#HIMIKO_2099//08_HIMIKO_04/Space Zero Fighter

ひみこ2099年//08_聖地球連邦04/宇宙零戦



 ◆99秒経過



 『ひみこ』艦体中央部やや前舷側(左右)カタパルト起動。


 カタパルト基台そのものは、深宇宙走査子(しんうちゅうそうさし)展開支柱も兼用する。

 艦載機の放出は迎撃解析ネットワークの高機動レベルでの解放にあたるために、各艦載機の電子脳とのリンケージを最優先でこの走査子が受ける。

 両舷のカタパルトが、宇宙零戦隊をひみこの両翼10kmに展開させるために艦の推力線から90度直角に向く。



 宇宙零戦:機体装填行程。

 艦内格納庫より搬送シャトルに乗った機体が迫り出し、カタパルト基部のターンテーブルでカタパルトの射出角に同期された後、カタパルト本体誘導路に

ジャッキアップされる。


 左舷カタパルト


 ◆宇宙零戦:尖龍(せんりゅう)22型(単座)◆◆


  機体諸元

  全備重量8.5トン/全長9.85m全幅(推力制御翼最大展開)12.15m/

  上昇率(大気圏内)1370m/s

  最大制御推力値250tトン/推力動向変更率98度/秒/反動消去域-7G~+8.5G/

  武装:エネルギー複合弾頭砲2門(弾数格12発)

     零式次元静隠型宇宙魚雷(れいしきじげんせいおんがたうちゅうぎょらい)×4。



 戦闘グループ“しらさぎ”1番機、ジャッキアップ完了。


 推進力場翼(すいしんりきばよく)展開。

 翼の上下面に2機ずつ懸吊された宇宙魚雷が、機体推進軸方向に正対した。

 シャトルはただちに後退、次番機の射出に備える。

 続いて右舷カタパルト◆同じく、戦闘グループ“つる”1番機、ジャッキアップ完了。



 艦尾対空砲が射出シークエンス防御のために活性化。

 機体位置が前進し、カタパルト上の加速シャトルに接続され発動機スタート。

 機体推進場形成、艦の推進場とシンクロ、リンクが形成される。


 エンジン出力臨界。

 航法灯、離艦シークエンス3、2、1。

 推進力場翼がわずかにオーラを放つ。


 発進_相対機速120km/h。

 パイロットはすべてソシオンドロイドなので、限界Gリミッタは10である。


 14.5秒で全戦闘グループ両翼に展開。

 艦からの敵機動データ解析思考リンク形成。対電磁障害防壁形成。

 しらさぎ/つる/つばめ/すずめの各戦闘単位は、ひみこ両翼に展開。全機をネットするクラウド連鎖迎撃管制ネットワーク形成完了。




 ◆106秒経過



 「鬼蟹(GUI-XIE“ぐいしぇ”)が乱打戦に出ました。」


 「零戦隊は動くな!、鬼蟹(GUI-XIE“ぐいしぇ”)先行1グループ突出!_対宇宙機動艦高速砲雷撃戦用意…続いて砲撃、一、二番主砲、および第

一副砲、交差射角解析、時間差で三番主砲と二番副砲もリンクさせろ、ヤツを逃がすな!」




 防衛省 装備ギャラリー 2085年度版サイト『宇宙零戦:空間機動制圧機、その歴史と展望』より


 『宇宙零戦(うちゅうぜろせん)』とは、自衛隊が、従来の陸海空の概念的区別を解消し、

統合自衛隊として組織の発展的改変を行った2028年度より正式採用する空間機動制圧機の一般的な呼称である。

 当初は『俗称』扱いだったが、現在は正式な呼称として使用されている。


 『戦闘機』としての一般的な呼称を使わずに、この呼称に統一した背景には別項として説明すべき項目もあるが、第二次世界大戦において旧日本海軍に採用

された『零式艦上戦闘機』の略称をあえて用いた経緯は、21世紀初頭の幻想的御花畑平和主義政権の度重なる失政による国難から、2030年代以降へとつ

ながる地球圏規模における国家同一性衰微の危機を通して、常に国防力の調整配備を計ってきた暫定治安維持機構の有志によるところが大きい。


 2047年、初の空間機動拠点(宇宙護衛艦):せんかくⅠの進宙に際して配備された、『宇宙零戦:閃雷11(せんらい:いちいち)型』は全長30mを

越える大型機ながら、初の熱核タービンをパワーソースとする複合サイクルエンジンの実用的な展開に成功し、戦闘継続時間85分のうち、高度0mから

150km、最大航続距離17500kmを可能とした。

 これは当時として国土防衛力の技術的に到達しうる最高点として注目すべきであるが、今日地球圏が直面している“地球連邦禍”の発端ともいうべき

“2048年上海事変”にアプローチされた当時の日本の注目すべき動きにも別途、項をさくべきだろう。

 2085年の今日、深宇宙外殻護衛群に配備が可能となったひみこ艦載機『宇宙零戦:天翔11型/尖竜21型/22型』の航法管制自我(こうほうかんせ

いじが)は、2070年代に一般化された『たおやめg5』型人工実存(じんこうじつぞん)をベースにしているが、かの人工実存の最大の機能である『常時

覚醒解析(じょうじかくせいかいせき)』は、混迷を極める地球圏のネット戦略に帯する一つの解として位置ずけられていることは注目しておいてよい。

 古来有史文明開祖より、情報を制するものが勝利を制する、とする金文があるが、大気圏外、大気圏内全領域における制圧戦力システムの扱いとして

2085年空間戦略防衛大綱においてもなじむところも多いといえるだろう


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