第6話 学院生活

こんにちはリンです。はい!リック様の奴隷として働かせてもらってる猫耳の女の子です!




リック様とは1週間と立っていない関係ですがとても信頼できるお優しいご主人様です。ご主人様はとても私のお耳が好きなようでよく触れていただいております。優しくて温かい手に触れられるだけで何故かお股のところがキュンとしちゃうのです。ですがリック様は決してエッチをすることがないのです。男の人は興奮すると見境がなくなり狼さんになると聞いたのですが私には魅力がないのでしょうか?



学院に入ってからアルシェちゃんとお知り合いになりました。アルシェちゃんも私と同じ奴隷としてリック様に助けていただいたのですがアルシェちゃんはとても可愛いのです。リック様は何故か私たちに手を出しません。私は魅力がないのかもしれませんがアルシェちゃんはとても綺麗だしちょっと無口なところとか無表情だけど女として魅力的です。



アルシェちゃんはご主人様の事をどのように思っているのでしょうか?



そんな私たちにある事件が起きました。私とアルシェちゃんは攫われてしまったのです。とても不安で乱暴なことをされると考えてしまうと涙が止まりません。ですが、アルシェちゃんの前ではお姉とゃんとしてしっかりとしようと決めたのです。頑張って頑張って涙をこらえました。



でも服を破かれた時我慢出来なかったのです。ご主人様じゃない男の人に肌を見られるだけでとてつもないほどの嫌悪感が身体に襲いかかり悲鳴を上げました。


頭の中はパニックです。怖い、嫌だ…そんな気持ちの中でたった1人の大切なご主人様の名前がふと脳裏に浮かんだのです。



そうしたらカッコイイ白銀の騎士様が現れました。その顔は忘れることも出来ない優しきご主人様の顔です。



私とアルシェちゃんの顔を見ると安堵したような表情を浮かべ大丈夫だよとそう告げた気がします。



その時のご主人様の姿は本当にかっこよかったです。い、いえいつもカッコいいのですがそれとは比べ物にならない大切なものを守るために命をかける男としてのカッコよさがあって心がきゅうぅと締め付けられました。



私はもう、ご主人様なしでは生きていけない。そんな気持ちになっていました。ご主人様はこの気持ちを重いと思うでしょうか?嫌だと思うでしょうか?でもご主人様は大切な仲間だとそう仰ってくれました。



まだ仲間としても不十分な私ですが絶対にご主人様の隣に並べるような強い子になって見せます。ライバルも多いですが負けません!特にヒルダさんは油断できません。とても美人だし周りの人とは違ってとてもお強いです。ご主人様の目も時々ヒルダさんの胸にいったりしてました。きっと大きい子が好きなんです。












△学院最上階・学院長室△



「…以上が今回の騒動の結果となります」



時は遡りリック達がブルッセンでの屋敷で円卓会議をひらいている時になる。


魔導学院最上階に位置する学院長室には絶世の美女もといロリコン大歓喜であるロリっ子のお人形さんみたいな可愛らしい子がでっかい椅子にちょこんと座り資料を眺めていた。



ブルッセン屋敷事件…かなりの大事になったがナターシャの協力をあり小さく抑えられたと言ってもいいが街中や学院内にはブルッセンの関係者や情報屋から仕入れたであろう様々な事が行き交っていた。しかし、その情報についても既に根回しが済んでいるようで根元の方については完全に規制されていた。



「全く…リックという輩は面白いやつじゃなぁ。私に鳥肌を立たせるなんて…入学試験の時にもなかなか面白いことを仕出かしてくれた礼でもしてやらなければな」



この女、未だに防御結界を破壊されその後処理に大忙しだったことを根に持っていたのである。



「しかし、学院長。相手は未知数の化け物ですよ?勝算はあるのですか?」


「…ない!リック君は我々と違い別の世界から来た者だ。そして、転来者としても類を見ない程の力を備えた者だ。くくく…フリーナよお主この時代に生まれてよかったと思うじゃろうよ。これから世界は動き出す。いや、もはや運命という歯車すら止めることの出来ない楽しい事になるのだろう…さぁ楽しませてくれよその力、その能力…我のワールドクリエイティブとどちらが優劣かを!!」










そして、現在。リックと学院長もとい魔女の中の魔女…フルールとの対面を果たしていた。



「…フルールといったな。流石にこっちはやる気がないんだ。勘弁してもらえないか?いや、正直に言ったらあんたには勝ち目がないからやめておけ…この意味がわからないならその程度ってやつだ」



リックには既にフルールの張り巡らされていたすべての魔法術式を解除、そして、逆にフルールの周囲に魔法を展開させていたのだ、遮音魔法が発動する一秒と無い間に全てをこなす。



流石にフルールの額にも汗が浮かんだ。ある意味リックにここまで本気を出させたのはフルールただ1人である。いや、エルダーワールドで裏ボスを合わせて2人という事になる。



裏ボスは設定上ラスボスである存在を吸収し、さらに増大し魔法に対する絶対的な防御を誇っていた。実際はその防御力が自らの体を滅ぼしたのだが、フルールはその防御力ではなく圧倒的な魔法制御であった。



リックすら認める魔法制御によりリックは魔法のみにおける全力を出したのだ。コンマ一秒に発動させたスキルは無詠唱、多重魔法、スキルブレイクそして魔法である。実際三つのスキルを発動させたのだが、この中で一番やばいのはスキルブレイクである。本来エルダーワールドで対人…PVPで作られた相手のスキルを封じるものであった。しかし、リックはそのスキルブレイクであるそのものを魔法にぶつけることにより、対消滅させることが出来ることを知ったのだ。



コンマ一秒の中にスキルブレイクを連射し隠された魔法を消失させる。それがリックの実力でもあった。リックの基本的な立ち回りはタンク役である。そして、タンク役でありながらスピードに長け、魔法の制御も人並みを超える。そうなったからこそ自身の身体に無茶をしても勝てる戦い方が体に染み付いているのだ。



魔法には魔法を物理には物理を…それこそが最強に至る道なのである。



裏ボスは絶対的な防御を誇り圧倒的な火力で敵を消し飛ばすそんな存在で、対するリックは絶対的な防御を誇りスピードに長けスキルの多さで勝負をするトリッキーなタイプだ。だからこそ勝利した。



フルールも口から何も言えない。その神ですら凌駕するのではないかという程の早業とその場から動かなくても後ろにいるヒルダ、リン、アルシェの3人を完全に守れる様な準備を無意識に行っていた為である。



フルールは楽しいと感じた。実際フルールに叶うものはいない。スキルワールドクリエイティブは世界を創造できうるものであるがそれは空想でのものである。魔法という神秘の力で新たな世界を作り上げるという意味でのワールドクリエイティブなため、フルールはやろうと思えば水爆系の魔法を編み出すことも可能なのだ。地形を消し飛ばす魔法…空気中の酸素を消すことも。



しかし目の前のリックには小細工にしかならないそう実感した。彼は恐らくその全てを跳ね返す。3人を守りながらでもそれを出来るのだ。




「私の負けじゃな圧倒的であったお見事じゃ。してリック君。君はそこまでの力を何に使うつもりじゃ?世界征服…神という存在への挑戦?平和のための勇者となるのか?どれもお主にはしっくりこない気がしての…」




「…そうだな……ハーレムでもつくってみるか?」



世界征服ってのも神殺しってのもかなりそそられるものがあるがやっぱり男のロマンであるハーレムを一強だろう。あんな事やこんな事ができる。最高の夢じゃないか。しかもハーレムを作る過程において確実に厄介ごとは舞い込んできてくれる。退屈な日を過ごすことがないだろうし、賑やかで結構。




というかもう既に3人は決まっていた。これでもまだまだ増える気がするし、強いものに惹かれるのは誰しもが同じだ。



「そうか…ハーレムか。ならば私はリック君に最大限の援助をしてやろう。私からの援助があれば多少の無理は聞いてもらえるしの…リック君の力だとどうしても厄介ごとになるじゃろう。国や国家といった援助よりもありがたいものだ。感謝するがいい」




「まあ受け取っておくが授業に遅れるんだが?」


俺の一言にフルールの顔があっという顔をしていた。どうやらそこんところ考えていなかったようである。



ちなみに今日は基礎体力作りだ。だからきっちりノルマを達成しておかないとナターシャ先生にかなり怒られる。しかも俺の場合は冗談抜きで本気の一撃を放ってくるためかなり困るのだ。




「別に遅れてもいいんだがその場合ナターシャ先生にはフルール学院長のせいで遅れたと報告するからな」



「あ…あ、あはははそ、そうかナターシャの授業か…じゃあさっさと行かなくてはな!!あは、あはははは」















基礎体力作りといっても女子はかなり緩い。無論多少の筋トレはしているが男子と比べたら歴然の差である。まあ、女子にムキムキの筋肉がついてもらっても困る。俺だってガチムチお姉さんよりもちょっとお肉が気になる女の子の方が好みである。



俺はFクラスの中でもかなり異質なため免除されたが、まあ、それだと他の奴らに示しがつかないとかなんとか理由をつけて授業に参加している。もちろん、リンとアルシェも一緒に隣を走っている。



「はっ…はっ…」



リンは獣人種だから多少なりとも体を動かすことが得意なため結構俺のスピードについてこれるのだが問題はアルシェである。奴隷としての期間が長くまともな食事も与えられない環境下で過ごしていたため、体力が極限にまで落ちてしまっていた。そのため俺がちょっとした小細工をしてあげることによりどうにか俺とのペースに合わせていた。




「そういえばリンとアルシェは辛くないか?」



「はぁ、はぁ…はい…だ、大丈夫です」



「ああ、言葉が悪かった。ちょっと辛い目にあっただろ?その時の感覚に陥ったり無性に不安になったりすることはないかってことだ。あまりそういうの抱え込むとかえって辛くなるからな。相談してくれよ?男の俺じゃだめならヒルダに頼むといい」




なんだっけ?PTSDだっけな…命の危険や心身にとても負担がかかったことにより生活が困難になるとかなんとかのあれだ。もしかしたらリン達もなる可能性があるのだ。



「私は大丈夫です」



「ん」



どうやら深く心配する必要はなさそうだ。だが油断してはならない。たとえ自分の前だろうと嘘を言う可能性もありえる。なんていったってかなりデリケートな部分だし彼女達だって絶対に辛いのだ。


後でヒルダに頼んでおくか…




実際はそんな心配は必要なかった。リンとアルシェは未遂で終わっていたしなんといってもリックが心の支えとなっていた。


リックはそれほどまでにリン達の中で自分という存在が大きなものになっているとは思っていないため結構心配しているのであった。ソロだったが故に心配性なのである。



そして、リックは知らず知らずのうちにリン達の好感度をうなぎ上りのように上昇させていた。


アルシェのスピードに合わせてランニングしているとふいになにかの気配を感じとる。





「…ん?ありゃあ…精霊か?」


前方に緑色の可愛らしいフリルの洋服を着てクルクルと空中踊っている小さな小人たちがいた。身長にして20cm


風の妖精だ。見分け方は単純で服の色と後は性格だ。火の精霊はいたずら好きで赤い服をしていて水の妖精は恥ずかしがり屋の青色の服。


風の精霊は人懐っこい性格をしており、緑色の服。最後に土の精霊は元気がいい黄土色の服をしている。



どの精霊もあまり人の住む場所には姿を現すことがないのだが、こんな闘技場の近くにいるなんて思いもよらなかった。




「わぁ…風の精霊だ」


リンとアルシェも物珍しそうにキャッキャッと遊びながらダンスを踊っている風の精霊を眺めていた。


するとその視線に気がついたのか踊りをやめてこちらをチラチラと見てお仲間と話し込んだりしていた。その光景だけでもなかなか和ませてくれる。


話がまとまったのかフワフワと漂いながらこちらに近付いてくる。




「お強い戦士さんこんにちはー」


「こんにちは…こんな所にいるなんて珍しいな」


「ふふー私達風の精霊はどこにでもいるからねーでもこの前大きな魔力の流れがあったからその影響で活発化してるのよーありがたいー」




リンとアルシェの方にも何人?何匹かの風の精霊達が集まっており髪の毛を触っていたり服の中に入り込んでちょっかいを掛けていた。



しかし魔力の流れか…きっと俺のせいだな。まあ、精霊がいるってことは悪いことじゃない。むしろいい環境という意味だ。しかし普通の人間には風の精霊は見えるものではない。


俺は別としてリンとアルシェにも見えるとなるとどうやらかなり元気がいいということだろう。




「あの2人は特別よ!穢れを知らないからねー…んふふ!あなたの近くにいると落ち着くわ」



俺の肩に座り込んで足をパタパタとさせる。服の裾にぶら下がっていたり、頭の上に乗っかったりとかなりやりたい放題だが全員可愛いため嫌ではない。むしろランニングで火照った体を冷ましてくれるため心地が良い。



風の精霊が言う俺の周りにいるだけで落ち着くというのはあながち間違いではない。アクティブスキルに精霊の加護というスキルがあり、これを会得することにより上位精霊に対する視覚可能化や魔法に対する相乗効果が期待される。という訳だ。そのため、下位精霊達にとっては居心地のよい空間となるため落ち着くのだろう。



精霊の効果は主に魔法に対する相乗効果といったがそのなかでも特異的なものがあり、精霊魔法と呼ばれる物がある。これは魔法として一区切りにしてもいいのだが大きな特徴がMPを消費しないというのがある。精霊魔法に関してはエルフがよく知っているのかもしれないが、属性精霊達に認められ、なおかつ愛されていなければ行使することが出来ないと言われている。



精霊魔法はその他にも魔法ダメージカットや魔法に対する耐性が高い相手だとしても関係なしに一定のダメージを期待できる。だが精霊達は基本的に自由な性格をしているため行使したとしても言う事を聞かない場合もある。特に火の精霊はいたずら好きなため、願った火力よりも大きくさせて驚かせたり、逆に小さくしたりとするのだ。




「ねーねー?強い戦士さん。戦士さんはどうして人なの?」



「?どういう事だ」



「戦士さんは人王種でしょー?人王種は肉体を持たない神と同じなんだよー」



…ああ、俺のステータスの事か。確かに俺は人王種という区切りだな。普通の人のステータスを見ても人種としか書かれていない。にも関わらず俺には人王種と書かれていたのだ。



あまり気にしてなかったがどうやら精霊さんたちは何か知っているのだろう。というか神様同じ種族って。




「なあ風の精霊さん。人王種ってのは人とどう違うんだ?」



「えへ!私は天才だから教えてあげる!!人王種は人とは違って肉体そのものの限界を持たない。つまりいくらレベルアップしても上限がないの!しかも永久に老いることがなく若々しい状態で生活することが出来てその愛妻の人も同じく老いることがなくなるのよ!でも人王種は神様と同じ種族が故に神と名乗る人王種から根絶やしにされ絶滅したの。でも人王種は魂の肉体を持たない幽体として生活することはできる。ただし認知されず、物にも触れられない状態だけどね…。だから強い戦士さんが不思議なの」




ほぉ…不老状態で肉体が朽ちることがない。ただしHPが全損すれば肉体としての生命は尽き、霊体としてこの世に留まるのか。なかなか面白いな…女子の風呂場や着替えシーンを覗き見し放題…



いや、そもそも見たいといえば見せてくれそう。とは思うが絶対に口にはしない。後でヒルダ辺りにチクられたら俺の上半身と下半身が真っ二つになる。



「転来者だからなにかとあるんじゃないのかな」


「転来者ー」


風の精霊さんたちは俺らがランニングを再開してもずっと付いてくる。そのままにしておくしかないがとても賑やかだな。











一方座学で暇そうに学院の外を眺めていたヒルダはリックと目が合った。



途端に胸の鼓動が速くなる…



「…なぁヒルダさんの顔みてみろよ。凄い赤くなってるぞ…熱でもあるのかな?」


「いや、ありゃ恋する乙女の顔だよ。誰か…いやもうお前も知ってるだろ?あのFクラスの奴隷の女の子を連れている男だよ。いいよなぁあの足で踏まれてみたいぜ」



男の会話だが、ヒルダの耳にはきちんと入ってきてしまう。そんなに私の顔は赤いだろうか?


私の体をいやらしい目で見てくるのは慣れっこだ。昔から人並みには美容を気にしていたしお洒落についても学習してきたつもりだ。その頃から変な大人達には舐め回す目線を感じ始めたがもう気にすることなくなった。



男なんてどうでもいいと思っていた。だが、リックの目は他とは違った。いや、私の体をエッチは目で見る時はあったがそれに反応するように身体の奥が熱くなってきてしまうのだ。



どうしてあの男に見られるだけでここまで苦しくなるのかヒルダには分からない。本当に自分は彼に恋をしているのかこれが恋心なのか分からないのだ。


ヒルダにとって初恋である。そして、女としてではなく戦士としての道を歩んでいたが故に気持ちの整理がつかずどうしていいのか分からないのだ。




「ばーか」


リックに投げかける優しい罵倒は風の精霊によって届けられてしまった。


そして、リックは面白半分でヒルダの真後ろに転移する。転移系の魔法というよりは縮地を空中でも使い、極限にまでスピードを高めた高速移動である。



そして、イタズラに本気を掛けたアホ男は縮地による風の影響を最小限に抑えこみ、よそ風が舞うだけに押しとどめる。



「…ひどいなぁ」



ヒルダの綺麗な耳に吹き掛けるようにして言葉を呟く、周りには聞こえない小声だ。



「ひゃ、んぐぅっ!!?」


「授業中だろ?静かにしろ」



授業中に、ほかのクラスに入り込んでイタズラする奴がなにをいっているんだ…。



「んー!!!」



嘘!?…なんでリックがここにいるの?あぁ…だめ…耳元は…んんぅ…。



ヒルダは内心焦っていた。リックに弱点を知られてしまうと…そう、ヒルダは耳元がとても弱いのである。



そのため耳掻きを他人にしてもらうとくすぐったくてたまったものではないらしい。それを隠そうと身をよじるヒルダだが、授業中の空間で大きな音も立てられず口にはリックのしなやかでいて男のゴツゴツした手が押さえ付けられ身動きができない。



そんな中で弱点をつかれるヒルダは拷問のようであった。




「ふぁあ…はぁ…はぁ…」


「っ…悪かった流石にやり過ぎたな」



ヒルダの顔はトロ顔というヤツであった。流石のリックも反省の色が見えた。リックもまさかこんなにヒルダの耳が弱いなんて思いもよらなかったのだ。ただ驚かせようとしただけだった。



「…何でここにいるのよ」


「いや、ヒルダが俺のところをばーかって可愛い声で言うもんだからさちょっと虐めたくなったから…?」




ちなみにリックの姿はヒルダのみに対して視覚可能にしていた。他人からは何も無い空間だがそこにはしっかりとリックがいて、光学迷彩のようなものである。



「…本当に心臓に悪いわよ…もう」



「っとさっさと戻らないと。それじゃヒルダ今夜な」




「えっ?」



ヒルダが質問する前にリックは元の場所へ帰ってしまった。



今夜?え?嘘…そんな約束したのかな。寮に戻ったらお風呂はいらないと。匂うかな…って何考えてるのよ。で、でも…私の身体リック…見てたよね。


やっぱりするのかな?恥ずかしいけど…リックなら見せても大丈夫かな………あ…やだ…授業中なのに変な事考えちゃう




ヒルダの顔はますます赤くなり沸騰寸前である。モジモジとするヒルダに生唾を飲み込む男子生徒。いや、既に男子生徒はある部位を押さえ込み、必死に隠そうとしていた。



それほどまでに今のヒルダは可愛らしくそしてまた見たこともないいやらしさを持っていた




「やばい!トイレ…トイレに行きたい!」


「ばか!ヒルダさんに聞こえる!!」







…その男子生徒は後にこう語る。女子を敵に回すと悪魔よりも恐ろしいと…


結論を話すとヒルダのエロさに身悶えしていた男子生徒は授業終了後、女子のヒルダ親衛隊なる者達によって連行され、それはもうおぞましい事をされたという。













学院での生活はかなり充実した時間を過ごせていた。Fクラスは主に戦闘における動きを重点としているため、殆どが外での訓練だ。リンとアルシェは仲が良くなっていて、常に組んで特訓している。



訓練の内容は基礎体力向上。それが終わったら自身に見合う武器を選ぶことや簡単な魔法の使い方などをナターシャから教わる。



ちなみに俺は教える立場である。ナターシャ先生いわく先生よりも実戦経験があるようなため、基礎的なものに関しては手伝いという形になる。



Fクラスの面々はナターシャ先生が選抜しただけありとても伸びがいい。我儘な奴がいないしムラがありながらもそれを活かす特訓を重ねていかせる。魔物との戦闘ならその魔物に見合った動きをしなければならないため、教えようもないが対人戦においては教えることが出来る。



相手が貴族お抱えの騎士様であるならその動きはかなりわかり易い。相手は基本を応用した流派でしか攻撃できないからだ。


そう、頭が硬いし魔物退治は冒険者の本業。そのため、技を魅せるのが主となり隙が見えやすい。


逆に盗賊や冒険者崩れの賊に関してはとてつもなく厄介だ。相手も自らの肉体やスキルを武器にした動きだからどう動くのか予測がつけようもないのだ。




「あーそうだな、まず、糞みたいな騎士には問答無用で叩き潰せ。騎士ってのは基本プライドの塊だ。剣を持ってる奴に聞くぞ右手で剣を振ってガードされるとする。そのとき左手はどうするのがいい?」



みんな難しそうな顔をしているな。そりゃそうだ…こっちの世界では騎士には向かう時点で諦めることがあるからな。騎士が強いって思ってるのが多い。




「答えは簡単。腰に剥ぎ取り用のナイフがあるならそれを相手の腹に刺す。それがないなら無詠唱でも出来る魔法だ。それも無理そうなら唾でも顔面に吐きかけてやれ。そうすれば相手は怯む。その隙に自分の得意なレンジまで離れるのもありだし、隙をついて攻撃するのもありだ。

逆に冒険者や盗賊と相手する場合はかえってその手は悪手になる。向こうもそんなのは経験したことがあるだろうしもしくは自分でやってきた盗賊と戦いになった場合は基本的に逃げるのが勝ちだ。

相手の人数、その武器によって逃げ方はかわっちまうがそれでも一体一というのは賊に限って滅多にない。多数での戦闘が主なんだ。隠れてる奴がいるかどんな時でも盗賊と相手する前に把握することが大事だな」




「なるほど…確かに俺らは魔術学院に所属してながら冒険者になる人が多い。そうなってくると騎士と相対することが多くなる…あいつらを倒すにはどんな手でも使ってぶっ倒せってことだろ?」



「そうだな、どんな汚い手を使ってでも戦いは相手が倒れるまで行われるんだ。だったら最初から汚い手を使いまくってそれで勝てばいいんだ。

ただし、他の人間の助けを借りるな。自分が正しい場合は別だが悪い事をしてそれで他の奴らの手を借りようとするな。1人で悪さをするのはいい。だがそれに他人を巻き込むなよ」



PK―MMORPGにおいてプレイヤーキルってのはよくある事だ。エルダーワールドにも確かに存在した。


俺も少なからず何人かは殺ったことがある。理由は置いといて結論から言うと他人を巻き込んだ場合そいつも罪を重ねるってわけだ。同罪ってやつだな。



他人の手を借りて悪事を働いた場合それの報酬においていざこざが起こって仲間割れが多くなる。結果痕跡を増やすハメになるし自身も怪我をする場合があるんだ。




「さて、俺はある騎士の動きをしてやるから全員どんな手を使ってでも一撃加えてみろ。いいか一応手加減はしてやるが怪我するかもしれないからな」



指をポキッと鳴らして刃を潰した剣を手にする。



騎士王リュカーン。エルダーワールドの中の嫌われ役の騎士だ。アイツを徹底的に叩き潰したため、あいつの動きは全部分かる。それを真似するだけだ

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