアの時の姿だと、見た目が変わったりするかもしれない。

 トゥーン、リトルリペア、エンジェルから好きな時の姿を選ぶのよ。


 私はまず、トゥーンゴーレムの時の姿になった。

 前回同様エンジェルゴーレムの特徴がトゥーンゴーレムに反映されていた。



【では、やって見ますね】

「うん」



 お母さんはまた、分厚い本を取り出しメモをしてるけれど、それは気にしない。

 私はトゥーンゴーレムの時のまま、半魔半人化をして見た。再び、私の体は変な光に包まれて_____



「「わぁ! アイリスちゃん可愛いっ!!」」



 そう言いながら、ロモンちゃんとリンネちゃんはこちらに駆けてきた。この反応から見て、私の姿はまた変わっている。

 身長は…さっきよりも断然低くなっていて、お胸はぺったんこ。ツルンツルンのペッタペタ。

 ロリコンにはとても、見せられない体型。

 あと、顔立ちが幼くなって…うん、これは10歳くらいかしらね?

 本当に身長ごと変わるとは……おもしろい。



「「妹ができたみたい!」」



 そんな事を言いながら、2人は私の手を優しく握ってきたり、頭をナデナデしてくれる。

 着ていたものは消えていた。なるほど、姿によって変わるようになってるのか。

 でも髪型や身体の色や天使の輪や、胸の谷間(ないけど)にあるハートマーク、背中の天使の羽のアザはそのままだ。


 リンネちゃんまで私のことを妹みたいって言ってるよっ…て、ロモンちゃんと同い年だから、ちゃんとした妹らしい妹は居ないんだったね。

 なるほど…この2人の妹か。悪くない。


 この姿ならば、一緒にお風呂に入ったってなんの不自然もないわけだ。

 例えばこの多分、つぶらであろうこの瞳で、ジロジロと2人のことを見ても許されるだろうし。

 まあ、直接的なセクハラはさすがにないとしても、胸にめがけて顔を埋めてみても、身長が足りない子供が甘えてるようにしか見えないよね。

 特にそれを、お風呂の時に試そう。

 うん、何回かこの姿で慣れさせてからの方がいいかな。

 

 一緒に眠って、抱きつく、あるいは抱きつかれながら眠ることも可能なわけだ。素晴らしい! ブラボーとしか言いようがない! 最高なのだ! 

 小さくて幼いってなんて反則的なんだろう…!!


 まあ、動きづらいんですけどね。



「名残おしいでしょうが、次、行きますよ」

「もう?」

「もう少しそのままでも…」

「気が向けばこの姿にまたなりますから、今は…」

「「はーい!」」



 3人はまた私から離れてくれる。

 一旦ゴーレムに戻り、今の傀儡生の中で最も長いあの姿。リトルリペアゴーレムの姿になる。

 相変わらず近未来的よね。


 そしてそこから、半魔半人化!

 またまた、変な色の組み合わせの光に私は包まれて_____



「こ…今度はどうなりましたか?」



 やっぱり今回も裸なわけで。男の人がいなくて本当に良かったとおもう。居たらエクスプロージョンを打ち込んでるところだった。


 変幻した私がそう、様子を尋ねると、ロモンちゃんとリンネちゃんが私の元に来る。

 唐突にロモンちゃんが私の頭に手をやると、それを自分の頭まで持ってきた。

 


「身長同じだねっ!」

「ほ、ほんとだぁ!」



 ロモンちゃんと同じ身長ってことは、リンネちゃんとも同じ身長ってこと。 

 …お胸の方は……うん、これもロモンちゃんとリンネちゃんと同じくらい。つまり、今の私は14歳位ってことね。


 14歳かぁ…。身体も動きやすいし、かと言って子供という言葉の許容範囲内だからある程度のことは許される傾向にあり、でも大人に片足を突っ込んでるから舐めれることは10歳より少ない。

 うん、なかなか良いんじゃないかしら?


 トゥーンゴーレムの時が、10歳。

 リトルリペアゴーレムの時が14歳。

 エンジェルゴーレムの時が18歳…か。


 ならそうね、ここは14歳になっておきましょうか。

 ロモンちゃんとリンネちゃんと同い年(かもしれない)だからねっ! これがベスト。



「あ、あの、私、基本的にこの姿で居ようかと思います! ロモンちゃんとリンネちゃんと色々同じなので…」

「ふむふむ。じゃあそうする?」

「うん、いいかもね。でもたまーにちっちゃいアイリスちゃんにもなってね?」

「はい、そうさせていただきます」



 本をパタリと閉じ、お母さんが私の元に来た。

 とてもニコニコしている。



「うふふ、なんだか娘がもう1人増えたみたいね」

「そだね!」

「3姉妹だね!」

 


 そう言いながらロモンちゃんが私の左に、リンネちゃんが私の右に来て、手を握ってくれた。

 横に並ぶ私達。

 


「本当に3姉妹ね」

「「「えへへーっ」」」



 3人揃って同じ笑い方をしてしまう。えへへ。

 嬉しいなぁ。



「じゃあ、これからお洋服を買いに行こうね」

「はい。えーっと、3体分、ちゃんと買わないと、ですね」

「うんうん、あ、ハイこれ、まずは着てよ」



 ロモンちゃんが私にロモンちゃんの古着一式を渡してくれた(勿論、下着含む)。そのままくれるらしい。

 ふへ、ふへへ、一生ものの家宝にしますぜ!



「なんかアイリスちゃん、すごく嬉しそうだね」

「ね。人間になれたのがやっぱり、すごく嬉しいんだね」

「ふへへ! その通りです」



 早速、ロモンちゃんの古着一式を装着した私。

 至福なり。



「じゃあ、私はそろそろ仕事に行かなきゃ。先に出るから家の鍵、ちゃんと閉めておいてね。今日もご馳走よ!」



 片目をつむり、ウインクをしながらお母さんは忙しそうに去って行く。

 


「じゃあ、私達も行こっか!」

「そだねー」

「あ、すいません、まだ少し待ってください」



 まだ、まだやるべきことがあるのよ!

 ちょっとだけ待って欲しいの!



「な、なぁに?」

「この頭の輪っかを消したいんです…。普通の人にはこれはありませんから…」

「えー、可愛いのに? …でもそうね、消えろーって考えたら消えない?」



 そんな簡単なことで消えるなら、苦労しないと思う。

 でも私はとりあえず、『消えろ』と頭の中で強く念じてみた。


 結果。

 消えた……。

 と言うより、目に見えないレベルの小ささまで縮んだ。まさか伸縮自在だとは思わなかった。



「消えましたね…」

「本当に消えたね、テキトーに言ったのに…」

「消えたねー。じゃあ、お買い物行こっか!」

「はい!」



 私達は手を繋ぎながら、街へと繰り出した。



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