飛ばし読みしたい人のための「2」ダイジェスト

 岐水きすい領官・稜鳳りょうほう(22)によって岐水に連れて来られた周翼しゅうよく(17)は、稜鳳が岐水の困窮を救うべく自分をこの地に連れて来たのだと知り、彼に力を貸す代わりに、燎宛宮を裏切って、河南に付く様にと告げる。周翼の匠師しょうしとしての力を目の当たりにした稜鳳の方もこれを気に入り、進んでその配下に入る事を承諾する。


 一方、楊蘭ようらんの仇を探す八卦師・棋鶯子ぎおうし(15)もまた、何かに導かれる様にして岐水に姿を現した。だが、そんな彼女の背後には、冥府の王、黒星王こくせいおうの気配があった。


 華梨かりん(17)を伴い西畔せいはんに帰郷した劉飛(19)は、そこで璋家しょうけの嫡子として育てられている鳳花ほうか(2)に出会う。



 同じ頃、杜狩としゅ(26)と共に、周翼を探して岐水を目指していた楓弥ふみ(24)は、身に迫る追っ手の気配を感じ、杜狩に危害が及ばぬ様にと、彼の前から姿を消す。楓弥が姿を消したことで憔悴しきっていた杜狩の前に、周翼が現れ、彼女を救うべく、二人は八卦師の里である天望村てんぼうそんへ向かう。


 仇を探して都に現れた棋鶯子は、そこで師匠になってくれる八卦師を探していた天祥てんしょう(12)と出会う。自分を弟子にしてくれと懇願する天祥に、燎宛宮への足がかりを作りたかった棋鶯子は、これを承諾する。


 一方、周翼と共に天望村に向かった杜狩は、そこで周翼の過去と、楓弥が八卦師の力を左右する宝珠の持ち主であった事を知る。

 村では今まさに、その宝珠の継承の儀式が行われようとしていた。周翼の力で、儀式は中断されたが、その儀式の為に、楓弥はすでにその意識を体から切り離してしまっており、それを呼び戻す為、周翼は杜狩を楓弥のいる社へ向かわせる。杜狩の真剣な思いに心を動かされた楓弥は、今まで厭わしいと思っていた、自身の重い宿命を受け止め、共に生きようと言ってくれた杜狩にその身を預ける。



 何事か思惑を抱える冥王(=黒星王)が白星王と接触を図る。白星王は、かつて華梨と交わした盟約を叶える為に、冥王が持ちだした取引に応じ、これと手を組むことに。


 天祥との繋がりから、宰相天海との目通りが叶った棋鶯子は、帝国の後継問題と河南対策という、現在天海が頭を悩ませる懸案について有用な策を示し、燎宛宮に八卦師として召し抱えられる。その棋鶯子の進言により、河南に巫族討伐の命が下る。

 それに対し周翼は、巫族を守るため、自らの手で長老を処刑することで巫族討伐を成し遂げたという事実をでっちあげる。そのことを知った杜狩は、その非情さと自身の抱える甘さに打ちのめされる。


 これまた棋鶯子の策謀により、皇騎兵軍元帥の位と引き換えに、麗妃(20)との結婚を命じられた劉飛は、戸惑いながらも、以前から思いを寄せていた麗妃に婚姻の申し込みをすべく、東の離宮に赴く。劉飛が燎宛宮に駒として使い捨てにされる事を危惧した麗妃は、その申し出に難色を示すが、その熱意に打たれ、結果として婚姻を承諾する。

 一方、劉飛の婚姻についての報告を受けた優慶(8)は、叶わなかった思いを儚み涙に暮れる。そんな優慶の心に寄り添う様に、自らも秘めた思いを抱えながら、優慶を慰める天祥。そんな二人の距離はほんの少しだけ近づいた。



 翌年――

 赤星王を宿しているという劉飛と麗妃の子、虎翔こしょうの誕生を阻止する為、都への進軍を決定した周翼は、稜鳳の力を借り、秋白湖を船で横断するという奇策を用いて、燎宛宮へ奇襲を掛ける。


 河南へ向けて進軍中であった劉飛は、華煌京奇襲の報を受け、急遽、都へ引き返すが、そんな彼の前に、冥王の命を受け、星王を封じる事が出来るという九星王剣を手にした緋燕が姿を現し、その行く手を阻む。劉飛を先行させ、一人緋燕と対峙した華梨であったが、その宝剣の前に白星王を封じられ、成す術も無く凶刃に倒れる。


 河南軍が華煌京へ侵攻したのと同じ頃。無事、虎翔を出産した麗妃の元へ、緋燕が現れ、宝剣によってその命を奪い去った。緋燕を退ける為、一時的に覚醒した赤星王によって、そこに生じた業火は、麗妃のいた蒼東の宮を焼き尽くした。


 ついに燎宛宮に侵入した河南軍。だが、そこに単騎戻った劉飛が追いついた。そして対峙する、李炎と劉飛。激しい斬り合いの末、その勝利を手にしたのは戦司を宿す劉飛。李炎が倒された事で動揺を生じた河南軍は、劉飛を追い程なく掛け戻った皇騎兵軍により制圧された。その頃、都に張られていた結界を解くべく星見の宮へ向かった周翼は、虎翔の存在を知り、これを炎の中から救い出して連れ去った。


 全てが燃え落ちた焼け跡で呆然とする劉飛の前に、緋燕が現れて戦いを挑むが、橙星王の力の前に、全く歯が立たない。そこへ棋鶯子を操っていた冥王が介入し、橙星王の力を退ける。しかし、楊蘭の仇である緋燕に対する棋鶯子の憎しみが、冥王の呪縛をはねのけて緋燕を倒した。

 力を使い果たした棋鶯子は散り、劉飛の魂は冥王によって境海へ引き込まれてしまった。劉飛を救うべく、橙星王は冥府へ赴く事に。


 九星王剣に封じられ、冥府へ連れて来られた星王たち。そこで、冥王によって天界の異変に纏わる話を聞かされる。だが、その話は、どうも冥王の都合の良い様に歪められていると感じた星王たちは、橙星王に九星王剣を託し、その力をもって冥府からの脱出を図る。


 地上では、赤星王を宿す虎翔の誕生に、周翼がある決意を胸に、華梨との再会を果たす。赤星王の力を押さえるべく、蒼星王の封印を解く。その為に、華梨を傷つけることを承知の上で、周翼は華梨を抱いた。そんな周翼の前に、四天皇帝してんこうていの妃である月光姫げっこうきからの使い、玄武が現れる。


 玄武に誘われ、中天界ちゅうてんかいで月光姫と対面した藍星王は、そこで天界の異変の時の話を聞かされる。それは又、冥王の話とは相反する内容だった。そして、藍星王は、病に倒れ譲位を望んでいるという四天皇帝から預かったという、覇王選定の為のみことのりを渡される。


 境海きょうかいで劉飛を見つけた橙星王であったが、冥王の差し向けた羅刹の追っ手に取り囲まれてしまう。更に、その命と引き換えに、麗妃と会わせてくれると言う羅刹王・剛來ごうらいの言に、生きる目的を見失った劉飛は橙星王の力を押さえこみ、剛來の前に頭を垂れた。その命が奪われようとしたその時、そこに現れた羅刹・真白ましろによって劉飛は命を救われる。その真白とは、緑星王の力によって麗妃が転生した姿だった。その麗妃に背中を押され、劉飛は地上に戻る。


 一方、戦死した天海の喪に服している天祥(13)は、優慶(9)に対し、何も出来ない自分の無力さに、遣り切れない思いを抱える。優慶を救いたいという天祥の声は緑星王の元へ届き、彼は新たな盟約者となった。そんな天祥の元へ、天海の娘・香夏こうかが訪れ、天家の安泰の為、自分の娘、春明しゅんめい(14)と結婚する様に命じる。


 天祥の婚姻の報告を受け動揺する優慶に、宰相・崔遥さいようは燎宛宮に天祥を呼び、そこで天祥は優慶に、その影として仕えさせて欲しいと願い出る。皇帝の影となるべく、自らを抹殺した天祥。その訃報を聞き、心を痛めた春明。しかし、その父、姫英きえいは、宮廷内の権力闘争の切り札として彼女を入内させようと目論んでいた。


 河南へ辿り着いた華梨は、そこに虎翔が保護されている事を知り、周翼が再び燎宛宮に弓を引くつもりであると悟る。そして、自身に宿る蒼星王の力は、周翼には渡すべきではないと考え、姿を消す。

 河南城では、九星王剣によって受けた傷が元で、李炎が息を引き取ろうとしていた。自分の無力さに悲嘆にくれる周翼。しかし、玄武から星王が再び地上に戻った事を知らされ、同じ過ちを繰り返さぬ為に、自分に与えられた使命を果たす事を誓う。


 そして華煌京では、重傷を負っていた劉飛がようやく目を覚ました。その傍らには、思わせぶりな笑みをたたえる少女、鳳花(3)の姿が。


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