第28話 あおり文句は短く、そしてどのタグをつけるべきか。

 執筆中に使ったあらすじとは別に、あおり文句を考える必要があります。


 ここで重要なのは、なるべく省略して、要点だけを書くことです。本当に必要な部分だけ取り出して、あとは本文に任せることです。ここでも、リアルの友人やネットの友人が頼りになります。無駄なものは無駄と指摘してもらって、血の涙を流しながらあらすじから削りましょう。


 やってはいけないのは、「○○○は何を考え、何を成すのか!?」とかいう頭の悪い、ありきたりなあおり文句を使ってしまうことです。そんなのだったら、執筆中に使ったあらすじをそのまま流用したほうがマシです。ファンタジーの結末なんてどうせ見えています。全てはめでたしめでたしで終わるのです。だったら、結末をぼかすことに何の意味があるでしょうか。


 それにつけても、とにかく、あらすじは短くする必要があります。いかに多くの作品が、あらすじが長いという理由でブラウザバックを食らったことか! そしてそのために、いかに多くの作者が、筆を折ることになったことか!


 拙作「ヘルファイア 対天使9mm純銀爆裂弾」は、長い長いあらすじを削って削って、結果的に以下のようになりました。


「南極から天使が攻めてくる。その事実は動かしがたいものであった。

日本もまた、天使たちの戦略により東京が陥落してしまう。

飛び級し、栃木の軍学校に在籍する七歳の少年 稲城イナバと、その同級生たちは、自分たちが最前線に立たされていることを知る。」


 四行です。元が十行くらいあったことを考えれば、奇跡的な短さです。

 最後に削ったのは以下のくだりです。


「栃木に運び込まれるヘルファイア、武尊ぶそん、アベンジャーなどの軍事物資。」

「僅かな物資と技量に劣る少年兵たちは、反攻作戦を現実のものにできるのか?」


 まさに断腸の思いで削りました。

 しかし、この四行のあらすじでさえ長いかもしれません。もしかすると、さらに削るべきなのかもしれません。


 また、拙作短編「魔鉱石(マグタイト)クロニクル」もあらすじを削りました。


「魔鉱石(マグタイト)を巡る大国同士の闘争の中、主人公ゴーシュは魔鉱夫たちを代表する反体制組織ラッダイトに所属し、テロ活動のため潜伏していた。だが仲間の裏切りのためにテロ計画は失敗し、主人公は当初の計画では殺すはずだった少女を助ける。その少女こそ、王位継承権を持つアーランド王国のナターシャ姫であった――シリアス路線のファンタジー短編。」


 これも以下のようになりました。


「主人公ゴーシュは魔鉱夫たちを代表する反体制組織ラッダイトに所属していた。だが仲間の裏切りのためにテロ計画は失敗し、主人公は殺すはずだった少女を助ける。その少女こそ、アーランド王国ナターシャ姫であった――」


 ここはどうしても……という一文であっても、削れるだけ削りましょう。削りすぎて尖るくらいがちょうどいいと思います。


 以下は、「マグタイトサーガ なんか異世界に召喚されたけどシリアス路線だった」のあおり文句です。


チートも魔法もほとんど無い世界「アール」。剣道一筋の関口コータ十六歳はマグタイト文明花咲く「アーランド王国」に唐突に召喚された。コータは一本の剣を得て、商隊を助け、傭兵となる。しかしその剣こそは伝説の武具「祝福と呪いの剣」であった。勇者コータの冒険が始まる。


 五行です。ちょっと長すぎるかもしれませんが、これで行きましょう。





 次に重要なのは、タグです。


 タグは該当するもの全てを付ける方法と、主要なものだけ付ける方法があります。全く付けないと検索に引っかからないので、潜在的な読者を取り逃すことになります。できるだけ慎重に、付けるか、付けないかを決めましょう。


 似たような作品のタグを見て、それを参考にするのも悪くはありません。ですが、最終的な決定権があなたにあることだけは覚えておいてください。


 あおり文句とタグが完成したら、いよいよ公開です。あなたの作者としての長く辛い試練は、そこから始まるのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る