ファーストキス

水面

プロローグ

 う、そ……。


 唇に広がった柔らかい感触。あまりの衝撃に私は体を硬直させる。

 琉香るかさんは、そっと触れるようなキスをした。

 ドクドクと心臓が破裂してしまいそうなくらい音を立てている。


 なに……。なんで……。琉香さんが、私に……。


「やっ……」


 ようやく我に返って後ずさりすると、彼は私の頭を引き寄せて、再び唇を奪った。


「ん……」


 下唇を口に含まれ、初めての感触に背筋がざわめきたつ。

 体から力が抜けて、もう何も考えられない。

 ようやく唇が解放された時には、膝に力が入らず、私はがくりと床に座り込んでしまった。


「ちょっと刺激が強すぎた?」


 私のことを見下ろしながら、ニヤッと笑う琉香さん。


「どう? ファーストキスの感触は?」


 人を射すくめるような鋭く美しい瞳を細めて、低く囁いた。

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