てんごく

海野てん

第1話 天使のいる町

 ご覧、天使たちが天国へ帰っていくよ――窓の外を示す友人の指は、言葉なくそう言っているようだった。

 ふと教室の窓の外を見ると、穏やかな春陽の下に翼の生えた少女たちの姿が見える。幻ではなく、彼女たちの背中には真っ白な羽根が生えているのだ。校舎の外、道路の向こうを行くその姿は、黒板に描かれた同心円よりもよほどはっきりと見えた。きっと、窓の外を指差した友人もそうだろう。

 少し前に建てられた『羽根の生えた少女専用の寮』……通称『天国』へ向かうらしい足取りは軽やかで、今にも囁きや笑い声が聞こえてきそうだ。「原子核を中心に円を描くのが電子です」間延びした化学教師の声よりも、よほど少女たちの笑い声が聞こえればいいと思う。

 花の高校生。青春真っ盛りの少年たちには、そちらの方が魅力的なのだ。仕方がない。麗らかな春の町にだって、可愛らしい笑い声が響いた方が気持ち良いはずである。

 しかし今、この地方都市はあの翼の生えた『天使たち』と、黒板の上に白い丸で描かれた『電子』のために、少しばかり騒がしくなっていた。今だって、よくよく耳をすませば、遠くから「リニアコライダー設置反対!」「子供たちに負の遺産を残すな!」などと叫ぶ声が拡張器を通じて響いてくる。

 耳に入ってくるのはつまらないことばかりだ。机に突っ伏すと教師の注意が飛んで来た。

 「宮下、授業に集中しなさい」

 黒板、机、桜、高校生たち。全て原子から構成されている。原子には非常に小さい電子が含まれていて、電子同士をぶつけるのには『リニアコライダー』という、なんだかやたら大きな直線型の機械だか施設だかが必要になる。一体それがどういう原理なのか、宮下多聞(みやした・たもん)にはさっぱり分からない。分かるのはただ、随分大層なものらしいということだけだ。

 少なくとも、町の一部の大人に、『天使の羽根が生えてくる奇病の原因になる』と思い込ませる程度には大層なものなのだ。

 ひょっとして、あれは実験施設などではなく、人を洗脳して扇動させるためのものなのではないかしらん――とりとめもない空想に耽っていると、いつの間にか授業は終わっていた。

 

 コンビニの袋を下げて、長い影が伸びる帰り道を行く。袋の中は今日の夕飯だ。家に帰って夕食は何かなどという驚きを求めることは、今日の多聞にはできない。高校生にしては侘しい、だが慣れたものである。

 「……だ、誰か……あ」

 しかし、路地の向こうから聞こえた小さな声が、多聞の足を止めた。女の子の声だ。恐らくは、同じ年頃の。

 夕闇に飲まれつつある路地に目を凝らすと、四つん這いになっている男の背中が見えた。主に脂肪によって体積を増されたその体の下から、細い足が伸びている。嫌な想像をしなくても、少女が男に伸し掛られているようにしか見えなかった。

 「何してるんだ!」

 叫ぶとスウェットの背中が揺れる。露骨にビクついた様子が、悪い想像を確信に変えさせた。

 「お願い……た、助けて!」

 「静かにしてろ!」

 助けを乞う少女に、怒鳴る声は焦っているようだ。背後の多聞に気を取られながらも、彼女を押さえ込むことを止めはしない。掴む男の手から逃れようと、白い指が空を掻いたのを見た瞬間、多聞の体は動いた。言葉での制止など考えなかった。

 体重をぶつけるように全身で男の背中にぶつかる。転がるように少女の上から退いた男は、憎々しげに侵入者を睨みつけたが、それに怖気づくような性格ではない。再び男に飛びかかった多聞は、四肢を使って男の体を地面に押さえつけた。

 「こんの、野郎!……あ!」

 痛みに顔を歪め悪態を吐く男は、多聞の背後に焦点を合わせた瞬間、顔色を変えた。仲間がいたのだろうか。思わず振り向いた多聞は、背の高い男が逃げて行く姿を見た。

 仲間ではないのならば、よかった。喧嘩の加害者だと思われたかもしれないが、真の加害者が誰かなんて、被害者の少女が語ればすぐ明白になるのだから。

 「警察呼ぶからな!」

 視線を少女に向けて、通報を促す。腰を抜かしたままの彼女は、はっとしたように慌ててスマートフォンを取り出し一一〇番通報をする。

 どうだ、これでもうお前はお縄だぞ。間もなく到着する警察を思って怯えるかと思えば、男は青い顔に冷や汗を幾筋も流しながら、大人しく地面に蹲っている。最早、多聞が押さえつけている必要さえ無いくらいに、頭を抱えて縮こまっているのだ。

 「終わりだ……もう、もう……見つかった、失敗した……」

 「そうだな。もうお前、終わりだよ。女の子を襲うなんて馬鹿なことするからだ」

 「違う!……お前も、お前も終わりだ……見られた、見られた……」

 ぶつぶつと呟き続ける男は、間もなく現れた二人組の警官によって連れていかれた。多聞たちも聴取を受けたが、幸いにも連絡先を確認した後、早々に開放された。

 しかし、普段下校にかかる時間より、遥かに長い時間を必要としたのは間違いなく、濃い藍色が棚引く夕暮れの中に放り出される形になってしまった。「送ってくよ」と進言するのは、自然の成行きだった。

 「あの……助けてくれて、ありがとう」

 深く頭を下げると、肩口まで伸びた髪が一瞬だけ彼女の顔を隠す。再び見えた顔に微笑みがあって、多聞はちょっと嬉しくなる。自分が目の前の人物を助けたのだという実感が今更のように湧いてきて、なんだか照れくさい。

 「別に、誰だって助けるだろ、あんなの見たらさ」

 ついぶっきらぼうな言い方をしてしまう。少女はいっそう笑みを深くし、「そんなことないよ」と、首を横に振った。

 「だって、後から来た外国人は、逃げちゃったもん。本当は、ああいう人が多いんだよ」

 「外国人?」

 「あ、うん。ほら、助けてもらった直後に……えっと」

 「宮下多聞」

 「……宮下くんの後ろに人が見えたんだけど、すぐいなくなっちゃったの。本当は、ああして面倒事を避ける人ばっかりだよ」

 ああ、あの時見えた『背の高い後ろ姿』は外国人のものだったのか。多聞は一人納得する。けれど、もしその外国人が面倒事を避けるために逃げたのだとしたら、あの男は一体何に怯えていたのだろう。

 「それより、あんた、いや、君……」

 一旦疑問を仕舞いこみ、多聞はできるだけ表情を厳しくして少女を見据える。

 「あ、私、銘苅千佳(めかる・ちか)」

 「銘刈、『天使病』ならば天国……じゃない、病院附属寮からあまり遠ざかるのは良くないぜ」

 千佳と名乗った少女は、背に白い翼を持っていた。正面から見ればほとんど隠れてしまうほどの大きさだが、確かに学校の窓から見た少女たちと同じ病であることが分かる。

 「私、今日この町に引っ越してきたばかりで、まだ入寮の手続きが済んでないの。その、だから……」

 自分で望んであの路地にいた訳ではないのだ。千佳は鞄の中から、人参や玉ねぎを引っ張り出し、買い出しを余儀なくされ出歩いていたことを示す。

 「そ、うなんだ。ごめん」

 知らなかったとは言え、責めるような言い方をしてしまった。気まずくなりながらも、ならば尚更この町のことを知っていてもらわなければならない。多聞は再び千佳に向き直った。

 「銘苅は『リニアコライダー』って知ってるか?なんかすっげー大きくて、陽子や中性子より小さな電子でもぶつけられる……」

 「知ってるよ。だって、お父さんがその研究をするっていうから、ここに一緒に越してきたんだもん」

 よもやまさか直接関わりのある研究者の家族だったとは予想外だった。今日、授業中に教師が述べていたことを繰り返しただけの多聞は、耳が熱くなるのを感じた。無意識に得意になっていたことが恥ずかしかった。

 「じゃあ、聞いたことないか?リニアコライダーが天使病の発症に関わってるとか言われてるの」

 「……少しは。でも、お父さんは根拠のないデマだって言ってた」

 そう聞かされていても、やはり気になるらしく背中の羽をいじる。背中に翼が生えると言われる天使病は、魚鱗癬のような皮膚の変質とも、ケラチン蛋白の異常増殖とも言われているが、いずれにしても治療方法が確立していない。切り落とすことはできても、患者の皮膚を大きく切除するため、当然傷跡は残るし、場合によっては皮膚移植が必要になる。

 しかし、手術跡が残る割に、羽根のようなものが生える以外の症状がないのだ。それ故に、多くの患者は千佳と同様、翼を生やしたまま生活している。

 「そうだな、デマかもしれない……俺も、そう思うし」

 多聞とて、最初はデマだと思っていた。リニアコライダーから発される何だかよくわからないエネルギーの影響で、羽根が生えてくるなんて。

 「けど、ちょっと前にリニアコライダー設置後から、天使病の発症が増えているって話が出たんだ。そしたら一部の大人が乗っかって、リニアコライダー取り壊しだのなんだのって、すっごい騒ぎ出したんだ」

 どこの研究機関か調査会社が言いだしたのか分からないが、統計グラフと眉唾ものの推論でリニアコライダーと天使病の関連を発表したのだ。大きな反応をしたのは、患者たちよりも、リニアコライダー設置反対を訴えていた連中だった。それ見たことかと大騒ぎした彼らは、「天使病患者らを救え」「新たな発症を防げ」と騒ぎ立て、とうとう市の病院に患者のための専用の寮まで作らせた。建材に特殊なものを使っているとか、こちらもこちらで眉唾なのだが、訴えていた大人たちは要求が通ったことに喜び、小さくも大きな第一歩になったとして、再びうるさく町を練り歩き始めた。

 「それから、その話が出たことで、変な連中が町に来るようになったんだ」

 「変な連中?」

 「さっき、銘刈を襲ったような奴。つまり、ヘンタイ」

 「……へんたい」

 「あるいは、質の悪いオタク」

 「おたく……」

 改めてどういう人物に襲われていたのか理解した千佳は、夕闇の中でもはっきりと青ざめて見えた。怖がらせてしまったか。けれど、これは彼女がこの町で生きていく上で、大切なことだ。変態的な性欲の対象にされてしまうことは、きちんと知っておかなければ。

 「そう。そういうちょっと変な趣味の連中が、銘刈みたいに天使病の患者に声掛けまくったり、付きまとったりするって事件が増えてるんだ」

 「……やだ……」

 「でも、寮に入ればセキュリティーとかしっかりしてるし、門限までに帰らなければ係りの人が探してくれるって聞くし。それまで注意していればいいさ」

 不安げに、自分自身を守るように両手を組んだ千佳は、さっきのことを思い出してしまったのかもしれない。さすがに脅しすぎてしまった。多聞は慌てて心配を打ち消せるような例を挙げていく。

 「それに、何かあったら言えよ」

 そうすれば、すぐに駆けつけるから。スマートフォンの画面をつけて差し出すと、千佳も彼女のスマートフォンを前に出してくれた。

 「じゃあ、今日は本当にありがとう、宮下くん」

 「ああ、じゃあな」

 互いの連絡先を交換し、多聞と千佳は別れる。

 千佳が入って行って家の明かりは点いておらず、彼女もまた、これから一人きりの夕食を済ませるだろうことが窺えた。自分と同じだ――妙な一体感を覚えながら、多聞もまた家路を急いだ。

 

 「ただいま」

 すっかり暗くなった頃、ようやく宮下家に到着する。銘刈家同様に明かりの無かった家に、スイッチ一つで明りを灯しながら多聞はコンビニの袋から弁当を取り出す。レンジで温めている間に、居間の隣の仏間へと向かった。

 「ただいま、父さん」

 多聞が中学二年生になって以来、父は仏間の一角に仏壇という形で座している。

 「今日も母さん遅いみたいだ。まあ、復帰した職場で、ようやく主任にまでなれたんだから、仕方ないけど」

 返事のない父親に多聞が語りかけるのは、多聞が中学三年生になってからの習慣だった。

 中学二年生の秋、多聞の父は鬼籍に入った。実にありがちなトラックによる交通事故だった。トラックの持ち主である運送会社は慰謝料を出し渋ることなく、父の死の後、おおきないざこざが起こることはなかったが、母の落ち込みようはひどかった。年の離れた姉が母を支え、多聞も一人になった宮下家の男として弱音を飲み込む生活が続くように思えた。

 そんな母に転機が訪れたのは、一日家で落ち込んでいるよりは、気を紛らわしに仕事をしてみないかと昔の職場から声がかかった時だ。悲しみを忘れるように仕事に打ち込んだ結果、彼女は売り場のパートから正社員へ、更には主任にまで昇進を果たすことになる。

 「うん、無理するなって俺から言っておくよ」

 きっと父ならばそう諌めるだろうと思い、多聞は声なき父の声に約束した。

 「そうだ!それから今日、女の子を助けたんだ!男に襲われてるところをさ……俺、ヒーローみたいだろ?」

 チンと、レンジが音を立ててても多聞は喋り続ける。本当にそこに誰かがいるように、身振り手振りを交えて、すこし大げさに喋り続ける。

 「あ、そうだメシ、とメール確認しないと」

 ようやくレンジから取り出した弁当に箸を付けるが、最初の一口の前に、多聞は再び立ち上がる。居間に置かれたパソコンの電源を入れると、今度は弁当と共にパソコンの前に陣取った。母がいれば絶対に許されないこの夕食の方法を、多聞は密かに気に入っている。

 パソコンには新しいメールが届いていた。新着は三通。全て姉から送られたもので、全部に写真が添付されている。幸せそうに微笑む彼女の隣には、外国人の男がやはり幸福に満ちた表情で写っていた。

 姉の腹は以前よりも随分大きくなっていて、間もなく地球人口が一人増えることを教えてくれる。

 「姉貴も義兄(にい)さんも元気そうだ」

 文面によると、冬の間に南イタリアまで趣いた旨が書かれていたということで、遺跡の写真が付されていた。

 

 多聞の姉、柚梨(ゆずり)はイタリア人の男性と結婚し、今もイタリアで生活している。宮下家の大黒柱を失った後、母を支え、高校卒業と同時に働き始めた柚梨は、母が家庭の外に居場所を見つけた頃、自身の貯金をはたいてイタリアへと旅立った。多聞にも母にも言わなかったが、イタリアに語学留学することが彼女の夢だったのだ。

 「お母さんも多聞も、もう心配ないものね」――笑顔で飛行機に乗り込む柚梨を見送りながら、多聞は自分が弱音を吐かなかったように、柚梨も夢を誰にも明かせなかったのだと気付いた。だからこそ、今、姉が夢を叶え幸せにしているのならば、純粋に嬉しく思う。もっとも、まさか現地の男性とゴールインまで果たしてしまうとは思わなかったけれど。

 「そうだ、姉さんにも教えよ」

 今日、偶然にも自分がちょっとしたヒーローになったことを、柚梨にも一度だけ会ったことのある義兄にも知って欲しかった。

 しかし、あの出来事を文章にしていくと、言葉にするよりも冷静に見ることができる。あれこれと大げさに仏壇に話しかけたというのに、行動を綴ったメールの文面は随分控えめな表現になっていて、多聞の頭を悩ませた。もう少し具体的に書けば良いだろうか。

 うんうん唸りながら思い出す多聞の脳裏に、千佳の姿が浮かぶ。ゆるいウェーブのかかった髪は、肩より長めだった。大きな目は顔立ちを幼くに見せていたけれど、長めの睫毛はやはり年頃の女の子らしくて……。

 「……何考えてるんだ、俺は」

 思いがけず千佳のことをじっくり眺めていたようだ。妙な恥ずかしさを覚えながら、多聞は送信ボタンを押す。これ以上考えても、メールより千佳のことばかりが脳裏を掠めてしまうような気がした。

 「そう言えば、外国人がどうとか言ってたっけ」

 落ち着きを取り戻した脳が、一人の人物を思い出す。路地でのいざこざを見て、逃げ出してしまったと思しき薄情者――とは思わない。リニアコライダーができて以来、設備を利用するために外国の大学や研究施設から多くの人間がこの町に一時的な拠点を築いていたが、一時住まう町のために、面倒事に巻き込まれようとする者の方が少ないだろう。

 「……?」

 続いて思い出したのは、千佳に跨っていた男のことだ。多聞が押さえ込んだ後、彼は何かを見て、急に怯えた様子を見せ始めた。警察が来る前、彼が目にした人物と言えば……恐らく、千佳が見た外国人だろう。

 だが、一体何を恐れる必要があるのか、多聞には見当もつかない。少なくとも、あの外国人は多聞たちの姿を見て逃げ出すくらいの人物だ。

 「んー、ま、いっか」

 結論の出ない思考は止め、風呂を洗うことにする。遅く帰ってくる母を労うのに、一人考えに耽るよりも遥かに役に立つ行為なのは明らかだ。

 

 

 新しい町で最初の知り合いができたことを、千佳は素直に嬉しいと思う。経過は思い出しても恐ろしいけれど、身の危険も顧みず助けてくれる人もいる。それが分かっただけでも、これからの生活を勇気づけられるのだ。

 「いただきます」

 自分で作った料理をよそい、一人席に着く。

 父はまだ帰っていない。きっと仕事が長引いているのだ。母も帰っていない。彼女はもう二度と帰って来ることはない。だから、残しておく料理は一人分だけでよかった。

 「……」

 話し相手のいない食事を、寂しく思う気持ちはない。きっと、もし母親がこの場にいたとしても、千佳と楽しく会話をしてくれることはなかっただろうからだ。彼女はいつも、父のことを仕事中毒だと責めることに執心していた。そんな話を聞きながら、楽しく食事を摂ることはできないのだ。母が出て行った後の静かな食事。千佳にとって新鮮で、少しだけほっとできた。罵りと共に食事を飲み込むよりはマシだった。

 「……ごちそうさま」

 けれど、今は彼の話を――宮下多聞の話を聞いてくれる相手が欲しかった。

 自分の前に颯爽と現れたヒーローの名を、自分の身に起こった映画のワンシーンのような出来事を、身近な人に話したかった。そうして一緒に驚いて、助かったことを喜んで、勇敢な彼への賞賛を誰かに共感して欲しかった。勿論、ただの願望に過ぎないことを千佳は知っている。そして、存外手軽に伝える手段があることも知っていた。

 スマートフォンのアドレス帳に並ぶ、友人たちの連絡先。いくつもの県を挟んだ向こうにいる、ほんの数日前まで親しくしていた級友たちは、千佳の今日の出来事にどれだけ共感してくれるだろう。画面に打ち込んだ文字列は、千佳の今の心境を確実に友人たちに伝えてくれるのだろうか。

 「……」

 考えた末、千佳は結局誰にも今日のことを教えなかった。自分が感じた恐怖も感謝も文字では表しきれないのだ。ただただ無機質な出来事だけを伝えるくらいならば、今は伝えなくてもいい。また、友人たちと再会することがあれば、その時に思い出話として、身振り手振りも交えて伝えればいいのだ。

 それに、遠くの級友たちじゃなくても、この町で新たな友人ができれば、引っ越してきて最初の事件として話して聞かせてもいいだろう。もしかしたら、多聞を知っている人だっているかもしれない。

 「そういえば、どこの学校か聞きそびれちゃったな」

 専用の寮に入っても、普段は最寄りの高校に通うことになると聞いている。多聞は一体どこに通っているのだろう。もし、同じ学校に通えたら嬉しいと思いながら、千佳は明日の支度にとりかかった。

 

 翌朝、千佳は眠りについた時と同じように一人きりだった。余分に作っておいた料理がなくなっていることと、入寮や高校編入の書類に署名されていることだけが、昨晩父が帰宅していたのだということを教えてくれる。

 「……いただきます」

 こういう日は、なんだか眠気がしつこく体に残っている気がする。食欲も眠気に負けて控えめだ。

 取り敢えず食べられるだけの朝食を済ませて家を出る。近からず遠からずの距離に建っている病院の受付に行くと、すぐに担当の女性職員が顔を出し、応接室へと案内してくれた。

 「今のところ、他に健康面は問題ありませんか?」

 「大丈夫です」

 簡単な質問と当たり障りのない会話を繰り返す最中、千佳はふと窓の外を行く天使たちを見つけた。皆、自分と同じ年頃だろうか。纏う制服こそまちまちだが、若い女ばかり、揃いの白い翼を生やして敷地の外へと出て行く。燦々と降り注ぐ春陽の下、楽園で遊ぶ天使の姿を想像し、確かにこの病気は『天使病』という名前がしっくりくるような気がした。

 「どうしました?」

 あまりに熱心に窓の外を見つめていたせいで、担当職員に不思議そうな顔をさせてしまった。

 「あ、いえ、あの……女の子だけなんだなって思って」

 考えたままの疑問を口にする。寮から出かけていく人々は、つまり千佳の見た天使病の患者は全て女性で若い。中高年の姿は皆無だ。

 「ええ、そうね。天使病の患者は、ほとんどが未成年の女の子なんですよ。それも、天使病である以外は健康な方がほとんどですね」

 「そうなんですか?」

 そう言われてみれば、千佳だって天使病である以外には至って健康そのものだ。風邪さえ滅多にひかないのは、馬鹿だからではないと思いたい。

 「天使病の翼そのものはケラチンというタンパク質の一種でできていることが分かっています。人間の場合は、爪や体毛などに使われているタンパク質なのですが、それが異常に増えてしまうことで、翼状の皮膚や体毛の変化が現れると言われています」

 「ただし、それが起こる原因は分からない……ということなんですね」

 「そうです」

 以前聞いたままの情報で、目新しい話は聞けなかった。やはり、この病気は未だ解明されていない部分が多いということだろう。

 「入寮される方には、一週間に一回検査を受けてもらうことになります。今日も、入寮前に一度問診していただきますが、よろしいですか?」

 勿論、問題などない。二つ返事で応じた千佳は、間もなく隣接する病院の待合室へと通された。「どうぞ、お入りください」とアナウンスが流れ、他の外来患者と同様に診察室へと通される。

 「銘刈千佳さんですね」

 「はい、……!」

 患者用のスツールに掛けるよう示す医師は、金髪碧眼の白人男性だった。思わず確認した名札にも片仮名で名前が書いてある。白人のような見た目の日本人、というわけではないらしい。

 「天使病の他に治療中の病気や、過去に大きな病気をしたことは?」

 驚いた様子の千佳を気にもせず、医師は問診を始める。流暢な日本語に驚いている間に、背中の翼への触診へと移った。あれよあれよという間に診察は進んでいく。

 「はい、では診察は終わりです」

 「あの、先生、昨日お会いしましたよね?」

 診察室から出る直前、千佳はようやくもう一つの驚きの原因を確認することができた。

 目の前の医師は、昨日の夕方、路地で揉み合う多聞らを見て逃げていった外国人の男にそっくりなのだ。

 「……いや、君と会うのは初めて、かな?」

 「あ、もしかして、私の顔は覚えてませんか?昨日の夕方、路地で……」

 「いいや、知らないね」

 もしや顔を覚えていないだけかと思い、あの時の状況を説明しようとすると、医師は存外強い口調でぴしゃりと千佳を遮ってしまう。彫りの深い顔に皺が寄り、険しい表情を作った。

 「す、すみません……気のせいだったかもしれません……」

 明らかに不快な顔をされてしまうと引き下がらないわけにはいかない。ただの人違いにしては随分と強い拒絶の対応だったが、これから世話になっていく相手の機嫌をわざわざ損ねても仕方がない。千佳は逃げるように診察室を飛び出した。

 「……絶対、先生だと思うんだけどなぁ……」

 あの男はスーツを着ていた。今日のシャツと白衣の組み合わせはスーツに似ていて、顔立ち以外にも全体の雰囲気を昨日そのままに再現していたのだ。見間違いだとは思えなかった。

 疑問を抱えたまま病院を後にした千佳は、二組の外国人の家族とすれ違いながら自宅へと向かう。そうだ、考えてみれば、今この町で外国人を見るのは決して不思議ではないのだ。千佳の父がリニアコライダーのために引っ越してきたように、外国からも研究者が訪れているのだ。その中の誰かと、担当医とがよく似ていただけかもしれないではないか。そう自分を納得させて、千佳はまだ明るい空の下を歩いた。これだけ早い時間ならば、ついでに通う高校へも編入手続きを行くことができたかもしれない。生憎、そのための書類を一式自宅に置いてきてしまったため、実行するにはなかなか手間がかかることになるのだが。

 「……ま、いいか」

 今日は病院への用件を済ませるだけの日だ。

 制服ではないのをいいことに、千佳は足の向きを少しだけ変えて繁華街へと進んでいく。ちょうど昼時だ。お腹も空いたし、町の様子を知るために色んな場所を見ておくのだって悪くない。友人ができたら、一緒に遊びに来ることになるかもしれないのだし、それに……

 「美味しいお店があったら、宮下くんにお礼しなきゃ」

 助けてもらったお礼をまだしていない。おすすめの店を見つけたら、多聞を誘ってみてもいいだろう。しかし、そこで千佳は重要なことに気付く。

 「ん?宮下くんって何が好きなんだろ?」

 恋人らしい恋人のいたことがない千佳には、身近な男性と言えば父だ。もっとも、その父は千佳にとって理解し難い分類の人物なので、一般的な男性の例にはならない。仕事にかまけて過程を顧みなくなるような人物に、「お礼に美味しいお店でも」なんて誘ってもろくな反応は返って来ないだろう。

 「……はあ」

 せめて同じ年頃の男の子と付き合いがあったならば。

 溜息と共にショーウィンドウに映った自分の顔を見つめる。肌の手入れは気を付けているし、清潔な印象を心がけているし……自分で思うのも何だが、顔の造詣だってそこまで悪くはない。

 むむむ。唸りながら磨かれたガラスを見つめる千佳は、背後から近付く人物に話しかけられるまで気付かなかった。

 「すみません、お時間よろしいですか?」

 「!?」

 突然真後ろから話しかけられれば、例えどんなに穏やかな声でも肩がはねてしまうだろう。体を強ばらせながら振り返った千佳は、小柄な婦人がにこやかに佇んでいるのを見た。

 「な、何か……」

 「天使病の方ですよね?」

 そう言われて、千佳はすぐに逃げなかったことを後悔した。その病気なのは、見れば分かるではないか。傍から見て分かる病状を、わざわざ他人に確認されるのは嫌な気分になる。なけなしの愛想笑いが消えていくのを感じた。どうしよう。どうにかして逃げ出そうと思考する千佳を余所に、婦人は話を続ける。

 「私たちは聖書の教えに基づき、困っている人々へ私心のない愛を……」

 うわあ。今にも口から出そうになる言葉を、千佳は必死に飲み込んだ。

 多聞から天使病患者にの周りには興味を抱くヘンタイや、リニアコライダー反対の旗印にしたがる大人などがいることを聞かされていたけれど、まさかこんな人間まで寄ってくるとは思わなかった。『愛』などという最もらしいお題目で、善行をしているつもりの手合いは質が悪い。

 「こ、困ってませんから……!」

 あっちへ行け、の代わりに千佳は小さく叫ぶ。

 「変な人に寄ってこられる方が、迷惑ですから!」

 自分を困らせているのは天使病そのものではない。病に対して、己の欲求や目的を重ねてくる人間の方が迷惑なのだ。自らの叫びで気を持ち直した千佳は、今度こそ迷惑だと言い放ち、距離を取るべく走り出す。追ってくる気配はないが、楽しい気分は萎んでしまい、今更美味しいお店を探してみようという気持ちにもなれない。

 「……帰ろ」

 天使病そのもので困っているということはない――それは本当だ。洋服に翼を通すための穴を開けるのだって慣れた。慣れないのは、病に群がる人間の方だ。

 重くなった足を引きずるように自宅に辿り着くと、ベッドの上に転がる。必要以上に疲れていた千佳は、日の落ちかけた頃、着信音に起こされるまで眠り続けた。

 

 

 毎週金曜日、多聞はある一件のパン屋を訪れる。母と知り合いの女性が開いているその店で、食パンの耳を貰うためだ。今でこそ、母が稼いで成り立っている宮下家だが、父親という大黒柱を失った直後、経済的な負担を減らすために協力してもらった習慣が今でも続いているのだ。一度多聞が「おばさんの作るパンが一番美味い」などと褒めたことも功を奏し、時折余分に焼いた惣菜パンをくれることもある。

 今日も分けてもらったご馳走を片手に、多聞は何となく昨日と同じ道順で帰ろうとパン屋からわざわざ遠回りをした。いや、何となくではないのだ。本当は、また千佳と出会えるのではないかと思っていた。

 連絡先まで交換しているのに、偶然を期待しているなんて……だが、昨日千佳に教えたとおり、今、この町は平常ではない。また誰かに危害を加えられそうになっていたら、困るではないか。誰に言うでもない言い訳をしながら、ふと路地の奥に視線をやった。

 「あ」

 「……あ」

 多聞の声に反応し、路地の奥からも同じ音が返ってくる。声の主は、昨日千佳を襲っていた男だった。

 「お前、性懲りもなく……!」

 同じ路地、同じ時間帯にまた現れるなんて、目的は透けている。多聞の体が熱く沸く。怒りのままに追いかければ、男は短く悲鳴をあげて逃げ出した。「待て!」の静止で止まるはずもなく、息を荒げながら脱兎の如く駆けていく。しかし、多聞が息を切らす前に、逃げる背中は大きくなり、一区画ほど離れた公園で追いついた。転げた男の腕を掴んで引き起こす。

 「また、変なことして……ん?」

 男の顔は傷だらけだった。昨日多聞と揉み合った時についた傷とは明らかに違う。

 額に当てられたガーゼにはナイフで切ったように一直線の血が滲み、目元や片頬は大きな打撲跡が付いていた。青あざが見えるのは顔だけではないらしく、まくった腕にも同様の傷が目立つ。視線を下に落とせば、ジーンズを穿く右足が左より膨らんでいた。まるで、包帯を巻きつけているように。

 「なんだよ、これ……」

 多聞ではない、となれば身柄を引き渡した警官らが原因だろうか。けれど、多聞が捕まえて間もなく、男は抵抗を止めていた。それこそ、何もかもを諦めたように大人しくなったのは――あの『背の高い人物』が現れたタイミングだったと記憶している。

 「……外国人?」

 千佳が外国人だと言っていたことを思い出す。何気ない呟きに男は傷ついた体を震わせた。

 「お、お前、まさか、仲間じゃないよな!?日本人だもんな!?」

 「仲間とか何のことだよ!」

 「あの男だ!この町に入り込んだキチガイ共の!」

 「知るか、そんなの!!」

 強い否定を聞いて、男は体を弛緩させる。ようやく呼吸できたとばかりに深い深い溜息を吐いた。その目には安堵を通り越し、何もかもを失った諦念さえ浮かんでいる。ふらふらと立ち上がり、多聞の手をゆるく振り払った。しかし逃げる素振りも見せず、近くのベンチへ崩れるように座り込んだ。

 「お前、昨日あの外国人見たか?」

 「いや……逃げてく後ろ姿が見えただけだ」

 「なら、この町で似たような背格好の男にあったら、絶対に近づくな。またあいつにあったら、お前もきっと同じ目に合わされる」

 「はあ!?」

 一体どうしてそんなことをしなければならないのだ。多聞は決して上品な人間ではないが、誰彼構わず喧嘩腰になることもしない。最近この町に急に増えた外国人にだって、そこそこ平和な付き合いをしていた。怪我を負わされる原因には思い当たらない。

 「……クー・クラックス・クランって聞いたことあるだろ?白人至上主義のクソみたいな集団。昨日逃げてった外国人は同じようなヤバい思想の奴だ」

 「……なんで、そんなこと知ってるんだよ」

 「あの女の子を……いや、日本人の天使病患者を誘拐するように俺に言ってきたのが、アイツだからだよ」

 「誘拐?天使病の患者を?……え、いや、まさか」

 昨今、この町で起こっていた問題を思い出す。『ヘンタイ』や『オタク』の質の悪い連中の原因だとされていた、少女たちへの……。

 「気付いたか?町で起こってる事件、裏側で指示してるのは差別主義の外国人たちなんだよ。リニアコライダーができただろ?あれの研究だとかで、沢山入ってくる外国人の中に紛れて来るんだ」

 「……だからって、なんでそんな奴らの言うこと聞いてんだよ!馬鹿じゃねえの!?」

 何故そんな連中がやって来るのか――どんな理由があったとしても、患者らを誘拐してもいいことにはならない。ましてや、非道な行いに手を貸すなど。

 「仕方ないだろ!妹が病院から帰ってこないんだ!」

 項垂れていた男は、多聞の怒りに負けないほどの大声で返す。すっかり力を無くしていた相手の喚呼に、多聞は僅かに勢いを削がれた。それに、気になる単語も聞こえた。

 「病院?」

 「天使病の患者が入れるやつ、病院にあるだろ。妹がそこに入ってたんだ。でも、しばらくしたら変な白人の……あの男が、無事に退院させたければ言うことを聞けって言ってきて。言うことを聞かなければ、治療の名目でいくらでも妹を自分たちの好きにできるんだって……」

 「……警察には?」

 「言って信じてもらえるか?町ん中ふらふらしてたまにバイトする程度の俺と、立派な学者先生の言うことと、お前ならどっち信じる?それに、下手に警察から話が言って、妹に何かあったらと思うと逆らえなかった!」

 「……」

 多聞は考える。もし、同じように姉の柚梨が人質になっていたら、自分には相手の要求を拒みきれるか――是とは言い切れない。

 「俺は昨日しくじった。この怪我はただの制裁だ。けど……さっき病院から、本格的な治療のために妹をアメリカの病院に送ったって連絡があったんだ」

 「それって!」

 震える唇が、最悪の予想を呟いた。

 「きっともう、戻って来られない……」

 掛ける言葉が見つからない。今日、ついさっきまで目の前の男へは怒りと侮蔑しか抱かなかったというのに、蹲るようにベンチに腰掛けている男がただただ哀れだった。正義のヒーローみたいに「妹さんを助けに行こう」なんて、無責任に景気の良いことだって、多聞には言えない。ありえないほどの幸福に恵まれ、映画のハッピーエンドのように救出できたとしても、その後に待っているのは逆らった兄への報復だけなのだ。

 家族と遠く引き離された男に、すがる希望になる一言も与えてやれず、多聞の胸が痛んだ。

 「お前もだけど、昨日のあの子も気を付けさせろよ。あの時俺を見捨てて逃げた奴には、絶対に会わないようにしろ。あいつの自業自得だけど、あの場で逃げ出したせいでかえって不審な行動しちまった自覚はあるらしいからな、あいつ……オバリーって呼ばれていた」

 深い溜息の後、少し落ち着きを取り戻したらしい男は多聞に忠告する。気力が抜けた声は小さくとも嘘偽りの気配はない。

 「……分かった」

 全てを信じたわけではないが、男の負った怪我は何者かの暴行を如実に訴えている。痕跡を隠そうともしない暴力を振るう何者かが、この町にいるのは間違いないのだ。それだけでも、ぞっとする思いだ。

 「なあ、一ついいか?」

 「おう」

 去ろうとして、今一度立ち止まった多聞を見もせずに男は応じる。項垂れたままだが、答えてくれるようだ。

 「天使病の患者を白人主義の連中が狙う理由って何なんだ?」

 「あいつら、信じてやがるんだ。天使病が……」

 言い淀んだ男は、だがはっきりと断言する。

 「天使病の患者たちが、本物の天使だって信じてやがるんだ。地上に現れた天使は終末を告げる存在……最後の審判で善良なキリスト教徒を救う存在。だから、キリスト教徒以外から天使が出るのを認めようとしない」

 「……狂ってる」

 率直な多聞の感想に、男は乾いた笑みを浮かべた。暗い笑みは、しかし決して嘘をついている表情には見えない。

 「ああ、狂ってる。頭おかしいぜ。連中、この町で天使病の患者が増えてるらしいってのに目を付けたんだ。送り込まれてきたのが、超座別主義の白人至上主義ときたら、どうなるかなんて言うまでもないだろ?」

 「……銘刈!」

 自分たちの正体を隠して、金や弱味を利用して汚れ役を押し付ける。ためらいもせずにそれをやってのける――男の言うことが本当だとしたら、そんな集団が町をうろついているのだとしたら、一番危ない立場が誰なのかなんて、考えるまでもない。

 千佳は今どうしているのだろう。昨日は入寮する予定だと言っていた。もう入ってしまっただろうか。もしかしたら、既に悪い状況に陥っているかもしれない。慌てて「今どこにいる」と送ったメッセージには返答がないのを確認し、多聞は駆け出した。

 何かあったのだとしたら、走っても間に合わないかもしれない。けれど諦めること無く、走りながら昨日教えてもらったばかりの電話番号に発信する。祈るような気持ちでスマートフォンを耳に当てていると、「……宮下、くん?」数コールの後に眠そうな千佳の声が聞こえてきた。

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