銀の髪と瑠璃色の瞳

紫紺

第1話

「千里」

呼ばれた声に、ふと振り返る。

けれどそこには誰もいない。

「お母さん、僕のこと呼んだ?」

「?なにを言っているの?」

「だって…………」

昔からそうだった。

時々、声が聞こえる。

「お願いよ………!」

母が泣きそうな声で言った。

「あなたのせいで私達がおもしろおかしく言われるのよ!」

「……………………ごめんなさい……」

嫌われたくない一心で謝る。

しかし母は答えてはくれない。

何時もの日常。

千里にとって、これが普通だった。

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