第18話 新しい武器みたいです

アイラと夜を共にした次の日、俺は何故か朝早く目が覚めた。


「ふわぁ、いい朝だ…ハッ!?」

(そういえば、俺はついに卒業しちゃったんだよな…今日からこんな美少女エルフが俺の嫁に!デュフ…デュフフフ)


俺がそんなことを考えて1人でニヤニヤしながら笑っていると、アイラが目を覚ました。


「悪い、起こしちゃったか?」

「…ツバサ?どうしたの?」

「いや、アイラとこういう関係になれたことが嬉しくてさ…昨日のことを思い出してたんだ」

「…ツバサはちょっと変態……だけど、そういうところも…好き」

「!?」


思わず俺はアイラを抱きしめた。

するとアイラも俺の事を抱きしめてきた。

(ファァァァァア!!!なんだこの可愛い生き物は!?)

俺の精神はすでに限界突破していたようだ。

そして抱きしめ合ったまま3分ほどが経過して、ようやく俺は我に返った


「そういえば、今日は冒険者ギルドに行ってアイラの冒険者登録をするんだった」

「…私も、ツバサと戦えるの?」


と、子犬のような目をして尋ねるアイラ


「もちろん。だけど、アイラがケガをしないように俺が守るから安心してくれ」

「…ん、ありがとうツバサ」

朝からリア充オーラを出しまくりな俺達であった。


そして宿から出る際に、受付の男が

「昨晩はお楽しみでしたね(笑)」

と言ってきて俺とアイラが赤面したのは言うまでもない。



朝ご飯をいつもの店で済ませた俺達はとりあえず、アイラの装備を整えることにした。


「まず冒険者登録する前にアイラの装備を整えなきゃな。」

「…ん、武器…欲しい」


と、アイラも言っていたので、俺が武器屋を探しているとアイラが俺の服の袖を引っ張った。


「アイラ、どうしたんだ?」


と俺が尋ねると


「…ツバサ、武器屋みつけた。」


そうアイラが指を指して言ったので、俺がその指の先を辿って行くとそこにあったのは

『ガッチリムッチリ武器商店 ~男の価値は鍛え上げられた鋼の肉体~』

という店だった…


「え…」


まさかの店名に俺がフリーズしていると、アイラが


「…ここはダメ……だった?」


と、悲しそうな目をして言った。

「いや、そんなことはないぞ!さぁ行こう!今すぐ行こう!!」

やはりアイラには甘々な俺だった。


そして俺達は『ガッチリムッチリ(以下略)に入ることにした。


「いらっしゃい!ウホッ、いい体してるな兄ちゃん!!」


などと入店早々ガチムチな店員から怪しい空気が流れ始めた。


「とりあえず武器を買いたいのだが、ここは武器屋だよな?」

一先ずガチムチな店員に確認をとると、

「あぁ、武器屋で合ってるぜ。何が欲しいんだ?剣か?槍か?それとも、お・れ・の・剣・か?///」

「あんたの剣は丁重にお断りしておく。そういえばアイラは何の武器が得意なんだ?」


俺がそう聞くと、


「…私は、弓が得意…風魔法も使えるから」

「なるほどな、じゃあ弓一つ欲しいんだが、どこにある?」

「弓は確か…ちょっとついてきてくれ」


そう言われたので俺達はガチムチな店員の後についていった。


「ここにあるのは全部弓だ。値段は全部小銅貨3枚だ」

一先ず俺は弓を全て鑑定することにした。するとほとんどの弓は普通の弓、若しくは少し高価な弓だったが、一つだけおかしな弓があった。

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狭間の弓


はるか昔、エルフの祖先と人間の祖先が戦争に使ったといわれる弓。

この弓はエルフにしてエルフではなく、人族にして人族ではない者しか扱えないと言われている。

------------

と、鑑定結果が出た。


「なんじゃこりゃ」

思わずそうツッコミを入れると、ガチムチな店員が


「あぁ、その弓か…その弓は見た目がカッコイイからって何人ものイイ男達が買っていったんだが、みんな弓を引こうとしても引けなかったみたいでな、ずっと売れ残ってる弓なんだよ…」


(そりゃそうだよな、だってこれはハーフエルフしか使えないって鑑定に書いてあるもんな…)


「アイラ!この弓は使えそうか?」


一応確認をしてみると


「…ん、この弓…しっくりくる」

「よし、じゃあこの弓をくれ。アイラならこの弓を使いこなせる」

「そうなのか?まぁ、この弓がしっかり使ってもらえるならそれでいい。棚で埃を被ってるよりも使ってもらった方がいいに決まってるしな。」


そして俺は弓の代金の小銅貨3枚を払った。


(今は武術だけで十分だけど、ザックみたいな奴が出て来ないとは限らないから、俺も一応剣を買っておくか。)

「俺の武器も欲しいんだが、盗賊の持ってた片手剣じゃ切れ味が低くてな…なにかいい剣はないか?」

「あいにく最近騎士団が片手剣をほぼ全部買っていっちまったからな…後は呪い付きの片手剣しか売ってないんだ」

「その呪い付きの片手剣ってやつを見せてくれないか?」

そう俺が頼むと、ガチムチな店員が

「イイ男の頼みは断れないぜ」

と、鳥肌が立つようなセリフを言ってから俺達を店の奥に案内した。


「ほぅ、これが呪い付きの片手剣か…」


俺は一先ず鑑定をすることにした

『鑑定』

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呪い付きの片手剣 ×2


この世界に転移させられてきた先代の勇者が残した片手剣。

この世の物とは思えないほど切れ味は良いが、この世界の者が持つと、持ち主に次々と不幸な事が起こる。

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(やはりこの世界に転移させられてきたのは俺だけじゃなかったわけか…とりあえずこの片手剣は俺みたいに異世界からやってきた奴以外は使えないみたいだし、それに二本あるから二刀流のスキルも試せるから一応買っておくか)

そう思った俺は呪い付きの片手剣を両方とも購入することにした。

そして、この剣の料金をガチムチの店員に聞くと、「誰も買ってくれなかった剣を買ってくれたし、イイ男だから無料でいいぜ」と、言われたので、ありがたくもらっておいた。

そして次はアイラの冒険者登録と依頼の受注をするために、アイラと一緒に冒険者ギルドに向かった。

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