真章2 不伝~怪力乱神御伽噺~不伝の国アタゴリアン~
これは、『おばかなまほうつかいダンク』の、真実の御伽噺。
先ずはこの一文からこの噺は始まる始まる。
『昔有るところに、ダンスと言う名の若者が居ました』
昔々のそのまた昔、或る所に小さな国が有りました。
その国の名前はアタゴリアン。
小国でありながら経済、政治が発達し十二の町村と一つの都市を治める平和な国で有りました。
此度の御伽噺の主人公は小さな国の都市に住む魔法使い見習い。
その名はダンス・ベルガードと云います。
歳は十七歳になったばかりです。
ダンスが好きなのは絵を描く事でした。何時も小さな紙束とペンを持ち、何か興味深い物を見つけると颯爽とペンを持ち紙から一枚紙を取り、浸すら浸すら絵を描く事に集中していました。
そして描き終えると、鞄の中の秘密のポケットに隠していました。
また、ダンスは学生で有りました。
学科は魔術専攻。1日の内四時間は机に座り先生から魔術を学び、一時間は昼食を取りつつ友達と会話した後、四時間は魔方陣を作成したり魔力を引き上げる修行をしていました。
ダンスは魔法が好きでありましたから、それらの行程が一切苦ではありませんでした。
しかししかし悲しき事に、ダンスの魔法がこの国で役立つ事は有りませんでした。
何故ならばダンスの住んでいる国アタゴリアンには、魔術ではない特別な学術が支配していたからです。
道には四輪の車が走り、人々は電気で灯りを灯し、電気で暖をとりました。
コンクリートで出来た建物が街のあちこちに存在し、その建物にスーツという黒い服を着た大人達が大量に出入りしています。
アタゴリアンはこの魔法世界ではかなり珍しい、科学と工業学が非常に発達した国であったのです。
続く?続かない?
答えは螺巻きの鶏が教えてくれる…。
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