友人の部屋で見つかったもの

「形見分けはまだみんな決まってないんだけど……実は気になるものがあって」

 何だろう、嫌な予感しかしない。聞きたくないけど、河原崎先輩、オブラートに包んで、教えてください。今ちょっと防御力低いので。

「これ、なんだと思う?」

 と出されたのは、数枚の写真だった。建物だったり、風景だったり。僕らが通っていた学校の、4年生時の教室と思しき写真もちらりと見えて、思わず目を背ける。今一番あかんやつやで、それ。直視しないよう、目の端にとらえながら、聞いてみる。

「何が変なの?別に何も変なものは映ってないように見えますけれども」

「教室の写真なんだけど、日付が気になるの。今年の初めに撮られてるみたいなんだけど、これ多分、日曜日に学校にこっそり入って撮ったやつだと思う」

 なんてこと、事案発生だ。相模さん、盗撮はまずいですよ。写真には誰も映っていないけど。被写体はいなかったのか、……それともその場にいたけど映らなかったのか。

「俺は、これ」

 伊藤が出してきたのは、新聞記事のコピーのスクラップだった。中の記事は、どれも、地元で人が亡くなった時の訃報通知。ご丁寧にところどころ赤でマーカーが引いてある。相模、お前、まめな男だったんだな。白井さんの記事もあり、ばっちり赤ラインだった。

「私は、悪趣味かと思ったんだけど、ノートパソコンがパスワードかかってなかったから、開いてみたんだ。そしたら、全然、ファイルは残ってなかったんだけど……」

「何があったの?」

「検索履歴が残ってたの。『霊』『死因』『死後』あとなぜか『窓 人影』って単語がずらり。毎日検索してたみたい。さすがにちょっと気味が悪かったな。ほんとに何かに憑かれてたんじゃないかと思うくらい」

 それをちょっと気味が悪いで済ませられるのが、すごいと思う。そっちを発見する組じゃなくてよかったと心から思えた。

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