第41話 ほのぼのでございます
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「じゃあ、食料買って帰ろうよ」
「でもまだお昼だよ、もう帰っちゃうの?」
所持金827000ストンある私達は、今日の活動を終えようかという話をしていた。
なら、そろそろこの二人に自由に使えるお小遣いを渡すべきかもしれない。
二人に自由行動させよう。
因みに、お金の管理は私がすることになっている。
【ならば二人とも、お小遣いを渡しましょう】
「「ん? なんで?」」
ロモンちゃんとリンネちゃんは二人して首を傾げた。
詳しく説明をしてあげようと思う。
【もう二人は14という歳ですし、他人には言えない買い物などがございましょう。それに食料費は週に15000ストンもあれば十分ですから。受け取った報酬のうち、25%を個人の使えるお金としてお渡しします。残り50%は我々の活動費用という事で】
そう言いながら私は、二人に10000ストン紙幣2枚をそれぞれ手渡した。
【服を買うもよし、買い食いするもよし、使わずに貯め続けるのもよしです。お二人の自由ですが…まぁ、無駄遣いだけはしないように】
「うん、わかった」
「こ、これが自分のお金かぁ……」
渡したお金をロモンちゃんは受け取ってすぐに袋にしまった。
リンネちゃんは何か珍しい物を見つめるようにまじまじとお札2枚を眺めている。
あぁ、そうだ。
報酬の分担だけじゃなくて、個人の素材売却の分担とかも決めないと。
【お二人共、魔物を売却した時などの値段を決めませんか?】
「そだね」
「でも、そんな言い方してるってことは、もうアイリスちゃんはもう良い分配の仕方を考えてあるんでしょ?」
リンネちゃんはさっきまで弄っていたお札2枚を袋にしまい、そう言った。
確かにその通り。
【はい、その通りです。パーティとして活動している場合は、倒した魔物の素材売却額の50%をパーティの資金とします。残りの50%は倒した人が得ましょう。3人で協力して一匹の魔物を倒した場合は2人で4割ずつ分配し、2割を活動資金に。各々の自由な時間に稼いだお金は100%、その人のものです。これでよろしいですか?】
「あれ? アイリスちゃんの分が計算に入ってないよ?」
ロモンちゃんが、極々、私にもお金が分配されるのが当たり前かであるようにそう言った。
その問いに私は答えてやる。
【私は魔物ですから、お金を持っていてもあまり意味がありませんので。何か欲しいものがあったら言いますよ】
「本当にそれでいいの?」
【ええ、いいんです】
ロモンちゃんとリンネちゃんはなんか納得していないようだったけど、無理矢理納得させた。
だって、夜に魔物を虐殺して稼いでるし、わざわざ二人の取り分減らす必要ないもんね。
【では、まず食料を買いましょうか】
「うん、お昼ご飯はアイリスちゃん作ってくれる?」
「ぼくもおねがしたいなぁー」
【御意】
その後、私達は市場に行き、2週間分の食料を買い込んだ。
今日の夕飯はハンバーグの予定だから勿論、挽肉にしやすいようなお肉も買った。
この世界に挽肉はないんだよね。
あと、野菜と魚介類、あとは卵とかかな。
卵と砂糖、それに牛乳もこの世界にはあるし、プルンプルンとした例のあのお菓子を作ってみてもいいかも…。
ただ、バニラエッセンスだけはどうにもならないから断念しないと。
食料を買い終わったら一旦、宿に戻り昼食を作って食べた。
メニューは目玉焼きを乗せたパンに、バターを乗せたふかし芋、あとは焼いたソーセージかな。
無論、私の分はわざと作らなかった。食費がもったいないからね。
だけど、ロモンちゃんとアイリスちゃんは、私がご飯を食べないことに不服を感じてるみたいだったから、1日に一度は、私も食事をとることになった。
自分達のために遠慮をしてほしくはないんだって。
まぁ、そういうのなら仕方がないかな。
今日は夕飯を一緒に食べよう。
ご飯を食べ終わった後は、各々の自由行動をさせてあげることにする。
【門限は基本、9時までです。それ以上かかる場合や、夕飯がいらない場合は、その日の朝のうちに私に言っておくように、おねがいしますね】
「了解! 私とお姉ちゃんは今からお菓子屋さんとかお洋服とか見に行くけれど、アイリスちゃんはいかないの?」
「宿でお留守番?」
二人は私ともお出かけしたいらしいけれど、今日はプルンプルンのプリンを作り、家計簿の記入をして本格的にお金の管理をしようと決めている。
【はい、今日は私は宿で色々と作業してますね】
「ん、わかった。じゃ、行こうロモン」
「うん」
そう言って二人は部屋から出て行った。
なんか、我ながらまるでこの娘達の保護者みたいだと思う。
ま、私は前世の記憶がたしかならメイドとかそういう職業の人間だったっぽいし、仕方ないか。
私は早速プリンを作り始めた。
料理に使う道具は食料と一緒に買い込んである。
因みに、プリンを冷やすのは氷魔法を使って冷やすんだよ。
プリンが冷えるのを待っている間、私は家計簿をつける。
その作業も割とすぐ終わったから、そのあとは道具の手入れとかをした。
それでも本当にすることがなくなったから、私は幼体化し、ベットでお昼寝する事にした____。
◆◆◆
〔婆や! みてみて私が作ったの!〕
〔婆や、休日は何してるの? へぇ、格闘技の観戦なの〕
〔婆や……まさかお風呂覗きに来てないよね?〕
〔婆や、ここわかんない! 教えて!〕
〔婆や、ご飯おいしい!〕
〔ふぇ、婆やお金の事になると目の色が変わるよぉ……)
〔聞いて……私の好きな人に彼氏居たの……うぇぇぇぇん〕
これは……また、私の前世の記憶の夢かしら。
そう……私のお金好きも格闘技好きも、可愛い女の子を愛でる趣味も全部、前世の名残だったんだね。
でも、どうしてこういうところだけ覚えてるのかな?
まぁ、いいか。
今はロモンちゃんとリンネちゃんと過ごせてるわけだし……。
「「たっだいまー!」」
二人が帰ってきたみたいだ。
私は深い眠りから目を覚まし、ベット降りて二人を迎えた。
手には二人とも復路を一枚下げている。
「えへへ、可愛いお洋服買っちゃった!」
「5000ストンしたけどね……。それと…ぼく達からアイリスちゃんにプレゼント!」
そう言って、リンネちゃんが袋から取り出したのは、一枚の赤いフード付きローブ。
「これね、魔物用具専門店ってところで売ってたの。本来なら、骸骨系の魔物とかがおしゃれのために装備するものなんだけど、店員さんに頼んだらアイリスちゃんのサイズに合うローブを作ってくれたんだよ!」
「そうそう、それでね、このローブは裏表で使えてね、表は赤色だけど、裏は黒色なんだよ! 着てみて、着てみて!」
私は二人に言われるがまま、その私のサイズに合ったローブを着てみた。
フードも私の頭に合わせてあるかのような大きさで、着てみたらまた、別の魔物のようにも思える。
……とてもうれしい。
「どう?」
【とても……嬉しいです!】
「よかったぁ」
そのあとは、二人は私に新しく買ってきた服を見せてくれた。
さすがは双子というべきか、色合いは違うけど基本形は同じ服だった。
かくいう私はその日一日中、ローブをずっと着ていたの。
夕飯に、二人の望み通りハンバーグ(チーズ乗せ)を3人分作って食べた。
私自身、ハンバーグを食べるのは前世ぶりだったから懐かしい感じがした。
なかなか上手にできたハンバーグを3人で食べ終わった食後、プリンを出してみた。
「な…なにこれ? プルプルしてる……」
「これも…前世の記憶から?」
【はい、プリンと言うお菓子です。匙ですくってお召し上がりください】
二人は私から出された得体の知れないであろうプリンを匙ですくい、恐る恐る口の中へと滑りこませた。
二人の顔が嬉しそうに輝く。
「ん〜っ! おいしい、つるんとしてる、甘い!」
「ふわぁ…初めての食感……」
顔をほころばせてプリンを食べている二人を見る限り、気に入ってくれたみたいだ。
こんどはババロアでも作ってみようかな?
プリンを食べた後は、昨日の如く3人でお風呂に入る。
これから毎日、合法的に間近で二人の美少女の入浴シーンが観れると思うと、これだけで生まれてきた意味があったと思う。
入浴後はすぐに眠った。
今日はリンネちゃんが私に抱きついてくるのを狙って、11時までは出稼ぎにいかないようにしたん結果、その野望が成功し、10時30分には私は既にリンネちゃんに抱きしめられ、頬をすり合わせれていた。天国だ。
11時になったから、私は宿を抜け出し、昨日の成果である素材を売りに、まずはギルドへと向かった。
無論、自分の姿をわかりにくくするため、ローブを裏にして着てね。
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