第32話 やっぱりアッチ系の人間が出てくるみたいです
冒険者ギルドに着いた俺たちは、ぺルセ街にあった前の冒険者ギルドと同じ形だったことに驚いた。
「へぇ、冒険者ギルドはどの街も共通の形なんだな…」
「そりゃそうよ、そうじゃなかったら他の街から来た人が分からなくなっちゃうじゃない」
「…ツバサ、ちょっと遅れてる」
え?この世界の常識みたいな感じなの!?まじかよ、全く知らなかったぜ…
「そ、それくらいは知ってたさ。と、とにかくギルドの中に入ろう!な?」
「何か誤魔化された気がするけど…まぁいいわ。入りましょう」
「…ん」
こうして俺たちは冒険者ギルドに入ったのだが、入った瞬間にむさくるしい男たちが一斉にこちらを睨んできた。
「ウホッ、イイ男だ!」
「ムムムッ、おにゃのこの匂いがしますぞ!!」
「チッ、リア充は爆発しろ!爆ぜろ!!」
やっぱり、どこの冒険者ギルドも変な奴が多いんだな。だが、俺の嫁たちに手を出そうというのなら容赦はしない…とりあえず軽く威圧でもしておくか。
俺が威圧をしたとたんさっきまでざわついていた野郎どもが一瞬にして鎮まった。やっぱり威圧は万能だな…などと思ってニヤニヤしていると、ガチムチな男が怪しいオーラを放ちながら前に出てきた。
え?何こいつ??なんか変なオーラ丸出しなんだけど!?威圧が効いてるはずなのにむしろ嬉しそうなんだけど!?
「…兄ちゃん、俺とヤらないか?」
ゾゾゾっと一瞬にして鳥肌が立った。何を言っているんだこいつは!?
俺がそんなことを考えていると、いつの間にかアイラが俺の前に立っていた。
「どうしたんだ?アイラ」
「…ツバサは、渡さない。ツバサは…私の旦那」
「ア、アイラ!」
俺はつい嬉しくなってアイラを抱きしめた。
すると、イズナが俺の服の裾を引っ張ってきた。
俺が振り向いてイズナの顔を見ると、イズナは顔が真っ赤になっていた。
「どうした?」
「そ、その…私も抱きしめていいのよ?」
うっ…こ、これは可愛すぎるだろぉ!!反則だこんなの!!
俺はイズナも抱きしめると、二人を抱きしめたまま男の方を向いた。
「悪いな、俺には可愛い嫁たちがいるんでな。」
「くそぉ、イイ男を逃してたまるかぁ!!兄ちゃん!俺と決闘しろ!」
良かった、平和的な解決ができ…え?なんでそーなる!?
「いや、ちょっとまて!なんで俺があんたと決闘しなきゃいけないんだ!?」
「男たるもの体で語り合うべし!ということで、俺と一戦ヤろうぜ?」
俺は決闘をやめさせてほしいという思いを込めてアイラたちの方を向いたのだが、
「…頑張って、ツバサは負けない」
「わ、私たちのために頑張るのよ!!」
応援されてしまった…。これはもう決闘するしかないか…
「いいだろう、その決闘受けて立ってやる!」
「よし、じゃあギルドの前に出て勝負だ!」
「あぁ、分かった。一先ずアイラたちはここで待っていてくれ。絶対に勝って戻ってくるからさ」
「…ん」
「分かったわよ」
こうして冒険者ギルドの前に移動すると、既にギャラリーが集まりだしていた。
そして暫くすると、審判役の男が前に出てきてルールの解説を始めた。
「とりあえずルールは、武器の使用以外は何でもあり、相手を殺してはいけない、魔法の使用は可、周りの手出しは一切なし、勝った方は相手に1回だけ命令できる。でいいんだよな?ギルドマスター?」
「あぁ、大丈夫だ。…それにしても今日もイイ男だなお前は!」
「そんな、ギルドマスターに比べたら俺なんてそんなにイイ男じゃないぜ。」
…なんなんだ、こいつらは。っていうか!このガチムチな男がギルドマスターとかふざけてるだろ!ここにいるやつらはほとんどゲイってことじゃねえのか?
まぁ俺はハーレムを築くためにここで掘られるわけにはいかないんでな。相手の力より少しだけ強めにいかせてもらうぜ!
「じゃあ、始めようぜ!!」
「了解だ。よーい、始めぇ!!」
審判の掛け声と同時に男の姿が消えた。
え?こいつもザックみたいな感じなのか?…とりあえず様子見だ!
俺は一先ず自分の周囲を雷魔術で覆った。すると、いきなり『バチッ』と音がした。
「イテッ!なんだこれは、まるで電気みたいな膜が張ってある…これを触らないように攻撃するのは骨が折れるなぁ」
などと声が聞こえてきたのだが、俺には男の姿が見えない。つまり、透明化のスキル若しくは魔術・魔法を使っているということだ!
相手が透明化しているというだけなら俺にも対抗手段がある!
そう思った俺は自分の周り半径9mの円を描いてその円内で気配察知を発動させると、俺のすぐ後ろの地面に反応があった。
「後ろか!!」
そう言って俺は地面に拳を叩き込んだ。すると、まるで某忍者アニメのヒロインの技のような感じで地面が割れ、中から男が出てきた。
「やっぱり地面の中にいたか…」
「なかなかやるな、こんなすぐにバレたのは初めてだぜ…」
「そりゃどう…も!!」
俺はすぐに男に右ストレートを放ったのだが、男は再び一瞬で消えた。
はぁ、またかよ。 だが、一度バレた手を使ってくるのは流石におかしい。となると、ワープか…。すごく面倒だが、この手を使うしかないな。
「面倒だからこの魔術は使いたくなかったのだが、仕方ないか…『泥沼』」
俺がその魔術の名称を唱えて魔力を流すと、俺の周りとギャラリーの周りを除いてほぼすべての地面が泥沼になった。そう、この魔術は土魔術と弱めの水魔法を合わせて作ったオリジナルの魔術だ。この魔術の良い点は、相手の動きを把握することができるのと、相手が動きにくくなることだ。だが、悪い面は、この魔術を使ったときに相手が暴れると自分に泥が跳ねるので、あまり使いたくなかったのだ。
「なんだ?この程度の泥じゃ俺は止められないぜ?」
「おいおい、足元をよく見てみろよ。あんたの足元には泥と何が混ざったものが溜まってんだ?」
俺がそう言った瞬間、男の顔がサッと蒼くなった。
「とりあえず、一気に決めさせてもらうぜ。「ちょっとまっt『50ボルト』!」」
俺がそう唱えると、足元の泥沼に向かって電気が走っていった。そして、男はすごい勢いで体を震わせて感電していが、50ボルトだとせいぜい筋肉が収縮する程度だから大丈夫なはずだ。
そう思って男の方を見てみると、男は既に気絶していた。
「はぁ…服が汚れなくてよかった。」
そして無事に戦いを終わらせた俺は倒れた男の事は無視して、満足げにアイラたちの元へと戻っていった。
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