友人の葬式にて(3)

「そういえば、河原崎さんは?」

 田舎の毎年の集まりのメンバーとしては、6人。男性陣、相模、伊藤、三浦、僕。女性陣、水原と、ここにいないもう1人。中核都市で働いており、今は田舎に住んではいないが、来られない距離ではないはず。

「あの子は今海外だって。イギリスに旅行に行ってて、ちょうど明日の便で帰る予定って、今朝電話があった。帰国次第すぐにこっちに寄るって」

「相変わらず旅好きだな。海外にぽんぽん行ける金があるってうらやましいね。俺、もう10年は海外旅行なんて行けないと思う。その話を出しただけで嫁が無表情になるのが目に浮かぶわ」

水原と三浦が話しているのを聞きながら、ふと伊藤がさっきから何も喋っていないことに気づく。いつも十分すぎるほどに喋る奴なのに、どうした?

「いやぁ、俺、まだ相模が死んだってことの実感が沸かないわ。年末にみんなで集まった時に会ったっきりだったけどさ、すげえ元気そうだったもん」

……やっぱり、僕以外の目にも、相模は元気に見えていたらしい。かくにん!よかった。まったくよくないけど。それより、地元民同士なのに、会ってなかったのか。近い者同士、僕が呼ばれるとき以外でも集まっているのかと想像して、ちょっぴり疎外感を感じたこともあったから、意外だった。被害妄想はあかんね。聞く勇気が出たので、一応、確認しておこう。

「地元民同士なのに、会ってなかったの?」

「なんか、いつでも会えるって思うとわざわざ会わなくはなっちゃうもんだ。俺の家と相模の家って結構離れてるし」

……なんだか、中学校以降の僕が地元からだんだん離れていったのと同じ感じかな。時間をかければ会えないわけではないけど、って。

「こうなることが分かってれば、もっと会っておけば良かったなぁ……」

という伊藤の小さな呟きは、その場にいる全員の気持ちを代弁しているようだった。

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