第一章 美濃のゴルフ場
【2018年7月某日 岐阜県美濃地方】
岐阜市の企画会社〝CHUBU-WORLD エンターテイメント〟の社長、
しかし、美咲の会社も結構ギリギリなので『会えない』『仕事がない』では済まされない。なんとか仕事を取らないと生きていけない。
美咲は東京の代理店を辞めて、岐阜でJターン開業したアラサー近くの独身女だけど、会社には、経理兼デザイナの社員が1人とバイトのデザイナさんが4人いる。本当はみんな正社員にしてあげたいけど、昨今の経営状況がそれを許してくれない。
みんなには申しわけないと思っているが、限りなくブラックに近いダークグレーの労働環境で働いてもらっている。
それで美咲は、なんとか仕事を貰うために、オーナーが暇なはずの平日午前中に、アポなしで突撃営業を仕掛けることにした。
「おはようございます。CHUBU-WORLD エンターテイメントです」
美咲が大声で挨拶をしながら、クライアントのゴルフ場の事務所に威勢良く入ると、事務所にいる人達が一斉に美咲の方を見た。美咲は一目でオーナーの在籍を確認して、逃げられないように、大きな笑顔を作って、大きく手を振った。
美咲は『少しイヤな顔されるかな?』と思っていたが、意外な事にオーナーは
『やった。めずらしく機嫌がイイぞ。ラッキー!』
美咲は心の中でガッツポーズをして呟いた。さっそく仕事の話をしようと構えると、唐突に名前を呼ばれてしまった。
「あれ? 美咲? 梶木美咲じゃない?」
美咲が声がする方を見ると、知っている顔が居た。メリハリのはっきりした南方系の顔立ち、男のくせに憎たらしいぱっちりした二重まぶた。よく動く大きな口。そして、それ程背は高くないけどがっしりした体。鯱光高校の同級生で、東京の大学を卒業して国土交通省に入省した保科勝茂だった。
「あっ。保科くん。どうしたのよ。こんな……。こんなに素敵な場所でなにしてるのかしら?」
「いや、なに社長さんとちょっと商談をね」
「うん。あぁちょっとした商談をね。ところで、君たち知り合いだったん?」
「はい。美咲……。梶木さんとはクラスは違いましたけど、高校の同級生だったんですよ」
「そうか。そうだったんだ。ちょっと早いけど、いまから保科くんとランチなんやけど、梶木さんも来ない?」
「はい喜んで。でもその前にちょっと聞いていただきたいお話があるのですが、よろしでしょうか?」
「なんだい?」
「3年前に作らせていただいたホームページなんですけど、そろそろリニューアルされた方がよろしいかと思いまして、何点かラフをお持ちしたんです」
「あぁ、それはもう、ええわ」
「えっ、ホームページはもういらないんですか? スマホとか対応しないとお客さん来にくいですよ。それにココ電波の入り悪いですし」
「いや、そう言う事でなくてね、たった今このゴルフ場は、保科くんに買って貰ったんだわ」
「へっ?」
美咲は10秒固まった。
保科と美咲はクラブハウスの2階にあるレストランへ案内された。
「いやぁ、ゴルフ場は赤字がずっと続いとったもんで、保科さんに買おて貰って助かったわぁ」
「でしたらもう少し、お値打ちにしてもらえると助かりましたのに。本当にオーナーさんには負けましたよ」
「なに言っとるの。この金額が適正価格だって。話したでしょ」
「えっと、やっぱり保科くんがこのゴルフ場を買ったって事で間違いないのね」
「えぇっ。まぁ間違いはないんだけど」
「えっ。じゃあ、じゃあ、リニューアル関連のイベントとか、告知とか宣伝とかの仕事ウチに回してくれない? お願いだから。本当に頼むわ」
「悪い。ゴルフ場やるんじゃないんだ。だからリニューアル関連の仕事はなにもないんだ。ごめん美咲」
「え〜っ。なによ。ケチ」
「まぁまぁ落ち着いてよ。ところで2人は愛知の鯱光高校でしょう? 名門高校だし有名人とか多いいねぇ。名古屋市長もそうでしょ」
「はい。河辺先輩は剣道部OBで、ご実家も学校から近かったので、剣道の練習にみえた時に一緒に、打ち込み稽古しましたよ」
「そうそう名古屋は河辺市長だったね。国会議員の時も面白かったけど、市長になったら、やったら思い切った事やっとるねぇ」
「本当にそうですね。最近お会いしておりませんので、詳しくはわからないのですけど」
「なんと言っても、市会議員20名にしたのは驚いたよね」
「そうですね。16区なので16人でもよかったとか言ってたらしいですね」
「普通に考えたら、各区2人で、32人なんだろうけど、その選挙区も無くしたのはびっくりしたよね」
「そうでしたね、『こんな狭いのに、なぁんで選挙区なんてもんがあるんだぁ』ってインタビュー覚えてます」
「結局、選挙区での絶対有利がなくなって、ちょっと変わった人が議員になってるからね。まぁ、いいのかどうかわからないけど」
「そうですね、立候補自体も違うみたいですよ」
「立候補? 何がちがうの?」
「ほら、いままでは〝供託金〟が必要だったでしょう。でも前回の市議選の時は供託金を廃止して、1,000人以上の推薦人が必要らしいです」
「1,000人かぁ。意外と少ないんじゃなぁの?」
「どうでしょうか? 署名なんかと違って推薦人の住民票まで必要みたいですから、推薦する方もそれなりに真剣みたいですよ」
「それだと気軽に推薦出来んわね。でも、もっとすごいこと言っとるでしょ」
「すごいこと?」
「投票率が低かったら、議員報酬も下げるってやつだって。すごくない?」
「あぁ、それならテレビで見ました。でもできるんですかね?」
「そんなこと知らんわぁ。でも世の中が動いとるみたいでワクワクしとるんよ」
「確かにワクワクしますよね」
「ねぇ、河辺先輩って、そんなにスゴイ人なん?」
「梶木さんも、河辺市長と会ったことあるん?」
「わたしは美術科だったので、部活やってなかったらそれほどでは。でも課題やってる時に差し入れ貰ったコトがありました」
「はははっ、それは買収にならんのか?」
「ふふふっ。ポテチと駄菓子で買収とか、安上がりですね」
「そうやね。梶木さんは美術科から、東京の美大を出て広告代理店にいたんですよね」
「えぇまぁ。そうですね」
「東海地方を元気に! とか、東京のコネクションを活かして! とか言ってたじゃない」
「えっ、えぇ。そんな事を言っていた時期も、あ、ありましたか、ねぇ」
「へぇ〜。美咲すごいな。ガンバってたんだ」
「うるさいわね。ほっといてよ」
そう言いながら、美咲は保科を睨みつけた。保科が少し肩をすくめる。オーナーは愉快そうに昼食を食べすすめていた。
このクラブハウスからはコースが一望できて、見晴らしは良かったが、テーブルクロスは色あせて、料理もレンジでチンばかり。これで価格がファミレスの倍以上とかありえない。たぶんこのゴルフ場では何もかもこんな感じなんだろう。『これじゃ、会員が離れて当然だ』と、美咲はぼんやりと想像していた。そのうちに、オーナーとのランチが終わった。
縁の切れたゴルフ場に別れを告げて、美咲が駐車場を足早に歩いていると、後ろから保科が声を掛けてきた。
「美咲〜。岐阜まで送ってくれないか?」
「あんたのせいで仕事なくなったのに、図々しいと思わないの?」
「ごめんよ。美咲のクライアントだなんて知らなかったんだよ。本当にごめん」
「まぁいいわ。愚痴を聞く覚悟があるなら、送って行くわよ」
「美咲の愚痴ならいくらでも聞くよ。高校の時もそうだったじゃない」
「高校の時? いつの話してるのよ。あれは若気のいたりよ」
「だって、オレと美咲って結構仲良かったでしょ」
「うるさい! どの口が言うの。妻帯者!」
「まぁ妻帯者なんだけど、単身赴任だから独身と同じだよ」
「本当にイヤな男ねぇ。イラつくわ。さっさと乗って。置いてくわよ」
車を走らせると、すぐに美咲の愚痴がはじまった。クライアントが無くなったのがかなりショックだったらしい。
「仕事なくなって大変なんだから。保科くんも役人だったら、イイ仕事まわしてよ」
「無茶言うなよ。入札とかあるんだって」
「結局談合? コッチは死活問題なんだよ。だいたいゴルフ場なんて買って何する気なのよ? 接待専用施設でも作るの?」
「談合って……。そんなの作らないよ。この辺にまとまった土地が欲しいだけだよ」
「ゴルフ場が1つ手に入ったから、もういいわよね」
「いや、ひとつじゃ足りないんだけどなぁ」
「他のゴルフ場も買収するの? これ以上仕事減らすの、やめてくれない?」
「えっ? 美咲、この辺のゴルフ場のオーナーさん知ってるの?」
「だいたい知ってるよ。仕事貰ってるもん」
「ギャラ出すから、他のオーナーさんも紹介してくれない?」
「いやよ。紹介しても見返りなさそうだもん」
「たのむよ。買収が終ったら割のいい仕事回すからさ。お願い」
「う〜ん。でもだめ。どうせ入札なんでしょ。そう言う面倒なの嫌いだもん」
「いやいやいや、いまやってる仕事は民間だから、入札じゃないんだ。だから手伝って。お願い」
「う〜ん。もう。腹立つ。やるわよ。やればいいのよね。紹介だけすればいいのよね」
そして、美咲は保科の仕事を手伝う事になった。
8月最初の買収は、多治見からさらに東、土岐市のはずれ。山の中にあるゴルフ場だった。事前調査では経営がかなり厳しく、出資をしている親会社は撤退を決めていたが、売り先が見つからない状態だった。
美咲たちがゴルフ場に到着したのは、もう夕方の6時過ぎ。夏とはいえ盆地なのでもう陽も落ちて紺色の空には、星がまたたいている。
前回の交渉を見かねた美咲が『わたしがやるわよ』と言って、交渉役をやることになり、保科は美咲の秘書役になった。
「社長、ゴルフ場もう結構キツいんでしょ。手放したいんでしょ」
「それはそうだけど、梶木さん。もう少し買取金額をだねぇ」
「えぇ〜。だって、このまま続けてても年間の赤字がコレだけでしょ。税金がコレだけだから、うちもこの金額でもギリなんだよ。ねぇ社長おねがいだからぁ」
「でもねぇ梶木さん、それだとウチも親会社に怒られるっていうか、まずいんだよ」
「わかったわ。怒られる時は、いっしょに怒られてあげるからさぁ」
「じゃ明日の朝、謝りに行くから、とりあえず夕食とりながら打合せしようか?」
秘書のふりをして、美咲の後ろに居た保科の目が一瞬キツくなった。
「わ〜い。じゃ、この金額でいいんだね。ありがとう」
「だからね、今夜の夕食を名駅近くのレストランで」
「夕食ね、夕食っと。はい。ココと、ココにサインね。あと判子お願い。会社の実印よ」
「もう、解ったよ。サインだね」
「あと実印もお願いね」
「はい。これでいいかな? で、今夜は8時には出かけられるから」
「う〜んとっ。書類はOKね。毎度あり。保科、小切手切っといて」
「はい。承知しました」
「8時から出かけるけど、いいよね」
「どうかしら? 保科、今晩の予定は?」
「9時から、河辺名古屋市長との会食になっております」
「そうなんだ。忘れてたよ。ごめんね社長さん。また連絡するからね」
そう言い残して、書類を受け取った美咲は事務所を出て行った。保科も追いかけるように美咲の後をついて出て行った。残された社長は少し肩を落として、深々とソファーに体をあずけていた。
「美咲、すごいな見事すぎるよ」
「ふん。セクハラ社長ざまぁみろ。いままで、ず〜っと値切りやがって、いい気味だわ」
「あぁ、かなり溜ってたんだね」
美咲は立ち止まり、振り向き、保科を睨みつけた。
「そうよ。溜ってるわよ。溜ってて悪かったわね。アラサーになってもまだひとり身よ。だからあんなヤツにでも優しくされると、少し揺れたりするのよ。そんな情けない女なのよ。あんただけ結婚してさ、なによ」
「いや、ごめん本当にごめん。言いすぎた」
保科が美咲の肩に手を回そうとした。美咲はその手を払いのけて、建物を出て駐車場を車の方へ歩き出した。美咲はずっと無言のままだった。保科はかけるべき言葉を探していた。
「今回のゴルフ場の買収は、美咲が協力してくれたから、本当に助かってるんだ。オレだけだと、この前みたいに金額つり上げられてちゃうから、美咲には感謝してるんだ。何かお礼ができないかなぁ」
「いいわよ。結構いいギャラ貰ってるし」
「いや、それとは別にさ」
「なに? 保科くんも、さっきの社長みたいに夕食誘って、そのままホテルに引きづり込みたいの? わたしにもそんな値打ちがあるのかしら?」
「いや、そんな事じゃなくて、別に下心じゃなくて、もっと普通のお礼っていうか」
「やっぱり、わたしじゃダメだよね。もう女として見てくれないんだよね。保科くんにとって、わたしは便利な交渉役でしかないんだよね」
「ごめん。そんなつもりじゃないんだ。ただオレは美咲と一緒に……」
「謝らないでよ!」保科の言葉を遮るように、美咲は声をあげた。
『あやまらないでよ。……ないでよ。……でよ』
すっかり暗くなった駐車場で、美咲の声が近くの山でコダマした。
「ふっ、ふふふっ」美咲が小さく吹き出した。
「はっ、はははっ。美咲、声デカすぎ」
「うるさいわねぇ。保科くん相手だと、いつもちゃんと怒れない」
「いまのはオレのせいか?」
「そうよ」そう言いながら、美咲はキーを渡して、仕方なさそうに笑った。
「お礼は、岐阜まで運転してくれればいいわ」
「それだけで言いの?」
保科がそう言うと、美咲は降って来るような星空を見上げた。あたりには強い光源も無かったので、ぼんやりと天の川まで見えていた。
「じゃ、あのお星様が欲しいって言ったらとって来てくれる?」
「いくつでも取ってきてあげる。だけど、星なんて持ってても仕方ないでしょ」
「なによ。『管理しているのだ。星を数え、そして数え直すのだ』って答えればいいの?」
「サンテグジュペリの『星の王子さま』かよ」
「ふん。すぐにわかっちゃうのね。つまんない。別に欲しいモノなんてないわよ」
「なんだよ。じゃ、助手席に乗れよ」
保科がそう言うと、美咲は後部座席まで回り込んで乗り込んだ。保科は1回だけ笑顔を作って、それ以上何も言わずに運転席に乗り込んだ。
「これ以上いらない。もう欲しがらない」
美咲のつぶやきは、保科には届かなかった。
保科は中央自動車道を制限速度ギリギリで走らせていた。美咲は後部座席でうずくまったままだった。何を話していいのか解らない保科は、思いついた事を口に出し続けた。話を聞いているのか聞いていないのか美咲はカラ返事を返すだけだった。
「あのさぁ美咲。まだ怒ってるの? よかったら、少しだけオレの話聞いてくれる?」
「別に怒ってないわよ」
「高校のさ、鯱光祭でさ、剣道部の告知ポスター美咲に頼んだでしょ」
「そんな事もあったかしら?」
「あの原画、オレまだ持ってるよ」
「もう、捨てちゃえばいいのに」
「実はいまでも、隠れて見てたりする」
「なんで隠れて見るのよ」
「まぁ、一応さ、女房がさ、気になってさ」
「別に気にする要素なんて、どこにもないじゃない」
「でも、やっぱりね、あのときね、美咲のことさ……」
「もういい。それ以上聞きたくない。聞いたって仕方ないから、聞きたくない」
「そ、それもそうだね。もう過去のことだしね」
「なによ勝手に結婚しちゃって、勝手に過去にしないでよ。わたしはどうしたら良かったのよ」
「ご、ごめん」
「簡単に謝らないでよ」美咲は体を起して、叫ぶように保科にぶつけた。
「じゃ、どうすればいいのさ。どうして欲しいの?」
「わかんない。そんなの。あんたが東京の大学に行くっていうから、わたしも東京の美大に行ったのに、ほとんど会えなかったじゃない。別に付き合ってたわけじゃないから文句も言えないじゃない。結局ずっと1人で絵描いて、何度も企画書書いてたわよ。でも仕事にあぶれて、実家に帰れずに岐阜にいるんじゃない。これからどうすればいいのか教えてよぅ」
「……。とりあえず、泣き止んだ方がいいよ。もうすぐ君の事務所だ。泣き顔を女の子たちに見られたくないでしょ」
「そ、そうね。取り乱してごめんなさい。この事は……」
「誰にも言わない。言えるわけない」
車は、東海北陸自動車道・岐阜各務ケ原インターチェンジで降りて国道21号線を、岐阜市内へ向かった。
「ねぇ保科くん。聞いていい?」
「なんでも聞いてくれていいよ」
「あんな不便な場所のゴルフ場を買ってどうするの? 何に使うの?」
「話が漏れると、地価が上がって買収資金が足りなくなるからまだ内緒なんだけど、大規模な国の研究所を作る予定なんだよ」
「研究所? 飛騨のカミオカンデみたいなの? こんなにアクセスも悪いのに?」
「いや最適なんだよ。ココは地盤も固いし、名古屋へのアクセスもいいし、豊田まで環状線もあるから便利でしょ」
「あぁ、南側のアクセスは便利だよね」
「もうすぐ名古屋で……。いや何でもない」そこまで言って、保科は口をつぐんだ。
「なに? 名古屋で何かあるの? 河辺先輩がまた何かやらかすの?」
「まぁ、そこはあれだ。もうすぐわかるから」
「なんだ。結局役人の守秘義務ってヤツね」
「う、うん。ごめん。コレだけはまだ言えないんだ」
「いいよ。別に。今日、事務所に寄って行くでしょ」
「あっ、あぁ、頼んでた仕事の進捗確認したいからね」
「そうなんだよなぁ。なんだかんだ言っても、保科くんが持って来る東京の仕事がないと、ウチの娘たちの仕事がないんだよね」
「いや、美咲が営業する時間を削ってるからさ、少しは手伝わないと。本当に美咲には感謝してる。美咲のためならいくらでも仕事持って来るから」
美咲の事務所のあるオフィスビルに到着し、保科は車を地下駐車場に入れて車寄せに停めた。
「本当にそう思ってる?」
「思ってるよ。感謝してる」
「そう、だったら、今夜あたしと寝てくれないかな?」
「え……っ」
「ふっ、ふふふっ。嘘よ。そんなイヤそうな顔しないでよ。自身なくすなぁ」
「脅かすなよ」
「みんな待ってるから、先に事務所に行くわ」
美咲は先に車を降りて事務所に向かった。
「あぁ。あとから、すぐ行く」
保科は車をパーキングエリアへ移動させながら考えていた。
『ごめん美咲。まだ言えない事ばかりなんだ。許してくれ』
それから、美咲と保科は様々な手段でゴルフ場を手に入れて行った。ある時は土地を買い上げて、手形があれば財産を差し押さえて、株を買い占めて会社ごと買収して、必要なゴルフ場を買い続けた。なかには買収リストにはなかったゴルフ場のオーナーからも連絡が来た。そんな時は、美咲の言い値でゴルフ場を購入した。
全ての取り引きは、美咲の会社『CHUBU-WORLD エンターテイメント』がまとめて行っていたので、保科の動きが表に出る事は、ほぼなかった。
必要なゴルフ場の買収が終了すると、いくつかのゴルフ場には、すぐに建築資材が運び込まれた。
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