ビッグデータ探偵

第68話 天才

「早速！新しいアルゴリズムの実力を見るんだよ！」

ヒカルちゃんがあたらしいアルゴリズムで今まで抜き出せなかった顔を取り出す実験を始めた。

相変わらず手際が良い。

「お、楽しみだね！」

僕がうなずく。かなり楽しみだ。前回からかなりの改良が加えられている。

今回の変更でもかなり大きな成果が出るはずだ。

「楽しみなんだよ！」

ヒカルちゃんも言う。

「あ、すごい！」

ヒカルちゃんがその数字を見て驚く。

前回よりだいぶ増えたようだった。

「前より500ぐらい増えた？」

僕はその画面を見ずに聞いた。

だいたいこのぐらいだろうという数字だ。

ヒカルちゃんがこっちを見た。

「500増えたんだよ！」

ヒカルちゃんが答える。

ぴったり500増えたみたいだった。

「よし、これもまたアプリに組み込んで警察の皆さんに探してもらおう！」

僕が言う。ここからはぼくの出番だ。

彼女が作った検出器が見つけ出した犯人と思われる人物が映る防犯カメラをマップ上にだし、近い順に行くようルートを出す仕組みに組み込む。

これは前回と同様だなのでぼく的にはワンボタンで更新できる。こちら側の変更はないからだ。

「うん！見つかるといいな！」

ヒカルちゃんがたのしそうに言う。

そう、純粋に成果がでたり精度があがるのはかなり楽しいことなのだ。

「わかりました！お願いしておきます！」

高崎くんが言う。

この新しく更新されたアプリに合わせてまたたくさんの警察官に動いてもらうのだ。

今回はすでに成果がでているからよりモチベーション高く探してくれるだろう。

「うん、お願いするよ！」

ぼくは高崎くんに言った。

ここからは彼女の仕事だ。彼女が大勢警察官に指示を出して動いてもらう。彼女はキャリアのエリートだと言える。

「あとはなんだっけ？」

ヒカルちゃんが聞く。

自分のタスクをこなしたのでつぎのタスクを作り出す。

「顔を隠してる人だね。とりあえず口を隠してる人だけいこう」

ぼくが答える。

これまで、正面の顔、角度のある顔と攻略してきた。

つぎにやるべきは顔を隠している人を見つけることだ。

この辺りからオリジナリティの高い仕事になってくる、あまり事例がないことだからだ。成功するかどうかも怪しい領域になってくる。

「わかったんだよ！！」

ヒカルちゃんが言う。

相変わらず楽しそうにしている、彼女は失敗を恐れない。

「これも、外注に頼んで目だけ取り出してもらう？？」

ぼくは言う。

前回と同様顔が隠れている人を頼んで人力で探してもらうということができる。

「そうだね！おねがい・・・いや！これ自分でできるんだよ！」

ヒカルちゃんはそう言いかけ、自分で気がついた。

「あ、そうか！」

ぼくもそれで気がついた。

「そうなんだよ！綺麗に顔だけ取り出してあるからなんとなく目の位置だけ切り取ることができるんだよ！」

ヒカルちゃんは言った、いままでたくさんの顔の写真を撮って、大きさがわかっているものをもっているからそれができることに気がついた。

「天才」

ぼくは言った。