第33話 出発の時…でございます
ロモンちゃんとリンネちゃんが14歳になった3ヶ月後……。
「ハァッ! 『剛炎撃斬』っ!」
【アイリスちゃん、受け流して!】
【御意】
私はロモンちゃんの指示通りに、リンネちゃんの、中級炎魔法と剣技を掛け合わせた特技による攻撃を受け流す。
しかし、人間離したスピードで、すぐさまリンネちゃんは大勢を立て直し、私に向かって剣を振るう。
また、私はそれを捌き、受け流す。
「まだまだっ! 『断裂鬼斬』!」
【『デフェルオ』! アイリスちゃん、耐えて!】
【はい】
ロモンちゃんの魔法により、防御が強化された私の身体は、その断裂鬼斬を……耐えた。
でも残念だけど、すこし傷がついてしまったみたいだね。
【ハーイ、5フン、タッタワヨ!】
ガーナさんのその念話と共に、私達はその場にそっと座り込む。
「はぁ…はぁ…アイリスちゃん…硬すぎ……」
【いえいえ、リンネちゃんも、私に鉄の剣で傷をつけられるようになったじゃないですか!】
「えへへ……3ヶ月、ずぅっと鍛錬したもん! ね、ロモン」
「うん、お姉ちゃん! じゃあ次は私とアイリスちゃんで試合を……」
今のはロモンちゃんが私を操り、リンネちゃんと闘うという特訓をしていた。
次は私個人と、リンネちゃんが魔法を使って特訓をしようとしていたその時だ。
「おーい、3人とも馬車が来たぞー!」
そう、ウォルクおじいさんの私達を呼ぶ声が聞こえた。
「うん、今いくよ!」
「はぁ……この村ともついにお別れか……」
【淋しかったりはしないのですか?】
そう、今日は村を出て城下町へと向かう日だ。
その直前まで私達は特訓をしていた。
無論、3ヶ月の間、毎日、毎日、何十時間もだ。
おかげでお父さんたちに教えてもらった魔法は全て習得できたどころか、上級にすることができた。
私の拳、リンネちゃんの双剣、ロモンちゃんの棍技も各々で属性技や上級技を習得し、さらにはかなりの練度となった。
今じゃ、リンネちゃんは岩石の塊を剣でほうれん草でも斬るかのように斬れるし、ロモンちゃんの魔法攻撃は、本職が魔法使いなのではないかと勘違いされないか心配なほどの威力となっている。
私も無論、彼女達と同じように強くなっている。
それに、ステータスが本当に酷いことになっている。
ボーナスが積もりに積もり、ついに防御が900を超えてしまった。
これが、今の私のステータスだ。
因みに私は拳技を完全にメインとし、剣は使わなくなったため、剣技は豊富じゃない。
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アイリス (リトルリペアゴーレム)
Lv.13 〈極至種〉
Master: ロモン
Rank: D→
HP: 365/365
MP: 456/456
攻撃:381
魔力:372
防御:549
器用:398
素早:362
特技: [無限念話][挑発][大探索][魔流の気]
[魔集爆][魔流極波][魔爆極砲]
[魔流真斬][魔爆真斬][双斬月舞]
[滝鏡一閃][断裂鬼斬][大蛇剣昇]
[金剛正拳][七重連撃][韋駄疾拳]
[金剛炎拳][金剛水拳][金剛風拳]
[金剛土拳][金剛雷拳][金剛氷拳]
魔法: [リペアム][スペアラ]
[リファイム][スファイラ]
[リバシャム][スバシャラ]
[リビューム][スビューラ]
[リドゴドム][スドゴドラ]
[リゴロゴム][スゴロゴラ]
[エクスプロージョン]
[リヒョウム][スヒョウラ]
[オフェルオ][デフェルオ]
[スフェルオ][ワフェルオ]
[エフェルオ]
特殊:[極みに至る身体再生]
[極みに至る知能]
[極みに至る補助・回復の凌駕]
[極みに至る自然治癒]
種族:[手腕完全操作]
個体:[小石視点][習得の叡知]
[教授の凌駕][家事の達人]
[料理の名人][拳を極めし者]
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リ○○ム、ス○○ラは上級魔法。
リ○○ムは範囲は狭いけど重い一撃の魔法。
その属性のエネルギー弾のようなものが飛ばされる。
ス○○ラは広範囲低威力の魔法。
例えば氷属性なら、あたり一面が氷漬けになったりする。
属性に関しては、『ファイ』が炎属性、『バシャ』が水属性、『ビュー』が風属性、『ドゴド』が土属性、『ゴロゴ』が雷属性、『ヒョウ』が氷属性となっている。
エクスプロージョンは、『魔集爆』と『ファイ』『ビュー』の魔法を使い、新しい技ができないか試していたところ、出来た魔法だ。
『魔集爆』よりも威力が低く、MPも多く使うこれど、遠距離に爆発を起こすことができる。
その他にも、特技を新しく2つ、属性付きも合わせたら8つ増えた。
それにより[拳を極めし者]というユニーク特技を習得し、体術で攻撃した時、威力が上がるようになったらしい。
因みに、拳なんて名前ついてるけど蹴りにも対応してるから、これら全部。
おじいさん曰く、今の私ならば、Bランクの上の魔物にも、余裕で勝てる程度には強いとの事。
………まだDランクなんだけどね!
リンネちゃん、ロモンちゃんのステータスは二人合わせたら私のステータスの1.3倍になるくらい。
まだ、お母さんとお父さんには追いついてないみたいだけど、そのうち追いつくでしょう。
勉学は、それぞれの専門家試験を合格できる程度には勉強した。
それもこれも、全部、私の頭よくなるシリーズ3種と、彼女達の努力の賜物だ。
「おーーい! アイリスちゃん早く!」
向こうからロモンちゃんの私を呼ぶ声が聞こえる。
二人はどうやらすでに、馬車乗り場まで行ったようだ。
【はい! 今行きます!】
私はそう返事をし、瞬時にトゥーンゴーレムになる。
カラーリングはリトルリペアのままだけどね。
これは、ロモンちゃんが習得した『仲魔幼体化』という特技。
私のマスターであるロモンちゃんが使えるようになったことにより、ロモンちゃんが一度許可さえすれば、私は自由に進化前の姿に特技に表示されてなくても、戻れるんだ。
無論、自分の意思で幼体化するとMPを少し取られるけどね。
この特技は街を練り歩く時や、馬車に乗る時に役に立つ。なんせ小さくなるんだから。
おかげで、ロモンちゃんが習得してからの2ヶ月は毎日、ロモンちゃんか、リンネちゃんのどちらかと添い寝をしたり、お風呂に入ったりできたの。
本当は私程度の大きさだと幼体化する必要無いんだけど……まぁ、可愛いし。この方が。
他人に受けがいいの。
私は二人の元に、えっちらおっちらと歩いて向かった。
既に、馬車停留所には、二人を見送りに来た村人でごった返している。
村人全員いるんじゃないかな?
「元気でねー!」
「たまには帰ってこいよな!」
「……べっ、別に寂しくなんてないんだからね!」
「いんやぁ、梨、持ってけや」
それぞれ皆んな、彼女らに思い思いに声を掛けている。
そんな人混みを私はくぐり抜け、馬車のなかにはいる。
「3人とも、思い残す事とか、忘れ物とかないいんじゃろうな?」
おじいさんは、馬車の外窓から顔をのぞかせ、私達に声をかける。
そうか、おじいさんともこれでしばらくお別れか。
「大丈夫! ぼく達昨日、あんなに確認したじゃない」
「うんうん!」
【そうですね】
どうやら、二人の覚悟は完璧に固まっているみたいだ。よかった。
これから先、どんなことがあっても私達3人ならやっていける気がする。
「じゃ、そろそろでますぜ」
馬車を操縦する御者さんが、私達の方をくるりと振り向きそう言った。
「「はい、お願いします!」」
馬車はその声を合図に走り出した。
二人の少女と一匹の(元)小石を乗せて。
梨が名産の、少女達が産まれたこの村を後に。
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