あの日雨と憂鬱

それはほんのちょっと近い 過去かもしれない

誰かが決めた まだ大人ではない頃だったと思う


普通にそれなりの歴史はあるんじゃないかと

そう思わせる古い教室


何も変わらない気がする毎日

ただ外は冷たい雨が降っていた

教室独特の木の香りが 雨の匂いと混じった


『憂鬱だな』

君は教室の窓から外を見る


外で駆け回れない事が暇なのか

この灰色の空が嫌なのか

この冷たい雨が嫌なのか


それともそんな季節じゃないから

雪にならない事が 既に分かっているからなんかもどかしい?


小さなため息をつきながら


『やっぱ憂鬱だよな』

-お前もそう思わない?-


なんだか同意を求めるように 僕に苦い笑いをかける

『そうだね』と言って欲しそうに 僕に笑いかけたんだ


あの時君は何が『憂鬱』だったんだろう?


君はそのとき『何気に思ったこと』

今更聞いてもそう答えるか 忘れているかもしれないけれどね


僕は何年もふとした時を 疑問に思ってしまうんだ

あの時と似た雨の日を見つけた時に


あの時君は『憂鬱』という言葉で 何を見ていたかを……――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る