第21話 舞台設定。
仮にあなたがファンタジーを書くと決めたとしましょう。
Q.
異世界からの召喚はわりとよくあるのでしょうか?
その世界に冒険者ギルドはあるでしょうか?
魔法を研究する大学があるでしょうか?
どんなモンスターが実在するのでしょうか?
身分制度はどうなっているのでしょうか?
商人たちは略奪をどうやって防いでいるのでしょうか?
通貨はどれほど流通しているのでしょうか?
オリジナリティのある設定は何?
はっきり言います。糞マジメに考えると死にます。アバウトに直感で決めましょう。
しょせん書くのはファンタジーなのです。理屈のほうはあとからついてきます。
A.
異世界召喚は、神か精霊の仕業であり、非常に稀である。
その世界には冒険者ギルドは無いが、傭兵制度がある。
魔法を研究する大学はあるが、その入学には血統を要する。
様々なモンスターがいるが、それらとの遭遇は稀である。
貴族がいるが、農民が疫病で死ぬので、農民にも立場がある。
商人は傭兵によって略奪を防いでいる。
通貨は銀が主流だが、流通量は少なく、物々交換も多い。
こんなふうにアバウトに決めましょう。この場合、異世界召喚されても、とりあえず傭兵になれば生きていけそうですね。
それぞれの設定について詳しく考えて見ましょう。
異世界召喚。これは非常に簡単にファンタジー世界に感情移入できる方法です。気がついたら異世界。ありきたりですが、強力な導入部です。異世界の様子を延々描写しておけば、主人公に自分語りさせてもあまり気になりません。カクヨムでは、神様と直に話せるケースもままあります。リアリティを重視するなら、そういう「現象」としてとらえるのもアリです。
ここでは「アール」という大陸の、「アーランド王国」(古語ではアールランド王国、「アール大陸の国」程度の意味)を舞台にします。
冒険者ギルド。これも非常に強力な設定ですが、ここではあえて使いません。中世に実在していないため、ツッコミどころが多すぎるのと、手垢がつきすぎているのと、身分証明システムがむしろ邪魔になるケースがあるからです。お約束の魔法のクリスタルによる適性診断や魔力測定も無いことにしましょう。主人公は割とシビアな、シリアスな世界に落とされます。
魔法を研究する大学はあるか。あるけど、一般人には入れない。これは非常に簡単な割り切りです。かの有名な『ハリー・ポッター』シリーズでも、魔力の無い子供は魔法学校に入学さえできません。主人公が魔法を使えない理由を説明するのに、これほど簡単な設定は無いでしょう。主人公は魔法に頼らずに自分の道を切り開いていく必要があります。
モンスターの有無。ラグナロクオンラインやポケットモンスターなどのゲームでは、モンスターの種類が数百種類というのがざらです。しかし現実に冒険を書くとなると、モンスターごとの特性まで考え始めると死ねます。ここではボスとして登場するだけにとどめて、一般人はモンスターに遭遇しないという設定にしましょう。こうすることで移動中にモンスターに襲われて死ぬというありがちな展開を阻止できます。
身分制度。これも重要です。中世ヨーロッパにも奴隷はいました。ヴァイキングによるスラヴ人奴隷の中東への輸出です。しかしこのへんは中世経済を知らないと書きにくいですし、人権的にもアレなので、奴隷はいないことにしましょう。百姓一揆が起きないように、農民にもある程度の力を与えましょう。各地域ごとに貴族がいることにしましょう。しかし、物語をより面白くするために、没落貴族も多いという設定にしましょう。
商人が略奪を防ぐ方法。その都度、傭兵を雇うのが簡単です。冒険者ギルドが無いので、主人公のために傭兵という逃げ道を用意しておきましょう。はぐれ者は傭兵になって、商人の商隊を護衛することにしましょう。山賊や狼などが多くて、傭兵になる人が少ないという設定にすれば、身元不明の主人公でも温かく歓迎されるかもしれません。護衛期間中は、最低限の食事も保障されます。
通貨。中世ではローマの影響で銀貨が主流でした。それに倣って、銀貨が主流であると決めましょう。通貨単位は何でもいいですが、作者は「デナリウス」が好きです。しかし、諸事情で通貨がそれほど流通していないという設定にしましょう。こうすることで物々交換の描写にも説得力が出ると思います。クエストのお礼として一週間分のパンとワインを提供してくれる人がいてもいいでしょう。反対に、銀貨での報酬を提示してくる金持ち貴族のありがたみが増すというものです。
さらにオリジナリティを加えるために、「
さあ、舞台設定は決まりました。次はキャラクター設定です。
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