異時界ゲート〜俺と後輩と天使たち〜

@hinowa

混沌の始まり〜出逢いと戦い〜

第1話 時震と天使



......それは今からさかのぼる事500年位 。 そこには、俺達の全く知らない歴史、国、生き物が住んでいた。天使が空を舞い、巨人が世界を駆る... 。 そんな世界が想像できるだろうか... ?


俺はできなかった 。




リリリリリッ......リリリリリッ......



5時50分 。


俺の1日は、この時間に目覚まし時計に起こされる 。6時までに起きないと、朝飯を食べてバスに乗れないからだ 。


俺はまだ眠くて、重い目蓋を無理やり開き、朝飯を作りにリビングに向かう 。


毎朝、トーストにハムを乗せて、マヨネーズをかけた物と、コーヒーを飲んで家を出る 。


そして、チャリでバス停まで行き、そのままバスで学校に行く 。 土日以外は、毎朝こんな感じだ 。


俺のクラスは2年3組 。 コースは、サイエンスコースと言って、学校順位的には3番目のクラスだ 。だから3組 。


1組は飛翔コース、2組はワールドコース 。頭のいい奴は大抵このコースに入る 。


まぁ、俺のクラスは、理系の人が集まっていると、思ってもらって構わない 。


理系コースだからと言って、俺が理系なのかと言うと、そうではない 。 俺自身は、実は歴史が好きで、文系に行きたかったのだ 。


だが...俺がなぜ、理系コースかと言うと、それは、【夢】を実現するため 。


その夢というのが...


と、そんな事を考えて居ると石頭先生に


「おい上沼、寝てる位なら余裕なんだよな?2x/x+4-x-3/x+4、解けるよな ? 」


......本当に、こいつは面倒臭い。そんなものは、お遊びレベルの問題だ 。


そもそもその式に、カッコをつけないとか、問題じゃないだろ 。 どこまで式 ? って話だ 。


仮にも教師だろ... 。


こうやって教師に当てられるのはいつものことだ 。 数学や科学を教わったって、何の意味もない 。 俺の方が遥かに知っている 。


ようやく退屈な授業が終わり、放課後が来た 。


俺は、部活に一応所属している。一人だが...


毎日15分だけ部室の椅子に座って、教師に提出する、活動報告書を書いてから帰る。


そして今日も...


やっぱりか 。 部室の一番奥の、俺の席に、座っているのは1年の「 鈴下 雪乃 」。


俺はこいつを、部員にした覚えは無いが、毎日やってくる 。


幼馴染だからだろうか ?


「 雪乃、俺帰るから後よろしく 。 」


俺は、そう言って立ち去ろうとした 。


関わったら負け 。 こいつの研究欲はヤバい 。 言い忘れていたが部活の名前は


[近未来的科学理論の構築と実現を目指す ]


という長い名前の部活だ 。 面倒臭いので、近来科学部と呼んでいる 。


俺が言った事は、ガン無視でショートボブ、にしては髪の長い、ふんわりとした黒髪をひらつかせながら、


「 直也せんぱ〜い 。 今日と言う今日は、家に連れてってもらいますからね ! 今日こそ先輩の力作...見せてもらいますから ! 」


そう言って、俺の椅子から立ち上がって小走りに飛びついてくるのだ 。


そして


俺の指を絡めて、そのまま雪乃のポケットに突っ込んできた 。 いわゆる恋人繋ぎ。


「 ...!? 」


おいおい、これはまずいだろ 。 雪乃はなんだかんだで結構、美少女 、の部類に入るのだろう 。顔は丸顔だが、胸がある割には背がちっちゃい 。 150cm位じゃないかな ? そのおかげか、女の子雑誌の読者モデルも、やっていた頃があった 。


それに今は...飛びついて来たせいで、そのたわわなマシュマロも右手の肘に当たっている 。


「 先輩、もしかして照れてます ? かわいい〜 ‼︎ このまま帰っていいですか ? いいですよね ! てか先輩に、拒否権ないですから 」


そう言ってにこり、と笑ってきた 。 怖い笑いだ 。


怒らせるのは、得策ではない 。 雪乃はこれでも中学から連続して空手で、日本一を取っているゴリ...ゲフゲフ...ツワモノなのだ 。


仕方なく俺は


「 着いてきて良いから話せ、いや離して下さい雪乃様 ! 」


この強さがなければ俺は、とっくに理性を忘れて...


「 やったね ! 先輩ありがと 」


御丁寧にハートマークまでありがとうございます 。 ...良いって言った途端離すんだから...もうちょっとしてくれててもよかっ......やめとこう 。



俺は今、実家に一人暮らしだ 。 両親は、イギリスとアメリカで別れて働いているし、祖父母は、母方のじいちゃん以外みんな死んでいないし 。


バスから降りて、俺のチャリの後ろ側に雪乃がちょこんと乗った 。


「 ほら先輩 ! レッツゴーゴー ! 」


後輩に軽く使われている俺って... 。


言われるままに自転車をこいだ 。 バス停から家までは、そんなに遠くない 。 バス停から一本道を5分位進んだら、パン屋があるので、そこを左に曲がるだけだ 。


曲がってすぐに俺の家がある 。


「 着いたぞ 。右の建物が家で、左の建物が研究室だから 。」


何度も連れてきているが、一応毎回言っている 。 じゃないと間違えたフリして家に入ろうとするからだ 。


「 先輩、家の説明なんてしないでいーですよ。だって私は研究室...まさか先輩 !? 家に連れ込んで...先輩のエッチぃ 」


アホか ! と言えない俺は、心が弱いのか ?いや、世の男子ならみんなそうだろ ?そうだよな ?


「 んなわけねーよ。ほら、ちゃっちゃとしろ。ほれ、この装置がタイムマシンだ 。 」


タイムマシン......俺は未来のロボットアニメを見て、これを欲しくなった...のではない 。さっき言ったが俺は歴史が大好きなんだ 。


そもそもこれはまだ生きてるじいちゃんがつくった物 ?なのか ?


じいちゃんは


「 これは我が家の家宝でな、ご先祖様が天皇陛下より賜った貴重な... 。 」


なんたらかんたらで 。


「 まぁ、これで過去に行っても帰って来れんのじゃがな。良いか直也、使ってはならんぞ? 」


ごめんじいちゃん 。 俺、雪乃に使われそう 。


俺が理系の理由は帰って来る方法を探したかったから 。


そもそも何故、俺が過去に行きたいかって ?


それはもちろん、過去に行って数多の美女にあんな事や、こんな事を、未来技術を見せつけてさせるためじゃないか !


それに、 過去に何があろうと、未来に影響はない......はず 。


「 先輩、ほんとにできてたんですね ! もちろんまだやってないんですよね ? しょーがないから、私も一緒に乗ってあげますよ 。」


出来てたも何も、あるものなんだがな...


そもそも、乗せるとも使うとも言ってない 。


諦めてもらうために、


「 これ、片道しかないよ ? 」


と言ってやった 。


すると当然のように


「 だから ? 時代は戦国時代で、いいですよね ! 」


ポチッ


「 ...... !? 」


まだ俺は、いいと言ってない 。まぁ、戦国なら俺も行こうと思っていたし......


良いと言ってないのに雪乃は、包みを取ってマシンに触れてしまった 。


わまりに、光の粒が2.4.8.16......256.512と増えていき辺りが真っ白になった......




何だろ、胸の辺りに、とても柔らかな圧迫感を感じる... 。息苦しい 。何なんだ... ? そんな事を考えているとふと、誰かに呼ばれている感覚がした 。


「 もしもーし、おーい 。もしもーし 。おかしいな〜、この人起きない......エイッ !! 」


「 ... ! 」


「 あ !起きた !大丈夫ですか ? 空からこの勇者の鉄馬が、落ちてそこにあなたがいたので...」


勇者の鉄馬... ? これ俺の、タイムマシンなんだが... ( 圧迫感がこの美少女のおっぱいだったなんて言ったら、世の男子に殴られるんだろう... )


「 あのー、これ俺の、なんですけど...それと、もう一人、女の子が乗ってたはずなんですけど... 」


雪乃がいない 。あいつの事だから、大丈夫だとは思うが...それにしてもこの人、超美人じゃないか ! 胸も雪乃より大きいし...そのくせに、幼い顔だち...ヤバい、本能に負けそうだ... 。 何よりさっきから、腰あたりまで伸びた金髪が、俺の鼻をかすめていてこそばゆい 。


「 !? って事は、あなた様が勇者様ですか !先代の予言では、この鉄馬に乗ってくる者がこの世界を救うだろう、となっております ! 間違いありません ! あなたは、勇者様です ! お連れの方は残念ですが...見ておりません... 」


勇者...だと ? どこのRPGだよ 。雪乃は、これはマジで、はぐれたみたいだな 。


無責任な予言をする奴もいるもんだな...


「 私の名前は、ミサ・E・ガブリエル、と申します 。天界三大天使、ガブリエル一族の26代目、家長です ! ガブリエル一族の約束に則り、勇者様に婚約を申し付けます ! 」


......は... ?

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