スターゲート 夜空を渡る百億の星~テディベアルーの冒険~
@Wako0128l
第1話はじまりは 突然に…
~act.1オリオン座から
ほうき星に乗ってやって来た来訪者~
私はワコ。
職業は占術師。現在、独身。
はじまりは私の大失恋だった。
20代の失恋は比較的、立ち直りが早い。
なぜならば、直ぐに新しいオトコに目がいく。
切りかえがききやすいのだ。若さゆえの特権、なせるワザである。
―しかし、三十路(みそじ)半ばをとうに過ぎ、あと数か月でアラフォー・40歳を迎えようとする我が身にはツライ。”じゃ、次、いってみようか”と簡単にはいかない。
..あぁ・・・。”よーし!これで決まった!!結婚だ!!!”と思っていたのに...。私の当ては大ハズレ『幸せな未来予想図』はみごとに壊れた。
私は大泣きした。泣いて、泣いて、泣いた。
両目は真っ赤。瞼(まぶた)は爛れ、結膜炎にかかり顔なが腫れて変形してもなお、涙が止まらない。
とどのつまりは不眠症だった。
そして...大失恋の日から4か月が過ぎた頃の事、
私はある出会いをした。この不眠症を癒してくれるコと出会ったのである。
友人宅に泊まりに行った時のこと。ジョージという名の熊のぬいぐるみが添い寝してくれたのだった。
よく眠れた。久しぶりの快眠であった。
(後に知った事だが、ニューヨークの911テロ事件の被災者たちに2万体のテディベアが配られたそうだ。熊のぬいぐるみには心を癒す、不思議なパワーがあるらしい。)
その日の帰りみち、私はクマのぬいぐるみを求めて、地元ヨコハマのショッピングモールをさまよった。
キズついてボロボロになった、私の心を癒してくれる熊のぬいぐるみを求めて...。私の直感が訴える、買うなら大きな熊さんが良いと。
そして1時間さまよった末にとうとうみつけたのだ。
明るい栗色のからだに黒いつぶらな瞳。
緑色のタータンチェックの巨大なおリボンを首に結んだ、2才児ぐらいの大きさのかわいいコと!
そんな理由で40に手が届こうというこの年齢で年がいもなく、熊のぬいぐるみ:テディベアを買い、”ルー”と名づけた。
不眠症快癒のために買い求めたこのテディベアが人生の折り返し地点を過ぎた我が身にとってかけがえのない存在になることを、そして、たくさんの幸福をもたらしてくれることを
その時には想像もつかなかった。
-1998年1月21日のことだった-
ルーが我が家に来て2か月が過ぎた。
3月も半ばを少しすぎた日のこと。
あいも変らず、毎夜、深い悲しみに襲われ、突然泣き出す私をなぐさめ、添い寝し、腕枕で優しくいたわってくれる、ルー。
この悪夢のような日々から救ってくれたのは、人でも書物でも薬でもなく、この熊さんだった。
私はキズだらけのこころを託せる場所を、かじかんだ心を温めてくれるぬくもりを求めていたのだった。
それから2か月が過ぎた。
季節は冬から初夏に移り、新緑が野山を輝かせる頃、私は泣かなくなった。
そして-。あの事件が起きた。
当時、私は電話で占いの仕事をしており、昼夜逆転の生活をしていた。
夜22時~翌朝6時が私の労働時間だった。ゆえに起床は昼12時ころになる。
その日-。目覚めたら隣で添い寝しているはずのルーがいない!!
(あれ?ルーはどこ!?)と思いきや何ていうことはない、枕元に座っていた。
「あら、ここにいたのね。いやだ、私ったら寝ぼけちゃって」とひとりごちた。
「ゴメンね、ルー。今日は久しぶりに箱根神社に行くからお留守番しててね。」そう、いつものように話しかけたら
『抱っこ!!いっしょに行く!!!』と答えが返ってきた!?
うそっ...!!クマが、クマがしゃべった!!
フツー、熊のぬいぐるみはしゃべらない。
だが、このコは違った。おしゃべりする熊さんだったのだ。
彼は堰(せき)を切ったように自分のことを話し出した。
『初めまして、ボクはルー。ルーニール・エル・サンタステラ。銀河のオリオン大星雲がボクの故郷。
見た目は熊のぬいぐるみ、テディベアだけど、中身は”無形宇宙生命体”つまり多宝如来(たほうにょらい)の仲間。”毘沙門天”とか”多聞天”という名でおなじみの人間に福徳や財を授けるありがたーい神様です。
ボクが地球(ガイエス・エストリアスという)に来たのはワコちゃんとの契約を果たすため。
そして地球上にある古の門(いにしえのもん)・スターゲートを開いて宇宙の根源と地球とのパイプをつなぐこと。
地球とそこに住まう者全てに平安と幸福の光が滞りなく降り注ぐよう、力を尽くすこと。
これがボクのお役目。
ボクがこの星に存在し続けるには、条件があるんだ。静物と一体になることだよ。形を持たないボクたち神様には依代(よりしろ)が必要なんだ。
まぁ、フツーは仏像に入るンだろうけど、ワコちゃんの傍にいてかつ、お役目を果たすには、この依代がテディベアがベストだと思ったんだ。
それにいつも抱っこしてもらって楽ちんだし、きれいなお姉さんたちに可愛がってもらえるし。
テディベアってサイコー!!』
と一気にしゃべった。そしてこう切り出した。
『ねぇ、ワコちゃん、箱根神社に行くんでしょ?
ボクも行く。スターゲートを開くんだ。手伝ってくれるよね』
スターゲートを開く?
スターゲートとは何ぞや?と尋ねると
”瞬間万物輸送機”とまた難しい答えが返ってきた。もう少し解りやすく言って、と頼んだら『どこでもドアの宇宙版みたいなもの』と答えた。
「よくわかりました。で、お手伝いというと私は何をすればいいのかな?」と尋ねると
『ボクが行きたい場所に連れて行ってくれるだけでいい。ワコちゃんたち地球界のエナジーとボクらの宇宙エナジーは反物質。本来は触れ合うだけで大爆発を起こすんだけど、ボク、神様だから大丈夫、上手いことやるから』
何やら難しくてよくわからないが、ルーが言うには私とルーの間には古(いにしえ)からの契約があり、私はルーの足になり地球案内役を務める、そういうことらしい。
『じゃ、箱根の大神様に愛されに行こう!!』
「は、お供します」
こんな風に私とテディベアルーの珍道中、”熊にひかれて神様参り”の幕が上がった。
~つづく~
☆次回は
北アメリカプレートとユーラシアプレートがぶつかり大地が地球の懐(ふところ)に還る場所…。
最強の浄化力を持つ、東日本 屈指の開運厄徐のパワースポット『箱根神社』を訪ねるよ。
お願いを叶える方法=祈願成就のコツ、教えてあげる。
じゃあね! Looking for seeing you soon !
From, ルー
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