モンスター☆ペアレント

@lovelychiechie

第1話 モンスター☆ママ

窓越しに見える隣の家ーー


今日もMちゃんは、習い物だ。今日は火曜日だから、この時間だとピアノだ。Mちゃんのママは仕事をしているけど、必ず送る時間に合わせて帰ってきてる。火曜はMちゃんは、放課後に学校のクラブに参加しているから、きっとMちゃんを学校に迎えにも行ってるんだろうな。


私も学校のクラブに入りたい。でも、うちのママは「いいよ」って言ってくれない。ママは学校が嫌いだ。「なるべく関わりたくないのよ!」って言っている。そして、それは私のせいだ。


————————


1年生になりたての頃、MちゃんとNちゃんと一緒に学校に行っていた。途中でKちゃんを誘って、信号のところでRちゃんにも会えて、みんなで学校に行っていた。いっぱい歩かなくちゃいけないけど、みんなと一緒だと楽しかった。学校から帰ってきても、みんなで遊んだ。

Mちゃんはみんなの中で、一番だった。みんな、Mちゃんを中心に考えているみたい。なんでもMちゃんが決めちゃうし、リーダーみたい。ちょっと羨ましかった。それから、ちょっと私とも仲良くしてほしかった。Mちゃんは、いつもKちゃんとかNちゃんと、話したり、手を繋いだりしていたから。

ある時、Mちゃんと手を繋げた!

とっても嬉しかった。でも、Mちゃんと私は歩くリズムが違った。私は3月に生まれたから、みんなよりも小さいから、一緒に歩いていると、Mちゃんは私の手を引っ張ってしまう。

家に帰って「手が痛い」ってママに言った。ママは「どうかしたの?」ってきくから、「Mちゃんが引っ張ったの」って言った。ママの顔が怖くなった。「Mちゃんはどうして引っ張ったの?」って言うから「私が歩くのが遅いから」って答えたら、ママは直ぐに担任の先生に電話した。「Mちゃんがーーー」と、電話口で怒りながら話しているママ。とても怖かった。

電話が終わった後、ママは「明日からママが学校に送っていくから」と言った。


次の日からしばらく、ママが車で送り迎えをしてくれた。そしてある日の朝、Nちゃんが私の家に迎えに来た。一緒にKちゃんを誘い、Rちゃんも一緒にがっこうにいった。その日、Mちゃんは、Mちゃんのママに送ってもらっていた。学校が終わって、Nちゃんと帰ってきたら、ママが言った。「今日は楽しかったでしょ?お友達が一緒で良かったね」って。「昨日ね、ランチ会で、Mちゃんがひどい子だってことを、他のママたちにおしえたのよ。みんなびっくりしてた。あははは。」笑ったママの顔は、ちょっと怖かった。


こうしてMちゃんは一緒に学校に行く子がいなくなった。でも、Mちゃんは、Mちゃんのママに連れて行ってもらっていたし、運動会の頃には、クラスの別の子と一緒に行くようになっていた。


私は、夏休み前、Nちゃんとケンカした。ママは、Nちゃんのママと、すごく仲良しだったけど、私たちのケンカのせいで、ケンカしたらしい。ママが電話でNちゃんママと大声で何か話していた。そしてNちゃんは誘いに来なくなった。

それからは、KちゃんとRちゃんと一緒に行っていたけど、2人が仲良しで、間に入れない感じだったから、ママに「KちゃんもNちゃんも仲間に入れてくれない」って言ったら、ママは直ぐ、どこかに何本か電話して、大声で叫んでいた。そして、最後の電話のあと、怖い顔で、私に「明日から学校はひとりで行きなさい」と言った。


——————


それ以来、私はひとりぼっちで学校に行っている。本当はMちゃんや、Kちゃん達と仲良くしたいんだけど、ママが許してくれない。2年生の時に、Nちゃんと一緒に学校から帰ったら、偶然ママが外に出ていて、見つけられて、すごく怒られた。一緒にいちゃいけないんだって。それから、この前、「音楽クラブに入りたい」って言ったら、「Mちゃんがやっているからダメ。あそこの母親と顔をあわせるのは嫌よ!」と言われた。バスケットに入りたいって言った時も、「Nちゃんがやっているでしょ」と言われた。

いま、私が行っていいところは「塾」だけ。中学校は、地元の公立ではなくて、バスで私立の学校に行かされるみたい。その準備。

ママは「中学校からは、気持ちが楽ね」と言っている。


ママは今も時々電話して怒っている。

きっと 私が中学生になっても、同じ様に電話してると思う。


そして、私は、ずっと ひとりぼっち。

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