第7話 佐々木研究室

「お、佐鳥くん!その人は彼女?」

と、その研究室のボス、佐々木俊夫は聞いて笑った。


「またか。勘弁してくれよ・・・」

と、僕は大げさに手のひらを顔に当てて困っているポーズをした。


===

「例の研究室の同僚だよ」

と僕は、佐々木に説明した。

あー!もうあれ始まってるのかと佐々木が言う。


「あら、佐鳥先生と佐々木先生は仲良しなんですか?」

と僕の態度で、察した高崎君が聞いた。


「そうなんですよ!お嬢さんお名前は?」

とこれでもかという笑顔で佐々木が聞く。


「きゃぁ、先生!お嬢さんですって!」

と僕の裾を引っ張って言う高崎くん。


「・・・もう。君たちのそのノリにはついていけないよ・・・」

と僕は笑った。


「佐々木、椅子借りていいかい?」

と僕は聞きながら、椅子を引っ張ってきた。


「どうぞ」

と両手を広げるジェスチャーをする。

それを待たずにすでに動き出していた。

高崎くんの分も引っ張ってきて

「どうぞ」と言う。


「ありがとうございます!」

と二人に言って高崎くんは、失礼します。

といいながら椅子に座る。


「こちらは、佐々木先生。こちらは僕の同僚の高崎くん」

と、二人にお互いを紹介する。


「佐々木です。よろしくお願います」

「高崎です。よろしくお願いします」

と挨拶をした。


「そう、僕らが仲良しか?という話だったね」

と佐々木が話を戻した。


「もちろん仲良しだよ!高校からずっと一緒だからね!」

「へー!!そうなんですね!!そしてお二人とも先生なんですね!そういうことってあるんですね!」

「まぁ、珍しいけどね。この分野は若い人にチャンスがあるから」と佐々木が言う。そう、普通はなかなかこの大学の教員にはなれない。


「それ、さっき、佐鳥先生もおっしゃってました!若くても活躍できるって」

「そう、何を隠そう、この僕が、この歳で教授だからね」

と佐々木が言う。


「それは特別だからなぁ。最年少に近いんじゃないか?調べたことないけど」と僕は言う。


「佐々木先生ってそんなに凄いんですか?」

と高崎くんが聞く。


「まぁ、控え目に言ってすごいね」

と僕が言う。

「いやぁ、照れるなぁ」と佐々木が笑う。


「いろんな賞とってるからね、アートの」

「アート??」

と驚く。


「研究とアートって関係あるんですか?」

「ここの研究室はあるんだよね」

と僕が言う。


「メディアアートの研究室だからね。まぁ、説明するより、デモを見てもらったほうがいいね。相田さーん。ちょっとデモしてもらっていい?」

と佐々木は奥にいる相田さんという人を呼んだ。


「相田さん?」

と、高崎くんがつぶやいた。気になることがあったらしい。


「はーい!」

といいながら、その相田さんがタブレットを持ってやってきた。


「あ、あなた、きらりちゃん??」

「はい!」

と相田さんこと『きらりちゃん』が笑顔で答えた。

僕らは目的の人物にたどりついた。

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