毀れる世界と君の声

@sunshine884

第1話

人間は何故生きているのか。

人生とは何なのか。

恐らく誰もが1度は抱いたことがあるありきたりな疑問だろう。

だが、それと同時に人類最大の疑問でもある。

俺は今、西暦2015年12月5日深夜2時に窓の無く暗い自室のベッドの上でその人類最大の謎を紐解くために深く思考をめぐらせている。

いや、正直に言うと思考をめぐらせるふりをして正体不明の焦燥感から逃げようとしていようとしている。

一般的に言う現実逃避という奴だ、無論何の意味もないのは自分が1番わかっている……わかってはいるのだがやめられないのだ。

大学生の時に母が亡くなって塞ぎ込んでしまった俺は大学を中退、そこからどんどん堕落していき結果的にただの無職で引きこもりな25歳……いつからだろうか、こんな人間になってしまったのは……。

「世界滅びねぇかなぁ。」

考えるのが面倒になった俺はいつものようにそう呟きながら眠りについた。




目覚まし時計は午後3時を示し、大きな音がそれまで静寂に包まれていた狭い空間に鳴り響く。

「なんだ、もう朝か。……朝と言える時間では無いか。」

そう呟きながら俺は自虐的に笑う。

部屋の淀んだ空気に乾いた笑いが飲み込まれ、また静寂が訪れた。それに何と無く気まずさ、それと同時に空腹感じた俺は飯を食うことにして部屋の食料探索に行くことにした。

部屋の隅にある光の灯ってない冷蔵庫を開け、食べ物をさがしたが、何も無かった。

引きこもり始めて5年間、お金は亡くなった両親の残してくれた遺産で足りていたし、買い物は全て通販を利用していたため外に出る必要が無かった。

だが、ここ一週間は電気が止まり、通販で買った物も、情報も何一つ俺には届いていない。

一週間は食料もどうにかなったものの、ついに食料が尽きてしまった。

正直な所、引きこもり生活始まって以来最大の危機だった。

「このままだと、俺、死ぬんじゃないか……?確かに死んでいるのと変わらないような人生だったけどさ……。」

空腹がより恐怖心を煽る。

「俺、まだ何もやっていないんだ、何も残してないんだ。」

「……外に、出よう。外に出て何が起きてるのか、確かめよう。」

俺のこれまでの人生で一番重い選択だった。

唯一の外出用の服を着て、髭を剃り、伸ばしっぱなしだった髪の毛を切った。元々白い肌に大きめの目でわりと整った顔だった俺は中学生位の頃まではモテた……今では見る影も無いが。知らない人が見たら引きこもりだとは思わない程度の見た目にはなったはずだ。

「さぁ!準備完了!行きますか!」

ドアノブを握ると冷や汗がでてきて、鼓動が早まった。

一度深呼吸をして、ドアノブを回す。


強い光が室内に差し込む。


俺は重い扉を開けて5年ぶりに外の世界に踏み出した。

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