第7話神様のFacebook~結びのエース 造化三神 登場!

act.7 東京大神宮

〜テディベア ルー, 結びの真髄を知る の巻〜




古くは7月を“ 愛逢月 (めであいつき) ”といったそうだ。


来たる夏に 心浮き立つ……。7月はそんな時節だ。


今、世界は 煌めいている。


新しい季節に


新たな出逢いに


そして、新しい恋の予感に 世界中が ワクワク ドキドキ している。

天上界の熱愛カップル 織姫と彦星が 年に一度、一夜の逢瀬を楽しむのも


7月 、七夕月・・・。

神様も人も 心ときめく胸キュンの 恋の季節の到来だ。



梅雨が明けた。いよいよ、夏 本番。


涼やかな風が庭の木々の緑をゆらしている。


( いい季節だな~。 恋がしたいな~。)


ある日の昼下がり、私は自宅のテラスで アルザスの白ワインを片手にボサノバを聴きながら、好物のくるみパンとチーズで軽いランチを 楽しんでいた。


ルーは私の横のガーデンチェアに座り iPadをじっと見つめている。


『 よーし、完成! ワコちゃん、見て見て。ボクね、face book 造ったの。』


face book に登録をしたのではなく、造った?


「 いつの間に? 」


『 ウフフ、きのうの夜、ワコちゃんが 寝てる間に サクッとね。これで よし、完璧!』


iPad を開いてみて、と ルー。


『 ジャーン‼ “ facies libro dei ” (フェキエース リブロ デイ)神様のface book。』


「 おおっ、素晴らしい!写真付きだ。凄いじゃない、ルー。」


『 これを、こうして…。』


そういって ルーは私の iPadを使って レクチャーした。


「 !? …。」


iPadを開いた瞬間、馴染みのない象形文字や 見たこともない記号が 目に飛び込んできた。


「 ・・・これ、何語?どこの国の文字?読めないよ。何て書いてあるの?」


『 これはね、“ ヨシテ ”っていう神代文字 (かみよもじ )。ホツマ文字ともいうよ。


日乃本の 古史古伝のひとつ、ホツマツタエ に使われている文字さ。


『 ホツマツタエ は 古事記や日本書紀よりも古い、日乃本 最古の叙情詩 だよ。


古代 大和ことばで綴られているんだ。』


「 イーリアス とか、聖書の日本版 みたいなもの? 」


『 うん。編纂は クシ ミカタマ君とオオタ タネコ君。大物主さまの一族だよ。』


「 へぇー、知らなかった。凄い、ルーって 博識!」


いつものことながら、ルーには本当に驚かされる。


『 えっへん!』


ルーは褒められて、少し 照れくさそうに笑っていった。


『それでね、 とりあえず、友達リクエストを48件、東洋圏に絞って送ってみたの。

友達承認のお返事 第一弾は、先だって伺った 大物主さまと三輪山の大神さま、


それから順に、キューちゃん(九頭龍) コックン(黒龍) ハックン(白龍)、箱根山のボス、


サクヤ姫様、ニニギ様、山彦ちゃん、少彦名様、竹生島のイチキシマ姫様と白ヘビ君、


海の弁財天・宗方美神三姉妹、京・伏見のウカ様と ダキニ天様に 神使の狐トリオ。


鞍馬と高尾の天狗様たち、スサ様クシナダ姫様ご夫妻、伊勢の天照様,豊受様,月読様。


猿田彦様にウズメ様。それから熊野三神の方々と八咫のカラスちゃん、三峯の山神様、七福神の皆さん、宇賀神様、山王様に… 』


まだまだ あるぞ と、 ルーは次々に神友(かみとも)の名を挙げ、連ねた。


『 わぉ~!すごいぞ、ワコちゃん!』


『 あの結びのエース、東の横綱トリオ 天之御中主神様, 高御産巣日神様, 神産巣日神様 造化三神から友達リクエストがきた!大物主さまのご紹介だって。大物主さまはいつも気にかけてくださる。ありがたいね。』


ルーは さっそく、造化三神の方々へ友達承認の返信をした。


“ 造化三神の方々は どちらにいらっしゃるの? ”


ルーに尋ねようとした ちょうど その時、じょり・・・と口の中で クルミが暴れた。


「 あっ!歯のツナギが 取れたっ‼ うわ… 、最悪~ぅ。早く 力丸先生に連絡を!診療の予約を取らなくちゃ…。」


『 ワーッハ ハ ハ ハ ハ ハ ハ!!』


突然、ルーが大笑いした。


『 やってくれるね、造化の三神・天つ神トリオ!おかしくって涙がでちゃうよ。』と、ヒーヒーいっている。


『 ワコちゃん 、三神のボス・アメノミナカヌシ様からメッセージがきてるよ。


“ 早くおいで ”って 』


「 アメノミナカヌシ様たち 造化三神の方々はどちらに鎮座されてるの?」


『 飯田橋 東京大神宮 』


「あ・・・・。」


ルーが大爆笑した理由が ようやっと わかった。


そのお宮は かかりつけの歯医者 N歯科大のすぐ近く、通りを2本 隔てた街中にある。


以前から ご挨拶に伺わねば…と思っていたのだが、先延ばしになっていたのであった。


“ チリリリリ~ン ”


Cメールの着信音が鳴った。


「 力丸先生から お返事がきた。“ 急ですが 明日7月7日 9時~いかがですか?”って」


・・・これって、偶然?


『 キャ ハ ハ ハ ハ ハ・・・!!』


ルーは再び 笑い転げた。


『 さすが 結びの三神! ワコちゃん 愛されてるねぇ、神様に。』


「 ・・・うん、ウレシイ 」


ありがたいことだ、と 思いつつも、私はグラクラの歯に 辟易(へきえき)した。


恥ずかしながら 私の下の前歯、右糸切り歯~左の糸切り歯にかけての計6本の歯は 単独で立っていられない。永年の不摂生と手入れ不足がたたって、私の歯茎は重度の歯周病に冒されてしまった。


“ レベル3の 歯槽膿漏 ”である。


「 ワコさん 抜きましょう 、下の歯を全部。」


2年前の ちょうど今頃のこと、私の下の歯は “ 死刑宣告 ” を受けた。


「 残念ですが、いずれ、あなたの下の歯は 全て抜けます。いっそのこと、下の歯を全部抜いて “ 入れ歯 ” にしませんか?今のままでは お困りでしょう?不自由で…。」と、K大先生。


ひっ! 入れ歯!? 下の歯を全部ぬく?


ちょっと待った!いくら何でも早い。まだ、40前だというのに…。部分入れ歯ならまだしも、下の歯全部 “ 入れ歯 ”だなんて‼


私は顔が引きつった。入れ歯を外した時の フガフガいっている自分を想像して 絶望した。


そして、K大先生の入れ歯草案に反対、異議を唱えた。


「 先生、何とか 抜かない方法で治療をお願いできないでしょうか?」


と、恐る恐る 提案してみた。


「 では、こうしましょう。下の歯は 使い切る、ということで。その代わり、毎月一度、診せてください。」


そういうことになった。


その後、K大先生は大学の系列病院の院長に…。


今は K大先生の1番弟子、力丸先生が私の担当医だ。


力丸先生はN歯科大No.1のイケメン。若いけれど ウデはピカ一、性格は穏やかで親切 、と花マル三重のステキな先生だ。


ルックスだけじゃなく、性格もナイスだなんて!


“ 天は二物を与えず ”…というけれど、力丸先生は 例外だと思う。


せめて、 私が10才若ければ、ヨメに立候補するのに…。


良縁祈願の成就は まだまだ 先のようだ。


「 糸切り歯の箇所、 取れちゃいましたね。原因は “クルミ” ですか…。ナッツ類は滑りますからね。」


そう言って、力丸先生は 手早く処置をしてくださった。


「 力丸先生、東京大神宮は 何処にあるのでしょう?ご近所だと聞いたのですが…。」


先生はわかりやすく お宮の場所を教えてくださった。


先生、ありがとうございました、又 来月に…、と辞去の挨拶をして わたしとルーは


東京大神宮へ向かった。




11時少し前、私たちは ビルの谷間に鎮座する、東京大神宮 に着いた。


そのお宮は 都心でありながら 閑静な街中にある。


“ 都会の緑の庭 ”といわれ、まるで 小さな森の中にいるよう…。


境内のせせらぎが 涼げな水の音を響かせていた。盛夏の夕べには蛍が観れるそうだ。


『 わぉ~!ドライミストだ、気持ちいい ! 』


暑いのが苦手なルーは、この場所が とても気に入ったようだ。


「ルー、お目当ての スターゲートは何処にあるの? 」


『 拝殿 中央にある。ときに ワコちゃん、手水舎でお浄めした後、門の右手に進んで。


まず初めに “ 飯富稲荷さま ”にご挨拶しよう。飯富様はこの土地の精霊だよ。』


見ると、神宮の門の右に 木の鳥居が…。


「 初めまして、飯富稲荷さま。ワコ エストレーラ ガイエス エストリアスです。


本日は お招き頂き ありがとうございます。参拝させて頂きます。」


すると、サワサワと木々が風になびき、何かが社殿に向かって走っていった。


『 ワコちゃん、この飯富稲荷さまはね、造化三神への取り次ぎ役、世話役さんだよ。


覚えてる?箱根の朱の門には 時の守の翁&媼(おきな&おうな)がいたでしょ?


このお稲荷様にはね、東京大神宮の門番=この地の精霊がいるの。


今、稲荷のトミィーちゃんがワコちゃんとボクの来訪を 造化三神の皆さんにお知らせに行ったんだよ。


キューちゃんたち 龍神と異って、東京大神宮に鎮まる造化三神の方々は、普段、人の近くにいないんだ。だから、三神を召喚する 取り次ぎ役の御側衆(おそばしゅう)の存在が不可欠なんだよ。


東京大神宮に参拝する時は まず始めに この土地の地霊が鎮まる、飯富稲荷のトミィーちゃんに ご挨拶するんだよ。』と、ルー。


神様に 役割分担があることは 承知していたが、呼び出しの世話役さんまで いらっしゃるとは…!


『 さあ、ワコちゃん 社殿へ行こう。造化の三柱の神様方が お待ちかねだよ。』


「 うん。」


眩しい夏の陽射しの中、私たちは社殿の前へと進んだ。




社殿の奥に鎮まる その神様は 、他のどの神様とも違う 特別な神様だった。




その尊き神の御名は ・・・天之御中主神様 (あめのみなかぬしのかみ さま)


造化三柱の神の筆頭であらせられる。


古代、宇宙の中心とされた、北極星とその周りを回る北斗七星を神格化した存在で、宇宙の創造神、根源神であらせられる。また、導きの神であり、人の運命や方位を守護してくださる、ありがたい神様である。


因みに 仏界では “ 北辰妙見尊星王(ほくしん みょうけん そんじょうおう)”の名で親しまれている。


加えて二柱の神様=高御産巣日神(たかみむすひのかみ)と 神産巣日神(かむむすひのかみ)。


タカミムスヒ様は 高天原・天つ国のフィクサー的な方。常にアマテラス様のお側におられる。


カムムスヒ様は 大物主様の相談役。


この二柱の神は生成力と生産、再生を司る。強力な結び=産霊・産巣(ムスヒ)の お力をお持ちだ。


三柱の神々が 揃うと、究極のムスビ バワーが、発動する。


造化の三神のお力の源は 至ってシンプル。それは 不可能を可能にする、知恵と勇気と力だ。




私たちは拝殿の中に入り、祭壇の中央に祀られている、御神鏡の前に座った。


三柱の神の御前に額づくと、あたたかく 優しいエナジーの波が四方から押し寄せてきて、私を包んだ。心が幸福感で満たされ、とても幸せな気持ちになった。


~ 私は今迄、何を悩んでいたのだろう。大丈夫、きっと 上手くいく ~


私の中にあった、不安や怯えといった一切の負の感情は消え、自信に満ちあふれている 自分がいた。


私の中で 新しい私が生まれた。


そして、気がつくと私はいつの間にか、微笑っていた。


造化三神の結びのお力に触れると、誰もが この幸せを 自分一人のものにせず、皆に分けてあげたい、分かち合いたい。皆と手を取り合って 何かを成し遂げたい、そう 思うのだ。


これぞ、 究極の結び、幸せ つかみ取りパワー !


人と人とのつながりに、最も必要なもの、それは 和の心。


私はムスビのパワーの真髄を知った。


東京大神宮におわす、造化三神の方々のお力は、いつもお世話になっている 箱根様や九頭龍様、山王様のように、力強く 厳粛で猛々しい お力とは 違う。


同じ結びの神であらせられる、大好きな大物主様とも違う。


私は この度、天之御中主神様、高御産巣日神様、神産巣日神のお力に触れて、今までにない とても貴重な経験をさせて頂いた。


『 ありがとうございます!造化の三神様。今後とも、よろしくお願い申し上げます。』


私は 最後に “ 良縁祈願の成就 ”をよーくお願いして、ルーと共に拝殿を辞去、帰路についた。




「あっ!ルー、ごめんなさい。スターゲートはどうなったの?」


帰宅途中のバスの中で、東京大神宮にあるスターゲートのことを思いだした。


『 おかげさまで 無事、開いたよ。ワコちゃん、覚えてないの?』


「・・・うん。スターゲートは何処にあったの?」


『スターゲートは、鳥居であるとは限らないんだよ。エナジーの質の問題さ。物の大小は関係ないんだ。では、クイズです。東京大神宮に在るスターゲートは 何処にあったでしょう?』


と、ルーはいたずらっ子のように、おどけていった。


「 え~、わからないよ。ヒントをください、ルー大明神様。」


『 小さくて 丸くて 光ってるもの 』


「・・・・・・ワカリマセン、降参!」


『 祭壇の前で座っていた時、幸せエナジーを感じたでしょ?あの時、ワコちゃん何をみてた?』


「・・・・鏡 ! もしかして、スターゲートは 御神鏡だったの?」


『 ア タ リ ~ !』


とにかく、この度もまた、無事にお役目を果たせて よかったわね、ルー。と 私はひとりごちた。


今宵は七夕。


私は 願い事を書いた短冊をびっしり 笹の枝葉に結びつけ、1日も早く願いが叶うようにと、家中で最も高い場所・2階の屋根裏にある、物置部屋の窓に笹をくくりつけた。


できるだけ高いところ、つまり、天に近ければ近いほど織姫様と彦星様に願いが届きやすい、と聞いたからだ。


織姫様、彦星様。お二人にあやかって、私、ワコにも良き人が現れ、結ばれますように!


神々よ、“ 良縁成就 ” 何卒、よろしくお願い申し上げます、と 天の川に向かって柏手を打つ、私であった。


~ つ づ く ~






ボクの face book に京・伏見の倉稲魂様と神使の狐のトリオから、ご優待メッセージが きた。


次回は京都・伏見の稲荷山へご挨拶に行くよ 。帰りに今、話題の 御金神社 に寄ります。


じゃあね!  See you later .


From, ルー

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