楽屋落ち
あとがき
もうやだー!
異世界劇団ものはキャッチーで取っ付きやすくて、みんなに愛される作風で行きたかったのに。
なんで娼館を舞台に娼婦の話だよ、こんなのアングラだよー!
読者が全部こぼれ落ちて一部の変態しか残らないよ。アー、モウムリ。
とはいえ、ここまで三百話を超える物語についてきてくださった読者様には感謝しかありません。
本当にありがとうございます。
今作はね、完結させてから一気に発表する!って息巻いて始めたんですけど、結局いつも通りの順次公開となった始末。
だってモチベ保てないんだもん。
前シリーズの連なりで自然と『異世界劇団』を開始したのですが、それがもう浅はかでした。
難しかったとか忙しかった以上に、とにかく致命的な二つの原因が足を引っ張っていました。
一つは、創作論について作中で語ることへの抵抗感です。
現実に一生懸命お芝居をしている人達がいて、人の数だけ演技論があると思います。
そこに向かって、『演技とはこうだ』みたいなことを発信するのは結構な苦痛でした。
失礼じゃん。とか、正解なんて無いじゃん。とか、随分と悩みました。
作中で語られていることが全てではありません。
劇場、演目、表現媒体によって必要な技術や心構えは変わってきますし、個人の武器によっても異なるものです。
そういう意味で筆が重かったのですが、闘ったことない人も闘いを書くしな。などと、その都度暗示をかけて頑張りました。
ですので、作中に登場する価値観や方法は、現場で偉大な先輩たちから授かったと同時に。
正解と断ずるものではなく、数多ある例の一つと考えて頂けると幸いです。
表現の方法はそれこそ人の数だけ存在し、どれが正解ということは無いと考えています。
そしてもう一つは、『ファンタジー』と『演劇』の食い合わせがとにかく悪かったこと。
もう、相性最悪!
演劇の強みって実物が目の前にあって、役者の息遣いや肉体を直視出来るという部分。
他の媒体と比べてより現場に近い。という一点だと思うんです。
怒鳴れば空気は震えるし、緊迫すれば空気が凍る。
それが体験であるわけです。
なので、小説上の演劇となると。二次の中におけるさらに二次ですから。
作中の決闘で登場人物は死ぬけど、作中劇の決闘で登場人物は死なない。
壁がないのが演劇の魅力なのに、小説の中の更に作中劇ともなると壁が二枚あって臨場感を損なうわけで。
その上で演劇を小説の題材として扱うとしたら演劇そのものではなく、それに携わる人々や団体を扱ったヒューマンドラマかサクセスストーリーが無難と思われます。
そうなってくると演劇の歴史を書くにしても、演劇自体の面白みを書くにしても、ファンタジーじゃない方が都合が良いことは沢山あるという……。
ファンタジーじゃない方が良いのでは本末転倒です。
劇団は通常、稽古場と劇場を行き来する存在です。
これがとにかく剣や魔法やモンスターというファンタジー由来の魅力的な素材と噛み合っていない。
闘ったり冒険に出ることが演劇とは無関係で、それでも強行する場合はこじつけが必要になってしまう。
じゃあもう、ファンタジーである必要があるのかと。
現代の人間がファンタジーの演目を演じる方がずっと自然だと。
それでも、あの物語の続きを書きたい訳です。
どうしたらファンタジー色を損なわないか、必要性を獲得できるだろうかと考えました。
その結論が、異種族を人間とかけ離れたものとして描く。ということでした。
だって、魔王と戦わない。ヒロインを救いにもいかない。魔法の指輪を探しにもいかない。
そうなると、仲間に異種族がいるよ。くらいではとても世界観が立たない。
特性が明確な方が役割を担うことに意味がでてくるので、『種族差』『違い』を描いていく価値があると思いました。
人間とかけ離れた存在がどう演劇に貢献するのか、それ以外に演劇をファンタジー世界に落とし込む手段が思いつかなかったのです。
この種族だとこんな役職に適任だ。みたいな描写展開が好ましく思えたし、その時点では『得意分野で活躍する』そんな軽いノリのものを想定していたはずでした。
けど思ったより殺伐としてしまいましたね。そりゃ、かけ離れた相手とは確執が生じますからね。
それで今後のことですよね。このキャラクターが多くて読みにくい小説の続きに需要があるのかどうか。
今後もこんな感じで異種族が劇団に入ってくる話を種族につき一本書けたら良いなとも思いますが、どうなんだろう。
今はちょっと分かりません。反応頂けると助かります。
とりあえず、すこしおまけコーナーやります。戦闘力とか比較しても仕方ないので、黒騎士撃退から一年間の国政とかその辺書きます。
あと、今月末からのカクヨムコンに『闇の三姉妹』単品で参加を予定しているので、どうぞ応援してあげてください。
それでは、ありがとうございました。
河童Δ
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