結婚事情
KEI☆P
第1話 失恋
「言いにくいんだけど。」
大学のときから付き合ってたノボルが、ため息をつきながら切り出した。
その先は、聞かなくてもなんとなくわかっていた。
「別れてほしいんだ。」
別れてほしい?
それが、7年も付き合ってきた相手に言う言葉?
つらいときも、楽しいときも、いつも分かち合ってきた相手によくもまぁ抜けぬけと。
そう。
最近のノボルは完璧おかしかった。
デートしてても、なんとなく上の空だったし。
携帯に電話しても、つながらないことが増えてた。
おかしいとは思ってたけど、まさかって思うじゃない?普通。
だって、7年もつきあってんだよ?
私も30歳目前にしてるわけだし、そろそろ・・・って考えるじゃない。
今更、他に誰か探せって、酷すぎやしない?
気づいたら、私は一人、夕暮れ時のショッピング街でふらふらと彷徨っていた。
あの喫茶店からどうやってここまでたどり着いたのか。
ノボルとはどこで別れたのか。
全く覚えてない。
ただ、ノボルは、「他に好きな人ができた」みたいなことを言ってたっけ。
ふぅ。
高校生じゃあるまいし。
ショーウィンドウにもたれて、自嘲気味に一人で笑った。
きっと傍から見たら、かなり不気味よね。
でも、そんなことどうだってよかった。
あまりにショックなときって涙すら出ないもんなのね。
一方的な別れ話に、腹が立ってしょうがなかったけど、
少し冷静になったら、それだけ私に魅力がなかったってわけで。
そのうち、そんな自分自身に腹が立ってきた。
とりたてて、女性らしさをアピールしてきたつもりはないけど、
それなりに、優しくもできるし、ノボルがつらいときは臨機応変に対応してきたつもり。
仕事だって、まじめにやってきたし、貯金もいくらか貯まってた。
結婚相手として、そんなに不満を感じさせる?
こんな私以上に、愛してしまう女性って、どんな人なわけ?
どんなにわめいたって、もうノボルの気持ちは他の誰かのものだ。
私以上に魅力を感じた女性の。
・・・さーて。
これからどうするかだ。
仕事にさらに没頭して、バリバリの女社長でも目指してみる?
エステに通いまくって、見違えるほどきれいになってノボルに後悔させてやる?
そんなこと、もっと若けりゃやってるけど、これからどんどん体中の細胞がしぼんでいくってのに、できるはずもないって。
私はそのまま、ふらふらとそばにあったベンチに座った。
携帯を開く。
もちろんノボルからの電話もメールも入ってるはずもない。
人って、こんなにもあっさりと今まで愛していた人に冷たくできるもんなのかしらね。
メール一本くらいよこしなさいよっての。
ようやく目の奥から熱いものが流れ出した。
ぼんやりとうつる携帯の画面を見ながら、ノボルのアドレスと電話番号を消去した。
もちろん、電話番号くらいは、すでに暗証できるわけだけど。
そのうちきっと忘れる。
私の脳細胞の老化とともにね。
携帯を閉じて、バッグに入れた。
入れた直後、携帯がなった。
あわててて取り出す。
ノ・・・ノボル??
「俺、だけど。」
その声は、聞きなれた声だけど、ノボルのそれではなかった。
会社の飲み仲間の一人、立花タツヤだった。
「で、こんな時間になんなの?」
乾き始めた涙をぬぐった。
「いやー、今から飲みになんてどうかなって。どうせ暇してるでしょ?」
「暇なわけないじゃない。」
「暇な人間が1コールで電話にでるかっつうの。」
思わず、ぷっと吹き出した。
「でしょ?」
タツヤもうれしそうに笑う。
「でもめずらしいね。個人的にこんな休日に飲みに誘ってくるなんてさ。何かあった?」
時計を見る。
19時半まわったとこだった。
「ん。ま、会ってから話すわ。今どこ?」
変なやつ。
いつもなら絶対断ってるけど、どうせ失恋したばっかだし、気晴らしに飲みに付き合うことにした。
タツヤも出先だったらしく、駅前で待っていたらほどなくやってきた。
「ちーっす。」
妙にテンション高い。
いつも高いけど、いつもより少しだけ高め。
「あんたのテンションの高さについていってたら、ほんと疲れるわ。」
「はは、そりゃそうでしょ。おばちゃんだもん。」
「うるさいっての。そんなこと言うならもう飲みに付き合ってやんないんだから。」
私は笑いながらプイと横を向いた。
タツヤは私より2歳下。いつも無礼なことばかり言われてるけど、不思議と腹が立ったことがなかった。
それは出会ったときから。
こんなタメ口たたかれるようになったのも、出会ってからそんな時間はかからなかったような気がする。
どうして、こんな風になったのかも覚えてないくらい。
無礼なこと言いながらも、ニカッと愛嬌のある笑顔を向けられると、まぁ、こいつならしょうがないかって思えるタイプ。徳だよねぇ。
ま、私にとっては飲み仲間の中でもかわいい弟分的存在ってとこかな。
「どこ行く?」
こういうのは若い子に決めてもらうに限る。
間違いなく情報の量違うし。
「日本酒?ワイン?カクテル系?」
タツヤは携帯を開けながら聞いてきた。
「日本酒。」
私は間髪入れずに答えた。
「オッケー。俺もそんな気分。」
おそらく飲み屋リストが入っているのだろう。
携帯の画面をスクロールして、どこかのお店に電話をかけたようだった。
「ラッキーっすよ、ねーさん。俺が一番お勧めのお店開いてるってさ。すぐそこだから。」
タツヤはうれしそうにそのお店のあるだろう方向を指差した。
お店は言われたとおり、すぐ近くだった。
ちょっと高級な和風居酒屋って感じ。
カウンターに張られた日本酒のリストも結構な数。
いいじゃんいいじゃん。
休日のせいか、すでにほとんど席はうまっていた。
上着を脱いで席に腰を下ろす。
「よっこいしょと。」
色んな疲れがたまっていたのか、腰を下ろした瞬間大きなため息がもれた。
「あ。」
そのため息に反応したのか、タツヤが私をまじまじを見つめる。
「それ、やめたほうがいいよ。おばちゃん丸出しだって。」
くそ。
おばちゃんおばちゃんって、私はまだ30歳にもないってないっつうの。
ま、あと数ヶ月で30の大台に踏み込むけどさ。
「あんたさ、さっきからおばちゃんおばちゃんって、そんなひどいこと言うんだったら飲みに付き合わないわよ、ほんとに。」
「だってさ、一応俺の憧れのハルナ先輩だよ?おばちゃん街道まっしぐらにはなってほしくないわけよ。」
タツヤは本気なのか冗談なのかわからないような表情で言った。
熱いお茶が運ばれてきた。
一口飲む。
喉から胃の奥までじんわりと流れていった。
ふと、ノボルの顔が浮かんだ。
今頃、新しい彼女さんとよろしくやってるんだろうか。
そんなことを思った瞬間、またものすごい空虚な気持ちが襲ってきた。
今は一人じゃないはずなのに、いっそう一人ぼっちが際立つような。
不安な気持ち。
「あれ、怒った?」
タツヤの声に、現実に引き戻される。
「別に。なんでもない。」
「日本酒、何飲む?」
「とりあえず久保田。」
「はは、とりあえずって。いいねぇ。」
タツヤは笑いながら、店員さんを呼んだ。
私に確認しながら、メニューを注文していく。
タツヤのメニューのセンスは、結構私好みだった。
飲みなれてるね。
っていうか、女の子の扱い手馴れてるタイプ。
お互いの日本酒が運ばれてきた。
とりあえず乾杯。
タツヤと二人で乾杯って。
大勢で飲んで隣の席ってのは今までもあったけど、こうして二人きりで飲むのは初めてだ。
なんだか急にぎこちなさを覚える。
で、ちょっとこっぱずかしい気分。
柄にもないんだけど。
妙な沈黙が耐えられなくて、切り出した。
「で、何があったの?」
タツヤはお酒を一口含んだ。
そしてゆっくりと喉の奥に流した。
私も、タツヤに合わすようにお酒で少し口を湿らせる。
ふいにタツヤが笑った。
「俺、ふられちゃいましたー!」
ふざけた口調だけど、目は笑ってなかった。
タツヤに長いこと付き合ってる彼女がいることは知ってたけど、
それ以上のことは知らなかった。
正直、今の自分の気持ちに精一杯で、タツヤの気持ちを思い計るとか、同情するとか、そういう気分にはなれない。
それが、思わず「ふぅん」という相槌になって口からこぼれた。
タツヤは、一瞬こちらに視線を向けた。
「冷たいな。」
私もハッとして、タツヤのほうを見た。
タツヤは苦笑しながら、出てきた付き出しに箸をつけていた。
「あ、ごめん。」
思わず謝る。
一応、私の方が先輩なわけで。
きっと慰めてほしいから、今日誘ってきたはずなのに、あんまりよね。
「別にあやまんなくていいよ。ほんと、部外者からしたら、『ふぅん』としか言いようがないもんね。それに、下手な慰めされても、余計落ち込むし。」
タツヤの切り替えしに安堵する。
営業の仕事してるだけあって、相手の機嫌を損ねずに会話をうまくフォローするのが身についてるんだろうね。
そういうタツヤが今はちょっぴり切なかった。
「実はさ。」
タツヤの横顔を見つめながら言った。
「私もさっき失恋したんだ。」
タツヤは飲みかけていたお酒を少し吹き出した。
そして、私の方を見て驚いた顔をして言った。
「まじで?」
「うん、まじで。」
「それ笑えるな。」
「・・・。」
「笑えない、か。」
笑えない。
少なくとも今の状態では。
タツヤは私の代わりに深いため息をついた。
「ねーさんって、何年付き合ってたんだっけ。」
「7年。」
「7年?!」
「そうよ。悪い?」
「よくもまぁ、ねーさんみたいな女性と7年も付き合えたもんだわ。」
「どういう意味よ!」
タツヤが半分冗談で言ってるってわかってるのに、少しむきになった。
「あ、ごめん。」
「別に。」
「っていうか、理由は何?いや、教えたくなかったらいいんだけどさ。」
「うん。」
すぐには答えられない自分がいた。
なんだか他の女にとられたなんて、かっこ悪い。
しかも後輩にそういうこと知られるのが。
この期に及んで、ささやかな自分のプライドが頭をもたげた。
「俺はさ、彼女に他に好きな男ができたとかでふられた。」
タツヤは笑って言った。
「そ、そうなんだ。」
同じじゃん。
心の中でつぶやく。
「一応、俺も付き合って5年目だしさ。そろそろけじめつけようかって時にだぜ。一瞬で俺の人生プランが崩れ去ったわけ。こういうふられ方って、想像以上にショックだった。」
まさに、私の気持ちを代弁してくれたかのようだった。
「だけど、タツヤはまだ若いじゃない。これから色んな出会いもあるし、人生だってもっといいように変えられるわ。」
素直に出てきた言葉だった。まるで自分に言い聞かせるみたいに。
「ねーさんだって若いじゃんか。」
タツヤはいたずらっぽく笑った。
「よく言うよ。さっきからおばちゃんおばちゃんって連呼してるくせに。」
「本当におばちゃんだったら、面と向かって言わないよ。」
「本当?」
「うそ。」
タツヤは私を見ながらくすくす笑った。
「相変わらず失礼なやつ。」
私はプイと横を向いてお酒を飲んだ。
「っていうか、俺は、ねーさんにはいつまでも俺のあこがれの先輩でいてほしいわけよ。簡単におばちゃんにならないでね、って言いたいわけ。」
「なにそれ。」
「俺、会社入って、ねーさんと初めて会ったとき、結構「かわいい女性だなー」なんて憧れてたんだぜ。」
「よく言うわ。会ったときからタメ口たたいてたくせに。」
まんざらでもなかった。
「でも、全く男として相手にされてないよなーって思って、それ以上は踏み込めなかったけどね。」
タツヤはお酒を口に含みながら、厚焼き玉子を箸でつまんだ。
「あんた、そんなこと言って、私を誘惑しようとしてる?」
冗談めかした顔でタツヤを見た。
「まさか。」
「そうよね。お互いふられたばっかだしね。」
私はほおづえをついて苦笑した。
なんだかよく考えたら変なの。
どっちが慰めてんだかわかんない。
「俺、このまま簡単に彼女のことあきらめたほうがいいと思う?」
こういうとき、どう言ってあげたらいいんだろう。
私の場合は・・・
ノボルのこと、あきらめた方がいい?
っていうか、あきらめて当然だって考えてたけど。
男性の場合、そう簡単に割り切れない生き物なのかもしれない。
過去をひきずるのって、女性より圧倒的に男性の方が多いっていうし。
「タツヤは、あきらめられるの?」
逆に聞いてみた。
しばらくお箸の先をじっと見つめて考えた後、静かに答えた。
「あきらめなきゃしょうがないでしょ。」
あ。
悟ってる。
じゃ、聞くなよ、って感じもするけど、こういう時って第三者からだめ押ししてもらいたいっていう心情もよくわかる。
「そうだね。私も彼氏のことあきらめなきゃなーって考えてた。」
タツヤは私の方に視線を向けた。
お酒のせいか、いつになく艶っぽい瞳で。
少しだけどきっとする。
思わず視線を外した。
「ねーさんもつらいのに、こんなこと聞いてごめん。」
急に真面目な顔して言われた意外な一言に、さらに動揺してしまう。
「べ、別に。私もたいしたこと言えなくてごめん。」
なんとなく、いつにない二人の雰囲気をごまかすかのようにお酒を飲んだ。
タツヤもいつにない呑まれそうな雰囲気を察したのか、急に大きな伸びをして笑った。
「はー!今日は飲むぞ!しめっぽいのも、今日でおさらばだ!っての。」
私も便乗して笑った。
笑ってる自分が不思議だった。
さっきまで、泣いてたのに。
笑える状態じゃなかったのに。
今日は、タツヤがいてくれて本当によかったって思う。
失恋は、何度か経験したけれど、絶対一人じゃ立ち直れないものだもんね。
なるべく早めに対応すべきもの。
一人でいる時間が長ければ長いほど、気分が重たくなって復活するのに時間がかかる。
人を癒すのは結局人しかいないもんなのねぇ。
私もようやく手元に置かれた突き出しに手を伸ばした。
その後はお互いの恋愛観やたわいもない会話を楽しみながら夜が更けていった。
時計をみる。
げっ、もうこんな時間?!
終電ぎりぎりじゃない。
「ごめん!終電ぎりぎりだわ。そろそろ帰らなきゃ。」
タツヤも腕時計に目をやった。
「ほんとだ。俺もまずいや。」
私はあわてて、身支度を調え始めた。
「ねーさんって、自宅だっけ?」
「うん。」
「じゃ、お泊まりは無理だな。」
へ?
な、何言ってるの?!
タツヤの冷静な顔つきと口調が、逆に私をひどく意識させた。
今まで、タツヤに意識したことがない『男』の匂い。
気づいたら私の動きは静止していた。
タツヤはそれに気づいて、少しだけ笑った。
「はは、ねーさん、何真顔で止まってんの?冗談だって。」
・・・ふぅ。
そりゃ、冗談だってわかってるけどさ。
そういうこと異性に言われたら、誰だって焦るって。
「終電って何時何分?」
「えっと、うわ、あと5分しかない。やばいな。」
急に現実に引き戻される。
「タクシーで家まで送っていくよ。今日つきあわせたの俺だし、責任ある。」
「え、悪いって。それだったら、私一人でタクシー乗れるし。後輩に送らせるのも悪いわ。」
「こういう時は先輩も後輩もないって。女性を男性が送るのは当たり前っしょ。」
あまりに、格好のいいこと言うもんだから、また静止してしまった。
「ねーさん、さっきから目を丸くして俺のことみるのやめてくれる?笑っちゃう。」
「あ、ごめんごめん。ちょっと意外な発言続いたもんだからさ。」
いつになく心臓がどきどきしていた。
こういう感覚、なんだか久しぶり。
恋の始まりにとても似ている。
いやいや。
タツヤは単なる飲み仲間であり、職場の後輩なわけで。
しかもお互い今日ふられたばっかなわけで。
恋が生まれるなんてこと、到底ないはず。
・・・はず?
ってこともないシチュエーションか。
タクシーに揺られながら、一人そんなことを考えていた。
ちらりと横を見ると、タツヤはいつの間にか寝ていた。
目をつむって、とても穏やかな顔で後ろにもたれている。
かわいい。
かわいいなんて年でもないんだけどね。
ガタン。
タクシーが曲がり角で大きく揺れた。
その拍子に、タツヤの体が私の方に傾いた。
うわ。
タツヤの頭が私の肩にもたれてるって!
う、動けない。
押し返すわけにもいかないし。
タツヤは思いっきり寝息たててる。
安心して熟睡しすぎだっての!
バックミラーごしに、タクシードライバーの冷ややかに見える視線が突き刺さった。
な、何見てんのよ。
年上女が年下男の頭を肩にのっけてうれしがってるとでも思ってるのかしら!
必要以上な被害妄想。
っていうか、私が意識しすぎ?!
ドライバーの視線を受けて、あわててタツヤの肩をそっとつかんで元の体勢に戻そうとしたその時。
ガクン!
タクシーがまたもや大きく揺れやがった!
タツヤが私に覆い被さるような状態になり、私の右ほほのすぐ横にタツヤの顔がきた。
ひゃー。重たすぎて動けない。
そんな状況の中、タツヤはゆっくりと目を開けた。
寝ぼけ眼のまま、私を見てにんまり笑うと、そのまま私をぎゅっと抱きしめた。
ち、ちょっとー!!!!!
さすがに、こわくてバックミラーを見ることができない。
「た、タツヤ!寝ぼけてないで、しっかりして!」
小声でタツヤに言った。
「ん?」
タツヤはようやく私を抱きしめた腕をゆるめて、体をゆっくりと離した。
そして、ものすごくあわてた顔をして前髪をかき上げる。
立場逆転。
正直安堵。
「あ、すみません!うわ、俺、何やってんの?はずかしー!」
タツヤは両手で自分の両ほほを押さえた。
見たことのないタツヤの慌てぶりに思わず吹き出した。
「ちょっと、飲み過ぎたんじゃない?」
少しだけ意地悪な顔をして言ってやった。
「俺、飲み過ぎたら寝ちゃうんだよね。ほんと、ねーさんごめん。」
タツヤはぺこりと頭を下げた。
お店を出る前は、男として意識したけど、こいつはまだまだだわ。
窓の外を見ると、見慣れた風景が流れていた。
「お客さん、そろそろ近くにきてるけど、誘導してもらえますか?」
ドライバーは、あえて平静な口調で聞いてきた。
「あ、はい。そこの角を右に曲がってもらってすぐです。」
そして、タクシーは我が家の前についた。
タクシー代をタツヤに払おうとしたら、断られた。
「俺、このまま自分ちまで帰るし、今日はつきあってもらったお礼だからいいって。」
タツヤは笑った。
「いいの?なんだか悪いな。」
「じゃ、今度、また飯食うのつきあってよ。」
・・・。
「うん、わかった。」
そのタツヤの言葉に信じられないくらい気持ちがほくほくしていた。
「じゃ。」
タツヤはそのままタクシーに乗って、帰っていった。
私。
やばくない?
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