鏡鳴

@kiyoshi_t

プロローグ

「ほんと、疲れる。毎日毎日、子供の面倒。親なら子供から眼を離すなっての」

彼女は未来遊園地のアルバイト、石田喜和子、二十歳。喜和子は仕事を終え、帰宅の準備をしていた。

担当のアトラクションを停止させ、未来遊園地を出ようとした時、異変に気付いた。

「あれ?観覧車、まだ動いてる。まだお客さん、残っているのかな?」

未来遊園地では、閉園時間を過ぎても、園内にいる客はたくさんいる。喜和子もそう思い、園を出ようとしていた。

しかし、回り続ける観覧車に違和感を覚えたのか、喜和子は観覧車の入場口まで向かった。喜和子の担当のアトラクションではなかったが、ある程度、動かし方も習っていたので、止めるのに時間はかからなかった。

 喜和子はゴンドラの外側に付いている外灯が灯っているゴンドラが降り口に来るように観覧車を止めた。この遊園地の観覧車は他の遊園地と違って、全面、マジックミラーになっているため、昼間は中を暗くし。夜はゴンドラの外灯を灯すことで、外が見えるようにしている。

ゴンドラが停止したのを確認すると、喜和子は中を確認した。その瞬間、言葉を失った。何故なら、そのゴンドラに乗っていたのは。息絶えた園長だったからだ。

 それを見つけた喜和子の顔は驚きや悲しみと言った様子はなく、むしろ安堵の表情を浮かべていた。

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