第4話 街並み拝見!王道イベントは発生するか?
アドフと別れて、小一時間、市場を見回りながら、適当な宿探しをした。
この世界の通貨はクランだ。所持金は一万クラン、物価はどうやら、日本の十分の一相当なので、実質十万円持っていることになる。アドフ様様である。
宿は300クラン、日本円で3000円相当な宿で、宿のランクとしては、結構低レベルな仕様だ。朝食のみセットになっている。泊まる宿は「ピジョンブレステッド」
……鳩胸である。
名前は置いといて、部屋の広さは、3畳あるかないか、いや無いかもしれない。
風呂はなし、トイレは共同だ。
宿自体は比較的きれいにされてあるので、よほど潔癖でない限り不快にはならないだろう。
チェックインを済ませた後は、また情報収集と買い物だ。
この世界の文明レベルはそれほど高くないことが分かった。
まず紙が高い。しかも羊皮紙を使用していることから、おいそれと気軽に使えるものでもない。もちろんボールペンやシャープペンシルなんて物は存在せず、所謂羽ペンというものが主流だ。
さて、今自分が探しているものは、地図だ。今必要な地図は、世界地図と国内用の地図だ。地図さえあれば、転移魔法が使用できる。よってできるだけ早く入手したい。
現在市場の一角にある雑貨屋に入ると、雑貨に埋もれるように、地図が何種類か見つかった。
そしてガーディは気が付いた。地図は高いと……。
目の前にあるのは、世界地図、半球地図、国内地図。
それぞれ、1000クラン、700クラン.500クランである。
予算的に一枚しか買えない。中身を見ると、世界地図はホントにざっくりと、半球地図は、世界の半分しか載っていないので、比較的細かく記載されている。
国内地図は、小さな集落についても記載されていて、とてもわかりやすいが、国内しか載ってない。
少し悩んだ末、半球地図を買うことにした。
雑貨の店員さんに半球地図と旅のハンドブックを購入し、合計1000クラン支払った。
日本円換算で一万円か……とこの世界の紙事情に辟易するのであった。
店を出て、少しすると空がオレンジ色になりはじめた。夕方になっていることに気が付くと、なぜかな、急にお腹が空いてきた。
宿には夕食は付いていないので、食べて行くことにした。
この国は食料事情はそこまで深刻ではないが、あまり豊かではないらしい。
この国はパン食だ。店に売っているものは、黒パンと呼ばれる硬いパン。それに薄くスライスしたハムのようなものを挟んで、サンドウィッチかホットドック風にして食べる。
卵は高級品なようで、卵サンドは食べられない。残念だ。
食事を終えれば、すぐに宿に向かった。
宿に入れば、
「ああ、お客さんお帰り、はい、部屋の鍵だよ。何かあればカウンターまで来てくださいね」
最初に来たときは、男性だったが、今は女性だ。どちらも30代位だから夫婦経営なのかもしれない。
「ありがとう」
と一言加え、部屋に入る。
部屋に入り、鍵を締める。
部屋はベッドとランタン、サイドテーブルだけの簡素な部屋であった。
さて、まずはお風呂だけど、この宿は風呂なしだ。
風呂は、近くの銭湯になるが、当然金がかかる。
この国にきてまだ一日目、無駄遣いはできない。
よって、
転移先は、王都の近くの森に小さな滝がある川がある。
ここで水浴びをするのだが、腐っても魔法使い。もちろん魔法で応用する。
まずは、錬金魔法で石の浴槽を作る。次に作った浴槽に水を滝から落ちてくる水を使用し浴槽に入れる。
錬金魔法の応用で、水と不純物を最低限取り除く。
最後に炎魔法で温めて終了だ。
温度チェックはもちろん地球産「温度計」だ。40度程度になるように温めて完成。
ほんと魔法って素晴らしい!!
ゆっくりお風呂を満喫したガーディはその後何事もなかったかのように、宿の部屋に転移して戻り、一日を終えたのだった。
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