第6話 mari―前編

「ちょっと違う感じの歌詞にしてみようか…


今日、新曲を持っていったらプロデューサーに注意された


似たような歌詞…


当然だった


私は、あの人のことしか歌うことがない



あの人が私の側から 、いなくなって私は作詞作曲をはじめた。


そして、それらの曲が、きっかけで デビューしたんだ



インタビューの時、詞について、そのへんのことを聞かれて、


「だって 皆、ラブソング 好きでしょ」


と、ごまかした


本当は、違う


それしか歌うことがないんだ…


あの人のこと。


ふたりで居た時間…







もうすぐ契約も切れる


インディーズでもアマチュアでもいい


私は、また 同じような歌詞を書いて歌うだけ


あの人が、どこかで聞いてくれることを祈って


あなたのこと…


これは、あなたのことだよって…




~つづく

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