第41話 トレードオフ

「そう。ほとんどすべてのwebサービスと連動していて、例えばタクシーを呼んだけど乗らなかったとか、そういうものが全てたまっていく」

僕が中国の信用システムについて説明していく。全ての行動は評価され、正しくない行動も良い行動もカウントされていく。


「えー!」

高崎くんが驚く。今の日本にはないものだからだ。しかしこれによって大きな発展を遂げた場所もあるのだ。より良い行動をする人はより良い体験をする事ができる。


「うん、それによって信用を測っていてスコアがいいと、保険料が安くなったりとか、逆に低いと飛行機にのれなかったり」

僕が説明する。信用の可視化が進んでいて、それによりできる事が変化する。国策でやっているからできるすごい事だ。


「え、すごいですね」

高崎くんが驚く。そうこれはすごい事だ。これにより一気に進化していった。同じ事をやろうと思うかなり難しい。そもそも人口にもかなりの差がある。自分たちの人口と技術を有効に使う素晴らしい方法と言える。


「そう、凄いんだ」

僕も同意した。


「これによりすごくマナーが良くなったっと言われてるんだ。街も綺麗になった」

僕が説明を続ける。大きな恩恵を受けた事がわかる。多分遅刻をする人も減っただろうし、みんながみんな理想とする行動をするようになったはずだ。


「すごい!でも、、、それって」

高崎くんが少し考えて聞く。そう良い面もあるけれども、悪い面もある。そしてその判断はだいたい目標に対して決まる。


「そう、いわゆる超監視社会だね」

僕が説明する。普通に考えるとそう見える。リスクもかなりある考え方だ。今までの価値観からすると、そう捉えてしまう人の方が多いと思う。


「それっていいんですか?」

高崎くんがインプルに僕に質問する。そう、それは本当にいいんだろうか、と気になったのだろう。


「いいのか、かいい質問だね」

僕も素直に高崎くんの感想に関心する。


「今のテクノロジーにおいて、プライバシーと利便性は大きなトレードオフになる」

僕が説明を続ける。今は技術的な問題よりもここへの関わりかたが大きな差を産むと言っていい。プライバシーを犠牲にすればより良いレコメンドを受けられる可能性は自然と高くなる。


「そうなんですか?」

高崎くんが質問する。



「うん、基本的にはデータは取れば取るほど良いからね」

僕は説明する。データサイエンスの基本はこれだ。とにかくデータはとってある方がいい。そこから何か探せるかもしれないからだ。しかし、とってなかったら何もする事ができない。


「そうなんですね難しいですね」

高崎くんは呟いた。


「そう、難しいんだ。そして、この良し悪しを決めるのは僕らの仕事じゃない、今の技術でどこまでできるかを探ることが僕らの仕事だ。その先はみんなに決めて貰えばいい」

テクノロジーをどう使うかを考えるのはみんなの仕事だ。

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