第8話 ホントホント!
「俺の方からは以上だ。次は小鹿野、お前がどうして本吉だと結論づけたのか、教えてくれ。カモフラージュカメラに気づいたのは分かるとしても、その場では設置した人間の特定は不可能なはずだ」
菅谷は喋り終わってからお茶を一口飲んで、小鹿野さんをまっすぐ見つめ、説明するよう促した。
今の一言で、小鹿野さんの顔色が変わった。それまで感心しながら菅谷の話を聞いていたのに、今はうってかわって動揺した顔をしている。
膝の上に置いた両手が、ギュッと握りしめられている。
太い柱に掛かっている古い時計の振り子の音が、とても大きく部屋に響く。
小鹿野さん、事情を話すことに明らかに
どんな事情があるんだろう?
だって悪いのはカメラをしかけたモトキチなのに、小鹿野さんがそれを知っても黙っていることを選んでしまうくらい、言いたくないことなんだ。
でも、私と菅谷をこの家に招いたということは、一度は私たちに話を聞いてもらおうと思ったんだよね。聞いて欲しいと思ったんだよね。
私は小鹿野さんの膝の上の手に、自分の手を重ねた。
途端にビックリした顔で私を見る小鹿野さん。
大丈夫だよ。
私信じてるから。
たとえ小鹿野さんが人を殺していても、あ、ゴメンね、さすがにそれは無いよね。そうだ、たとえ小鹿野さんが宇宙人でも未来人でも、あと何だっけ、異世界人と超能力者だ! それでも私は小鹿野さんの味方だから!
「ホントに?」
「ホントホント!」
あれ?
「ありがとう、すごくうれしい」
???
小鹿野さんは握りしめていた手をほどくと、お茶を一口飲んで、話し始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます