第2話

洸夜は、メールを昔の知り合いに向かって送っていた。


『孤児院の他のメンバーってどうなったんだ?』


そして、すぐに返信が返ってくる。


『卒業組に預けられているのが多いわね』

『それにしても、メールで話すのって初めてだな』

『ちょっと、やり辛いから電話するわね』


そのメールを返信する前に、電話が掛かってくる。


「電話するなら先に言えよ雪奈ゆきな


彼女の名前は、天野 雪奈あまの ゆきな大学生で孤児院メンバーではない者。昔、俺が雪奈の飼い猫を助けた時に、知り合った奴だ。因みに、髪の色や肌の色は、透き通る様な白で名は体をあらわすという言葉が似合いそうな女性である。


『だって、洸夜君の声を早く聞きたかったから、しょうがないじゃない』

「だからって・・・俺、これから学校なんだぞ?」

『それは、聞いたから知ってるわよ。と言うか、声変わってるわよ』

「一応こっちにも、理由が有るんだよ。・・・こほん、これで良いか?」

『それで良し、良い顔と良い声を持ってるんだから大切にしなさいよ?」

「昔した演劇を思い出すな・・・」

『昔って言っても、三年くらいしか経ってないじゃない』

「あれはあれで、大変だったんだからな?」


俺が、雪奈に『白雪姫の王子役が休んじゃったから、演劇に参加して!』って言われた時、高校最後の演劇だから仕方ないか?と思って参加したんだ。その練習の時、キスをして白雪姫を起こすシーンで、頬っぺに軽くキスをするつもりだったんだ。

しかし、雪奈は顔を傾けて頰っぺにキスつもりだった俺の口元に、自分の口を持っていってキスをした。しかも、途中で舌を入れられかけた時は焦った。

そして、『女って怖いって、言うけど本当に怖いのな』と思った。


『ファーストキスを、上げたんだから良いでしょ?』

「俺のファーストキスも持ってかれたけどな」

『ふふふ・・・って、ヤバ』

「ん?どうした?」

『此れから、バイトだから行ってくるわね。じゃあ、バイバイ』

「まだ、たいして聞けてないんだが?って言っても、もう切れてるから意味ないか」


そんな事を呟きつつ、学校に向かって行く。その途中に、誰とも出会わなかったのが幸いして、学校で使っている音声に変える。その声は、何処か弱々しい声である。

そんなこんなで、学校に着いた。校門には人が沢山いて、何処かお祭り気分である。その理由は、多分あいつらだろうなと思った。

少し遠目で見ていると、顔立ちが整った黒髪と茶髪で、少し獰猛な顔立ちの男性二人と、黒髪で長い髪、そして凛々しく顔立ちが整った女と、青混じりの長い黒髪で、そして聖母の様な顔立ちが特徴の女性がいた。

やっぱりと思いつつ、そいつらを眺めた。

黒髪男性の名前は、有川 蓮也ありかわ れんや まあ簡単に説明すると、顔立ちが整っており、目元が優しそうな輪郭の顔と言うべきか?で、学校の奴らに『学園の王子』と呼ばれているらしい。

茶髪男性の名前は、須賀 智成 すが ともなり 此方も説明すると、顔立ちが整っていて、少し野性味の溢れる顔と思う。そして、ボクシングをやっている事から学園の奴らに『闘拳』と呼ばれているらしい。しかし、なぜ中二病風?

黒髪ロングの女性の名前は、光波 詩織こうば しおり さっきも言った様に、凛々しい顔立ちをしている。家が道場で、剣道の県の大会で優勝した事がある。因みに学園の奴らに『舞姫』と呼ばれているらしい。因みに、理由を聞いた所、踊る様に竹刀を振るうことから取られている模様。

青混じりの黒髪の女性の名前は、神崎 緋奈子かんざき ひなこ こいつもさっき言った通りの顔立ち、因みに学園の奴らに『学園の慈悲』と呼ばれている。これに関しては、謎である。

まだ2名ほどいるのだが、まだ来ていないらしい。

その時に、銀髪の男?と青色の髪の男がやって来た。


「蓮也、智に、詩織、緋奈子。遅れてごめん」

「ちょっと、人混みに流されちゃってね」


噂をすれば何とやらって奴か。

こいつらも説明すると、銀髪の男?の名前は、崎谷さきや シオン 顔立ちが整っていて、そして女顏の男?、名前の通りハーフだ。因みになんで男?かと言うと、時折女ぽい仕草をするからだ。学園の奴らに『貴公子』と呼ばれている。これ本当に女だったら失礼だよな。

青髪の男性は、天川 遥歩てんかわ あゆむ 此方も顔立ちが整っていて、学園の奴らに『学園の

騎士』と呼ばれている。それの由来は、謎だが興味ないから良いや。

因みに全員一年生なんだが・・・なんでお前ら二つ名付いてんだ?


「大丈夫よ、到着しているのに、来ない人も居るし」


明らかに、こっちの方を向いて言ってきた詩織。

バレてるな〜よし逃げよう。

人混みに紛れ何処かに逃げて行った。

そして、色々有って校内に来た。

明らかに進む方向、間違えたな。

行こうとしていたルートが六人組の元に向かうルートだった為、別ルートから来た。

かれこれ、十分も掛けてる。

そして、教室に来た俺に対して侮辱や、怒りなどの視線が集まった。そして、言われた言葉がこれだ。


「キモオタどうしたんだ?少し疲れた様な顔をして」

「有川達を見ようとして、早く来たけど全然見られなくて落ち込んでんじゃね?」

「そうだろうな、だっていつも遅刻しかけにくる癖に、今日は十分前にきてんもんな」


そうして、下品に笑う奴らがいたが、名前を忘れた。

因みに、言い訳をさせて貰うと、孤児院の奴の誕生日プレゼントに欲しがっていた、マニアックなロボット系のゲームを買ってやったら、言われる様になった。

まぁラノベとかも買ってたから、それも原因かもしれないが。

自分の席に着いて寝る体制に入ると、五名様がやって来た。


「あんた、思いっきり逃げたわね」

「久し振り、洸夜君」

「眠そうだね。洸夜」

「ほらとっとと起きやがれ、今日は、授業無いんだから」

「水で濡らしたタオルいるかい?」


さっきの二つ名持ち達だがな。

上から詩織、緋奈子、蓮也、智成、シオンだ。

因みに一人だけ隣のクラスだ。

言わなくてもいいと思うが遥歩である。


「逃げて無いよ〜、僕なんかさっき来たばっかりだしね。タオル机の角に置いといて」


因みにシオンと遥歩以外とは、幼馴染である。

取り敢えず誤魔化す。

回りの視線が強くなった様な気がする。

まぁ二つ名の奴らに声を掛けられて、適当に返してるからな。

そんな事を考えていると、蓮也が耳元で囁いた。


「その演技、まだ止めないのかい?」

「夏休みが終わったら止めるつもりだ。そろそろいじめられる奴の気持ちが、解ったからな」


俺がこんな事をしている理由としては、学生で自殺しようとしたやつを止めた時に言われたんだ。


『いじめられる人の気持ちなんてわからない癖に』


その言葉が耳に残った。

結果的に、その自殺は止められなかった。

その反省としていじめられる奴になりきろうと思った。

高校入学前だったから、チャンスと思いやったが・・・意外に早くにいじめられた。

まぁこの四人の所為(この場合おかげ?)で解った事だがな。

まぁそれよりもだ。


「チャイムが鳴るよ?」


そう言って五人に、席に着かせる事を試みようか。


そして、HRの時間先生の話を聞き流しながら寝ようとしていた。

今、体育館を改装中の為体育館に、集まらなくて良いから楽だ。

そんな事を考えているといつの間にか校長の校内放送が、流れ始めた。

しかし、ノイズが入った様で途中から聞き取れなくなった。

そして遂に何も流れなくなった。

俺は、そのまま寝ようとした。

しかし、寝れなかった。

いや、『眠らさせてくれなかった』といくべきか。

床が何か光り輝いている。

理由が解らないが、取り敢えず教室を、出ようとした。

しかし、鍵がかかっている様に開かなかった。

教室の中の何人かは、ドジ踏んでるぞあいつなどと言っていたが、鍵なんて閉まっている筈が無い。

俺は、自分の座っていた椅子で、窓を思いっ切り殴った。

悲鳴を挙げる何人か、そして俺を止めようとする奴。

だが、俺はなりふり構わずに椅子で、窓を割ろうとした。

しかし、割れたのは椅子の方だった。

その様子に、唖然とする奴ら。

そして、閉じ込められたと思い、パニックを起こす。

壊れた椅子を捨て、濡れたタオルを持って、どうするかと考えた時、光が強く輝いた。

目覚めた時、そこは古代神殿の様な場所だった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る