シアワセ~ヌ? ヒゲキ~ノ? ~結婚のはなし~
須賀正俊
第1話 プロポーズ編(1)
「あっ! あっ! あっ! あのぉ~、おえっ! あっ、あの、あのですね」
まずい、出だしからしくじりかけているぞ! 一世一代の大勝負、あまりのプレッシャーに、頭の中が真っ白になりかけている。ジュンペイは、かろうじて人間を保っていた。
「え、どうしたの、急におろおろしちゃって。足でもつったの?」
ユキが不思議そうな顔をして言った。
無理もない。出会って六日目、初めてのデート? 真っ昼間の子供たちで
そんな小舞台で今からプロポーズを受けることになるなんて、夢にも思っていないだろう。
「あっ、足でもつったのって、いやだなぁ~、俺、アキレス腱の達人ですよ……って、意味わかんないですよね。気にしないでください」
「アキレス腱の達人って……なにそれ」
ユキは楽しそうに微笑んでいる。彼女の優しい横顔を見ていると、ジュンペイは、落ち着きを取り戻せていけるのを感じていた。
「あっ、あの! ……肩の力を抜いて、かっ、かっ、肩の力を抜いて、耳の穴かっぽじって、よくきけぇ~」
( しっ、しまった、
絶望の沈黙が、数秒続いた。
( 今日のところは
「みっ、耳の穴かっぽじって、よくきけぇ~ 」
ジュンペイと同じように、ユキは天に向かって『てやんでぇ~ポーズ』をとった。
予想だにしない展開に、ジュンペイは絶望の沈黙から、完全に時が止まってしまったように感じた。
「なんてね!」
ユキはおちゃらけて言った。
ジュンペイは、頭の中のユキからは想像出来なかった振る舞いに、『ギャップ……てゆうか別人だろ!』とツッコミたいところだか、恋の魔物にとりつかれている今の彼には、『ミス日本』のポージングにしか見えていない。
ユキは何事もなかったかのようにベンチに座った。
「
ユキは空を見て、右手で太陽の光をさえぎりながら嬉しそうに言った。
「ホント、いい天気ですねぇ~。今年を締めくくるにふさわしい青空ですよね。まだ七月ですけど」
「七月に締めくくるのは早いでしょ。無難に八月でしょ」
「そうですよね……。って変わんないだろっ!」
ジュンペイはユキのボケに、命を燃やし、全力でツッコんだ。
ユキは基本に忠実に舌を出し、『エヘッ!』というようなお茶目な顔をつくってみせた。
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